「行きなりどうした。」
もう50話なんだなと思うと涙が···出てない!?
「出てないのかよ」
まぁ感慨深いものを感じている私ですが今回は記念と言われてもなにもしません。ってへ
「...もう突っ込まないぞ」
あら残念。では本編をどうぞ
黒の着物は目的の為なら手段を選ばない。昔からそうであった。枝魔の件であっても古代から運命を設定し操作していた。今回はそんな黒の着物のお話としよう。
ここはとっくにつぶれた廃墟。多分外来人が住んでいたが居なくなったのだろう。理由など考える意味などないのだ。誰も住まなくなった建物は自然の猛威をもろに受ける。床は腐り抜け、土地も枯れ果て挙げ句壁であっても大きな穴が空いていた。特にここに黒の着物が住んでいるとは言わないがある目的でここを訪れた。
「うんあったあった。」
黒の着物は小さい箱を見つける。その箱からは異臭が漂い、並の常人では近づくことすら嫌がるだろう。
小さく箱に入れられていたのは洗いもせず赤く血が付いた我狼の爪である。それを見つめ興奮を覚える黒の着物。それを静かに眺めている。理由ならある。それはこの爪は彰との戦闘を表していたから、つまり皮膚片だ。
「この爪が彰様の肩、足、腕を抉っていたと思うと...」
そしてこのコレクションにもうひとつ加わっていく。
枝魔の片腕。彰の能力の我狼を使ったせいでひしゃげている。もちろんこれにも彰の皮膚片が。しかしそれだけではない。
「彰様がこの娘に与えた愛を感じる。もっと感じていたいわ。」
ぎゅっと抱き締め見た目は壊れた人形でしかないが黒の着物にとってこれらは特別であった。
舐めたい衝動に駆られたがすぐ他のものもとってしまうことに気がついた。
「こんな汚れた我...狼だっけ?の爪など舐める気など起きないわ。」
次は何しようか何を使って彰様をと考えていると一人の青年を見つける。黒の着物はニヤッとにやついた。その青年に近付いていく。
「何を探しているの?」
「うわっ!ああ、なんだ人間か。君はここらに住んでいるのか?」
「質問はこっちがしているのだけど?」
ただならぬ雰囲気に気づき青年は質問に答える。
「ああ、悪い。俺は人里の者なんだが最近は異変とやらで物騒になってな。だから修行をしてみようと思った次第だ。」
「ふぅんそう。探してた訳じゃ無いんだ。っで強くなる目処でもたった?」
「いや、この通りてんで見当も付かないよ。」
青年が肩をすくめるところを見て黒の着物はもう一度ニヤッとにやついた。
「じゃあ力を与えましょうか?」
その言葉に青年は鳩が豆鉄砲でも食らったかのような顔をして
「本当か!?」
ええ、と黒の着物は答える。そして邪悪に黒くある玉を目の前まで差し出す。
「これは貴方に何らかの力を与える宝玉みたいなもの触るとそっちに移るわ。」
と言う辺りで青年は手を伸ばす。咄嗟に黒の着物は言う。
「では問いましょう。貴方のその欲望を...」
「俺は里を救いたい。どんな苦労だろうと耐えて見せるだから俺の望みを叶える力をくれ」
玉がそれに反応する化のように赤黒く微かに輝いている。
「百点満点の欲望ね。良いわ。触れなさい。」
青年は触れる。一体誰かも知れぬ輩に、力を求めた、しかし拒むことなど時間がさせない。青年は里を救う一心で玉に触れる。それは触れたとたん割れ光が青年を包む。
「貴方の力を求める欲望をこの身でじっくり味わったから、まぁ力については開花するまで待ちなさい。じゃあ」
この場を去ろうとする黒の着物に青年は
「ありがとう!」
と感謝を言葉にしていた。
「精々力に見合う男になりなさい。」
(それにしても私も酔狂なものね。敵に成るかもしれない青年に力を与えるなど)
クスクスと含み笑いをするつもりが少し空気が漏れる。
「あー愉快だ!あらゆるすべてが否定と肯定を繰り返し真実を見つけようと必死になる!」
(まぁあの力は願いに合わないわね。だって)
「妖怪である程度の能力とかね...変ね!未来が見えるわ。あの青年が人々に疎まれ寂しくなる不幸が...そうね。その時はまた遊んであげましょう。妖怪である青年さん。」
無情にもその未来通りにことを運ぶ。運命も未来も世の中だって非情で残酷だ。この青年もすぐ知ることになるだろう。
人間の復興への力は強大だ。しかし数々の疲弊で里の人間もまた疲弊しつつある。そんな状況で彼女は何を見つめるのか。
次回
里に悟い誘われて