煤けた心を奥に秘め貴方は私を見つめてきます。そこにあなたはいないと言われている気がして思わず身震いしてしまいました。たとえあなたにとって必要がなくとも、そばにいさせてくれるあなたを私は愛しています。大好きなのです。優しさがあなたから滲んでいるのではないかと思わせる素の表情。だから私はあなたについていきたいと、そう思ったのです。
私が生まれたときすぐ横にセレス、近くにご主人様と、きみ、めいがこちらをのぞき込んでいました。私はあの時見たのです。ご主人様が泣いておられました。そしてそっと
「ごめん...ごめんな。」
この時の私はどうして泣いておられるのかわかりませんでした。ただ、あの時の泣き顔を永遠に見たくないと、そう思ったのです。ひとしきり泣いた後のこと、ご主人様は私達二人に名前を授けてくださいました。
「うーん。そうだなぁ。君の名前はくおだ。なんだそれというような顔をしているな。きみやめいもそうだが、お前たちは本当に似ているな。いや、こちらの話だ。気にしなくていいし説明していないもんな謝らなくていいよ。」
ご主人様は咄嗟に顔に出してしまった私を咎めようとはせずに名前の説明をしてくださいました。
その時の後ろに控える二人はすごい喧騒を今にも発しそうにしていました。
「くおという言葉には、まぁ、元は久遠というところからきている。意味は遠い過去という意味だ。だけど、くおんという”ん”というところが俺は気に入らなかった。んが終わらせている気がするんだ。過去は過去それは間違いないだけど俺はそれだけにとどめたくない。だからくお、過去を過去というだけに終わらせない、そんな存在でいてほしい。」
「ご主人様」
「ご主人様私の時より心がこもってたりするんじゃない?」
「な、何をいうんだ。そ、そんなわけないだろう?」
めいの言い分はもっともです。しょうがないですよ。だって私は彼の方に頼りにされているのだから!!
ああ、この方はなんてお優しい、花畑にいくら同じ花があろうとこの方だけは私の心を揺さぶるのです。
私の仕事は今の所は無くて周りの方々に聞いて勝手に手伝って居ました。私の生い立ちをこの三人しか知らないとは言えきみ、めいは同じように作ったため周りとは違って年齢が変わることも身長も変わらないようです。
私が生まれたわけを誰も教えてくれません。きみに聞くと
「そんなの自分で考えなきゃ。」
めいに聞くと
「何もしないのであれば私はあなたを殺します。だってご主人様の役に立たない子など要りませんから。」
二人とも表情がわからないくらいご主人様以外のことになると無表情をして居て少し恐怖も感じて居ました。しかし、私は分かったのです。二人の言葉から私はご主人様のために、ご主人様の役に立つために生まれて来たのだと。その時から考えました。私の力は防御力を操る程度の能力、唯一の防御に特化した能力それならばご主人様の身の回りの警護を担当したい。そう申したところ、二人に反対されました。曰く、私たちがいればそんなこと関係ないらしく私は落胆して居たのですがご主人様は
「良いんじゃないか?お前達もやる気になっているのはわかるがそれぞれの担当もあるだろうし忙しいさ。それに今の俺はなんの取り柄がないからね。それでいいか?」
ご主人様の愛を感じました。単純だと思いますか?確かにそうなのかもしれません。でも一歩遅ければ私は殺されて居ました。ご主人様が居なければ私の頭は無くなって居たでしょう。まぁ私の防御には無意味ですが。なのでご主人様は命の恩人なのです。押し付けがましいでしょうか?いかれてる?狂ってても良いんです。ただあなた様のそばにいるだけでそれだけでいいんです。だからこの時からきみ、めいに敵対しました。もちろん内側でですよ。ご主人様に迷惑かけられませんし。
不敵に笑い合う状況をご主人様は
「もう仲良くなったか。やはり姉妹だな。」
気づくことはもう無いでしょう。さぁ戦争です。
この頃からご主人様の守る盾となること。
これが私の存在理由でした。