戦女神×魔導巧殻 第二期 ~ターペ=エトフへの途~   作:Hermes_0724

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第六十話:新興都市マクル

ディル=リフィーナ世界においては、光と闇の神々が対立をし、微妙な均衡状態を維持している。互いに敵視し合いながらも、「光無くば闇はなく、闇無くば光なし」という「相互依存」の部分もあり、旧世界ネイ=ステリナより今日に至るまで、光闇という二項対立構造を生み出している。両陣営にはそれぞれ、複数の神が存在しており、各陣営においてもまた、神々同士の微妙な駆け引きが行われている。これは神殿勢力にも言えることで、特に光側陣営の「マーズテリア神殿」と「バリハルト神殿」は、敵対というほどでは無いにしても、神殿同士での勢力争いが続いている。

 

マーズテリア神は、軍神として各国の騎士団などで広く信仰されている。一方、バリハルト神は嵐神として、冒険者や旅行者、あるいは各地を点々とする「傭兵」などに信仰されている。バリハルト神は、時に無茶をする「(良く言えば)豪快さ」と、仲間を大切にする「男気」があり、こうした「魅力的な男性像」が、傭兵たちなどの人気を集めているのである。

 

しかし一方で、バリハルト神は三神戦争において、三人の子供のうち一人を失うことから、敵対していた「古神」に対して、強い憎悪を抱いていると言われている。それは教義にも表れており、「大きな邪を滅ぼすためであるならば、非情・卑劣な手段もやむを得ない」という教えが示されている。この点が、信義と情を重んじるマーズテリア神にとって違和感を持つところであり、マーズテリア神はバリハルト神と距離を置いていると言われている。バリハルト神も、元々は地方神であり、三神戦争において「成り上がった」マーズテリア神を嫌っており、互いに接触を避けている状態と言われている。後世において、エディカーヌ帝国において人気を博した舞台劇の中で、この両名の対立が描かれている。

 

 

 

・・・マーズテリア神は、怒りの表情でバリハルト神に苦言を呈した・・・

「たとえ古神であろうとも、武器も力も持たない子女を殺すなど、正道から外れているとしか思えん!卿は息子を殺されたという「個人的な恨み」から、古神を皆殺しにしようとしているのではないか?」 

 

・・・バリハルト神は鼻で嗤って言い返した・・・

「フンッ、田舎者はこれだから困る。古神など、存在そのものが「邪」なのだ。将来への禍根を断ち、世界に安寧を齎すことこそが、我らの使命であろう。あぁ、そう言えば卿の奥方も、元々は「古神」であったな?卿が古神に寛容なのは、奥方の尻に敷かれているからか?」

 

 

 

この舞台劇を描いたのは、元マーズテリア神殿騎士であった。そのため、バリハルト神を謂わば「悪役」として描いている。しかしこの舞台劇においても、バリハルト神が身を呈して仲間を庇う姿なども見られ、単なる「卑劣で嫌味な神」などではなく、マーズテリア神とは異なる魅力を持つ神としている。この劇が上演された頃には、バリハルト神殿は大きく勢力を後退させており、エディカーヌ帝国に対して、光神殿からの苦情は出なかったと言われている・・・

 

 

 

 

 

 

ターペ=エトフ歴百二十年、西方諸国に激震が走った。大封鎖地帯であった魔族国「ゴーディア王国」が三つに分裂し、封鎖されていたマサラ魔族国の「闇の技術」が流出するという事態が発生したのである。光側の国であるテルフィオン連邦は、西方南部の帝国「ペルシス帝国」と同盟し、拡大する魔族国を武力を持って鎮圧すべく乗り出す。闇の現神を信奉する「ベルガラード王国」は分裂したゴーディア王国を支援すべく参戦する。大封鎖地帯を中心として、光と闇の国々による戦争が始まったのである。大封鎖地南部のマーズテリア神殿も、この戦いに加わらざるを得ず、アヴァタール地方への干渉は著しく低いものになった。一方、大封鎖地帯から離れていたバリハルト神殿は、マーズテリア神殿の影響力が低下したことを機会と捉え、セアール地方よりアヴァタール地方への再進出を企図する。セアール人たちはバリハルト神殿の支援を受け、スティンルーラ人たちが暮らすブレニア内海沿岸の肥沃地帯に進出、ターペ=エトフ歴百八十年、セアール地方南部に「マクルの街」を建設する。この事態に、スティンルーラ人たちは激しく反発し、クライナの街を拠点として、セアール人およびバリハルト神殿への武力闘争へと至るのである。

