久しぶりに六人揃ったプレアデス。
彼女らの目的はただ一つ、アインズから頂いた任務の遂行。

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二次創作です。
元々作者がSS速報VIPに投稿したものです。修正や加筆があります。

書籍版の設定で書いてあります。
8巻のその後の話を膨らませたもので多少ネタバレがあります。

楽しんで読んで頂ければ嬉しいです(少しオーバーな敬礼)。




オーバーロードSS 戦闘メイドの休日

ナザリック地下大墳墓 ナザリックスパリゾート

 

 

「あら来たわね」

 

「………………」

 

黒髪をお団子に束ねた美しい女性が眼鏡の端をキリリと持ち上げる。

 

その横には凄腕の職人が作り上げた美術品の人形を思わせる無表情の美人が立っている。

 

プレアデスの副リーダー……現在は仮リーダーのユリ・アルファとオートマトンのシズ・デルタが向こうから来る三人組に気がつく。

 

「久しぶりねユリ姉さん」

 

艶やかな黒髪のポニーテールと切れ長の瞳が恐くも美しい――ナーベラル・ガンマが声をかける。

 

「ホント、あまり時間が経ってたわけじゃないのに久しぶりって感じだわ」

 

ふわりと巻いた金髪ロールに豊かな肢体が眩しい美人――ソリュシャン・イプシロンが同意する。

 

「アレ?ルプスレギナは――あっ」

 

可愛いらしい声に相応しい可愛いらしい大きな瞳に可愛いらしい触覚をピクピク動かすカワユイ美人――エントマ・ヴァシリッサ・ゼータが声を出す。

 

エントマの視線の先には豊かな胸をシズの頭に乗せニコニコと笑う褐色美人ルプスレギナ・ベータが立っていた。

 

「私最初からここにいるっすよ? いやーそれにしてもナーちゃんのメイド服、久々過ぎて違和感感じるレベルっす」

 

シズは無表情のままうざったそうに頭を振るった。

 

にゃはは、と笑いながら離れるルプスレギナ。

 

「ルプー、それを言わないで。私だって常日頃この格好でいられたらどんなにいいか……でもこれもモモ――アインズ様の偉大な計画を遂行する為に必要な事。その為なら『人間の振り』なんて苦痛でもなんでもないわ」

 

ナーベラルはグッと堪えるポーズをするが表情はまったく逆で満足気である。

 

ナザリックで活動する全てのNPCにとってアインズの命令は絶対であり『歓喜』である。

至高の御方に必要とされる事を喜びとする彼らにとってアインズに従い、側で仕える任務をするナーベラルは羨望の的だ。

 

ナーベラルのさっきの発言は他で仕事をしているとはいえアインズの側で従いたい彼女らにとって『毎日充実してツライわー』としか聞こえなかった。

 

「ぐぐっ、ナーちゃんちょぴり性格悪くなってないっすか!?」

 

「ハイハイそこまで! そういう話はお風呂場でしましょう」

 

ユリが教師のように手を叩くと本来の目的を口にする。

 

彼女らはナザリック地下大墳墓の戦闘メイド『プレアデス』。

 

メイドの中でもかの至高の方々に特別な役割を与えられた彼女ら6人は、至高の御方のまとめ役であり、唯一この地に残られた慈愛の王アインズ・ウール・ゴウンから直接命令を頂くという大変な名誉を受けた。

 

受けたのだが――

 

アインズが出した命令は六姉妹全員での入浴であった。女性の部下に風呂に入って来いとはなんともセクハラめいた命令であるが実際には

 

 

『お前達姉妹も個別に休みをとってもつまらないだろう。たまには姉妹揃って風呂でも入って来るといい』

 

 

というニュアンスであり、これはアインズが守護者全員でお風呂に行った際の思いつきである。

 

アインズにとって守護者達と入った風呂はとても機嫌が良いものであった為に出た『提案』なのだが、彼女らにとってアインズの『提案』は『命令』となんら変わりない。

 

こうしてユリ・アルファを筆頭に出回ってた姉妹達が一同に風呂場に集結したのだった。

 

「もちろんそうするわ。……けれど……シズとエントマは大丈夫なの? 」

 

疑問を口にするソリュシャン。

 

「……大丈夫。この日の為に防水性の高い装備を鍛冶屋に造ってもらった。あと耐熱、対冷、各種耐性を上げてきた。……バッチリ」

 

「ワタシも水と熱に強い蟲に変えたからダイジョーーブ!」

 

まるでこれから戦いに挑むかのような二人。

 

何もそこまでと思うかも知れないが、アインズが『みんなで』と言ったならそうなるようにするのが臣下の務めである。

 

「そう。なら早速行きましょう」

 

 

