東方幾能録   作:arnehe

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守護の都〜中巻〜10

姿形を変えても同じだと言う者がいる。いや、見えない物でもあるだったか?まぁそこはいいとしてこれらの問題は証明に至ることがなかなか無いのは、よくわかると思う。それにしても、これらの問題が発生したのだってほとんどが不可解な状況を上手く説明するためというのもある。そう、不可解とはその場を簡単に収めることの出来る魔法の言葉である。

 

人里

 

「おいおいこれって。」

 

「詰みってとこかしらね?」

 

魔理沙の静かな問いに霊夢は軽口で答えた。

 

「もしかしてこの後のこと考えてないとかないよな?」

 

「ふっ、当然だろ?無い‼︎(ドヤァ)」

 

事態は数分遡る。

 

「っで?その作戦とは?あっ特攻とかは無しな。命がいくつあっても足らねぇ。」

 

そう、さも当然のように妖怪の四肢を投げ飛ばしながら、きみがいうと魔理沙が

 

「心配するなって。ちゃんと考えてるぜ。じゃあ作戦会議といこうか。」

 

((本当はなにも考えてないのでは?))

 

そう不安がる二人である。しかしそんな不安をつゆ知らず魔理沙は作戦を話すに当たって必要なことを確認しだす。

 

「きみの一撃は……「一回だ。」」

 

「あたいが賭ける一発には純粋な力とは別のエフェクトが付いているようなんでな。」

 

「へぇ?前回は手加減してたんだ?」

 

そう思うのは当然か。前にきみの戦闘を見たのは牙狼の異変出会った。しかし、あの時とは違う点が一つある。

 

「いや、あたい自身も知らなかったくらいなんだがな。」

 

そうそのエフェクトとは前に皆に配った本に書かれていることである。

 

第十五章 解放条件

 

顕現守護者は皆すべからく封印を用いる。ここでの封印は守護指定が受諾することによりロックを解除する。

 

「っで?端的に言うとその効果は?」

 

「自壊だよ。」

 

「?自壊?それはなんだ?」

 

「簡単に言えば力を自然に返すってところか。」

 

魔理沙の疑問にきみは答えた。

 

「じゃあ私達が戦闘を膠着そして本丸までの道をつくるぜ。そして最後に雛に凄いもん一発くらわせるぞ。」

 

「そんなこと……「出来るって。まぁ後は任せたぜ。」

 

そう言って魔理沙は霊夢と一緒に戦場を駆け出した。

 

鍵山雛討伐をするため各々が作戦を伝えに行く。今は仲間割れをしている場合ではない。皆それを判っているのだ。だからであろうか。戦場に光った一線が煌びやかに見えたのは。

 

「恋符 マスタースパーーク!」

 

魔理沙の暴力的に突き抜けるスペルが敵味方の境界がわかるように吹き飛ばす。

 

例え延々と再生する体を持ってしても妖怪どもはその風圧に負けていった。そしてそれでも残っていた妖怪どもに向かって

 

「神霊 夢想封印」

 

「開海 モーゼの奇跡」

 

「法塔 レイディアントトレジャーガン」

 

 

過剰ともいえるその一手は、その力の奔流は意味をなさない。流れは弧を描き厄神の元へ集まりだす。

 

厄とはすなわち不運、わざわい。多量の力を振るい霊夢達の攻撃は妖怪の厄を鍵山雛が貰い受けることで自然と避けれるようになっているのである。

 

そうであるから当然のようにきみの力も分散していく。

 

そして冒頭に状況が戻った。

 

「無策も良いところね。これじゃあ膠着どころか不利になってるわよ。」

 

呆れながらも状況を観察する霊夢はそう皮肉を吐いた。

 

何度攻撃をしても吸収されるのでは意味がない。彼らの戦闘はまだまだ続く。

 

倉持邸

 

客人達と従者が青筋を立てて対峙してソファに座る。その一触即発な雰囲気は彰から見ても危険だとわかるものであった。なお一人は顔を真っ青していたが。

 

今この場にはお客が二人雪崩れ込んできた。一人目は八雲紫の式神、八雲藍。二人目は弱小新聞記者もとい情報弱者の鴉天狗、姫海棠はたて。別の所属であることからそれぞれ別の問題であると思われるが従者の観点から少し狙い澄ました感じがする為(いや、従者にとっては主人との貴重な時間をぶち壊したこの二人は)粛清対象になりつつある。

 

フカフカのソファであるのだがそんなことなど気にすることができないほどピリリとしていた。

 

「して、アポも無しにこの倉持邸の結界を強引に壊したのは万死に値するのですが、粛清して良いですか?御主人様。」

 