 

『バリハルト神殿は、廃都ノヒアの南部に「マクル」という街を建設し、セアール地方南部の完全制圧を図っています。レウィニア神権国はこの事態を警戒し、スティンルーラ族たちへの食料支援を決定しました。レウィニア王より、ターペ=エトフからも武器等の支援をして欲しいとの要請が来ております』

 

レウィニア神権国首都プレイアの駐在官「エマニュエル・パラベルム」の報告を聞き、元老院はざわめきに包まれた。賢王インドリト・ターペ=エトフは口髭を撫でながら、考えている。齢二百歳となり、人間でいえば「壮年期」から「初老期」へと移るころである。鍛えぬかれた肉体は頑強で、見た目はとてもそう見えないが、目尻には皺が出始め、髭にも白いものが混じり始めている。ヴァリ=エルフ族元老が発言をする。

 

『スティンルーラ族とは長年に渡る友好関係があり、彼らの麦酒はターペ=エトフ国民を潤しています。ここはレウィニア神権国の要請を受諾し、武器や医薬品の支援を行うべきではないでしょうか?』

 

『だが無制限に支援をするというわけにもいくまい。それに、スティンルーラ族を援助するということは、つまりバリハルト神殿と敵対することを意味する。いかにルプートア山脈を隔てているとはいえ、セアール地方はターペ=エトフの隣接地方だ。あくまでも道義的、人道的な支援に留めるべきではないか?』

 

活発な議論をインドリトは黙って聞いていた。新任したばかりのイルビット族元老ペトラ・ラクスが手を挙げる。丸眼鏡を直しながら、発言する。

 

『支援をするにしても、どの程度の支援をすべきか、現時点では情報が不足しており、判断が難しいと思います。まずは失望されない程度に武器や医薬品を送るとして、バリハルト神殿がどの程度の勢いを持っているのか、スティンルーラ族との争いは、どの程度の激しさなのか、より多くの情報を得る必要があると思います。ここは、我が国より偵察のために誰かを送り込んでは如何でしょうか?』

 

他の元老たちも、この意見に頷いた。積極と消極の間であるが、偵察をするという能動的行動も加わっており、現時点では最善の案に思われたからである。インドリトも頷いた。

 

『ペトラ殿の提案には、私も賛成します。バリハルト神殿は、苛烈さという点ではマーズテリア神殿以上と言われています。我が国としても、警戒をするに如くはないでしょう。偵察として誰を送り込むか、その人選は私に一任をして頂けませんか?皆さんも恐らく、同じ人選をすると思いますが・・・』

 

一同が頷いた。

 

 

 

 

 

 

インドリト王の依頼を受け、ディアン・ケヒトはまず、レウィニア神権国首都プレイアに入った。マクルの街に行く前に、まずは情報を収集する必要があるためである。既にラギール商会には話を通してある。裏口から客間に通されると、既にリタ・ラギールが座っていた。ディアンの顔を見て、笑顔になる。茶を飲みながら、近況を話す。

 

『・・・そう言えば、ニーナにまた、子供が出来たそうだ』

 

『えっ?これで何人目よ、七人目?』

 

『八人目だ・・・』

 

お互いに顔を見合わせ、笑い合う。頃合いを見て、ディアンが切り出した。新興都市マクルについてである。

 

『その昔、誰かさんが「ノヒア」を木っ端微塵にしちゃったから、バリハルトはもう来ないと思っていたんだけどねぇ。ホント、神殿の方々は生真面目というか、懲りないというか・・・』

 

『聞いた話によると、マクルという街は、ノヒアの南にあるそうだな。ノヒアは鉱山の近くにあり、鉱業で栄えていたが、今回は違うようだ』

 