絢爛豪華なナザリック地下大墳墓の風呂場はスパリゾートの名に相応しい大浴場で種類だけで9種、浴場も17つもある。

 

「どれから入るか悩むっすね~~」

 

「まずは体を洗ってからよ。せっかくだから『あっち』も洗っておけば?」

 

すっぽんぽんのルプスレギナに対しタオルで体を隠すユリ。

 

「えぇ!?『あっち』の毛濃いからめんどいっす、めんどいっす~~」

 

嫌がるルプスレギナを競泳選手が着けるような水着姿のシズががっちりと掴む。

 

「……洗ってあげる」

 

ぎゃああと連れてかれるルプス。

 

「そうね洗いっこもいいかも、ユリ姉さん洗うわ」

 

「あ、ソリュシャン狡い!」

 

そそくさとユリに近づくソリュシャンにナーベラルが狼狽える。

 

「ジャあ、ヨロシク~~」

 

エントマが『身体を拡げる』と節々が付いた脚が何本も現れる。ぐぬぬと苦虫を噛み潰した顔になるナーベラル。

 

「アッ、そうそうシャンプーじゃなくて水でキャアアアーー!!」

 

スポンジに大量の泡を付けてゴシゴシ洗うナーベラル。

エントマが呻くように「油分が油分が」と騒ぐ。

 

その向こうからは「ぎゃああシズちゃん毛が抜けるっす~~」と慌てた声が聞こえる。

 

「何してるんだか……」

 

ソリュシャンの柔らかな太ももの上で髪を洗われてるユリは静かに溜め息を漏らす。

 

「うふふ、ユリ姉さんの髪綺麗ね」

 

「あらありがとう。貴方の髪も素敵よソリュシャン」

 

ユリの頭をソリュシャンが洗い、そのソリュシャンの体をユリの胴体が洗う。

一見すると恐ろしい風景だが、彼女達の常識からすればとても微笑ましい風景だ。

 

「そういえばアインズ様はお風呂に入られる時サファイアスライムをご利用されるのよね」

 

「そうらしいわ。どうせなら私に声をかけて下さればいいのに、私だって似たような事出来るのに」

 

ぐにゃぐにゃと体を揺らすとユリの腕がソリュシャンの背中に沈む。

 

「きゃ!? ちょ、ちょっと止めなさい!」

 

うふふと意地悪気な顔を浮かべるソリュシャン。ユリの上半身まで取り込むとまたその中でうねうねとうごめく。

 

「止めなっ、あ、だめ、そんなとこ、あ、嫌だボクっ」

 

意外と気持ちがいい感覚に恥ずかしさを感じたユリが素の声をあげる。

 

「――このっ!!」

 

生粋の戦士であるユリが全力で抵抗する。流石のソリュシャンも敵わない。

 

「あ、あ、あん!ご免なさいユリ姉さん、悪ノリしすぎたわ!」

 

ユリの体を解放すると謝罪を込めて優しくユリの頭を撫でる。

 

「まったく……」

 

再び頭を洗い始めたソリュシャンを尻目に隣を覗くとエントマがさっきの仕返しとばかりに沢山の脚を使ってナーベラルを洗いまくっている。

 

車の洗車機のような洗い方にアガガガッと声をあげるナーベラル。

しかし表情を見ると、どうやら意外と気持ちいいようだ。

 

ルプスレギナとシズはいつの間にか洗いっこからお湯の掛け合いで遊んでいる。

 

ユリは再び小さく溜め息をついた。

 

 

 

「ふぅ」

 

色っぽい吐息、というよりは幾らか疲労の色の方が強い吐息はナーベラルのものであった。

モモンのパートナー、ナーベとしての任務はメイドとして誇らしい任務だ。

 

が、アインズに応えるため常に神経を尖らせなければならないうえ、下劣な下等生物が

周りをブンブン飛び回るという環境に精神的にかなり疲れていたのであろう。

 

姉妹と共に風呂に浸かるナーベラルは普段からは想像も出来ない程、緩みきった顔をしていた。

 

「そんなに人間との生活が嫌なの?」

 

ソリュシャンがナーベラルの表情から察して問いかける。

 

「最悪ですね。あの下等生物(ハエ)共を魔法で凪ぎ払えたらどんなに心地いいか……ソリュシャンは大丈夫なの?」

 

「任務だと思えばそれほどにはね。どちらかというと『食欲』を抑えるのが大変ね」

 

「ソレわかるー。ソリュシャン凄いよねー私は我慢出来ないかも」

 

同意したエントマからすれば人間の街は選り取りみどりなご馳走が歩くバイキングだ。想像しただけで涎が出る。

 

「私も苦じゃないっすね。むしろいつボロボロになるか楽し――」

 

