ハイスクールD×D 俺と愉快な神話生物達と偶に神様 作:心太マグナム
『ほう、という事はあの子は聖剣を持つのに必要な因子。それを大量に持っているのか』
タバコを吸いながら確認する夢桐にニャルラトホテプは頷く。
『ええ、私が観測した限りでも定治さんの持つ因子の量は一般の人間とは比べ物になりません。恐らく定治さんに扱えない聖剣はこの世にほぼ存在しないでしょう。もし彼がルールブックを待たず、生まれが何処かの教会だったのなら彼は世界でも、また歴史でも有数の聖剣の担い手になっていた筈です。ま、たらればの話ですがね』
『ああ、まさにその通りだ。あの子はルールブックの担い手で教会の生まれでもない』
『ええ、仰る通りです。それで話を戻しますが何故私がアイツらに接触したのかというとエクスカリバーこそその理由なのです』
先程まで真面目な表情で夢桐に話していたニャルラトホテプだがここでその表情はとても楽しそうな満面の笑みへと変わる。
『彼は我らの主が選んだ主役。主役にはそれに相応しい武器を持つべきではありませんか?だからこそ私はアイツらと接触し、エクスカリバーを間接的に定治さんに渡そうと思ったのです。』
ニャルラトホテプの真の目的、エクスカリバーを定治に渡す事、渡したい理由を聞き、夢桐は短くなってきたタバコとニャルラトホテプの顔を交互に見比べ微かに笑みを浮かべる。
『なるほど、多少は納得した』
『でしょう?『だがお前は二つ程忘れている事がある』ア"ッヅゥゥゥゥイ!?』
そして夢桐から見て若干ムカつく顔になっていたニャルラトホテプの額にまだ燃えているタバコを押し付ける。何百度もあるタバコを押し付けられ絶叫しながら転げ回るニャルラトホテプを見て夢桐は笑いを堪えきれず愉快そうにニヤニヤ笑う。
『なんて事するんですかこのバカ!流石に怒りますよ!?マジギレしますよ!?』
額に残るタバコの熱に悶えながらタバコを揉み消して詰め寄るニャルラトホテプ、しかし夢桐は全く悪びれる様子もなく話を進める。
『まず一つ『無視ですかそうですか!!』あの子は"敵"であるお前が死ぬほど嫌いだ』
"コイツ殺す!!"と思ったニャルラトホテプだったが夢桐の口から衝撃の新事実を聞き思わず固まってしまう。何故なら自分は定治にむしろ好かれてると思ってたから。普段行われる自分への暴力は愛情の裏返しだと思っていたから、
『ーーえ?私嫌われてたんですか!?』
『(コイツあれだけの事しといてなんで嫌われてないと思ってるんだ?)』
夢桐は自身と同格の存在のニャルラトホテプのバカっぷりに一つため息をついてから再度話を進める。
『あくまで"敵"であるお前は、だ。話を進めるぞ二つ目だが私もイースもあの子に剣に対する対応は教えたが剣術自体は教えていない。素人同然のあの子にエクスカリバーを持たせてもあまり意味がないぞ』
『……あ』
夢桐の話を聞き定治が剣術を学んでいない事を思い出し、ニャルラトホテプの表情が固まる。
"やっぱりコイツバカだ"
呆れ返るようにため息をついた後、夢桐は気持ちを切り替え屋上から聖剣を手にした定治を眺める。
『ま、エクスカリバーを受け取る受け取らないはあの子が決める事、見ていようじゃないか。あの子がエクスカリバーをどうするかを、な』
◆
場面は校庭へと戻る。
定治が手にした途端溢れんばかりに光り輝くエクスカリバー、その様子をリアス達は驚愕した様子で眺めていた。
「エ、エクスカリバーがあんなにも輝いて……!あの子まさか!?」
聖剣を扱えるだけの因子を保有しているの!?リアスの中で浮かんだ驚愕と疑問に近くにいたゼノヴィアが頷く。
「ああそうだ。奴もまた天然物の因子の持ち主、しかも見る限り保有している量は恐らく私よりも遥かに多い。とんでもない男がいたものだ」
ゼノヴィアは数日前にファミレスで定治に斬りかかってしまった時の事を思い出す。あの時本気ではなかったとはいえ自分は定治を斬ろうとしていた。しかし実際には定治に白刃取りされてしまい定治自身はは全くの無傷だった。
