はるのんとはちまんくん   作:アルスDQ

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テニス③

 

俺たちが試合をするといってから数分、テニスコートには人が引き締めあっていた。

 

たぶんクソの友達(笑)や知り合いやファンだろうがな。1年もいるが2年や3年もいる。えらい人気だな。うざい。

 

「HA・YA・TO!フゥ!HA・YA・TO!フゥ!」

 

おまけにクソコールの後にウェーブが始まる。まるっきりアイドルのコンサートか何かになってるな。まぁ、全員が全員クソのファンというわけではないだろう。おそらく大半が野次馬だ………多分。

 

マジでうるさい。そう思っていると…

 

「八幡先輩ー!ファンクラブ全員で応援に来ましたよー!」

 

そう、俺のファンクラブが来ていた。意味がわからん。しかも前より増えているし。クソの取り巻きとはあきらかに数が違うし。

 

「そ、そうか。」

 

「はい!」ニコッ

 

彼女の名前は七里ヶ浜七輪。ファンクラブの一員だ。

 

「先輩頑張ってくださいね!」

 

「先輩ファイトです!」

 

「あんな偽善者なんてこらしめて下さい!」

 

七里ヶ浜を筆頭に応援の言葉が次々に言われる。応援されるのも悪くはないな。

 

「ま、大丈夫だろ。それに懲らしめるのは決定だし。それに可愛い後輩のために頑張るとするさ。」ニカッ

 

「「「「はぅ〜///先輩の笑顔眩しすぎて見えないよ///」」」」

 

なんか顔を赤くしてるけど、俺なんか変なこと言ったか?まあいっか。

 

そろそろ始まるようなのでコートに入る。そこで陽乃が聞いてきた。

 

「で?どうする八幡?」

 

「んー、最初らへんは様子見でいいだろ。後からクソだけにボール集めるようにするから。あ、三浦にはやるなよ?今回の被害者みたいなもんだから。」

 

「りょうかいー!」

 

そこでクソがやってきた。

 

「ヒキタニ先輩取り敢えずルールは素人テニスだし、細かいのは抜きで良いですか?単純に打ち合って点取る。サーブ権はポイントを取った方でどちらでもいいってかんじで。」

 

「あ、そう。」

 

そして俺たちは持ち場につき試合が始まる。

 

「試合開始!」ピー!

 

審判は当然戸塚だ。異論は認めない!

まあどんなもんかな?

 

最初はクソチームのサーブ。三浦が打つようだ。乗る気ではないらしいがやるとなったら真剣だ。本当にごめんね、クソのせいで。

 

それからは適当にラリーを続け、15-40になった。

 

「八幡ー、そろそろいいかな?」

 

「ああ、身体もあったまってきたしな。」

 

「じゃあいこっか。」

 

「ああ。」

 

「「 さあ…。」」

 

「「 ゲーム(公開処刑)を始めようか…。」」

 

「」カタカタカタカタカタ

 

そのときクソが震えていたが気にしない。あとに聞いた話だが俺と陽乃はものすごい殺気を出していたらしい。(ファンクラブ情報)

 

三浦の打った打球がきた。ヒュパッとラケットが鳴ったと思ったら、弾丸のごとき速度でボールが俺の顔の真横を通過し………それをはるかに上回る速度でまた俺の顔の真横を通過しクソめがけていった。当然クソは反応できるはずもなくただ呆然としていた。

 

「え…。」

 

「え?何、はるのん先輩すごすぎじゃない?」

 

「当然よ。何たって私の姉さんなのよ。」

 

「さすが陽乃先輩です!」

 

後ろで雪乃と由比ヶ浜、ファンクラブのやつが騒いでいたが気にしない。

 

「30-40!」

 

「さて次はどうしようかなー。」

 

サーブ権がこちらに移り陽乃のサーブ。ってあれは!?

