原作の星界の戦旗Ⅲでは、アトスリュア司令とソバーシュ先任参謀とうのが最終的な流れで終わったので、その組み合わせで頑張りました。
ちなみに、ソバーシュさんは完全な男なのでよろしくお願いします。それと、タイトルの絶妙はこの二人が絶妙な関係になって欲しいと思ってつけました。
アトスリュア・スーニュ=アトス・フェブダーシュ男爵・ロイ第一蹂躙戦隊司令は、<クレスコーヴ>の司令個室で今後の自分の蹂躙戦隊の訓練計画を思案中だった。彼女が今最も、悩んでいるのは自分の戦隊の艦の一つであるフリーコヴについてだった。
「アトスリュア司令、どうしました?いつもより、静かに食事をとっていますね?」
先任参謀のソバーシュは、よく、この司令官の翔士個室に意見を聞くために呼ばれていた。
そして、今回も呼ばれていたのだった。
「まぁね。ちょっと、考え事をしていたの。はっきりいって、こんな悩みを持つのは、私くらいかもしれないわね。部下が優秀過ぎるというのは、時には困るのよ。」
食事に箸をつけず紅茶を飲みながら話すアトスリュア
「フリーコヴのことですね。確かに、慣熟航行での最後の模擬対戦、どの艦も1対1では、誰もかなわなくて、最後は4対1という形でやっと、他の戦隊の艦は勝てましたからね。フリーコヴの戦闘力は私達の戦隊では、他の艦を圧倒しています。」
ソバーシュは緑茶を飲みながらいった。
「アブリアルのお姫様の力かしら。いえ、違うわね。先任砲術士のシュリル前衛翔士……・『黄金眼の天才児』とは、よくいったものね。あきれて、何も言えないくらいの強さだわ」本当に困った風に話すアストリュア
「そうですね。さすが、星界軍の飛翔科修技館で歴史上最高の成績を出した翔士です。でも、ここまで、すごいとは思いませんでしたよ。それで、司令の悩みはわかります。これだけ、戦力に差がある艦があると、統一した指揮をとっても有効かどうか、悩むということでしょう」
穏やかに答えるソバーシュ
「それで、あなたの意見を聞きたいの?フリーコヴの戦闘力を生かした戦術にすべきか従来どおり、他と変らない戦術にすべきかどう思う?」
ようやく、昼食のパンを口にははさむアトスリュア
「私の意見は、別に普通どおりあつかえば、いいと思います。そもそも、できたばかりのこの戦隊で特別の戦術といわれても、考える方も面倒ですし、それに、アブリアル副百翔長の艦ばかり、えこひいきしても、他の艦長にしめしがつかないでしょう。さらに、そんなことは、あの艦長が望まないでしょうね。」建設的な意見を言うソバーシュ
「もっともな意見ね。私もそう思うわ。やはり、普通に指揮しましょう。でも、こんな優秀ならさっさと、私を追い抜いて欲しいわ。でないと、砂袋の名前をまた、考えないといけないわ。それに、それを何度も活用しなければいけないようになりそうね」
結論を決めるアトスリュアだった。
「ところで、アトスリュア司令、その『黄金眼の天才児』のシュリル前衛翔士ですが、彼女の影響でちょっと、面白い状況が起きています。まったく、こんなことなら、あの艦を旗艦にしても良かったかなと思います。」面白そうに微笑むソバーシュ
「どういうこと?聞かせて欲しいわね。あなたがそういって、つまんないことは、ほとんどなかったから。」アトスリュアも興味を持つ。
「実は言うと、フリーコヴの通信士のイリュス前衛翔士は、私の交易時代の仲間で、彼から色々と聞いているのです。私が人事推薦したときの理由が彼の悪癖によるものだけど、それが早速、活躍しているみたいです。」もったいぶるソバーシュ
「悪癖って何?それが、シュリル前衛翔士と関係あるの?」じれるアトスリュア
「ええ、彼の悪癖は人の恋路に口を出すというものです。それで、シュリル前衛翔士はどうやら、リン主計前衛翔士に惚れているみたいです。しかも……あのエクリュア十翔長も参戦したという情報もあります。」本当に楽しげなソバーシュ
「なんと……。それは、観客にとっては、かっこうの見世物ね。あら、そんなことをいったら、王女殿下とハイド伯爵閣下に失礼か。不敬罪ものね。」といいながらも、楽しそうにするアトスリュア