それが"おかしい"と何故あの時気づかなかったのか。
自身に与えられていたのは破壊の聖剣、白刃取りなんてしようものなら英雄並みの身体能力を持つ人間とは言え多少の被害は出ていた筈。だが定治は無傷だった、あの後それを疑問に思ったゼノヴィアは考えた末にある仮説に至った。
"定治は大量の因子を持っており、それを感知したエクスカリバーが定治を怪我させないようにしたのではないか"という仮説に。
仮説をたてはしたが実際は半信半疑だった。何しろ白刃取りしたけど無傷だったなどという前例がない。だが今確信した。奴は持っていたのだ。聖剣が殺すには惜しむほどの大量の因子を。
しかしゼノヴィアが自らの仮説に確信を持った一方で定治はというと
「ーー気に入らねぇ」
「え?」
『あ、ヤバいよあれ』
『完全に不機嫌な顔してるわね……』
『まさか……』
光り輝くエクスカリバーに苛立ったように眉を顰めていた。
そして小さな声で呟いたセリフに一誠が首を傾げ、ショゴスとユキとミ=ゴが定治が何かやらかすのを確信したその時、定治がエクスカリバーの刀身を校庭に突き刺す。
「身体能力強化、脚部魔力付与」
エクスカリバーを校庭に突き刺したその次に定治は自身の身体能力を上昇させる呪文と頑丈なものでも装甲、結界を貫通し衝撃が行き渡るようにする魔力付与の呪文を唱える。
そしてーーー
「いるかこんなもん」
大地に突き刺した聖剣を蹴りで叩き折った。
「「「えぇぇぇぇぇ!?」」」
『やっぱり……』
『やると思ったわ……』
『相変わらずとんでもない事をする……』
刀身が真っ二つに折れたエクスカリバーを見てリアス達は驚愕した表情を見せる。その一方で"定治ならやりかねない"と思っていたショゴス、ユキ、ミ=ゴは驚く事なくため息をつく。
リアス達の驚きが治らぬ中、定治はまだ虫の居所が悪い様子で折れたエクスカリバーにさらなる蹴撃を浴びせ続ける。
「"貴様こそ我が担い手に相応しい"みたいな感じで上から目線で輝きやがって、ホント気に入らねぇ。武器如きが勝手に俺の武器って決めてんじゃねぇよ」
何度も何度も執拗に蹴撃を与え粉々になってしまったエクスカリバー。粉々になったエクスカリバーを見てようやく怒りが収まったのか定治は粉々になったエクスカリバーに唾を吐き捨てる。
「俺の武器は俺が決める。テメェ如きが決めてんじゃねぇよ駄剣が」
「……ハハ、アハハハハ!!」
定治が唾を吐き捨てると何処からか笑い声が聞こえる。声の方を向いているとそこには涙を流しながら泣いていてる木場の姿が目に入る。
「誰もが憧れた聖剣をたった気に入らないっていう理由だけで叩き折るなんて!ハハハハ!定治くん、やっぱり僕は君と出会えて本当に良かった!」
あんなにも憧れた聖剣、あんなにも憎んだ聖剣。それがあんなにぞんざいな扱いをされるなんて誰が思うだろうか。それも"貴様こそ我が担い手に相応しい"みたいな感じで上から目線で輝いていたからという理不尽極まりない理由で。粉々になった聖剣を見て木場の心に聖剣に対する憎しみが消えていき、むしろ粉々にされた聖剣に対する哀れみが浮かんでくる。こんな気持ちにさせられるとは思わなかった。聖剣への憎しみが消えて一つとても清々しい気分になれた。木場は再度定治と出会えた事に感謝して心から大笑いする。
木場の声に定治は戸惑いながら「お、おう……いきなりそんな事言うなよ……」と照れ隠しに頬を人差し指で掻いていたが木場の後ろに四つん這いの姿勢でコソコソ逃げ出そうとしているバルパーが目に入ると目の色を変える。
『ノフ=ケーさん』
『あいよ』
定治が呼ぶと同時にノフ=ケーがバルパーを取り押さえる。ノフ=ケーの前脚で押さえつけられ、怯えた様子でもがくバルパーに定治はゆっくりと歩み寄っていく。
「まあ待てよクズ野郎」
"ズガンッ!!"
