ハイスクールD×D 俺と愉快な神話生物達と偶に神様   作:心太マグナム

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吸血鬼ルラ

俺はひたすらに走った。旧校舎はいつも通り静かで音なんてまるで聞こえなかった。

 

視界に部室の扉が目に入り、俺は何も考える事なく部室へと入る扉を開けた。

 

「ギャスパー!ーーーえ?」

 

そこに立っていたのはスズキさんだけだった。周りには心が壊れたようにその場から動かなくなり震える幾人かの魔術師。

 

「遅かったですね一誠くん」

 

「あ、貴方はスズキさん!?どうしてここに!?」

 

俺の代わりに部長が訪ねるとスズキさんはため息をついた後微笑む。

 

「勿論、定治に頼まれたからですよ」

 

スズキさんの後ろにはいるギャスパーと小猫ちゃんがソファに気絶しているように眠っていた。

 

「最初私は定治にキミの手助けをしてあげて欲しいと言われていました」

 

スズキさんは震える魔術師の方へ目を向ける。

 

「ですが私が出た門を通してクティーラ様が出て来そうな気配を察知した為私が終わらせておきました。見せ場を奪ってしまったようですみませんね」

 

そう言ってスズキさんはため息をついた後部室の扉に手をかけて部屋から出て行く。

 

「では行かせて貰います。そちらの少年少女の手当は一応して起きましたのでご安心を。そちらも直に迎えが来るでしょう。一誠くん、心を強く持ち覚悟を決めておきなさい」

 

「ーーーえ?い、一誠が消えた!?」

 

スズキが部室から去った直後、一誠の姿が突如として部室から消えたのをリアスは目の当たりにした。

 

 

先程まで部室にいた筈の一誠。しかし今一誠の視界に広がるのはコンクリートの床にフェンスの壁、そして定治が生み出した無数のゲート。部室にいた筈なのに一瞬で景色が変わった事を一誠は理解が追いつかず混乱したように独り言を吐く。

 

「こ、ここは!?え、屋上!?な、なんで!?さっきまで俺は部室にいた筈じゃ!?」

 

「私が連れてきたからだよ」

 

「ーーえ、夢桐さん!?」

 

「やぁ一誠くん」

 

混乱する一誠が声のする方に振り向くとそこには新しいタバコに火をつけた夢桐がにこやかに笑って軽く手を上げていた。

 

「どうやってここに、とは聞かないでくれよ?私にとっては当然の事だ、聞かれても困るだけだからね。何、ちょっとした魔法みたいなものさ。そんなに驚く程でもない。そうだ、下は見ないように」

 

 

夢桐が言っていた"私が連れて来た"という意味が理解できず困惑する一誠は困惑したまま夢桐が下を見ない方が良いという声につられて思わず下を見てしまった。

 

「っ!?、オブッ!!」

 

見えたのは幾多もの血だまりと死体。その死体のどれもが苦悶の表情を浮かべ悲惨な死を迎えた事は容易く想像できた。

 

胃から込み上げて来るものを抑える事ができない。堪えきれず一誠は床に吐瀉物を吐き出す。そんな一誠の様子を見て夢桐はため息をつく。

 

「だから見ないようにと言ったんだ。忠告は素直に聞いておくものだよ」

 

肺に入れた煙を吐き出し手に持つタバコを死体の方へと向ける。

 

「あれは定治が呼び出した神話生物達が行なった殺戮の残骸、今回の襲撃に加担した魔術師が皆殺しにされたという結果さ」

 

再びタバコを口に咥え煙を吐き出した後夢桐は口角を釣り上げる。

 

「だがここからだ、ここからもっと面白くなる。ここからを見せたかったからこそ君をここに連れてきた。よく見ておきなさい一誠くん、定治がBGMを使った。目を逸らしていると何も見る事なく終わってしまうよ」

 

 

 

一誠が屋上についたのと同時刻、会談場所にいた三勢力のトップ達もまた定治と神話生物が生み出した殺戮の後を眺めていた。

 

「……とんでも無いやつがいたもんだ。最悪の神器と呼ばれ恐れられた深淵の門(ゲートオブアビス)をあそこまで使いこなす奴がいるとはな」

 

アザゼルが冷や汗をかきながら深淵の門(ゲートオブアビス)の名を口にするとゼノヴィアがアザゼルの方へと目を向ける。

 

