戦女神×魔導巧殻 第二期 ~ターペ=エトフへの途~   作:Hermes_0724

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第八十六話:神の道

ディル=リフィーナ世界の大きな特徴として「神々の実在」が挙げられる。科学文明が発達していた旧世界イアス=ステリナにおいては、文明の発展と共に、宗教の社会的地位が低下し、人間族も日々の暮らしの中で、神への信仰を意識することが少なくなっていった。イアス=ステリナの神々は「天界」へと引き上げ、二つ世界の融合が起きるまで、イアス=ステリナには事実上、神は存在していなかったのである。その一方、エルフ族やドワーフ族が生きていた旧世界ネイ=ステリナでは、神々はそれぞれの種族から信仰を受けていた。光側の太陽神であるアークリオンやアークパリスは、エルフ族、ドワーフ族、獣人族など広範囲な亜人族から信仰を受けていた。一方で、闇側の太陽神であるヴァスタールは、魔族が中心であった。また、先天的障害などにより部族から爪弾きにされた亜人たちなども「闇夜の眷属」としてヴァスタールを信仰していたのである。このように、ネイ=ステリナにおいては、光と闇の対立はあれど、神々への信仰は日常的なものだったのである。

 

二つの旧世界が融合し、ディル=リフィーナ(二つ回廊の終わり)が誕生したことから、光と闇の均衡に微妙な変化が生じ始める。その原因は、人間族にある。他の亜人族が比較的小規模な集落を形成し、集団での生活をしていたが、人間族は国家社会を生み出し、大陸全土に生活圏を拡大させていった。社会秩序を維持するために「法」と「貨幣」が生み出され、教義とは異なる「罪人」と「経済的弱者」が誕生した。亜人族の様な小集団集落とは異なり、国家である以上は「経済的弱者」だからといって追放する訳にはいかない。一方で、そうした弱者は歴史的に、光側よりも闇側の神々が受け入れていた。教義自体を見直すとなれば、これまでの「宗教による統治」に亀裂が生じる恐れがあった。そのため多くの国々では、貧民街を設け、一種の「信仰的隔離政策」を行っていた。西方諸国の大国である「テルフィオン連邦」においても、国教としてはアークリオン信仰を定めつつ、貧民街ではヴァスタール信仰やアーライナ信仰が「黙認」されていたのである。

 

「国教を定めつつ、異端を黙認する」という状態は、国家形成期から数百年間にわたって、西方の国々で見受けられた。アヴァタール地方東方域においてようやく、その色合いは薄くなり、メルキア王国のように神殿の「政治的影響力」を排除する国家なども誕生している。こうした「政教分離」という政治体制は、ターペ=エトフ王国において一定の完成をみる。ターペ=エトフは特定の宗教を保護すること無く、あらゆる宗教を平等に認めていた。賢王インドリト・ターペ=エトフの治世においては、光側神殿も闇側神殿も、相互の存在を暗黙に認めていたのである。だが一方で「神々の教義から国法を定める」という法治手段は、結果として神殿の「治外法権」を許すことにもなった。ターペ=エトフ王国内で、神殿同士の対立や神官の腐敗が生じなかったのは、最盛期においても人口が十五万人程度と少なかったこと、そしてインドリト・ターペ=エトフの強力な指導力によるものであった。

 

ターペ=エトフ歴二百八十年、政教分離体制をさらに推し進め、神殿勢力すらも自国の国法の支配下に置いた、初めての「法治国家」が誕生した。それが「エディカーヌ王国」である。

 

 

 

 

 

ターペ=エトフ歴二百四十九年に勃発した「第一次ハイシェラ戦争」は、双方の痛み分けで休戦となった。人的被害という意味では、双方それぞれが数百名から一千名程度を失っている。ハイシェラ魔族国は本拠地オメール山を急襲され、蓄えた軍需物資を失ったが、もともとタダで手に入れたものであること、またその後もメルキア王国やレウィニア神権国から物資が届いていたため、それほど深刻な被害ではない。ターペ=エトフにおいても、本土には全く被害が出ていなかった。この戦いにおいて最も得をしたのは魔神アムドシアスが統治する「華鏡の畔」であり、最も損をしたのはバルジア王国であった。

 