「まぁ、今のところのリン主計前衛翔士の相談役をイリュス前衛翔士が積極的に行っているので、かなりの情報が入ってきます。殺伐とした戦場にもこういう話題も無いと人生面白くないですからね。」
「そうね。私もそう思うわ。それにしても、ハイド伯爵閣下はもてるのね。意外だったわ。あのおとなしそうな青年がもてるとは、思わなかったわ。」考え込むアトスリュア
「まぁ、それは人それぞれの好みなんでしょうが、彼はアーヴにはいないタイプの男ですからね。基本的にアーヴは、男でも女でも自己主張は激しいですから、そんな中、彼みたいなタイプがいると、光るのでしょうね。」ジントを分析するソバーシュ
「そうなの?でも、アブリアルの姫君に星界軍一の天才翔士に無口なスピード狂の争いか。まったく、楽しませてくれるわね。でも、ソバーシュ先任参謀、それだけで、この話題をふったのではなないでしょう?他にも何か話したいことがあるのではないの。」ソバーシュの考えを見ぬくアトスリュア
「ええ、そうです。さすが、司令ですね。それで、そのアブリアル副百翔長とシュリル前衛翔士が話し合いをしていて、それにリン主計前衛翔士が参加して、正確には参加させられたのですが、そこで、襲撃艦を使った画期的な戦術について話し合ったみたいです。」ソイ・アーサを優雅にのみならいうソバーシュ
「ほう、それは、興味深いわね。それで、結論はでたの?」
「ええ、まぁ、実際提案したのは、シュリル前衛翔士だったみたいですけど、その戦術はアブリアル副百翔長も賞賛していて、今度の戦隊会議で提案するみたいです。」
「なるほどね。私達が考えなければならないことをすでに、考え付いていたのね。あの二人は、これは、思ったより、早く、王女殿下の上司という役割から抜け出しそうだわ。もっとも、その戦術を見てから決まるでしょうけどね。」嬉しそうに言うアトスリュア
その後、シュリル前衛翔士が考えて、アブリアル副百翔長の名前でだされた戦術は、対巡察艦用の戦術としては、画期的なものになった。襲撃艦と巡察艦の数が同じなら、襲撃艦が勝てる。しかも数が多ければ多いほど、その圧倒の度合いが高くなるというものだった。
それを、各訓練場所で実際に模擬訓練を試してみても、効果は絶大であることがわかった。
次の作戦で、軍令本部は、正式にこの戦術をとりいれることになった。戦術名は、発案者の二人が乗っていた艦の名前からとり、『フリーコヴの舞い』といわれるようになった。
戦隊会議が終わった後で、ダクルーの酒場にアトスリュアとソバーシュはいた。
「戦隊会議で、戦術説明のためにシュリル前衛翔士を初めて、見たけど、思ったより普通ね。もっと、傲慢そうだと思っていたわ。あれだけの才能があるのだから。」彼女の第一印象を語るアトスリュア
「それについては、リン主計前衛翔士から、話を聞いています。彼の兄がシュリル前衛翔士以上にすごい人物みたいです。その兄と比べているため、奢ることはないといっていました。」何かを知っている風に話すソバーシュ
「なるほどね。彼女の兄というのがきになるわね。その人のデータはあるの?」気になるのであえて聞くアトスリュア
「ええ、一応あります。でも、彼の履歴を見ても、あまり、参考にならないですよ。主計科翔士ですしね。どうやら、実力はあっても、戦争にはそれほど前向きではないみたいです。今は軍令本部で勤務しています。」そういって、クリューノからデータをソバーシュは、アトスリュアに送った。
アトスリュアは、その履歴を一瞥した後、結論を出した。
「平凡ね。まぁ、主計科翔士になる時点で星界軍で実力を示そうという気はないのでしょう。やる気のない人間は、戦場にはあまり必要無いわ。まして、私の戦隊にはね。」少し皮肉を込めてアトスリュアは言った。
「ところで、今回のことで王女殿下が、皇帝の玉座への道に大きな一歩を歩んだのは、確かですね。次の作戦でこの戦術が大きな有効策と実証されれば、かなりの勢いで出世するでしょう。さらに、彼女には『黄金眼の天才児』という強力な部下を手に入れたとも、評価されます。」冷静に分析するソバーシュ
