戦女神×魔導巧殻 第二期 ~ターペ=エトフへの途~   作:Hermes_0724

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来週末からスタートする第二期に先立ちまして、世界観解説と各国の設定を載せておきます。多分に「作者の創作」が入っているため、齟齬があるかもしれませんが(汗)

お気づきの点などがありましたら、遠慮なくご指摘くださいませ。


第二期:世界観解説、各国設定

【世界観解説】

 

本作品は㈱エウクレイアの傑作ゲーム「戦女神シリーズ」を基礎とし、独自解釈を加えながら、ゲーム原作と並行して進みます。ゲームの世界観を大切にしたいので、大まかな流れは変えませんが、「ゲームとしての都合」については、排除をしています。第二期から読み始める方もいらっしゃると思いますので、改めて解説を書きたいと思います。

 

1.通貨

ゲームでは共通通貨ですが、本作品では各国が通貨を取り決め、発行しています。交易のための両替商もいます。以下、各国の通貨単位です。

 

レウィニア神権国:ルドラ

メルキア帝国:メルグ

スティンルーラ女王国:マダル

ベルリア王国:シリン

ターペ=エトフ王国:グラン

 

1グラン≒1ルドラ(ターペ=エトフ歴240年時点)

 

2.月日、時間、距離の単位

ゲーム中では殆ど出てきていません。そのため作者が独自に設定をしています。

 

年月日:1年=420日、1月=30日

時間:52刻(2刻=1時間であるため、26時間)

距離:1里(約4㎞)=36町(1町=約110m) 

   1町(約110m)=60間(1間=約1.82m)=360尺(1尺=約30㎝)

   1尺(約30㎝)=10寸(1寸=3㎝)

 

3.季節

ディル=リフィーナでは、太陽が四つもあり、かつ地軸の傾きが緩やかである為、どの月でも比較的温暖な気候です。太陽は、東から昇って西に沈むのは変わりませんが、黄の太陽は南中するのに対し、赤の太陽は「北中」するため、日の当たり方が均一になります。そのため一年を通じて広葉樹が多い茂り、大抵の土地は温暖な気候となっています。ただ、北に行くほど寒くなるという傾向はあるため(黄と赤の太陽で、放射熱量が異なる為)、北方では針葉樹が見られます。

 

4.回復の羽

ゲーム内では、ボス戦などの前に、回復の羽というのがあり、ステータスの回復が出来るのですが、本作品ではそのようなものは一切、ありません。だいたい、羽で回復が出来るとか、訳わかりませんね。同様に「帰還の羽根」というものもありません。洞窟に入ったら、歩いて出てこなけれならないのです。ただし、転送機は出てきます。

 

5.喚石

ゲーム設定では「魔神などを倒すと、召喚する石を手に入れられる」などとなっていますが、本作品ではそうしたものはありません。魔神の様な巨体を掌の石に収めるなんて、あり得ないでしょう。収まったとしても「質量保存の法則」から、とても持てる代物ではないはずです。「召喚術」はありますが、ドラ○ン○ールの「カプセル」のような便利なグッズはありません。

 

6.水、食料等

洞窟探索というのは、洞窟内で野営をしたりするわけで、当然ながら水や食料が必要になります。ゲームではこんな細かいところまでは設定できませんが、現実に小説にしようとすると避けては通れない課題です。水、食料、着替えのための衣類など、探索前の「調達する場面」なども出てきます。

 

7.経済活動

ド○クエなどのゲームでは、単純に「国」「国王」などと出てきますが、当然ながらその国には多くの人が住み、生活を営んでいます。つまり、働いて稼いでいるわけです。何の仕事をしているのか、それによって生まれる付加価値および、国内総生産の規模、各国との貿易による貿易収支およびそれに付随して発生する様々な外交問題・・・こうしたことはゲームでは一切、出てきませんが、本作品では重要なファクターなので、かなり濃く描いています。

 