『王都ホトスには三割以上の被害が出ている!テイテール湾の漁村は一瞬で消滅したそうだ!やはり、ケレース地方の戦争など無視すれば良かったのだ!』

 

バルジアーナ王家の分家であるサウリン家の当主「グリシャ・サウリン」は、声を張り上げて批判した。ケレース地方で発生した戦争により、巨大な純粋魔術が王国に打ち込まれ、甚大な被害が発生していたからである。ターペ=エトフ王国に抗議の使者を出したところ、国王どころか宰相にすら会えず、次官からの痛烈な皮肉によって追い返されていた。

 

…文句があるのなら、魔神ハイシェラに仰って下さい。そもそも貴国は、イソラ王国を経由して魔族国に軍事支援をしていますね?自ら戦火に飛び込んだのです。自業自得ではありませんか…

 

『ケレース地方からは一切、手を引くべきだ。魔族国に支援をする物資があるのなら、家や畑を失った民たちに支援をすべきだろう』

 

分家の立場である以上、政治的な決定権は持たない。だがグリシャ・サウリンの言葉に同意する行政官たちが続出した。ナディア・バルジアーナは唇を噛んで俯いた。バルジア王国はフェミリンス戦争以降に誕生した新興国である。レスペレント地方において一定の発言権を持つためには、ケレース地方との繋がりを深め、軍事的経済的な利益を得るべきだと考えていた。そのための魔族国支援だったのだが、それが完全に裏目に出た。ターペ=エトフ王国の力は、ナディアの想像を遥かに超えていたのである。

 

『どうせ支援をするのなら、ターペ=エトフを支援すべきだったのだ!インドリト王は信義を弁えた人物と聞いている。カルッシャやフレスラントの間隙をついて、ターペ=エトフとの交易を強化することも出来たであろう。あるいは謝礼として経済支援を受けられたかもしれない。このままでは我が王国は、衰退の途を辿るぞ!』

 

グリシャ・サウリンとしては、ここで声を大にすることで、やがて分家が本家に代わって、国王の椅子に座ろうと目論んでいたのである。多様な政治的意図も混ざりあい、バルジア王国は混乱していた。後世の歴史から見れば、第一次ハイシェラ戦争において、ディアンが半ば意図的に放った純粋魔術が、バルジア王国をやがて「分裂」させることになったのである。

 

 

 

 

 

絶壁の王宮内にある岩風呂に浸かる。インドリトは両手で顔を洗った。あの戦争から数日を経ていた。疲れもほぼ、取れている。だが新たな悩みが生まれていた。ハイシェラ魔族国は滅んでいない。いずれ再び侵攻してくるはずであった。既に北華鏡平原では、飛天魔族の斥候同士が接触し、斬り合いになっていた。大規模な軍事衝突はまだ先であろうが、水面下では様々な諜報戦、謀略戦が進められるはずである。この状況では、国王の地位を降りるわけにはいかなかった。

 

『もし、私が死んだら…』

 

自分が死んだ後の国のことを想う。ターペ=エトフは様々な種族が共に生活をしている。自分が国威の存在として求心力になることで、種族や文化、信仰の違いという「遠心力」を防いでいた。そして教育によって相互理解を深め、二百五十年間で徐々に、その遠心力を弱めてきた。種族を超えて「国民」として纏まることも出来るようになりつつあった。だが現在は、戦争中という異常事態だ。もし自分が死ねば、王国は求心力を失い、バラバラに離散をしてしまうかもしれない。あるいは、魔神ハイシェラが急襲し、王国を蹂躙するかもしれない。たとえ自分が死んでも、この地に生きる十五万の民は護らねばならない。そして、種族を超えた繁栄という理想も… そのためには何をすべきか、インドリトの中に、一つの案が浮かんでいた。

 

 

 

 

 

カレー粉をまぶして焼いた白身魚をつまみに、エール麦酒を飲む。王太師に復帰したディアンは、王宮の厨房を借りてインドリトの為の料理を作っていた。ドワーフ族であっても、高齢になれば酒量は減るし、肉より魚を好むようになる。滋養と疲労回復の効果がある香辛料を使い、香りを立てることで食欲を刺激させる。茹でた豚足には、つけダレを添える。豚足には筋肉や関節の老化を抑える作用がある。インドリトの好物でもあった。

 