「最悪の神器、やはりあれがそうか」

 

定治が普段深淵の門(ルールブック)と呼ぶ神器、その本当の名が深淵の門(ゲートオブアビス)だと直感していたゼノヴィアがそう言うとミカエルがゼノヴィアの直感を確信させるように頷く。

 

「ええその通りです。アレこそが深淵の門(ゲートオブアビス)。神すらも知らぬ内に存在したとされる神器、神器のシステムのバグとも他の神が作ったとも言われる謎の多い神器です」

 

ミカエルは定治が手に持つ深淵の門(ルールブック)へと目を向ける。

 

深淵の門(ゲートオブアビス)は謎の多い神器。私もアザゼルも知らない事の方が多い程アレは謎に包まれています。ですが2つだけ、2つだけ確かな事があります。一つはアレが聖書の神すらも恐れさせ、強力な封印を施したものであるという事、そしてもう一つはアレがただ所有しているだけで人を狂気に陥れる最悪の代物なのだという事です」

 

「そう、他の神器でもその力に担い手が釣り合わない場合など理由は様々だが暴走してしまうケースは確かにある。だがそれは担い手の努力次第でいかようにも防ぐことができる。しかし深淵の門(ゲートオブアビス)は別、アレは最初から人が扱うように出来てない。例え深淵の門(ゲートオブアビス)を使いこなせていたとしてもアレは徐々に人から正気を奪っていく。使っても、使わなくても深淵の門(ゲートオブアビス)は等しく担い手を狂気に陥れ暴走させる、故に最悪の神器。そんなアレを完全に使いこなしているどころか、アイツは正気を保ったまま楽しそうに笑っていやがる。とんでもない奴がいたもんだ」

 

深淵の門(ゲートオブアビス)の事をある程度知っているミカエルとアザゼルが冷や汗を垂らしながら語るとゼノヴィアが定治へと目を向ける。

 

「……私は定治とは短い付き合いだが定治と一緒にいて一つだけわかった事がある。それは定治が偶に狂気を狂気と認識していない時があるという事だ」

 

普段の生活の中で見せる定治の笑みと今定治が浮かべている笑みは確かに別物。しかし普段見せる笑みも今浮かべている笑みも浮かべる理由はきっと同じものだという事をゼノヴィアは確信していた。

 

「恐らくアイツは普通の人間なら狂ってると思われる事を"楽しい事"くらいにしか思ってない。この殺戮の光景も奴にとっては友人とスポーツでもやって遊んだ後くらいのものなのだろう。……この平和な国であのような人間がいるとは思わなかった。定治、お前は一体何者なんだ。何が原因でそうなってしまったのだ」

 

ゼノヴィアの困惑とも悲しみともとれる呟きは周りにいる誰にも、定治の耳にも届く事なく搔き消えた。

 

 

とある国に一人の女給仕がいた。

 

「ああ奥様、おはようございます。今日も一段と麗しいご様子で」

 

女給仕は一人の貴族夫人に仕えていた。

 

彼女は他の女給仕に比べ、実に忠実で、実に優秀だった。

 

「奥様、頼まれていたものが完成致しました。こちらになります。急所を外し、中にいるモノをじっくりと殺す、実に素晴らしい一品にございます」

 

彼女は夫人が欲しいと言った物全てを用意した。例えそれがどんな物だろうと彼女は必ず用意した。

 

「さぁ奥様、次は何をご用意致しましょう?村娘?貴族の娘?ご安心下さい、私は貴方様の忠実な僕。さぁ、なんなりとご命令を」

 

その者の名はルラ。

 

一人の女が狂う様子をただただ眺め、愉快に笑っていた真なる吸血鬼。

 

 

『退却ーーーッ!!退却しろぉぉぉぉ!!巻き込まれるぞぉぉぉぉ!!』

 

定治が吸血鬼ルラへと姿を変え、その姿を見た斎藤達神話生物が一斉に門に逃げ出す中、ルラとなった定治を見てミゼーアは愉快そうに笑っていた。

 

『カカ、懐かしい貌でありんすなぁ』

 

『え?ミ、ミゼーア様はあの姿の定治様をご存知なのですか?』

 

初めて定治が吸血鬼ルラへとなるのを見たクティーラに対しティンダロスの王の一柱であるミゼーアは懐かしそうにクツクツと笑う。

 

『あぁ、知っているとも。忘れもせん、あの貌は彼奴が昔わっちら王に会いに行く為だけにわっちらの国に侵略し、一滴も血を流すことなくわっちの前に来た時の貌』

 

"ほう?お主がこの世界に来たという異物か。……嫌な奴の匂いがするのう。お主はあの丸いのの使いかや?"

