ハイスクールD×D 俺と愉快な神話生物達と偶に神様   作:心太マグナム

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赤龍帝と白龍皇

戦況は多くの者が予想がつかない状態で進んでいた。

 

「オラァッ!!」

 

「グッ!?」

 

かたや魔王ルシファーの血を継ぎ幾多もの攻撃手段と神器を使いこなす白龍皇。もう一方は神器をろくに使いこなせず半ば無理やりに禁手化した赤龍帝。

 

一目瞭然の戦力差だというのに戦況は赤龍帝が押している。その様子に魔王、大天使、堕天使達も驚きは隠せない。

 

拳を振るう赤龍帝に負けじと白龍皇が多くの魔弾、拳で応戦する。しかし赤龍帝、一誠は怯む事なく拳を打ち込んでいく。

 

一誠の脳に声が響く

 

 

「そろそろだ」

 

夢桐の声が脳へ直接入った瞬間に一誠は僅かだが距離を取る。

 

"Divid!!" "Boost!!"

 

距離を取ったと同時にヴァーリの神器の力によって一誠の力が半減されるが1秒も経たずに直ぐに一誠の力が二倍になり、再度一誠が踏み込んでいく。

 

その様子に全ての門を閉じ終えた定治が眉をひそめる。

 

「親父、何した?」

 

「一誠くんの倍化の力を白龍皇の半減の力の直後になるように調整しただけだ」

 

特に思う事も無い様子で夢桐がギミックを明かす。先ず最初に一誠に自身の限界まで倍化の力を溜めさせる。勿論ヴァーリはそれを半減させるだろう、だがその直後に倍化を発動すれば一誠は再び最大倍化で戦える。それを繰り返しているだけだと

 

「倍化している数秒の間は普段の何倍もの力で戦える。その数秒をほぼほぼ10秒にし、半減されている時間を短くすれば一誠くんは有利に戦える。私は一誠くんにそのタイミングを教えて有利性を保たせている。それだけの話だ。勿論白龍皇はその有利差を覆そうと半減のタイミングをずらそうとするだろう。だが私にそれは通じない。一誠くん、3秒間カウントストップ、その後再度倍化だ」

 

"Divid!!" "Boost!!"

 

 

あらゆる時間、空間に同時に存在する夢桐の前ではいくら天才と言われるヴァーリでさえ後手に回らざるを得ない。ヴァーリは夢桐の存在を知らず、ただ単純に一誠の方が優れてると思わざるを得ない。その勘違いが余計にヴァーリの思考に焦りを生む。

 

「実力が上な分奴にはプライドがある。タイミングの読み合いとはいえ奴は格下に負けている。焦るだろうなぁ?その焦りはやがて恐怖、いや奴の場合は楽しさへと変貌し、それが慢心と油断になってより一誠くんの勝利に加担する」

 

「けど白龍皇って半減した力を自分のものにしていくんだろ?時間が経つほど一誠不利になるんじゃねぇの?」

 

「確かにその差は埋まらないだろう、むしろ開くばかりだな。だがあの子にはとっておきを渡している。後はそれをあの子が上手く扱えるかどうかだ。それに一誠くんはお前の手解きである奥義を開眼してるみたいじゃないか」

 

「いやあれはアイツが勝手に開眼したんだよ!!」

 

◆

 

ヴァーリは驚いていた。

 

最初ヴァーリはアーミテイジに選手交代、そう言われた際は呆れ気味にため息をついたがその感情は不意打ち気味に打ち込まれた一誠の拳の重さに打ち消された。

 

自身が無様に殴られた様子に定治が腹を抱えて笑い

 

とりあえずやってみろよ、ありえねぇとは思うけど満足出来なかったその時は俺が相手するぜ

 

その言葉がゴングとなりヴァーリと一誠の戦いは幕を開いた。

 

それから何度殴り合い、倍化半減の読み合いをしただろうか。

 

気がつけばヴァーリは目の前にいる格下なライバルに脅威を抱いていた。

 

急所、致命傷になるだろう攻撃は避け、防ぎ

 

例え攻撃を受けたとしても

 

「Dカップありがとうございます!!オラァ!!」

 

怯む事なく拳を打ち込んでくる。

 

なんだ、コイツは?

