日本の小笠原諸島の南硫黄島に位置する「マホウトコロ学校」。それは、日本に住まう少年少女達が日々魔法を鍛錬する場所である。
そんな学校に入学する日本の魔法使いの少年のちょっとしたお話。

これは、ハリポタ公式の最新情報です。

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日本の魔法界にて

 

 

 ボクは、普通の人間とは違った。

 現代日本社会において、ボクのような人達は迫害される。学校、人間関係、イジメ、仕事ーーそれらの透明な縄に縛られたボクは、やっと解放される。そして、新しい視野と新しい世界と新しい力を手に入れる事が出来るのだ。

 12歳を迎えた途端、ボクの世界は開拓されるのだ。

 

 *

 

「高魔街」の中にあるこの大きな森は、ボクの家の私有地だった。この森のせいで、一体何人の先生や郵便配達の人が家にたどり着けず諦めた事か。

 森は通称「マモリ」と言われており、諸説が様々とあった。魔の森だとか、守りだとか、タ◯リだとか。ただこの森も不思議な事に、ボクが入ると家へと続く一直線の道が出来上がる。故に、魔瀬家以外の人間は家にたどり着く事が出来ないのではないだろうか。

 ボクは石蹴りをしながら家に戻った。木々の隙間から太陽の光が差し込み、細いスポットライトのような光の筒が数多とあった。鳥の囀りが心地よく耳に響き、風と木のお喋りが聞こえてくるような気がした。

 東京の街なのに、此処まで大きな森は珍しい。そして、此処まで自然豊かなのも。都市に位置する「マモリ」では、時々人あらざるモノも見かける。それが何かは、言わずもがな。

 さて、ボクは家へとたどり着いた。日本らしい和風の大きな屋敷。こういう建物をボクは何というのか知らないけれど、見た人は皆驚愕するほどの大きさだ。魔瀬家は三人家族なのだが、他にも住んでいる人がいるからだ。いや、人ではないけども。

 

「ただいま戻りました〜!」

 

 ボクは大声を出して、家の中に入っていく。靴を揃えて、屋敷の中へとドタドタと駆け込む。途端に何かに引っかかり、ボクはその場で倒れこんだ。

 

「ドワッ」

「ん〜?」

 

 ボクはその足元の奴を寝転んだまま蹴っ飛ばす。下が畳で良かった。目を向けた時には、そこには、青い着物を着た5歳くらいの子供が寝転んでいた。子供はボクを睨みつけ、手元にある漫画を読み始めた。

 

「おいらの読書タイムを邪魔しないでくれる? 家出て行くよ?」

「椅子に座って読めよ、座敷童!!」

 

 そうーーこの家と森には、妖怪が住み着いているのだ。

 ボクの家は、代々「魔力」というモノを持っている。それを使って行う術が魔術やら魔法やらと言われていて、魔女や魔法使いというモノが世界中にいるらしい。ボクの家系も勿論魔法使いで、日本特有の妖怪達は皆、魔法使いと共存している。住処が破壊され、人間の住む土地が形成されてしまっているからだ。

 

「あら海斗、帰ったのね」

「はい、母さん」

 

 屋敷の奥から、紫色の着物を身に纏った美しい女性が出てきた。彼女がボクの母親である妙子(タエコ)だ。母さんはボクの顔を見て、嬉しそうに顔を赤らめる。

 

「まぁ美しい女性だなんて〜」

「心を読まないでください」

 

 優秀な魔女であると同時に、有能な開心術師なので、ボクの考えはすぐに読まれてしまう。閉心術が下手くそなボクは、いつも母さんに心の中を見られてしまう。

 

「そうだわ海斗、お父さんがお庭で千(セン)の餌やりをしているわよ。行ってきたらどう? 明日お世話になるでしょう?」

「そうですね、行ってきます」

 