 

"いいえ、お父様の使いではありませんよ。私の名は定治、今は吸血鬼の姿をさせて貰ってますが普通の人間ですよ"

 

"カカ、彼奴の貌をしたお主が普通の人間だと?冗談も大概にしなんし。それで定治とやら、丸いのの使いではないと言うのなら何の用でわっちの前に現れた?"

 

"貴方達に会いに来た。まぁ挨拶って奴ですわ、。そして挨拶のついでに一つお願いがしたいと思っていますの。あぁ、そのお願いというのはーーー"

 

ミゼーアが脳裏に浮かべたのはかつて定治がミゼーアらティンダロスの王達に会いに行く為だけにティンダロスへと現れた時の光景。

 

『カカ、あの貌を使うとは定治もかなり本気になっておるようでありんすなぁ。さて、あの貌相手に彼奴らがどうするのかお手並み拝見と行こうか。まぁ、何も出来んとは思うがのう』

 

呼び出した神話生物達の殆どが門を通って校庭から去ったのを見送った後、ルラは眼前の悪魔へと視線を移す。

 

 

「さて、神話生物たちも退いてくれたみたいだし、早速始めましょう。ーーーあら」

 

ルラの元へ何発もの魔弾が襲いかかって来る。だがルラはそれを避ける素振りすら見せず、周りに従えている蝙蝠達が盾となり襲いかかる魔弾を全て防いだ。

 

「……チッ」

 

魔弾を全て防ぐと何処からか舌打ちが聞こえて来る。舌打ちのする方向へと目を向けるとそこにはもう一人の悪魔が苛立たしげな表情をしていた。

 

「あらあら増援みたいね。……ふーん、これで2対2。フェアな勝負になった、と言うところかしら?ニャル、取り敢えずあっちの相手をして上げて頂戴」

 

「了解でーす★」

 

「目の前にこの私がいるというのに余所見とはいい度胸ですね!」

 

独り言のようにルラがもう一人の悪魔を見て呟いているとその隙を好機と判断したカテレアがルラに攻撃をしかける。

 

だが攻撃の為に振り下ろされた腕はカテレア本人の意識とは逆に動きを止めてしまう。

 

「なっ!?」

 

言う事が効かない身体に驚くカテレア。カテレアの認識した限りルラは指先一つも動かしていない。ただ赤い瞳の視線をカテレアの仲間であるもう一人の悪魔クルゼレイ・アスモデウスからカテレアへと移しただけ。

 

だがもう一度ルラの瞳を見た瞬間カテレアは理解した。最初あの吸血鬼瞳の色は碧色だった。だが今のルラの瞳の色は碧色とは全く違う赤色。もしそれがカテレアの身体が突如として言う事を聞かなくなった理由なのだとしたらーーー

 

「ま、まさか……!その眼は……!」

 

「支配の魔眼。私が使う魔術の中に人を操る支配という魔術があるのだけどこの目はそれと同じ効果があるの。因みに私達を囲んでる蝙蝠達の目も私と同じ支配の魔眼を備えているの。それを貴方は私が姿を変えた時に迂闊にも見てしまった。つまりーーー」

 

自らの魔眼について話した後ルラは驚愕するカテレアの表情を見て愉快そうに笑った後カテレアを優しく抱き締め耳元で先程まで言いたくて言いたくてたまらなかった事を口にする。

 

「貴方は最初から私の支配下だったのよ。今まで自由に動けていたのは私が許していたから。だけどそれももうお終い」

 

「へ、蛇を!蛇さえ飲めれば!「あ、そう。それじゃあ、さようなら」ガッ!?」

 

動かない身体を必死に動かそうとするカテレアをルラは赤子を抱くように優しく抱いて微笑んだ後、ルラは口元に生えた牙をカテレアの首元に突き刺す。

 

「あ、あぁぁ……」

 