「ヒィィィィィッ!?」
バルパーに歩み寄った定治はバルパーの顔のすぐ横にエクスカリバーを砕いた足をぶつける。砂煙を撒き散らしながら足を引き抜くとそこにはくっきりと定治の足型ができており、お前の頭くらい何時でも潰せると定治は遠回しに警告するとバルパーは怯えきった様子で顔をグチャグチャにする。
「裕斗、コイツ仇なんだろ?どうしたい?お前が決めろ」
定治の声に木場の表情が変わる。確かに聖剣への憎悪は消えた。だがそれとバルパーへの憎悪は別。木場の中に同志の無念、そしてバルパーに対する恨みが膨れ上がる。
「……少しソイツを動かないようにしてもらえるかい定治くん」
「あいよー」
木場は冷酷な表情で定治に頼むと、定治は躊躇無く慣れた手つきでバルパーの四肢の関節を外す。
「ガッ!?ギィヤァァァァ!?」
「四肢の関節外しただけだろ……そんなに騒ぐんじゃねぇようるせぇなぁ」
四肢の関節を外され、あまりの痛さに醜悪な顔で悶え苦しむバルパーに定治は見るに耐えないと言わんばかりに舌打ちを一つする。
「た、助けてくれ!主よ、どうかこの私に憐れみを!どうか!どうか!」
定治の苛立った舌打ちに自らの運命を悟ったバルパーは破門された身でありながら主に祈りを捧げ自らを助けてくれる奇跡を願う。その様は余りにも無様で自分勝手なもの、それを見て定治が笑う。
「アッヒャッヒャッ、教会から破門されてんのに今更神様へお祈りかよ。んー、そうだな。一つ、いい事を教えてやるよ」
無様な様を見せるバルパーを笑う中、定治の中でほんの少しだけ悪意が芽生える。この咽び泣いて祈り助けを乞う"クズ野郎"に絶望を与えたい、というちょっとした悪意が。定治は心の中で芽生えたこの悪意に一切逆らう事なくバルパーの耳元である事を呟く。
「この世にはもう聖書に記された神様はいないらしいぜ。だからお前の祈りは届かない。"主はいませり"ならぬ"主はいません"ってな。もうお前を助けてくれる奴なんて何処にもいねぇ。今更祈った所で遅ぇんだよ」
"Balance Break!!"
「ほら、届かなかっただろ?」
木場の禁手化が終わったのを確認し、定治は悪意を含んだ満面の笑みで呟いた後その場から離れる。
「双覇の聖魔剣。同志たちが僕に授けてくれた奇跡の結晶。この剣で、貴方を地獄に送る!」
定治が場から離れた事でそこにいるのは絶望を浮かべるバルパーと聖魔剣を携える木場。聖魔剣は目の前の男の命を奪わんと聖なる光と邪悪な光を携えその刀身を光らせる。絶望を浮かべるバルパーの視界に聖魔剣が映った時バルパーの中で認めたくなかった事実を確信してしまう。聖と魔、それは本来交わり合う事はない対極の力。それが今あの剣に混ざり合っている。それは魔を象徴する魔王も聖を象徴する主もこの世にいないと出来ないありえない事象。それが今まさに混ざり合っているという事はあの男が言っていた通り、もう主もいないという事。
「聖魔剣……!バ、バカな!あ、ありえん!魔王のみならず本当に、本当に主も死んだというのか!?」
「二回も言うつもりはねぇよ。じゃあな」
驚くバルパーに定治がメンドくさそうに呟いた瞬間バルパーの首と身体が木場の手によって切り離される。
バルパーの首を切り落として数秒後、長い間果たせなかった亡き同志達の仇を討った木場は涙で顔を歪ませ膝から崩れ落ちてしまう。今現在木場には後悔、達成感、一体何が宿っているのだろうか、それは定治の知らぬ所。
定治は崩れ落ちる木場の肩を励ますように優しくポンと叩いた後、バルパーの首を拾い上げショゴスがいる方向へと放り投げる。
『ショゴスくん、コイツ食っていいぜ』
『わーい!いただきまーす!』
バルパーの首を放り投げ、ショゴスに食べても構わないと伝えるとショゴスは嬉しそうな表情でバルパーの首と身体を丸呑みにする。その様子を定治は無表情で少し眺めた後、表情を何時ものヘラヘラとした笑い顔に戻してリアス達の元へと歩み寄る。