『新たな国…か』

 

『そうです。ハイシェラ魔族国との戦争は長引きます。おそらく、私の寿命が尽きた日が、終戦日となるでしょう。ターペ=エトフは滅亡し、ハイシェラ魔族国がこの地を占領することになります』

 

『いや、そう簡単には終わらせんぞ。私がオメール山に侵入し、ハイシェラを暗殺しよう。そうすればハイシェラ魔族国は瓦解し、ターペ=エトフの勝利となる』

 

『それは無理です』

 

インドリトは師の言葉を否定した。

 

『ターペ=エトフは侵略戦争を否定しています。防衛戦の中で魔神ハイシェラを討つのなら良いですが、暗殺という手段は国法に反します。たとえ非常時だとしても、王として認めるわけにはいきません。そして何より…』

 

インドリトが笑った。

 

『先生に、魔神ハイシェラという「女性」を殺せますか?』

 

ディアンは沈黙した。この三百年近く、ディアンは「女性」は殺していない。山賊や魔族であっても、女性だけは殺さないようにしていた。それは一人の男性としてのディアンの在り方であった。無論、個人の価値観に過ぎず、それほど重きを置くほどではない。もしハイシェラが元々の青髪の姿であれば、躊躇なく殺しているだろう。だが、現在のハイシェラは古神アストライアの肉体なのである。アストライアは自分の信仰心を媒介にして、このディル=リフィーナにやって来た。妹を探すために放浪し、その中で出会った一人の男と愛し合い、そしてその男に殺され、肉体を奪われた。その男はそのことを悔いていた。だから生かしておいた。「生きること」… それが神殺しセリカ・シルフィルに相応しい「罰」である。ディアンはそう考えていた。

 

『魔神ハイシェラの中には、セリカ・シルフィルが眠っている。もしハイシェラを殺せば、セリカも死ぬことになるだろう。そして、アストライアも死ぬ…』

 

『先生の中に、迷いがあるのでしょう?その状態で魔神ハイシェラとぶつかれば、返り討ちに遇いかねません。先生が亡くなったら、理想の灯火が消えます。ディル=リフィーナに生きる様々な種族たちは、光と闇という対立を超え、種族の違いも超え、共に繁栄することが出来ます。ターペ=エトフがその証明です。私はいずれ死にます。ターペ=エトフという理想郷は消えるでしょう。ですから、この理想郷から種を持ち出して頂きたいのです。新たな理想郷を作るために…』

 

『全く…厄介なことを私に押し付ける。不肖の弟子だ。お前は…』

 

ディアンは低く笑い、頷いた。

 

 

 

 

 

黒い石壁の前に立ち、ディアンは独り言を呟いていた。壁には白い文字で、様々な神々の名前が書かれている。現神もあれば、古神もある。地方神や魔神の名前まである。

 

『…あとは天使族の位置づけですね。彼らも組み込むのであれば、大天使ミカエラと堕天使にして魔王ルシファーは外せません』

 

神族を研究しているイルビットの研究者が名前を読み上げていった。ディアンはそれらも全て、黒壁に書いた。壁一面が神々の名前で埋め尽くされた。

 

『…以上が、現時点で判明しているディル=リフィーナの「全神々」です。こうしてみると、多すぎるような気もしますね』

 

『「八百万の神々」か…』

 

ディアンは呟き、黒壁の最上部に書き加えた。

 

創造神(The GOD)

 

ディアンは頷いた。手に持っていた白墨を置き、

 

『ディル=リフィーナ世界においては、神々は大きく四つに分けられている。イアス=ステリナの「古神」、ネイ=ステリナの「現神」、ディル=リフィーナ創世を齎した「機工女神」、そしてディル=リフィーナ世界で新たに誕生した「地方神」だ。これらの神々は、互いに敵対したり、あるいは中立を保ったりしている。だが「分類」されているだけであり、「体系化」はされていない。神自身が独立の存在であることから、そこから生まれた「宗教」においても、それぞれが神殿を持ち、主神を置いている。アークリオン神殿とアークパリス神殿では、主神も教義も違う。完全な「別宗教」と言えるだろう』

 

『ですが、かなり近しい部分もあります。アークリオンとアークパリスは親子であり、人の在り方、生き方についての教義、説法においては相互の矛盾は無いように思いますが?』