「なるほど、紫の式神か。であれば納得かな?……あと、くお殺気が凄いぞ。引っこめろ。」

 

「ほほう、鴉天狗風情がこの館の結界を超えあまつさえ汚い足で踏み入れたと。殺傷してよろしいですか?御主人様?」

 

「なるほどこっちは天魔からの要請か。……めい?優しく接待しなさい。この子泣きそうだ。」

 

否応の無い従者とそれを制す主人とのささやかな攻防が繰り返された。

 

「で?その異変とやらはいつのことなんだい?もう外は真っ暗なんだが?」

 

「はい?」「へ?」

 

当然のことながら時間が狂い始めた今、ここ周辺と外との時間軸がずれているのであるが(前話参照)生憎の彼らがそれを察することはない。しかし、彼女らにはそう映らないようで

 

「な、何で!?」

 

「……しかし!?」

 

そうここにきた頃は丁度三時のおやつをレミリアが食べていた頃であるため驚くのは当然であった。

 

そして何も知らない彰こう言い始める。

 

「はっはっは、幻想郷ってこんなことも普通に起こりうるんだな。」

 

「そんなわけないでしょ!」

 

はたてはそう言いながら彰の胸ぐらを掴みゆらゆらと揺らした。一方藍は窓に張り付いてブツブツと何か言っていた。

 

「俺たちは特にお前らのことは知らないから仕方ないが、そうなって来ると外の人は危ないだろうね。」

 

いち早くパニックから脱した藍が真剣そうに

 

「それは一体どういうことで?」

 

「そ、れは、だな!……」

 

未だにパニックのはたては、めいとくおに連れられて別室へ。どうやら死のマナー講座が始まろうとしているようだ。

 

ようやく解放され、ゴキゴキと首を鳴らしながら彰は

 

「じゃあこちらへどうぞ。」

 

時間、それは一重に超えられない壁と捉えても良い。光速を超えると過去に行くという話があるがそれほど時間とは難しい現象なのである。今回時間軸が地域によって変わって来るという現象が起こっている。その線から見ると地域ごとに違うとは、すなわち光とは別個のものが変化したと考えられる。現代科学では流石に否定されるだろうが、魔法概念のあるこの世界ならば一つの不可解を解決しうるのである。

 

しかしだからといって魔法があれば全て解決……とはならないのは当然だ。イメージで魔法が出来れば時間のイメージなど知りうるはずないのだから。だからこそ彰は館の案内を始める。その先は図書館である。西館までの道のりは先ほどいた客室用の和室が東館にあり、そして裏口から簡単に舗装された庭があるため案外近いと言える。

 

図書館に入ると彰はおもむろに手を上げて能力を行使する。当然彰にとってはすべての蔵書を管理しているめい同様に蔵書の位置がわかっている。そのため本の山を築くのは造作もないことだった。

 

「こ、これは?」

 

その圧巻の光景を目にした二人は聞かずにはいられなかった。まるでもうすでに答えは知っているかのように彰は自信満々にこう答える。

 

「問題解決の最適解かな?」

 

本の山は形を変え新しい形状をかたどる。

 

「一つ目光の速度を超えるもしくはそれに近いものが操作した。しかしそれは机上の空論とも言えるふざけた話だ。」

 

「む?」

 

「二つ目完全なる魔力尚且つそれを操作しうる存在がいる。力の操作は難しいこれだけの規模を一度に操作するのは俺でも不可能だ。」

 

突然始まった彰の談義についていけない藍はただクエスチョンマークを浮かべるだけであった。

 

「そして三つ目 龍脈の不調だ。大地のエネルギーが勘違いを起こしたと言えば聞こえはいいか?実際にそれをするのは……。」

 

「龍脈?いやそれならありえるかもしれん。」

 

龍脈という知っている単語を聞いて藍は小さく呟いた。

 

「どういうことだ?」

 

彰はそれを引き出すように尋ねる。

 

「結界を維持するには流石に紫様や霊夢一人ではなかなか難しい。そこで龍脈、つまりは大きいエネルギーを消費して結界は作り出したはずだ。」

 

「ふむ、一考の余地はある……か。」

 

「だが龍脈の操作なんて普通の妖怪ましてや人間には無理だ。いくらなんでも厄神やそれに連なる妖怪であろうとな。」

 

自分でも無理だという藍の説明に彰は深く熟考した。

 

龍脈、厄神の存在、宗教闘争、時間軸のズレ。それらは全て異変と言える一つの繋がりがある。それは、いつかの我狼の異変に似ている同時進行の構造。特定の人物をおびき寄せる意図そしてどれも決定打に欠ける戦。

 

黒の着物。

 

それが彰の脳に一つの解を導き出した。

 

不可解な証明それは今始まったばかりである。

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