牙を突き刺しカテレアの血を吸っていく。血を吸われカテレアの身体が徐々に萎んで行き、カテレアの身体から血が無くなると魔力を、魔力が無くなると最後に魂を吸い尽くす。後に残ったのはミイラのようになったカテレアの死体。その死体の頬にルラはキスをして死体を放り投げる。

 

「ごちそうさま、美味しかったわよ貴方。さて、あちらはどうなってるかしら?」

 

死体を放り投げた後ルラは視線をニャルとクルゼレイのいる方へと向ける。視線の先には満身創痍のクルゼレイと身だしなみ一つ崩れる事なくバールのようなものを器用に回しているニャルの姿。

 

「ハァ……ッ!!ハァ……ッ!!」

 

「蛇を取り込んでいてもその程度の実力ですか。話になりませんねぇ、()をつけて話す気すら起きませんよ」

 

クルゼレイの苦悶の表情とは対照的にニャルの表情は至極退屈そうなソレだった。目を凝らし、ニャルの一挙一動を注意深く観察するクルゼレイ。クルゼレイの身体は至る所をバールのようなものに突き刺され風穴が出来ている。これほど身体に風穴を開けられて死んでいないのはクルゼレイの前に立つニャルがわざと急所を外しながら死なないように且つ苦しむように攻撃をしているから。

 

これ以上攻撃を食らう訳にはいかない。クルゼレイの本来の目的は現魔王であるサーゼクス達の抹殺だ。仲間のカテレアが襲われているように見えたから加勢をしたが今は後悔しかない。

 

前に立つ少女の動きが全く見えない、気がつけば自分の身体の風穴が一つ増えている。既にオーフィスの蛇を取り込んでパワーアップは済ませている。

 

だがパワーアップをしてもなお目の前の少女の動きが全く見えない。

 

そしてまた、ニャルが持つバールのようなものに血が滴り落ちる。

 

「グガァァァァァ!!?」

 

次に風穴が空いたのは頬、絶叫するクルゼレイは頬を抑え血を止めようと頬を抑えるが血は止まる事なくクルゼレイの手から溢れ落ちる。

 

「フフ、そっちももうすぐ終わりかしらニャル?」

 

ニャルの隣にルラが立つ。ルラは絶叫するクルゼレイを愉快そうに笑うと隣に立つニャルがつられるように愉快そうに笑う。

 

「ええ、もうすぐ終わりますよ。存外つまらなかったですけどね」

 

血に塗られたバールのようなものをハンカチで拭いた後、ニャルは己の手を握り締め自らの持つ力を感じながら満足そうに微笑む。

 

「フフ、それにしてもやはりいいですねコレは。力が漲ってくる。これも定治さん、貴方のお陰ですねぇ。素晴らしい、貌を貸す価値もあるというものです」

 

「そう、それは良かったわ」

 

満足そう微笑むニャルの舌には定治であるルラと同じ紋章が刻まれている。その紋章をルラは横目で見た後、絶叫するクルゼレイを指差す。

 

「それで、アレにまだトドメを刺していないということはアレは私にくれるという事かしら?」

 

「ええ、その通りです。やはりトドメは主人公である貴方が指すものですから」

 

「そう、ありがとうニャル」

 

ニャルが問いに対して頷くとルラはニャルに微笑んだ後、支配の魔眼を持つ蝙蝠達をクルゼレイの元へと向かわせる。

 

「ぐグッ!!」

 

蝙蝠達が向かってくるのを確認したクルゼレイは蝙蝠達の目を見ないようにしながら蝙蝠達から距離を取る。一つ羽ばたくたびに身体から血が溢れ出る。だが飛び続けなければならない。羽ばたきをやめたらあの蝙蝠達に襲われる。魔術で身体の傷を塞ぐのを急がせる。まだクルゼレイは勝負を捨てていない、身体を癒し逆転のチャンスを伺う。

 

「グバァ!?」

 

あの笑みを驚愕のものに変えてやる、そう思った直後クルゼレイの身体は再び何かに貫かれた。

 

「蝙蝠達に気を取られすぎよ。横や後ろは見ていても下は見えていなかったようね」

 

ルラがそう言うとクルゼレイはつられるように下を見る。クルゼレイが下を見た先には校庭の土が形を変え、杭となってクルゼレイの身体を貫いていた。

 