 

『宗教の定義とは何だ?知的生命体は、生きる中で様々な「心の揺れ」を持つ。言葉や儀式、儀礼などを通じて心の揺れに働き掛け、信仰心を触発し、対象となる神を信仰するという行動に導く。知的生命体の心理そのものを「恣意的」に導く一連の手管、これが宗教だ。アークリオン教とアークパリス教では、信仰の対象が異なる。儀式や儀礼も異なる。同じ宗教とはとても見做せないな』

 

『手管…ですか?まるで人々を騙しているように聞こえますが…』

 

『聞こえるではない。そう言っているのだ。宗教と詐欺は紙一重だ。騙されたと気づかれたか、気づかれていないかだけの違いだ。喜捨させることによって、心の蟠りが取リ除く、あるいは説法によって明日への希望を持たせることが出来れば、本人はそれで救済されたと感じるだろう。「詐欺」になるのは、その手法が間違っているからだ。本人が救われ無ければ、騙されたと露見してしまう。他者から見れば酷い教義であっても、信仰している本人が救われているのであれば、それは詐欺ではなく宗教なのだ。「鰯の頭も信心から」「信じる者は救われる」のだ』

 

大魔術師ブレアード・カッサレの一番弟子であった「李甫」は、薬物を使うことによって「心の揺れ」を抑制し、信仰の必要性を消し去ろうとした。ターペ=エトフでは、より多くの知識を学ぶことによって視野を広げ、信仰への盲目的依存状態からの脱却を目指している。「本人が納得した上で信仰を選択すべき」という考え方であった。結果としてそれが、水の巫女を含めた「神々の警戒心」を呼んだのである。

 

(要するに、このままでは詐欺がバレる。「商売」の邪魔をするなってことさ)

 

『客観的に見れば、ディル=リフィーナは宗教が乱立した状態だ。救済の大安売りだな。それを一つの体系に統一してしまう。それが、新たな国の「国威」になるだろう』

 

黒壁を見るディアンの瞳には、新たな世界が見え始めていた。

 

 

 

 

 

『「神の道」…ですか』

 

インドリトは腕を組んで呟いた。使徒三人の中で、興味深そうにしているのはソフィアだけであった。グラティナは目の前の「手羽先揚げ」に手を伸ばし、麦酒を飲んでいる。レイナはインドリトの為に、野菜鍋を取り分けていた。ディアンが説明を続けた。

 

『ディル=リフィーナ世界の宗教は「同時並列的一神教」だ。様々な神が乱立し、それぞれに教義があり、儀式があり、信仰のカタチがある。こうした状況では、自分たちの宗教が正しいと考え、それ以外の宗教を否定しようとする。それが発生し難いのは、光と闇という明確な対立が存在するからだ。アークリオン教もアークパリス教も、ヴァスタール教やアーライナ教と対立している。だから光側宗教の内部での対立は発生し難くなっているのだ』

 

『先生は、その「同時並列的一神教」に対して、新たな形態を提示しようとしているのですね?』

 

『そうだ。「多神教的一神教」だ。現在のディル=リフィーナ宗教世界に、大きな箱を被せる。そしてその上に、全ての神々の頂点。創造神を置く。アークリオンもヴァスタールも、創造神によって生み出された「天使」に過ぎないとしてしまう。イアス=ステリナ世界の「ミカエラ」と「ルシファー」と同様の位置づけにしてしまうのだ』

 

『あらゆる神殿が猛反発をするでしょうね』

 

『確かにな。だが別に、アークリオン教を否定しているのではない。「神の道」という枠組みの中で、アークリオン教の存在を「認めてやる」のだ。「神の道」の利点は、既存の宗教を全て認めた上で、その上に創造神を置くことで「光も闇も根は同じ」とすることだ。神々の対立そのものを解消させることができる。ターペ=エトフの基本理念である「二項対立の克服」を体系化したものと考えれば良い』

 

ソフィアが手を挙げた。

 

『お話を聞いていると、それは宗教ではなく、既存の宗教を分類、体系化した「概念」に聞こえます。多神教的一神教という発想は、確かに革新的ではありますが、それを広めるためには「神の道」の宗教化を図る必要があるのではないでしょうか?』

 

ディアンは頷いた。

 