8.宗教

戦女神の世界「ディル=リフィーナ」では、光と闇の現神たちが対立をしている「二項対立構造」になっています。ゲームでは各神の「教え」は出てきませんが、本作品では作者の独自設定として「教義」などが出てきます。また「信仰そのもの」に対する意見も出てきますが、これは「作者の意見」ですので、㈱エウクレイアとは一切、関係ありません。

 

いずれにせよ、本作品では主人公が様々な「思索」をしていきます。「信仰心そのものを否定」するような場面もありますが、これはあくまでも「作者の考え」です。意見を異にする読者もいると思いますが、「思想・言論・表現の自由」として、認めて頂ければと思います。

 

 

 

 

【各国概要:ターペ=エトフ歴240年時点(第一次ハイシェラ戦争勃発時)】

 

1.ターペ=エトフ

 

■国王:インドリト・ターペ=エトフ

■国土:西ケレース地方全域(約62万平方km)

■人口:約15万人

 

■政治体制:立憲君主制国家

 

各種族代表による元老院および国王による合議制にて方針を決定し、行政府にて政策が実行される。ターペ=エトフ憲法には『自由権(精神・身体・経済活動の自由)の保障/種族間の相互尊重の義務/相互扶助精神の啓発および教育の義務』が明記され、他国からの侵略等の「緊急事態」を除いては、立法および政策遂行は元老院(ドワーフ族、ヴァリ=エルフ族、獣人族、龍人族、イルビット族、人間族、悪魔族より各代表一名)の討議を経て、全会一致の承認が必要とされる。種族の文化尊重のため、代表決定は各種族にその方法を委ねられており、悪魔族は「最も強い悪魔」、人間族は「集落内の評判」、龍人族は「最年長者」など、種族によって代表選出方法は異なる。各元老は「5年に一度」ごとに選出される。元老院合議場には「万機公論に決すべし」の言葉が、各種族の言葉で書かれている。

 

■経済:社会主義的経済(国内総生産:82.5億グラン 一人当り:約5万5千グラン)

 

主要産業である「鉱石採掘」「オリーブ栽培」「石鹸および髪油製造」「岩塩精製」は国営とされ、オリーブ栽培などは各種族の女性の中から希望者が就業する。各種族は自給自足体制を取りつつ、種族ごとに独自産業を持って経済活動を営む。特に、石鹸製造においては「塩生植物の栽培」「瓶、木枠等の必要道具の製造」「香料となる薔薇、ラベンダーの栽培」「精油精製および混合」など、完成品をつくるための様々な産業が各種族に割り当てられている。国営産業ではあるが、魔導技術を使うことで生産性が劇的に向上しており、大きな利益を生み出している。それらは国家予算および社会保障に充てられている。特に社会保障は充実しており、教育と医療は完全に無料となっている。食料・資源の輸入は原則的に必要無いため、レウィニア神権国、メルキア王国に対して貿易黒字を出しており、外交問題となりつつある。(スティンルーラ女王国に対しては貿易赤字状態となっている。理由は後述)なお、アヴァタール地方への物流は「ラギール商会」が独占している。

 

通貨交換に関しては、政府が管理しており、ラギール商会では両替が出来ない。為替相場は政府による「固定相場制」が取られており、レウィニア神権国や他国に対して「若干の通貨安」を相場としている。そのため貿易黒字は膨大な額にのぼり、その外貨を用いて、後述する「プレメルの大図書館」に収蔵する書籍をかき集めている。

 

■軍事:通常兵力1,000名、最大実働兵力1万2千名

 

天嶮の要害の地であり、他国侵略の意志がないため、通常兵力は国土面積に比してかなり少ない。ただし兵農分離を行っているため、全て「職業軍人」である。通常は、北方のカルッシャ王国からの侵略を警戒するために、エテ海峡近辺に展開されている。魔神およびその使徒、飛竜、飛天魔族など「一騎当千」の戦士が存在するため、マーズテリア神殿も干渉を諦めたと言われている。事実、ハイシェラ戦争以前にあったイソラ王国との「北華鏡会戦」においては、イソラ王国軍2千5百名を僅か3名で壊滅させている。

 