「吸血鬼には元素を操るという能力があるの。ネットで調べたら直ぐに出てくるくらいには有名な能力。土も酸素やケイ素、アルミニウムなどと言った元素で構成されている、それを操ればこの程度朝飯前なのよ」

 

対して力を使う事なくクルゼレイを貫いたルラはクルゼレイにつまらなさそうな視線を向ける。

 

「全く、弱すぎて話にならないわ。さっきの女悪魔もそう、よくもまぁその程度の力で私がいるこの地を襲おうと考えたものね」

 

「ま、まざが……!ガデレアば……!?」

 

クルゼレイが下を見るとそこにはミイラのように干からびた姿のカテレアが目に入る。魔王の子孫であり実力者のカテレアが殺された事に目を見開くクルゼレイに対しルラはさも当然のような表情で首を傾げる。

 

「死んだわよ?血も、魔力も魂も何もかも吸い尽くされて死んだわよ?私に挑んのだから当たり前でしょ?」

 

「お"の"れ"!お"の"れ"ぇぇぇぇ!!人間風情がぁぁぁぁぁ!!」

 

「五月蝿い」

 

仲間が殺され怒りのままに絶叫するクルゼレイにルラは苛立たしげに眉を潜めると、ルラの言葉と同時にクルゼレイを貫く杭が一つ増える。

 

「怒った所で何の意味も無いわ。だってあの悪魔はもう死んでるんだもの。でも大丈夫よ、貴方ももうすぐあの悪魔の元に行けるもの。そこで思い出話でもしてるといいわ。まぁ、死後の世界というものが悪魔にもあったらの話だけどね?」

 

先程まで叫ぶクルゼレイに眉を潜めていたルラだったが今浮かべているのは口元を歪めた悍ましい笑顔。この笑みを見て、クルゼレイは漸く絶対的な死を感じ取り、漸く恐怖と絶望の感情が芽生えてくる。

 

「ぎ、ぎざばは一体何者なのだ……!?」

 

「ん?私はただの人間よ?あぁ、今は吸血鬼だったわね」

 

絶望の表情を浮かべ尋ねるクルゼレイにルラは首を傾げるが直ぐにクルゼレイが何を聞きたいのか理解する。

 

「あぁ、聞きたいのはそういう事じゃないのね?そうねぇ……んー、まぁこの姿ならいいか。じゃあ教えてあげる。私ルラは他人、特に私が気に入らない奴らが今の貴方のような表情をしてるのを見るのがスゴく好きなの。ホント、たまらないくらいに。質問の答えはこれでいいかしら?」

 

楽しそうにそう語るルラだったが一通り言い終えた後思い出したように困ったような表情で慌てて両手を振る。

 

「あ、勿論これは定治(わたし)の本心じゃないわよ?これはルラ(わたし)の意見だから、勘違いしないでね?」

 

「(えぇ……)」

 

両手を振るルラの隣でニャルが困惑した表情を浮かべるがルラはそれを無視する。そして少し経った後ルラはその表情を変える。

 

「でもさっきからずっと同じ表情を見てたから流石に飽きてきちゃったわ。だから、そろそろ死んで頂戴な」

 

先程までの困ったような表情から一変してニコリと可愛らしい笑みを浮かべながらルラは人差し指を上へと向ける。

 

「ガフッ……!」

 

人差し指を上へと向けた瞬間校庭の土が幾多もの杭へと変化しクルゼレイの身体を突き刺し、絶命させる。

 

「さて」

 

クルゼレイの絶命を確認し、ルラは元素を操り校庭の杭を元のものへと戻す。校庭が元の形に戻った後、ルラは先程から疑問に思っていた事を誰に言うでもなく独り言のように口にする。

 

 

 

「さっきあの女悪魔が何で私がアーミテイジだと知っていたのか疑問だったのだけれど、さっき女悪魔の血を吸った事で理由がわかったのよ」

 

ルラは三勢力のトップ達のいる校舎の一室へと目を向けながら変身を解き、元の定治の姿になる。

 

 

「なぁ、言い訳があったら聞かせてくれよ。ーーーあらま」

 

直後、定治の身体は校舎へ吹き飛ばされた。




はい、今回ここまで。

いやー長引いてしまった。申し訳ないです。

さて次回は裏切り者登場です。ニャルラトホテプ様の貌の一つである吸血鬼ルラの紹介については次回にやる予定です。

それではノシ
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