『その通りだ。このディル=リフィーナに、新たな宗教を生み出す。そして、既存の宗教をすべて飲み込む。宗教化に必要なものは「教義」と「儀式」だ。そしてそれを取り仕切る神官、まぁ「教祖」だな。これも必要になる。更には宗教を神格化させるための「伝説」も用意したほうが良い。宗教を「それらしく見せる」ための小道具だ。こうやって詐欺は宗教へと昇華する。既存宗教の信者たちは、信仰を変える必要はない。アークリオンやヴァスタールを信じている者は、いつの間にか「神の道」を信仰しているように仕掛ける』

 

『…ディアン、お前の話は良く言っても「詐欺」にしか聞こえないぞ?』

 

グラティナのツッコミに、ディアンは大真面目に頷いた。

 

『仕掛け方は詐欺と同じだ。だがこの詐欺で、実際に救われる者が出て来る。仕掛け方は同じだが、結果が異なる。要は結果だ。結果として人々が幸福になれば、手段は正当化される。何を尊いと想うかは、人それぞれだ。極端な話、レブルドルの糞だって、尊い存在になるのだ。それが「宗教」だ』

 

『…先生なら、ディル=リフィーナ随一の詐欺師になれるでしょうね』

 

インドリトは呆れ混じりに笑った。

 

 

 

 

 

「新たな宗教の確立」に、ディアンは夢中になっていた。教義や儀式は無論、背景となる創造神の神話、布教のための説法なども「捏造」する。

 

(宗教とは、とどのつまり「バレない詐欺」なのさ)

 

ディアンの情熱の源泉には、かつて自分の家族を奪った狂信的宗教への復讐心があった。自分の知る限りの教義や儀式などを洗い出し、その中から厳選して「新興宗教」を生み出していく。宗教否定論者であるディアンが、宗教を生み出そうとしているのだ。机に向かって描き続けている姿からは、殺気にも似た気配が立ち昇る。

 

『千年…いや二千年は必要かもしれないな。だが、二千年後には、すべての宗教が、オレが生み出した詐欺によって淘汰され、収斂されるだろう。アークリオンもヴァスタールも水の巫女も、全ての神々がオレの手の内に入る…』

 

歪魔の結界に護られた研究室の中で、宗教的革命家は低く嗤った。

 

 

 

 

 

ディアンが生み出した宗教体系をターペ=エトフに取り入れる訳にはいかない。これはあくまでも「新国家」のための準備にすぎない。ディル=リフィーナ初の「多神教的一神教」が描かれるのと同時に、「何処に国家を興すか」が議論された。国王、国務大臣、次官の三名はアヴァタール地方を中心とした地図を見ていた。

 

『アッシとしては、アヴァタール地方をはじめとした「中原」ではなく、大陸中央域の方が良いと思いヤスね。西方神殿勢力もここまでは伸びていヤせん。建国もしやすいのではないでしょうか?』

 

『ですが、この地は人口希薄地帯です。国となる以上、一定数以上の国民が必要です。中央域全域で考えればそれなりの人口でしょうが、余りにも国土が広くなりすぎます。人口密集地帯でありながら、現神の影響が大きくない地帯となると…』

 

ソフィアが地図を指した。

 

『…アヴァタール地方南端、バリアレス都市国家連合の南部が良いと思います』

 

ソフィアが指した先には、「地下都市フノーロ」と書かれていた。

 

 

 




【次話予告】

ターペ=エトフが密かに動き始める一方、ハイシェラ魔族国も動いていた。ターペ=エトフに勝つためには、より強い力を得るしか無い。ハイシェラはある噂を聞きつけた。レスペレント地方の田舎に、魔神が暮らしているという内容であった。


戦女神×魔導巧殻 第二期 ~ターペ=エトフ(絶壁の操竜子爵)への途~ 第八十七話「ハイシェラ対グラザ」


Dies irae, dies illa,
Solvet saeclum in favilla,
Teste David cum Sibylla. 

Quantus tremor est futurus, 
Quando judex est venturus,
Cuncta stricte discussurus!

怒りの日、まさにその日は、
ダビデとシビラが預言の通り、
世界は灰燼と帰すだろう。

審判者が顕れ、
全てが厳しく裁かれる。
その恐ろしさは、どれほどであろうか。
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