同盟国および勢力:レウィニア神権国、スティンルーラ女王国、モルテニア地方(魔神グラザおよび闇夜の眷属)

友好国および勢力:華鏡の畔(魔神アムドシアス)、トライスメイル(ルーン=エルフ族)、メルキア王国、グルーノ魔族国(魔神ディアーネ)

敵対国および勢力:ハイシェラ魔族国、イソラ王国、カルッシャ王国、フレスラント王国

 

■文化

「朝、日の出と共に酒を飲み、昼、槌を振りながら酒を飲み、夜、友と共に酒を飲み、夜中、夢の中で酒を飲む・・・」

 

ドワーフ族の影響のためか、国民皆が「酒好き」で知られている。葡萄酒、麦酒、蜂蜜酒のほか、蒸留をした「焼酎(ブランデー,ウィスキー)」が人気。蒸留には高度な「鍛冶技術」が必要な為、ターペ=エトフでしか生産出来ない。そのため、スティンルーラ女王国から麦酒を輸入し、焼酎を作っている。いずれにしても輸入額の多くを「酒」が占めている。

 

また、首都プレメルにある「プレメルの大図書館」が有名。各種族の言語ごとに分科され、蔵書量は延べ百万冊を超える。「カッサレのグリモワール」「東方錬金術」等の貴重資料も豊富、先史文明期の遺産も展示されている。なおハイシェラ戦争終結時点で、全ての資料が「忽然と」姿を消したため、ラウルバーシュ大陸七不思議に挙げられている。

ターペ=エトフでは、6歳~12歳までの義務教育が定められており、識字率は99%以上、ほぼすべての国民が文字を読める。また、各宗教の教義についても客観的な比較からの教育が行われ、どの宗教を信仰するかは自分で決めることが求められる。各種族独自の文化や倫理を大事にするため、文化間の争い事が発生することも稀にあるが、窃盗や盗難といったことはほぼ無く、組織的な警備機構は首都プレメルおよび人間族の集落にしか無い。

 

 

 

2.レウィニア神権国

 

■君主:水の巫女

■国王:アルフレッド・レウィニア

■国土:ブレニア内海東岸域(約53万㎢)

■人口:約150万人

 

■政治体制:神権主義的貴族政国家

 

土着神「水の巫女」を主神とする一神教「レウィニア教」を国教とする宗教国家であるが、水の巫女自身が政事に不干渉であるため、実際の意志決定は国王、貴族、神殿神官の三者による話し合いで決められる。建国当初は神殿勢力が大きな力を持っていたが、近年では貴族が力を持ち始め、神殿勢力と派閥争いを行っている。ただ、国王は水の巫女によって「使徒」が任命されるため、どちらかと言えば「神殿派」である。ただし、国王は水の巫女の影響からか、強権による意思決定を好まないため、政争を見守る立場を貫いている。水の巫女の熱心な信者は、神殿勢力を後押ししているが、ラギール商会などは貴族派を支援している。

 

■経済:古典的資本主義的経済(国内総生産:570億ルドラ 一人当り:約3万8千ルドラ)

 

主要産業は「穀類を中心とした農業」「畜産業」「養蚕業」「漁業」などの一次産業の他、衣類などの「繊維産業」、ブレニア内海沿岸部の「塩業」も盛んである。また、交通の要衝に位置することから、各国の通貨を両替する「金融業」も発達している。特にラギール商会は、金融と物流で有名であり、各地に行商隊を数隊派遣し、様々な産品を輸出入している。しかし、東方の山岳地帯は竜族の支配域であるため、鉱物資源が不足しており、ターペ=エトフからの輸入に頼っている。オリーブ油製造などは各農家が自家栽培で行っていたが、ターペ=エトフから低価格のオリーブ油が流入したため、レウィニア神権国で消費されるオリーブ油のほぼ100%は、ターペ=エトフ産となっている。

 

特に近年では、資本主義的経済によって「格差」の問題が出始めている。貴族制であることから、累進課税等の格差是正政策が遅れており、繁栄する街の陰で、その日暮らしの浮浪者の姿も見え始めている。

