東方幾能録   作:arnehe

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管理するもの

倉持邸

 

騒動が始まる前のこと、紫が訊いためいの昔の話ご主人のためならば人格すら殺す、そんな彼女が里のほうへと向かったことに紫は少し焦りを隠せていないが...。

 

(藍ならどうにかするでしょう。)

 

と、結局気にすることをやめる。そして、口を開き今後について話し合う。

 

「こないだの異変のことだけど...いや、何でもないわ。今後の人間との付き合い方だけどあなたって基本的に人間に無関心だったわよね?人間であるはずなのに。」

 

異変の話をするのをやめたのは、彰が忘れているから。めいがご主人様のためにと記憶を改竄した結果である。その結果、彰は異変の時間分咽かに本を読んでいることになっている。因みにほかの従者たちはそれを容認している。現にセレスに聞いてみると

 

「あの異変についてご主人の為おもうのなら本当のことを言うのはやめてね。あの時のご主人の心、泣いてたから。」

 

と、物凄く悲愴的な目をしていたためそれ以上言及出来なかった。彰が泣いているではなく()が泣いているなどとなぜわかるのか?疑問に思ったが、それよりも彰がどうしてこのような従者に内面全てを管理させているのか?こちらのほうがありえないことなのだ。

人間は脆い、この点において妖怪の種類が一つの理由となるだろう。実際、相手の心を読む妖怪もいるくらいだ。基本的それを人間は嫌う。しかし目の前の彰という男はそんなことなど気にせず平然と緑茶を啜っている。こんなことあってはならない。前に聞いた彰の自称能力を操る程度の能力とかもそうだ。そんな能力を持っているにもかかわらず生物特有の万能感を彰は抱いていない。こんなにも異質感を紫は彰に感じているのだ。実質、紫は彰と過ごした時間はわずかしかない。館はよく移動してるし見つけても強固な結界がそれを阻む。本当は関わりたくもないのではないか。そんな考えが頭によぎる。不安が広がっていくにつれ彰に任せていていいのだろうか、愛する幻想郷が崩壊するのではないかと頼んだのは自分のほうなのに思ってしまうのだ。だから...。

 

「管理人代理の任を解かせくれる?」

 

そう今の不安の解消のために言うしかなかった。異質な理由で解任したのを紫は悪く思っていない。そのくらい彰に向ける笑顔の裏に影が見えていることだろう。そしてそれを能力で理解力を上げて察したのだろう彰はそれを多分分かっていた記憶の欠如のことも紫の不安もだから微笑んでいた。誰を咎めることもせず、ただじっと紫の目を見て。

 

解任を告げた後もう来ることなど最後であろう館を見る。巨大で立派それに尽きる。心で分かっていても拭えなかった。もういいだろうと視点を下げ隙間に入ろうとしたとき、ひとつ気になるところを発見した。それは土の色が少し違うところ。最後に何をしているのだと自分の好奇心に自嘲気味に思いながら掘り返す。あったのは巻物昔のものであろう、文字が読めなかった。ただひとつ好奇心をくすぐられたことがあったため持ち帰る。それは昔のものなのに何かに守られて破れたり分解されたりがなかったこともだが一番は今も書き続けられていること。つまり著者生きているのだ。読むことはできないがいずれ解読することにして今度こそ帰っていった。

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