折角だし人里にめいを迎えに行こうか。と彰は提案をして歩いてそこへいくことにした。記憶を消し今現状を知らない彰にとっては何気ない一言なのである。
「…どうやら何かあったようだよご主人。」
セレスがそう言って人里の方だと思われる方を指差す。
こちらに飛んでくるものが一つ。小さい何かは次第に大きくなっていく。しかし彰は特に何を思うわけでもなく。
「うーん。めんどくさいから。セレス任せた!」
「えー!そりゃないよご主人!」
「はは、後で報告よろしく。」
そう言って彰らは先を急ぐ。先ほどの事など一切覚えていないようである。
「もう、ご主人ったら。人使い荒いよ。」
と言いつつニヤケているのは何故だろうか。こうしてセレスは団体から離れ飛んで行った女性へと向かう。
先ほどの戦いを観察していためいはある気配に気づく。彰の気配だ。
さっきのことでなんとも近寄り難く感じてしまう。そもそも戦闘に参加しない理由はいくつかある。一つ目は管理人代理の務めとしては行き過ぎるから。二つ目相手が人間の可能性が高いから。最後三つ目、めんどくさい。
若干最後が理由になっていないがこの際しょうがないと割り切ろう。それに弾幕ごっこなのか違うのかの判断ができないと言うのもある。だから今回は仕方なく彰に指示を仰ぐ必要があると判断するのである。
「…めい来たか。」
「は!先ほどは私も子供でありました。それでは状況説明を「ん?何かあったっけ?」」
一瞬惚けるめいだがすぐに察して落ち着きを取り戻し状況説明始める。
「ふーん、で?どっちの方がメリットあると思う?」
「と言われましても、明らかに人里方がよろしいかと…。」
と言うのは先ほどは直球で帰って来たばかりのセレスだった。
「意思疎通のない妖怪など助けても何一ついいことなんてありませんし、そもそも交渉すらできませんよ。」
「うん。そうだね。それに買い物できないのも良くないかも。あっそうそう」
と妖怪を一瞥し後付けのように一つ質問をする。
「くお。折角だ。解いてごらん。守るってなんだろうね?」
突然言われたくおは一歩遅れて即座に結論を出す。
「双方が納得する、契約への衝動的理由の一種です。」
「なるほど、と言うことは君は私との契約だと、そう認識しているのか。」
周りの他の従者はしてやったりとクスクスと笑い出す。
「じゃあ一つ言おうか。契約には双方の信用がないとそもそも成立しないしその信用は与え失わなければならないと言うことだ。」
そこでくおはハッとする。何故わからなかったのかと近くにいても気づかなかった。くおは何も失いも与えもしていない。私はやはりそこまで至れないようだとくおは思った。
「くおが考える答えとは合致しないように思うが?」
くおはガタガタ震え出す。怒らしたからとかの恐れではない。その震えはしなくてはならない責任だった。
「だが、お前の答えは少し急かしすぎだ。自分にさえ自信がないくせに言葉を発するな!」
びくっと言葉に呼応して肩が震える。
「だから、俺は待ってるから。いつでも待ってるから。だから俺を安心させてくれ。」
と泣きそうな顔をされる。くおは自害しようとするのを思い止まった。いましても彰の感情のなんの足しにもならないからと考えたからだ。
「は、必ずや。」
恭しく頭を下げる。他の従者はなんだこの茶番はとくおを軽蔑していた。
「あの哀れな知り合いをじゃあ助けに行くかね。くお、神力少しだけ分けて」
「わかりました。」
ここで助けると言ったのはわざとだ。助けると守るは似ているが決定的に違うところがある。それを認識できなかったくおにはちょうどいいものである。
めいは明らかに空気と化しているきみに聴く。
「あの、空気になってるところ悪いけど、ご主人様はまさか…」
「ああ、本を燃やしたよ。後あたいは空気じゃないよ!」
「照れなくていいのにー」
「照れてねーよ!」
この軽いやりとりの裏では
「ニヤリ」
めいは心の中でほくそ笑んだ。それはまるで己の欲望を満たせると思った。そんな顔であった。