 

■軍事:通常兵力2万人 最大実働兵力5万人

 

徴兵制ではなく志願制であるが、農家出身者や職が無くて軍隊に入る者なども多い。一方で、貴族の子弟たちなど「特権意識」を持った騎士も一部で存在しており、軍隊内での軋轢を生んでいる。人口増加に伴って、軍事拡大を続けているが、主に防衛のための軍隊であり、侵略目的ではない。通常は、仮想敵国である「メルキア王国」との国境に展開されている。

 

■文化

 

水の巫女を信奉する「レウィニア教」は、国内に広く知れ渡っている。一方で、レウィニア教自体に、他宗教を排する要素が無いこと、また布教活動自体が少ないことなどから、主に光神殿からの信仰の流入もある。レウィニア教を国教と定めていることから、光神殿の影響も限定的であり、闇神殿や古神を信仰する闇夜の眷属たちも、暮らすことが出来る。

 

 

 

3.スティンルーラ女王国

 

■国王:マルガリータ・テレパティス

■国土:ブレニア内海北岸域~セアール地方南部(約68万㎢)

■人口:約50万人

 

■政治体制:女尊男卑的絶対君主制国家

 

「女系社会」を文化とするため、国王は代々女性であり、財産は「母から娘へ」と受け継がれる。他地方では「男系社会」が多いため、女性が優遇される社会体制を嫌う者も多く、移民流入が少ない。刑事事件などにおいては、法的な男女差別は無いが、男性の方がより罪が重くなる「傾向」が見られる。役所や軍組織においても、女性が組織長になることが多い。そのため、出産期になると組織長を離れざるを得ず、代理への交代が当たり前となっている。「女が稼ぎ、男が家庭を守る」という文化である為、長いこと出生率が低く、一部族でしかなかったが、経済成長と共に福祉が整い、現在では出生率の向上が見られる。

 

■経済:社会主義的経済(国内総生産:145億マダル 一人当り:約2万9千マダル)

 

主要産業は「エール麦酒製造」ならびにそれに伴う「大麦栽培」「カラハナ草栽培」、その他に「養蚕業」「畜羊業」などが行われている。特にエール麦酒は、従来の黒麦酒の製法とは異なり、カラハナ草の毬花(ホップ)を使用した新しい麦酒で、名産品となっている。

 

スティンルーラ女王国は、まだ人口千名足らずの「集落」であったころから、ターペ=エトフ、レウィニア神権国の支援を受けてきた。特に、ターペ=エトフからは「産業振興支援」を受け、ターペ=エトフ経済を補完する形で産業が整ってきた背景がある。ターペ=エトフへのエール麦酒輸出額は大きく、「造るだけ売れる」という状態であり、国家経済の根幹を支えている。その結果、アヴァタール地方の国家の中で唯一、対ターペ=エトフ貿易収支が「黒字」の状態である。そのため、ターペ=エトフ滅亡後は、各国への輸出ルート拡大に腐心している。

 

ターペ=エトフが「富の再配分による格差是正」「教育と医療の充実」に力を入れていることに対し、スティンルーラ女王国は「妊婦への支援」「幼児養育支援」など子育て支援に重きが置かれている。出産後の早期社会復帰を可能にするため、閉経をした女性たちによる「養育園」などが開設されている。

 

■軍事:通常兵力:8千名 最大実働兵力:2万名

 

東方のレウィニア神権国とは同盟関係であり、騎士団を中心に兵力の多くが、セアール地方および西方諸国との国境線に配備されている。歴史的経緯から、セアール人および「バリハルト神殿」に対しては良い印象を持っておらず、セアール地方からの移民流入を厳重に管理している。

 

■文化

 

先に述べた通り「女系社会」を形成しているため、その文化は他国とは一線を画する。例えば女性の服装を見ても、王都ファラクライナであっても「露出の多い服」を着て平然と歩くことが出来る。ただ、他国との文化交流から多少は服装も見直され「上半身裸」という文化は、さすがに無くなった。


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