東方幾能録   作:arnehe

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守護の都〜上巻〜4

これはどこの誰が始めたのかはわからないが賭けが今人々の間に跋扈していた。内容は最近また盛り返して来た宗教家の方々の勢力の話である。しかし、この賭けに参加するのは人ではない。

 

妖怪である。

 

「っで、どう思う?」

 

「俺は希望で言えば守矢神社に勝ってほしいな。」

 

この妖怪が言うにはその神社はあくまで信仰心をほしいだけでそこまで妖怪に言ってこないだろうというもの。

 

「ほ、ほ、ほ、若いのは分かっておらんの。その神社はいずれ味をしめ、さらにこちらに要求をして来るのは必然。ここは命蓮寺の勝った方が夢があるというもの。」

 

人妖共同を目指す命蓮寺は弱い妖怪などに支持が多い。

 

「おいおい、分かってねぇな。ご老人そこは道教の嬢ちゃんたちだろ。一時よりかは物理行使をしなくなって来たし信じられるんじゃねぇか?」

 

「お前それは冗談が過ぎるぜ。それ人間だけの話だし前よりはって結局あまり変わってねぇんだよ。」

 

例え道教が勝ったとするとそのときは全力で殺しに行くのである。いくら妖怪の賢者に説得されても流石に自分達を殺しに来る人間を殺さぬ理由にならない。

 

「じゃ、じゃあ博麗神社は?」

 

「「「「論外。」」」」

 

「はは、なんだよそれ。博麗神社人望ねぇな。」

 

「ちょっといいかしら?」

 

妖怪たちが盛り上がっているところを水を差す黒の着物。

 

「あぁん?オメェは?」

 

「どうもごきげんよう。皆の欲望の体現、黒の着物と言います。」

 

自己紹介を適当に済ますと

 

「あ!お前は!」

 

「おいあいつを知ってるのか?」

 

「お前しらねぇのかよ。あの我狼とともに異変起こした。黒の着物って奴だよ。」

 

「あら?私のこと知ってるのね。」

 

「失敗には終わったが妖怪たちを手引きし天狗の里を壊滅に追い込む。それだけでも驚きものだが何よりもあの我狼がなんだかんだ従っていた事実が驚きさ。」

 

我狼は乱暴な奴ではあったが事実強く妖怪に関してはカリスマはあった言える。どこかの吸血鬼とは違うのだ。

 

「あなた達は平穏が欲しいんでしょ?」

 

その直接な物言いに少々面食らいながらも

「ああ、そうとも言うな。」

 

「そんなの簡単よ。気に入らないなら妨害すればいいのよ。」

 

「いきなり何を言うかと思えば、そんなぶっ飛んだ話が通るわけが無い。」

 

「あら?でもそれだとあなたたちの意思は?貴方達が推しているどの勢力も真に妖怪の事情を理解しているわけないでしょう?貴方達はただ衰退の一途を辿る子羊?いいえ、そうじゃないでしょ?自分の未来は自分にしか見えないのよ。」

 

「……だが俺達にそんな力は。」

 

今の今まで彼らは人間との共存を承諾し、妖怪の賢者にお願いする形でこの世界にいるのである。裏切ることなどできないはずである。それらの意思を変えるには確率論的に勝てる方につかせなくてはならない。幻想郷に来た今、それが彼らの培った処世術なのである。

 

「ん?力の差なんて関係ないわ。貴方達はただの抗議者。なんのためらいがあるの?やり方がわからないなら私が教えてあげるわよ。確実に勝利へと導きましょう。」

 

その言葉に今まで溜め込んでいた不満は爆発したのである。

 

人里

 

「我ら守矢神社をどうぞよろしく。」

 

「私たちを信じることこそ皆への希望となりうるのです。」

 

「妖怪が人間を襲う時代はとうに終わりました。皆さん我々と共に人妖共同の道を目指しませんか?」

 

「今まで私が異変を解決して来たのよ。どれだけ私に信頼があると思ってるの?今まで通り守ってやるわよ。だから少し、いや一銭でもいいからお賽銭を……。」

 

八雲紫の式神、八雲藍が命を受けてこの場にいる。紫は人里の状況を聞きたいようだ。といっても

 

「何をどうしたらこう混沌とした状況を作れるのか。」

 

この馬鹿らしい光景を見た藍は溜息をつき人里の人々を捕まえ状況を説明を聞くことにした。

 

「ああ、それはあれだ。最近あまり平和と言えないだろう?だから宗教があるってだけでいくらか救われる家庭ってのもあるんだろうな。それこそ虚像に縋る程にな。最近は凶作だしなんだかんだこういう祭り事で気分をそらしたいて言うのもあるんだろうな。」

 

前回の異変が未だに後を引いているようだ。前回は人里には主に枝麻の能力、根をはる程度の能力により辺り一帯を魔力で満たすということをし作物に大ダメージを与えた。そのため今皆にまわっている食料は彰が倉庫から手配した。

 

「最近代理さんは来ないのかい?」

 

「はい?彰のことですか?」

 

「確かそんな名前だっけな。ああそうさ、あいつがいくらか飯を恵んでくれたのさ。」

 

(彼をクビにしたことは人里の不信感を煽る形となったのだろうか?)

 

と一人考え込む藍を人里の人はさらに続ける。

 

「それだけじゃねぇさ。本を子供達に恵んだり干ばつをどうするかを慧音先生と話し合っていたしな。本当に困ったときは助けてくれる人だったよ。」

 

「そうだったのですか。」

 

「ああ、そうだ。だから管理人さんに言っといてくれ。ありがとうってな。」

 

「……はい。機会があれば……こちらで言っておきます。」

 

と少し男は優しくそう言うと去っていった。藍はなんとも言えない気分になった。本当に紫様の判断は正しかったのだろうか?彼女にはわからない。人里に感謝される存在をクビにしたと知ったら私たちを今後どういう目で見るのだろうかと。そうしていると背後から声がかかった。

 

「おや?貴女は紫のとこの。」

 

振り返るとそこには人里に先生と呼ばれている上白沢慧音がいた。

 

慧音宅

 

「どうした。そんな浮かない顔をして。」

 

慧音はそう話を切り出した。

 

「いや、こちらの話だ。関係ない。」

 

「そんな顔されたら誰だって何かあったのは察しがつく。私に話してくれ。」

 

藍は少し迷ったが結局話すことにした。

 

「実は……。」

 

「そうか、しかし先生をクビにするなんてお前の上司は見る目がないな。」

 

「先生?」

 

「ああ、幼少の頃世話になってね。それ以来はそう呼んでいる。」

 

「そうなると、私のアプローチも失敗に終わったか。いや、私のは流石に弱い気がしてたが」

 

「慧音は彰のことが好きなのか?」

 

「ぶふ!直球だな。まぁお慕いしております。ってとこかな。先生は不器用で鈍感なところあるけど優しさだけはみんな平等にしようとするんだ。例え自身を殺そうとした相手でもね。」

 

「あの人のことを知っているのか?」

 

そう聴いてきた藍に慧音は周りを確認して静かに一言こういった。

 

「彼のことを知りたいなら古くからいる人たちに聞くんだ。私の時は幼少の頃だったから全ては知らない。だが、私より前あるいは紀元前といえるくらい前からのもの達を訪ねなさい。」

 

「それは、慧音は彼のなにかを知っていると?」

 

そう藍が聴くと慧音はため息をついて

 

「せっかくだ。くれぐれも先生に私が言ったことを言うなよ?」

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