「そうね。次の作戦で実証されれば、軍令本部、いえ、上皇会議が示した新艦種である襲撃艦を主力に担えるという試験を完全にクリアしたも同然、それだけでなく、その案を出すほどとびきり優秀な翔士を手に入れたということを認めさせるわね。」ちょっと、困った風に話すアトスリュア
「アトスリュア司令、どうしたのですか?なんだか、困っているみたいですね。これで、殿下には、さっさと出世してもらって、上司から解放される可能性が高まったと思いますけど、それがご不満でもあるのですか?」ソバーシュ
「まぁね。シュリル前衛翔士のおかげで、その可能性も高まったけど、パリューニュ子爵殿下がこのまま行けば、翡翠の玉座に行く可能性の方がもっと、高まったのが困るのよ。私が、皇帝の息のかかった部下なんて言う役割なんて、あまり望んでいないわ。あの所領だけでも荷が重いのに。」愚痴をこぼすアトスリュア
「となると、私もその役目を負わされるということですか、光栄とは思えないのですか?私は素直に思います。」といいながらも含み笑いをするソバーシュ
「あなたは、気楽でいいわね。けっこう、そう言うところ好きよ。ところで、今度の休暇時間に、あなたもちょっと、つきあってよ。」何か悪巧みをした風に笑顔を向けるアトスリュア
「はい、わかりました。でも、何を付き合うのですか?男爵閣下の趣味の楽しみに私が楽しませるとは思いませんが。」とアトスリュアの意図をなんとなく見ぬくソバーシュ
「いいえ、たぶん、楽しませてもらうわ。それと、場所はそれまでの秘密にしましょう。」
そういって、アトスリュアは去っていった。
一人残されたソバーシュはつぶやいた。
「あの男爵閣下の趣味はどんなものかな。かなりの悪癖なら面白いだろうな」
内心はわくわくしているソバーシュだった。
アトスリュアが示した場所へ行くと、そこは、無重力状態における白兵戦闘訓練用の区画にたどりついた。球体の網でできた中心にアトスリュアは浮いていた。
「どうしたのですか?アトスリュア司令、その持っている指揮丈みたいなものは何ですか?」興味深く眺めるソバーシュ
「これは、競技丈よ。ソバーシュ先任参謀の分もあるわ。ところで、あなた知っている?無重力剣術という競技を?」
「無重力剣術ですか、まぁ、聞いたことはありますけど、もしかして、それを私とやりたいのですか?あまり、野蛮なことはしたくないのですけどね。」そういいながら、アストリュアの悪癖を見つけたと思い、ほくそ笑むソバーシュ
「あら、野蛮ではないわよ。れっきとした競技よ。私は、以前、ペルポウコスという運動競技に熱中していてね。その競技は、競技丈をつかったものだったのけど、そのとき、相手を叩き落すという役目が私にはとても卓越していて、ペルポウスの私の師匠に無重力剣術の方に素養があると言われたの。それで、やってみたら、かなり上達してね。見事にはまったの。こうみえても、ラクファカールの大会では3連覇しているのよ。」と自信に満ちた笑みを見せるアトスリュア
ペルポウコスとは、アーヴの伝統的な運動競技では人工翼と球と指揮丈を使う競技で、簡単には人工翼と競技丈を使い、飛翔しながら相手の陣地に球を撃ちこむというのが簡単なルールである。そのときに8人チームで行うのだが、競技丈で相手の肉体に対する攻撃が認められていた。アトスリュアは、そのときに相手を打ち負かして、落下させて、失格に追いこむ役目がもっとも得意であった。
「そうですか、なら、その相手を私にということなのでしょうけど、司令の相手をつとめるほど、その競技を修練しているわけではありませんし、他の方に頼んではいかがですか?」丁寧に断ろうとするソバーシュ
「その言いかただと、かなり謙遜しているわね。こう見えても私は多少、人を見る目はあるわよ。ソバーシュ先任参謀。あなたは、かなりの腕のはずよ。とにかく、これは、命令よ。私の相手をしなさい。」
「命令ならしかたないですね。では、ルールの説明をお願いします。」知っているがあえて聞くソバーシュ