「部長お待たせしてすみません。終わりました」
ヘラヘラと笑いリアスに全て終わった事を伝えるとリアスが何か言うより早くゼノヴィアが憤怒の表情で定治の胸倉を掴みあげた。
「定治!貴様主が死んだと言ったな!?戯言にも程があるぞ貴様!」
「(耳いいなコイツ)」
先程定治がバルパーに向けて呟いた"主は死んだ"という言葉を耳にしたゼノヴィアが激しい勢いで詰め寄る。しかし定治はゼノヴィアの怒りに表情を変える事なくただヘラヘラと笑う。
「俺はある奴からそう聞いたのを信じてああ言った。信じる信じないはお前次第だ。そうだ、お前はどう思う?白龍皇」
「「「っ!?」」」
ヘラヘラと笑いながら定治が視線を上空に向けるとそこには白い龍のような甲冑を身に包んだ男が上空で定治達を見下ろしていた。定治が言うまで気がつく事すら出来なかったリアス達が驚く中、定治が白龍皇と呼んだ男は顎に手を当てて考える素振りを見せる。
「……そうだな。アザゼルは前の戦争で神は死んだと言っていた。なら恐らく死んだのだろう。死んだと思われる現象もチラホラ見られているしな」
堕天使の総督アザゼルが神が死んだ事を認めている、一同が驚く中何時の間にかゼノヴィアの手から離れた定治が乱れた制服を正しながら白龍皇に問いかける。
「ご意見ありがと白龍皇。そんで、何の用だ?アザゼルって奴の使いか?」
「そうだ。コカビエルとその部下の回収でここに来た。こちらから手出しをするつもりは一切ない、と言えば信じてもらえるか?」
衝撃的な事実を聞き置いてかれてしまっている一同を他所に定治と白龍皇は話を進めていく。
「おう、早いとこ回収してくれ。俺これからダゴンさんにシバかれる予定が入ってるから。嫌な事は早めに済ませておきたいタイプなんだよ俺」
「あ、ああ」
自らを待つ
「お前達とは近い内また会うだろう。それまでに強くなっておいてくれ。特に今代の赤龍帝、出来ればその間抜け顔を2度と見なくて済むくらいには強くなってくれ。そうでなければつまらない」
そう言い残し白龍皇は飛び去っていく。暫く白龍皇の飛んでいく方向をジッと眺めていた一同だが定治のパンッ!と手を叩いた音で意識をヘラヘラと笑う定治へ向ける。
「さて、部長。積もる話もあるでしょうがそれはまた後日にお願いします。ちょっと無事に済みそうにないと思うんで……」
途中までヘラヘラと笑っていた定治だが後半になってくにつれその声はか細く、表情は見るものを哀れに思わせるものへと変わっていく。
『ダ、ダゴンさーん……』
そして周りの了承を得ずに定治はルールブックを開き、ダゴンを呼び出す。定治の表情につられてかルールブックもまたその光り輝き方が心なしか哀れなものに見えてくる。
ルールブックがこの世のものとは思えない色で光り輝き、ダゴンを呼び出す門が設置された瞬間門から六メートルはあるだろうダゴンが勢い良く現れ、その勢いのまま定治の顔面にドロップキックを食らわせる。
『何やっとるんじゃこのアホォォォォっ!!』
『ヘブウゥゥゥゥッ!?』
凄まじい勢いのドロップキックは定治の顔面に突き刺さり、奇妙な叫び声と同時に定治の身体が吹き飛んでいく。しかしダゴンはドロップキック一発で許すつもりなど更々無く吹っ飛ぶ定治を捕まえ空高く舞い上がると筋肉バスターの姿勢をとって地面に急降下。
『よりにもやってクトゥルフ様を呼ぶなこのドアホォォォォ!お前と言う奴はぁぁぁ!!』
『ギャアァァァァ!?』
筋肉バスターをその身に受け悲鳴をあげる定治。流石に見ていられなくなったのかここでクトゥルフが口を挟む。
『ダ、ダゴンさんやそれくらいにしておきなさい!つい応じてしもうたワシも悪いんじゃから!』
あまりの痛みに身体をピクピク震わせる定治、しかしダゴンの怒りは未だ治っていない様子でクトゥルフを睨み