『内海の近くだね。農耕や牧畜、漁業の他に、交易も始めている。ディアン、今回のバリハルトは本気だよ?街そのものを自分たちで造ったんだ。不退転の覚悟が見えるよ』

 

『つまり?』

 

『バリハルト神殿は、スティンルーラ族を完全に追い出すまで、決して手を緩めないだろうね。神殿の騎士のみならず、他地方から傭兵まで雇ってるみたいだよ』

 

ディアンは目を細めた。二百年前も、バリハルト神殿は武力によってアヴァタール地方に進出しようとした。まだ国家となっていなかったプレイアの街を侵攻しようとして、魔神によって無残な目に遭わされている。二百年の時を経て、同じ過ちを繰り返そうとしているのだ。

 

・・・今すぐ飛んでいって、街ごと消滅させてやるか・・・

 

ディアンの殺気を感じて、リタは両手を振った。

 

『待って待って!今すぐマクルを破壊するのはやめて頂戴!』

 

『何故だ?』

 

『ラギール商会マクル支店が、一週間前に開店しました。ニヒッ』

 

 

 

 

 

ターペ=エトフ王国プレイア領事館、別名「パラベルム邸」にて、バリハルト神殿とスティンルーラ族との紛争について、状況を確認する。領事のエマニュエル・パラベルムは、初代に勝るとも劣らない金髪の美女だが、人妻である。リタ・ラギールの紹介で、元メルキア王国騎士を夫として迎えたのだ。プレイアでも評判の美女であったため、落胆をした男たちも多かったそうである。夫は現在、ラギール商会の行商隊護衛長になっており、主に西方諸国を廻っているらしい。ターペ=エトフにとっては貴重な情報源となっている。

 

『バリハルト神殿の進出を受けて、レウィニア神権国も警戒を強めています。現時点では、クライナを中心とするスティンルーラ族に布教をするため、神官たちが活動をしていますが、いつ武力衝突が起きるかも知れません』

 

『スティンルーラ族長ロザリア・テレパティス殿は、何と言われているのでしょう?』

 

『族長は戸惑われていました。スティンルーラ族が信仰する「裁きの神ヴィリナ」は、バリハルト神の「妻」です。本来であれば、支え合う関係のはずなのに、何故、自分たちの地を侵し、バリハルト信仰を押し付けるのか、と・・・』

 

ディアンは頷いた。神々同士は夫婦であっても、それが「宗教」となれば話は別なのである。ディル=リフィーナの信仰形態は、「同時並列的一神教」である。主神の下に多くの神がいる「多神教的一神教」では、このような対立は起きにくい。第一、第二級神などの序列はあれど、ディル=リフィーナにおける神々は、基本的に「対等」なのだ。極端な話、父子であるアークリオンとアークパリスが、神殿同士で対立することもあり得るのである。憂鬱そうな表情で、エマニュエルが話を続ける。

 

『先日、クライナにも、バリハルト神殿から神官が来たそうです。バリハルト神を布教しようとして、追い出されたそうです。これにより、対立は決定的になりました。事態は逼迫しています。いつ武力衝突が起きてもおかしくありません』

 

エマニュエルは溜め息をついて、足を組んだ。艶めかしい脚に目を向けないよう、努力をしながら、ディアンは立ち上がった。

 

『明日、クライナの街に向かいたいと思います。本日はこの辺で・・・』

 

『あら、それなら部屋をご用意しますのに・・・』

 

『いえ、お気遣いなく。宿を取っています。それに、墓参りをしたいものですから・・・』

 

 

 

 

 

 

『・・・ルナ=エマ殿、久し振りですね。十年ぶりでしょうか』

 

初代パラベルムの墓に花を添え、ディアンは墓石に話しかけた。かつての知人たちの多くが、故人となっていた。現在は都市国家となっているレンストの「ドルカ・ルビース」、メルキア王国建国者の「ルドルフ・フィズ=メルキアーナ」や、宰相であった「ベルジニオ・プラダ」も、ずっと昔に死んだ。古の宮の族長「ヴェストリオ・ドーラ」も故人である。一度だけ、レイナと共に「アウグスト・クレーマー」の墓を詣でたことがあった。生きるということは、出会いと別れを繰り返すことである。魔神である自分は、それが永遠に続くのだ。忘れることが出来れば、どれだけ楽だろうか。だがディアンは忘れるつもりは無かった。振り返る過去があり、進むべき未来がある。それが「人間の生き方」なのだ。