 ボクは一礼すると、屋敷を出て行った。

 そして屋敷の裏庭へと向かった。そこでは魔法植物や妖怪の子供を育てており、ボクのお気に入りの場所でもある。黒い瓦が太陽の光で反射して、一瞬目が見えなくなった。ボクが家の裏に回ると、そこには袴姿の男性が人が二人乗れるような大きな鳥を撫でていた。あの男性が、ボクの父親である奏太(ソウタ)だ。

 

「父さん、戻りました」

「あぁ海斗か。おいで」

 

 父さんはボクを手招く。彼の手には白い杖が握られており、一振りした途端、キッチリ芝刈りされた緑色の庭にはたくさんの可愛らしい花が咲いた。父さんもまた、優秀な魔法使いだった。

 ボクは大きな鳥を撫でた。これは「ウミツバメ」という種類の鳥だが、これは魔法界のウミツバメだった。日本の魔法使いの移動手段として、魔法界のウミツバメがあげられるくらいだ。この子は千という名前で、ボクのお気に入りだった。

 

「明日は千に乗って学校へ行くんだぞ」

「はい、楽しみです」

 

 黒と白の羽を持った凛々しい鳥は、ボクに対して頭を下げた。

 ボクは今まで、普通の人間の学校に通っていた。つまりは、小学校。日本の魔法界の子供は、小学校を卒業するまでに魔法力を示せば、魔法界の学校に通う事が出来る。世界に11ある学校の中の一つーー『マホウトコロ学校』に。

 この学校は、小笠原諸島の南硫黄島の頂上部に位置し、普段は無人島であるこの島にある壮大な学校は、魔法力を持った者のみ見る事が出来る。中学から高校までの6年間を、ボクはその魔法学校で学ぶのだ。

 

「マホウトコロはな、本当に楽しい所だぞ。千、お前も楽しみだろう?」

 

 マホウトコロに通う学生は、皆このウミツバメに乗って学校に通う。このウミツバメのスピードは凄まじく、沖縄から学校まででも遅くて30分でたどり着く事が出来るので、自宅から通う事が出来る。

 

「千、明日はよろしくな」

 

 ボクは千の頭を撫でて、小さく笑った。

 

 *

 

 翌朝、ボクの枕元には着物をモチーフにした魔法使いのローブが畳んで置かれていた。これがマホウトコロの制服だという。真っ黒なローブは、魔法の修練によって色が変化するらしい。つまりは、成績や努力が一目で明らかだという事になる。確か最上級が金色で、法を犯すと白色になる。黒は最初の色だ。

 ボクの目標は、このローブを金色に染める事だ。

 ボクはローブを着て急いで朝食を取ると、屋敷の外に出た。そこには千は勿論、座敷童やら天邪鬼やら轆轤首ーーたくさんの妖怪達がボクを見送りにきてくれていたのだ。学校が終われば帰ってくるけど、やっぱり名残惜しいようだった。

 父さんが千に手招きをすると、彼女はボクの元へとやってくる。父さんに手伝ってもらって千に乗る。サラサラの毛並みに高さと、乗り心地は申し分なかった。

 

「じゃあ、行ってくるね…ボク」

 

 ボクは千を操り、猛スピードで雲の上まで飛んだ。魔法でマグルに見える事はないし、ボクが振り落とされる事もなかった。

 千は徐々にスピードを上げ、何処かへと飛んでいく。ボクはそんな千に掴まりつつも、その景色に圧倒されていた。気がつけば千は、雲の中を通って降下していた。障害物がない事を確認すると、千は風を切って南硫黄島へと近づいていく。ちっぽけな島のてっぺんに、何か白い城があるのが見えた。

 

「千! 急いで!」

 

 他のウミツバメも多く見えた。皆、目指す場所は一緒だった。

 

「行こう! マホウトコロへ!!」

 

 白ヒスイで出来た日本城は、たくさんの夢を背負い、今日も魔法で満ちていた。大きな闇さえも背負って。

 

 


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