 

「もらった!」

 

クソがボールを決めようする。しかし、ボールはクソの前でバウンドしクソの顔に目掛けて飛び上がる。

 

「な…。」

 

当然ラケットで打ち返そうとするが押し負けラケットは吹っ飛ぶ。

 

「40-40!」

 

「あ、あれは!ツイストサーブだ!」

 

材木座が思わず叫ぶ。

 

「ゆきのんツイストサーブって?」

 

「右手で打てば右に、左手で打てば左にボールが急角度でバウンドするサーブよ。簡単に言うと相手にめがけてバウンドする…かしら?打てる人は限られているけど。」

 

「よくわかんないけどはるのん先輩すごい!」

 

うん、由比ヶ浜がアホなことは確認できた。

てか…

 

「ツイストサーブなんかいつ覚えたんだ?」

 

「んー?アニメ見て見よう見まねでやってみたらできちゃった。てへっ!」

 

「マジか。…でも、すごいぞ陽乃。」ナデナデ

 

「えへへ〜。次は八幡の番だよ。」

 

「了解だ。」

 

全力で打ち込むには絶好の機会だ。さてどうするクソ?互いに残り一点の状態でのこの球はクソにとって、全ての鬱憤を晴らすために、全身全霊で打ち込んでくるだろう。

 

念の為にと三浦がカバーに入るが関係ない。

 

その打球の軌跡に、ギャラリーは落胆する表情が見える。戸塚がそっと目を伏せるのが見える。祈るようにしながらも、決して目を伏せず、この光景を直視している由比ヶ浜と目が合った。そして、その隣で雪乃と材木座、ファンクラブのやつらが勝利を確信した笑顔を浮かべているのが見えた。

 

「よしっ!もらった!」

 

クソが落下地点に入り、振りかぶる。

 

今まさにミートする直前、ひゅうっと一陣の風が吹いた。

 

クソ、お前は知らない。

 

昼下がりの総武高校付近でのみ、発生する特殊な潮風の事を。

 

俺だけが打てる。期間限定の俺の魔球。

 

風の影響で打球は煽られ、落下地点から逸れ、バウンドする。このままもうワンバウンドすれば、勝ちだ。

 

しかし、そこには三浦が走り込んでいた。

 

だが、三浦。お前は知らない。

 

この風が吹くのは一度だけじゃないことを。

 

再び吹いた風が打球を流していく。

 

「えっ!うそっ!」

 

三浦のラケットをよけボールはコートに落ちる。

 

「ゲーム!比企谷・雪ノ下ペアの勝ち!」

 

「くそっ!」

 

「さてさて俺たちが勝ったんだからとっとろ失せろ。」

 

「…っく!ヒキタニお前がいなければ俺は雪乃ちゃんに…。」

 

「私は前にあなたのこと嫌いと言ったはずよ。それに雪乃ちゃんと呼ばないでくれないかしら、馴れなれしい。」

 

「…っ!」

 

雪乃がそういうとクソは逃げ出した。あと取り巻きのやつも三浦を残して去って行った。

 

「八幡ー!」ダキッ

 

「おう、お疲れ。」

 

と、そこでファンクラブのやつが来た。

 

「八幡先輩、陽乃先輩お疲れ様です!これタオルと飲み物です。」

 

「おう、サンキュー。」

 

「ありがとね。」

 

「では私たちはこれで。」

 

ファンクラブのやつらが去り、あとは俺たちだけだ。そこで三浦がこっちに近づいてきた。

 

「あーし先輩にちゃんとあやまりたいし。あーしのせいで、あーしが言ったことでこんなことなっちゃったし・・・」

 

三浦の瞳からは涙がポロポロこぼれる。それをぬぐうことなく、謝罪の言葉を重ねていた。

 

「いや、お前は悪くないだろ。戸塚の手伝いをしようと思ったんだろ。お前はいい事をしようとしたんだ。気にすんな。」

 

「…けど。」

 

「…んー、そうだな。明日からお前も手伝ってくれよ。そうすれば戸塚のためになるし。いいよな戸塚?」

 

「僕はいいよ!」

 

「…いいんですか?」

 

「ああ、良かったな。」ポンポン

 

「あ、ありがとうございます///」

 

こうして次の日から三浦も加わりその後無事に戸塚の依頼は無事に終了した。

 

 

ちなみにクソとの試合のあと三浦の携帯に1通のメールが届いたのは別の話。

 


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