 

『あなたの子孫は、立派に役目をこなし、幸福に暮らしています。マーズテリア神殿も落ち着いています。ターペ=エトフは平穏そのものですよ・・・』

 

無論、墓は何も返さない。だがディアンは話し続けた。

 

『・・・バリハルト神殿が進出して来ています。時代が少しずつ、動き始めているようです。この流れは、やがて激流になるかも知れません。バリハルト神殿は、不退転の覚悟を持っています。あなたが賛同してくれた理想を繋ぎ続ける為にも、私は百六十年ぶりに、剣を奮うことになるでしょう』

 

ディアンは墓に背を向け、歩き始めた。

 

 

 

 

 

スティンルーラ族族長「ロザリア・テレパティス」は、エルザから五代後の族長である。青い髪と気の強そうな瞳は、エルザと変わらない。六代目となる「アメーデル・テレパティス」にもそれは引き継がれているようだ。

 

『ターペ=エトフからも、武器などが届いています。族長として、感謝を申し上げます』

 

さすがに、口調まではエルザとは違っていた。エルザをインドリトに会わせた時には「アタイ」という口調がそのままで、ディアンは思わず吹き出したものである。ディアンは笑顔で返答した。

 

『ターペ=エトフにとって、スティンルーラ族は掛け替えのない友人なのです。何しろ「クライナ産エール」はドワーフ族の「常飲酒」ですからね。一触即発の状況と聴いていたので、心配だったのですが、平穏のようで安心しました』

 

ディアンの冗談に笑いながらも、ロザリアは首を振った。

 

『平穏ではありません。このクライナにこそ、神官たちは来ていませんが、マクルの街周辺の村々には、神殿神官のほか騎士たちもやってきて、改宗を押し付けてきます。それを拒否して殴られた者、村を追われた者もいます。いずれここにも来るでしょう』

 

『・・・その時は、どうされるおつもりですか?』

 

『断固として戦います!私たちスティンルーラ族は、七魔神戦争以降、この地でずっと暮らしてきたのです。他の地から、ここに移り住みたいと言うのなら、それは拒否しません。ですが、私たちの平穏な暮らしを脅かすようであれば、それは断じて許しません!』

 

ディアンは頷いた。この強い意志があれば、あとはどう抵抗するかである。

 

『ターペ=エトフも、セアール地方北部とは隣接しています。バリハルト神殿の伸長は、他人事ではありません。私はこれから、マクルの街に向かいます。まず、バリハルト神殿がどの程度まで伸長しているのか、この目で見たいと思います』

 

『ターペ=エトフからの支援、本当に有り難く存じます。インドリト王にも、宜しくお伝え下さい。どうか、気をつけて・・・』

 

 

 

 

 

『あれが、マクルか・・・』

 

マクルは、ブレニア内海に面した港町である。もともとは漁村であったそうだが、いつの間にか城壁に囲まれた「城塞都市」になっていた。城門に近づくと、兵士たちが検閲をしている。剣を背負った黒衣の男など、怪しく思われて当然だ。ディアンの姿を見た兵士が、警戒しながら近づいてきた。

 

『止まれッ お前はこの街の者ではないな?どこから来たのだ?』

 

『私はレウィニア神権国王都プレイアから来ました。ラギール商会本店からの使いです。ここに、ラギール会頭からの身分証明があります』

 

ディアンは懐から、リタ直筆の身分証明を出した。ラギール商会の名は広く知れ渡っているが、会頭は謎の人物とされている。会頭直々の使いとなれば大物と見られる筈であった。身分を確認した騎士は、姿勢を正した。

 

『失礼しました。この街は新しく出来たばかりで、中には荒れくれ者も来るのです。街を護るための警備ゆえ、ご容赦下さい』

 

『御役目、ご苦労さまです。どうかお気になさらず・・・』

 

丁寧に返礼し、マクルの街に入った。

 