『クトゥルフ様は黙ってて下さい!これは私と定治の問題です!死ねや定治ゥゥゥ!!』
『ギャアァァァァ!?折れる!折れるぅぅぅぅ!』
容赦無く定治にアルゼンチンバックブリッカーを食らわせた。
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時間にして十数分が経った頃、ようやく怒りが治ったのかダゴンが手をパンパンと叩き定治を睨む。
『今回はこのくらいにしてやる。次はないぞ定治、いいな?』
『…………』
『返事ィ!!』
『ヒャ、ヒャイ……』
ダゴンにありとあらゆる技を食らわせられた定治は指一本ですら動かすのがやっとの状態。その定治に次は無いと警告し、返事をさせた後ダゴンは鼻息をならしてクトゥルフの元まで歩く。
『さ、帰りますよクトゥルフ様。ハニーがご飯を作ってくれてますので』
『え、ワシもうちょっとシャバを楽しみたいんじゃけど……』
ダゴンが笑顔で帰りましょうと言うとクトゥルフは先程の光景を思い出しながら若干控え目に帰りたく無いと伝えるがダゴンが有無を言わせぬ表情でクトゥルフの頭を門に向けて押す。
『ワガママ言わないで下さい!あなたまだ水陸両用になってないんですから!なるまでは我慢!』
『あ、あぁぁぁんまりじゃぁぁぁ!』
『叫んでもダメなものはダメ!今日はハニーがカニ飯を作ってくれてるんだから早く帰りますよ!さぁ早く!』
『な!?カ、カニじゃとぉぉぉ!?カニはやめんか!わしゃカニ嫌いなんじゃ!というよりわしゃ魚介類よりお肉派じゃぁぁぁ!』
『タコみたいな触手生やしてんのに何言ってるんですか!好き嫌いしない!ハニーの手作り料理を食べないとは言わせませんよ!』
『イ、イヤじゃぁぁぁ!!』
有無を言わせぬ表情のダゴンに問答無用でルルイエへ強制帰還させられクトゥルフが悲鳴を上げながら去っていく。この光景を見終え、ユキとショゴス、ミ=ゴはどっちが上司だっけ……?と疑問に思うがそう言えばルルイエは大体あんな感じだったなと思い出し自身らも定治の家へ帰る事にする。
『僕たちも帰ろっか。ユキちゃん乗せてって』
『ええいいわよ。今日は一刻も早く帰って休みたいわ……』
『それがいい』
『アタシも実家に帰るとするよ。お疲れさん』
『お疲れ〜』
帰る事にしたショゴスはその身を本来の姿から人間の子供のものへと姿を変え、ノフ=ケーが帰るのを見届けた後ピクピクと震える定治を担ぎ上げ置いてけぼりのリアス達へ手を振る。
「じゃ、みんなまた会おうね!バイバーイ!ほら行くよ定治!」
「…………」
「定治返事!」
「ウィ、ウィッシュ……」
こうして周りを置いてけぼりにしてショゴス達一同は定治を抱え家へと帰っていった。
◆
「ひ、酷い目にあった……」
「死んでないだけマシ。よし治った」
自宅へ帰る途中、定治はユキの背に乗りながらミ=ゴによる治療を受けていた。ミ=ゴが持つ医療技術は人間より遥かに進んでおり定治の傷という傷は自宅まで帰るまでの時間だけで治療の全てを終え、定治の受けた傷は全て元どおりになっていた。
「サンキューミッちゃん。あーもう疲れたぁ……こうなったのも全部アイツが悪い。ニャルの野郎、今度会ったら絶対シメてやる。」
ようやく傷が治った定治は今回の諸悪の根源であるニャルラトホテプの顔を思い出し怒りでその心を燃やす。やがて治療を終えた数分後、定治の家の大きな敷地が見え我が家に着いてホッと一息つく一同だが庭で待っていたと思われる銀髪の少女、ニャルラトホテプの顔を見た瞬間全員の表情が変わる。
「ちょっと定治さん!どうしてエクスカリバー砕いたんですか!私がアレを間接的に渡す為、どれだけ時間を割いたと思ってるんですか!?」
「ショゴスくん、確保」
「はーい」
「え、ちょええ!?早速ぅ!?」