 

そう思わずにはいられない。

 

向かってくる拳を掴み、攻撃を一旦止めさせ、ヴァーリは尋ねる。

 

「お前は痛みというものを認識してないのか?それとも、お前もアーミテイジ同様イかれてるのか?」

 

「人のエロ本落し物扱いにして生徒会に届けるイかれ野郎のアイツと一緒にすんじゃねぇ!!」

 

何処からか「テメェもあの後俺のエロ本を学校掲示板に貼り付けてたじゃねぇか!!ご丁寧に定治コレクションって書いてよぉ!!」という声が聞こえたと共にヴァーリの顎に一誠の額がぶつかる。少し視界が揺らいだ瞬間に腹に膝蹴りが入り掴んだ拳が手放してしまう。

 

「確かに痛いもんは痛ぇ!だけど俺には定治との特訓で開眼して奥義パイスカウターがある!あらゆる攻撃をおっぱいにやられたものと考え、痛みをご褒美に変える奥義だ!」

 

「やはりイかれてるじゃないか」

 

「クヒ……ッ!フヒッ…!パ、パイスカウ…ククッ……!」

 

「おいしっかりしろニャル!おい!ダメだ笑い過ぎてて呼吸ができてねぇ!」

 

揺らぐ意識を戻してみると遠くで蹲る銀髪の少女の肩を揺さぶる定治の姿が見える。格下だと思っていたライバルにこうも苦戦するとは思わなかった。

 

悪い癖だと自覚しているが口角が釣り上がってくる。やはり戦いとはわからないものだ。笑みが溢れ、高揚感が高まってくる。そしてそれによって生じた隙をライバルは見逃さない。

 

「グゥ!!」

 

アスカロンの力を宿す鋭い拳が腹に突き刺さる。だが、それでもこの笑みは治らない

 

「ああいいぞ我がライバル赤龍帝!いや兵藤一誠!もっとだ!もっと俺を楽しませてくれ!次は何をしかけてくる!その全てを受け止め、俺が勝利してみせよう!」

 

「……ッ!………クヒヒッ!!」

 

「おいおい殴られてるのに楽しませろとかヴァーリの奴も変態発言しやがった!龍の神器使いは変態ばっかりかよ!!落ち着け!深呼吸しろニャル!」

 

『フッ……!ウフ……!な、なんなのあの子達…!アホにも程がある……フフ、フッ…』

 

「クソがぁぁぁ!!ユキちゃんもツボってやがる!!俺の周りはこんな奴ばっかりかよぉぉぉ!!」

 

「「うるせぇ(やかましい)!黙ってろ定治(アーミテイジ)!!」」

 

校庭には頭を抱えて絶叫する定治に向けて二人の怒声が響いていた

 

◆

 

闘いは現在ヴァーリが押し返していた。倍化と半減の読み合いを止め、闘争本能を剥き出しにしたヴァーリの攻撃が一誠に襲いかかる。

 

致命傷になるだろう攻撃を防ぎ、躱す一誠だが徐々に追い詰められてしまいまともに攻撃を受けてしまう。

 

「どうした兵藤一誠!貴様の力はそんなものか!?」

 

「クソッ……!」

 

口に溜まる血を吐き出し、再度殴りかかるがヴァーリはそれを物ともせず一誠の腹に拳を打ち込んでくる。

 

「カハッ……!?」

 

一瞬呼吸が出来なくなるほど強い一撃の後、顔面に拳が、肩、胸、脚に魔弾が直撃する。倍化の有利こそ保っているもののヴァーリには一誠から奪いに奪い続けたパワーが溜まってきている。両者の差はもはや歴然だ。ヴァーリの攻撃はパイスカウターで受け止めきれる痛みではなくなってきている。

 

だがそれでも一誠は諦めていなかった。

 

「ウオォォォォッ!!」

 

拳がヴァーリの顔面に突き刺さる。だがその後直ぐに満面の笑みを浮かべたヴァーリの拳も一誠の顔面に打ち込まれる。

 

「そうだ!それでこそ我がライバルだ!!ああいいぞ!もっとだ!もっと俺を楽しませろ!!」

 

意識はもう薄れつつある。だが負ける訳にはいかない。部長達を守るため為、もう足手まといではないと証明する為、そして定治に追いついてみせるという夢桐に誓った言葉の為。再度口の中に溜まる血を吐き出し拳を握りしめる。

 

呼吸を乱れさせるな、敵から目を晒すな、敵に勝つ為、己が全てをぶつけろ

 

今一度ヴァーリに拳を撃ち込もうとしたその時

 

一誠の決意に応え、身体から無数の小さな炎が溢れ一誠の内側から声が発せられた。

 

『その熱意、素晴らしいぞ少年!』

 

「「ハ?」」

 

溢れた炎に定治とニャル子の表情が固まる。そして直ぐに定治は険しい表情でルールブックを開き、ニャル子は冷や汗をダラダラと垂れ流す。

 

「アイツじゃねぇ!だけどあの炎はまさか……!おいおいマジかよ!!」

 

「定治さん!ちょっと私にも見せて下さい!」

 

ページを漁り、やがて二人の目に留まったのはとある唯一の存在が記されたページ。そこに記された存在は既に召喚済みのサインが記されており、定治の表情が更に険しくなり、そのページに記された存在の名を口にする。

 

「フサッグァ…!!」

 

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