「ルプス! 貴方はもう、アインズ様に叱られたばかりでしょ」

 

「ウフフ。ルプス、アインズ様に怒られた~~」

 

「ルプー、私もその場にいたけれども関係ない私だってとても恐ろしかったわ」

 

ユリにたしなめられ、エントマとナーベラルに弄られたルプスレギナはお湯に顔を半分着けぶくぶく苦い顔をする。

 

「ブクブク……プハー! 大丈夫っす!あのあとアインズ様のテストにキチンと合格したっすからオールオッケーっす!」

 

「ちょっとルプス、丸見えよ」

 

「……お湯かかった」

 

再びルプスレギナとシズのドタバタが始まったが無視する他四人。

 

「それでアインズ様と二人っきりで何もなかったの?」

 

「やめて欲しいわソリュシャン、貴方まで。アインズ様は私みたいなメイドに興味なんてないわ」

 

と自分で言ってみたものの振り替える。

二人で冒険してきたが、アインズには主従としての態度しか見せられていない。

 

やはり自分に魅力がないせいだろうか?

いやいやと邪な考えを振るう。これは不敬な考えだ。

 

「アインズ様にはアルベド様がいらっしゃいます。私なんか眼中にありません」

 

「アルベド様は……確かに魅力的だけど、ちょっとアプローチがアレよね……」

 

「ソリュシャンはシャルティア様よりなのよね?」

 

ユリが問う。アインズを巡る女性守護者の攻防はプレアデスだけでなく全ナザリック中が気になるところだ。

 

「ん~~そうなってくれた方が私にいいことありそうかな?とは思うけど、正直言うとアルベド様が怖いっていうのが大きいかしらね」

 

「そうかしら?」

 

「ボク……いや私からすればシャルティア様の方が怖いけど」

 

シャルティアのユリを見る眼差しを思い出す。ボクにそんな趣味は無い。

 

「私の思い違いかも知れないけど、『どんな手段を使っても』アインズ様のご寵愛を受けようって感じがしてね……」

 

「守護者統括を担っているアルベド様が無責任なことするわけないわ」

 

「……そうよね。エントマはどう思う?」

 

「ワタシは~~アインズ様が選んだ方でいい~~」

 

そりゃそうだと姉妹達が肩をすくめる。

結局のところアインズが決めたら、それがナザリックの決定で正しい事なのだ。

メイドがあれこれ考える事ではない。

 

 

そう思い静かに風呂に浸かろうとした三人にエントマが爆弾を投下する。

 

「ケド~~この前恐怖公の眷属がたまたま聞いたらしいんだけど、アインズ様がアウラ様に告白をしたらしいよ~~」

 

一斉に飛び上がるプレアデス。ルプスレギナとシズでさえ動きを止める。

 

「それ本当なのエントマ!?」

 

「アウラ様が独り言でブツブツと『アインズ様は私の事が好きアインズ様は私の事が好き』って言ってたみたいで~~。試しに部下の人(獣)聞いたらアインズ様がアウラ様に好きだと言ったのは本当みたい~~」

 

「いやまさかそれだけで…………」

 

「アウラ様はまだ子供よ?」

 

「そういえばアインズ様、この前人間を招待した時、小さい子供と楽しそうにナザリックを回られたわ」

 

「私そのあとアインズ様にその子を護るよう言われたっす!」

 

「私の時も、アインズ様は無垢なる者には寛大な慈悲を与えてるわよね……」

 

 

点と点が繋がったような気がした。

 

 

「だからアルベド様は」「シャルティア様パッドを外せばもしかして」「アウラ様は子供が産めるの?」

 

がやがやとお風呂に浸かりながら騒ぐプレアデスの会議は普通の女子会と変わりなく、賑やかで楽しそうな雰囲気を放っていた。

 

何気なしにアインズから下された命令ではあったがプレアデス(戦闘メイド)達はその命令を満喫し充実に過ごしたのだった。

 

 

――後日。メイド達の間ではある噂が広まり守護者統括の耳まで入ることなる。

それはナザリック内でも一大事件となりアインズを大いに悩ますのだが、それはまだ先の話。

 

 

おわり

 

 




ハーメルンにはオーバーロードの二次創作が多く掲載されてると教えられアカウントを取ってみました。

使い方の練習も含めて過去のSSを載せてみましたが、上手く載せられてるのか心配です。
普段はSS速報やPIXIVに投稿してるので、あらすじや後書きを書いて載せるハーメルン式?は新鮮で面白いです。

これを機にこちらでもいくらか投稿出来たらなと思います。
既にオーバーロードの二次創作はPIXIVやまとめサイト等でまとめて投稿してあるのでこの作品を気に入って頂けたのなら暇つぶしに読んでみて下さい。


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