「あら、知っていると思ったけど…。まぁ、いいわ。無重力剣術のルールを説明するわ。あなた、与圧兜をまず着用して、それに、この判定ステッカーを手と胸と腹と頭の背中などの数カ所の部分にはって、ここを叩けば、ポイントになるの。一本勝負よ。ちなみに競技丈以外で触れても無効。時間は無制限よ。いいわね。」
「はい、わかりました。相手をします。」不敵な笑みを浮かべるソバーシュ
「言っておくけど、本気でかかってきなさい。これも命令よ。」
「はぁ、わかりました。では、行きますね」
無重力剣術…アーヴの伝統的な運動競技の中で最も、広く盛んなものの一つである。その理由の一つは、無重力状態の中で戦闘種族としてのささやかな刺激を体一つで体験できるという手軽さがあり、他の武器、あるいは、素手をつかった競技では優雅さから欠けるという風潮がアーヴの中ではあった。そして、その競技場は無重力庭園に直径800ダージュの金網の球体の中で最初は、球の淵に正対して指揮丈を構えてからはじめるものだった。
金網の淵を足であるいは、腕で巧みに方向転換しながら、相手とすれ違う瞬間に、判定ステッカーの部分に競技丈をあてるというのが、勝利の条件だった。
「さて、はじめるわよ。あなたの方が経験ないと思うから、そっちからしかけていいわよ。」アトスリュアは、そう言いながら整然と中段にゆっくり構えて、片足を金網の側面においていた。いつでも、迎撃できる態勢においていた。
「では、行きます。」
ソバーシュは、そういいながらも、金網を両足で蹴り上げ、猛スピードでアトスリュアへ突進した。
その様子を見たとき、アトスリュアは、心の中で舌打ちをした。ソバーシュは素人ということを感じたのであった。もし、ある程度の無重力剣術の経験があれば、自分からしかけるより、相手にしかけさせて、迎撃する方がはるかに有利だということは、わかることであった。それを試すためにも挑発する発言をしたのだのだが、ソバーシュをアトスリュアは買かぶりすぎたと感じたのであった。
アトスリュアそう判断したとき、驚くべきことが起きた。
「何、回転している。まるで、弾丸のように。」
ソバーシュは、ただ、単に真っ直ぐアトスリュアに向かったのではなく、途中で両腕を使い、自らの体を回転させたのであった。そんな戦い方をする相手には彼女は一度もあったことはなかった。その回転のスピードはすさまじく、彼女の空識覚でも判定ステッカーの場所を判別することはできなかった。
「ち、とにかく、よけるしかないわね。(たぶん、こっちの金網にぶつかる瞬間にとまるはず。そこを狙えば)」そういって、金網をアトスリュアは軽く蹴って、その場所を離れた。
そして、ソバーシュが金網へぶつかる瞬間を見定めて、金網を蹴り上げ、突進した。
「これで、終わりよ。」
アトスリュアにとっては、最高のタイミングと速さで渾身の一撃を繰り出した。
しかし、ソバーシュは、それを後ろむきのままあっさりと受け止めると、それを振り払った瞬間、アトスリュアに三点突きを行った。もし、彼女が上級者程度のレベルであったならば、この時点でまけていたほどの疾風の突きだった。
「…危なかったわ。あそこから、反撃するなんてやるわね。ソバーシュ先任参謀」そういいながらも、突きを受け止めた後で間合いをアトスリュアは計った。
「司令こそ、よく、私の連続攻撃をかわしましたね。驚きました。さすがです。」
そういって、ソバーシュは、また回転して突進しようとした。
「させないわ。」
アトスリュアは、その戦法をやられると不利と感じて、急接近をはかり、ソバーシュに対して猛攻をしかけた。
しかし、その攻撃をソバーシュは楽々と受け止めて、電光石火の突きを次々と反撃として繰り出していた。アトスリュアもなんとか、その攻撃を凌いでは、再び攻撃をするという攻防を休まず続けた。
その猛攻は3分間続けたが、ソバーシュに一撃を与えるどころか、触れることさえできなかった。
「(…なんて、強いの。私の攻撃がこうもあっさりと、防がれるなんて。しかも、私はこんなに汗をかいて、息を乱しているのに彼は顔色一つ変えていないわ。)」