 

 

 

 

ラギール商会マクル支店長のヒルダは、ディアンから渡された書類に目を通していた。栗色の髪をした中年の女性である。元々は奴隷であったが、利発さが買われ、リタが直々に商売を仕込んだ。柔和な表情の中に、鋭い知性を感じさせる女性である。第三使徒を思い出させる雰囲気だ。

 

『会頭のご指示であれば、私も否はありません。マクル支店の護衛として、しばらく街に滞在できるように手配しましょう。ですが・・・』

 

ヒルダは笑みを浮かべながら、書類をヒラヒラとさせた。

 

『・・・ここにこう書かれています。「ディアンは女好きだから、マクルの娼館に通うかもしれない。ラギール商会の護衛が娼館に足しげく通うなど、恥晒しになる。しっかりと警告しておくこと」・・・ ディアン殿、少なくとも日中にそうした場所に行くことは、厳に謹んで下さい。マクル支店は開店したばかりです。お客様からの信頼を損ねるような、悪評が立つ行為は、断じて許しません』

 

『・・・そんなことが書かれているのか?』

 

美女たちに囲まれて暮らしているが、四六時中一緒というのは、特に窮屈に感じるものだ。久々に独りなのである。羽を伸ばしたいと思うのが、人情ではないか。だがリタは、そんな下心などお見通しだったようだ。

 

『たとえ形だけでも、マクル支店に雇用されるわけですから、上司である私の命令には従って頂きます。宜しいですね?』

 

ため息をついて、頷いた。

 

 

 

 

 

宿に荷を預け、マクルの街を見て歩く。そこかしこに騎士の姿があるが、街の治安は良いようであった。市場には、船で運ばれてきた品々が並んでいる。行商店なども出来ていた。街の奥に、バリハルト神殿が建てられている。拡張工事をしているようで、石工たちが石を削っていた。神殿の前に立ち、ディアンは目を細めた。

 

(・・・何だ?なにか、気配に違和感を感じる)

 

本来、現神の神殿からは「神気」に近い気配、雰囲気が漂うはずである。プレメルにあるガーベル神殿やヴァスタール神殿もそうであった。信仰心が集まるため、たとえ神格者がいなくても、そうした雰囲気を醸し出すものである。まして神殿勢力が創った「新興都市」であれば、神格者がいて当然のはずだ。実際、神格者の気配を感じていた。だが同時に、なにか別の気配も感じるのである。それは本来、神殿には存在し得ないような気配であった。

 

(バリハルト神殿がここまで強気に出てくる理由は何だ?その自信は何処から来る?ただの「狂信」では無いのかも知れん・・・)

 

さすがに、バリハルト神殿に乗り込むことは出来ない。ディアンはその場を後にし、波止場へと向かった。既に夕刻に近い時間になっている。紅く染まる内海を見ながら、ディアンは先程の気配について考えていた。

 

(あの気配は、魔神の気配に近い。いや、もっと邪悪な気配だ。あの神殿の奥に、何があるのだ?)

 

考え事をしていると、背後から声を掛けられた。

 

『ディアン殿?』

 

思索の海から引き上げられ、ディアンは振り返った。赤い髪をした美しい女性が立っていた。白い肌は夕日で朱に染まり、髪はさらに、紅くなっていた・・・

 

 

 

 

 




【次話予告】

およそ百八十年ぶりに会った「赤髪の美女」と共に、かつて消滅した廃都「ノヒア」を訪れる。無人の静寂の中で、彼女に「あれから」について尋ねる。

あれからどうしていたのか、自分は何者なのか、そして何が目的なのか

赤髪の美女は語り始めた・・・


戦女神×魔導巧殻 第二期 ~ターペ=エトフ(絶壁の操竜子爵)への途~ 第六十一話「大女神アストライア」

Ihr stürzt nieder, Millionen?
Ahnest du den Schöpfer, Welt?
Such' ihn über'm Sternenzelt!
Über Sternen muß er wohnen.

ひざまずくか、諸人よ?
創造主を感じるか、世界よ
星空の上に神を求めよ
星の彼方に必ず神は住みたもう・・・
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