ニャルラトホテプが出会い頭に何かを言っている、しかし一同にとってそんな事はどうでもいい。定治がショゴスに命じると先日あんなにニャルラトホテプを恐れていたショゴスでさえなんの躊躇いもなくニャルラトホテプの足を掴んで動けなくする。只ならぬ気配を感じたニャルラトホテプは焦った様子で定治に話しかける。
「お、落ち着いて下さい定治さん!話をしに来ただけですって!もう何も企んでませんって!」
「確かにお前は話をしに来ただけなのかもしれない。だけど俺は違う」
何時ものヘラヘラとした笑いを浮かべず本気の殺意をニャルラトホテプに向ける定治。その目に殺意以外の感情は無く、淡々とニャルラトホテプを殺す為の準備を始める。
「身体能力強化、炎の外套、脚部魔力付与、旧神紋章製作。ユキちゃん」
「ええ、ちょうど誰かに八つ当たりしたい気分だった所よ「私貴方の上司なんですけど!?」諸悪の根源ですね、わかりますわ「ちょっとぉぉぉぉ!?」」
焦るニャルラトホテプと殺意全開の定治達。やがて全ての下準備を終え、燃え盛る炎の衣を纏い、足に五芒星と目の印を刻んだ定治がユキの名を呼ぶとユキは宙に浮かぶ定治の付近に滞空する。
「ニャル、コイツを見てくれ。コイツをどう思う?」
「すごく…リュ◯ガのファイナルベントです……え、まさか」
ニャルラトホテプが聞かれた事に素で返し、その途中で嫌な予感が思い浮かび額に汗を垂らすと定治がニャルラトホテプの嫌な予感を肯定するようにニッコリと笑い
「死ねぇぇぇぇぇぇぇ!!」
「な、なんでこうなるんですかぁぁぁ!?アッーーーー!!」
定治のファイナルベントがニャルラトホテプに直撃。ニャルラトホテプは哀れ絶叫と共に爆散。
そしてファイナルベントを終えた定治は自身にかけた魔術を全て解くと軽く伸びをした後ショゴス達と一緒に自宅の玄関を潜る。
「あー、スッキリした飯食おうぜ飯」
「はーい!」
「本来不要だが貰うとしよう」
「私はお茶だけでいいわ」
こうして定治の濃い1日は終わりを迎えるのであった。
◆
夜の暗い空、そこには今代の白龍皇ヴァーリがコカビエル達を抱えながら誰かと会話をしていた。
「アザゼルか?コカビエルを回収した。これから戻る。……ああ、間違いない、確定だ。アイツがアーミテイジだ。」
◆
オマケ
定治がエクスカリバーを追った時のパッパとニャルラトホテプの反応
ニャルラトホテプ『ハ、ハァァァァ!?お、折ったぁぁぁぁ!?ハァァァァ!?意味わかんないんですけどぉぉぉぉ!?』
パッパ『アッハッハッハッハ!!アッハッハッハッハ!!サイコー!定治サイコー!流石我が息子!アッハッハッハッハ!!』
クトゥルフ様
この作品のクトゥルフ様について覚えて欲しいのは以下の点
・基本的には優しい。多少の無礼も許してくれる。目の前でタップダンスを踊るくらいならセーフ。
・あまりにも無礼な奴(例えばずっと長い間クトゥルフを見下ろし続けたコカビエル)には容赦無し
・偶にお小遣いをくれる(オマケでクトゥルフ様の魔力もついちゃいます!)
・魚介類よりお肉派
・面倒見てもらってるダゴンとハイドラには部下だけど頭が上がらない
・ハスターが死ぬ程嫌い
これだけです。
身体能力強化
TRPGのルールブック的には完全という魔術の応用版。一時的に定治の精神力、もしくは魔力を媒介に身体能力を上げるという魔法
旧神紋章作成
旧神の力が宿った印を作成する魔術。アザトース様に効くならニャル様にだって効くんじゃね?(小並感)って感じで使いました。
炎の外套はまた今度に先送り。
と言うわけで原作3巻終了。今回の話は僕が
内臓マグマム「エクスカリバーって折ったら面白そうやん?」
という欲望に逆らわなかった結果出来た話です。どうもすみませんでした。
今回定治が結構なゲスッぷりを披露しました。これについては自分で少しやりすぎたな、と思いました。次回はこうならないようにしていきたいです。出来ればですが。
それと僕は仮面ライダーだとオーガのデザインがカッコ良くて好きです(小並感