ソバーシュに実力をあらためて、アトスリュアは実感した。
「司令、そろそろ、やめましょうか。賢明なあなたなら、わかると思いますが、私の勝ちは、ゆるぎないですよ。」穏やかな笑みを浮かべるソバーシュ
「そうね。でも、いったはずよ。ソバーシュ先任参謀…いえ。ソバーシュ・ウェフ=ドール・ユース、本気になりなさいと。もし、ならなかったら、私・アトスリュア・スーニュ=アトス・フェブダーシュ男爵・ロイの誇りに対する侮辱だと受け取るわ。」
アトスリュアは、そういって、体を低く構え、競技丈を突き出すような構えをとった。彼女のこれまでの無重力剣術の数々の輝かしい勝利を培ってきた一撃必殺の構えだった。
アトスリュアが自分で考えて、名づけた。
「くらいなさい。『真空プラズマ突きぃぃぃーー』」
ソバーシュにこれまでにないほどの猛スピードでアストリュアは向かった。
それをソバーシュは一瞥すると、右手上段の構えをゆっくりととった。
一人は動、もう一人は静で交差した瞬間、バキーンという音が響き渡った。
アトスリュアの与圧兜が真っ二つに割れていた。そのあまりの衝撃に彼女も気絶してしまった。
「ふー、司令、強かったですよ。だから、私がこの一撃を出さなければならなかった。」
ソバーシュは、割れた与圧兜を片付けて、アトスリュアを背中に背負うと、自分たちの艦<クレスコーヴ>の医療室まで運んでいった。
医療室
「う…。うん?あれ、ここはどこなの?」そういって、ベッドから起きるとあたりを見まわすアトスリュア
「司令、お目覚めでしたか。ここは、私達の艦の医務室です。どうやら、怪我はないみたいなので、安心して良いですよ。それにしても、すいませんでした。司令のあの一撃の気合で思わず本気を出してしまって、与圧兜を割ってしまいました。」困った風に言うソバーシュ
「与圧兜が割れたの?だから、本能的に危機感がでて気絶したみたいね。それにしても、最後の一撃はすごかった。死ぬかと思ったわ。もう、あなたとは、戦わないわ。負けるのは、こりごりよ。それに、試してわかったからね。」と本当に嬉しそうな笑みを浮かべるアトスリュア
「何をですか?アトスリュア司令」
「それは、秘密。砂袋の名前くらいの重大な秘密よ。そう簡単に教えるわけにはいかないわ。まぁ、そのうち、わかるかもしれないけど、今は、最重要軍事機密よ。」悪戯っ子の笑みを浮かべるアトスリュア
「まぁ、いいでしょう。とにかく、落ちついたら教えてください。あとで、艦橋に呼びますから。」
「ええ、わかったわ。体に異常ないみたいだから、自室で休むわ」
そういって、アトスリュアは司令官室へ、戻っていった。
アトスリュアは、自室へ帰って早々にいつもつけている日記の吹きこみをはじめた。
題名は『フェブダーシュの淑女の日々』というものであった。
帝国暦958年・ロースク月・10日
【今日は私にとって、運命の日、やっと、探し当てた。いえ、試験を通りぬけたと言った方が正解かもね。とにかく、遺伝子提供者にしてほしい有力な人を見つけた。その人の名は、ソバーシュ・ウェフ=ドール・ユース。
今は、私の直接の部下だけど、優秀さは、私でも言うことがないくらいいわ。
まぁ、文学的表現を考慮すると私の白馬の王子様が見つかったのかしら。
いえ、違うわね。私は一応、所領のある姫の立場かもしれないけど、彼は根っからの交易商人で身分も私より下だし、年齢もかなりよね。
じゃぁ、こういうのがいいかもしれないわ。私を破りし、強きもの。うん、しっくりくるわね。そして、無重力剣術で私を圧倒した強さは本物、私の定めた基準に唯一、クリアしたものともいえるわね。まぁ、あとは、彼が私の愛を受け入れてくれるか、それが問題だけど、今後の課題にするわ。
さてと、今日という日に乾杯!彼との愛の日へ向けて、挑戦よ!】
普段は、全く他人に見せることのない情熱的な瞳でアトスリュアは、日記を吹きこみ、彼女は決意していた。ソバーシュの想人になろうということを。
後にソバーシュは、どうして、あの戦いに勝ったのだろうと後悔することになるのであった。
<完>