ハイスクールD×D―龍帝に見初められし少年   作:nica

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まだ2話しか投稿していないのに、UAが1900件だと?
お気に入りが29件だと!?
あ、ああああああ、ありがとうございます!!マジ嬉しいです!!
いや~。勢いとノリで書いてるこの小説がこんなに読まれて本当恐縮ですわ。
これからも頑張って投稿していきますので、よければ読んでいってください!

今日中に投稿しようとしたので、ちょっと展開が強引な今回のお話。文章が浮かべば加筆修正するかも?それか誰かの回想シーンで補完かな?


第2話:稟と堕天使

 その声に反応した四人が部屋の入り口を見ると、其処には背中から十二枚の黒い翼を展開した着物姿の男が立っていた。

 その男を見た瞬間。ナナとラオは臨戦態勢を取ってミラと稟の前に出る。この男から感じる力が、先程までの悪魔達とは桁違いに強力だったから。王を護る為に。

「あの時の堕天使か」

 その二人とは対照的に、クシャルは構える事無く呟く。

「あら。知り合いかしら?」

「いえ、知り合いではありませんが、外の悪魔を殲滅する時に現れた輩でして」

 ミラは成程と頷き、男を見つめる。男は己を見つめてくる白い少女を見つめ返し、

「…お前さんは、まさか………」

 何かに気付いたように、声を震わす。絶対的な存在であるクシャル(ドラゴン)を前にしても飄々とした態度を崩さなかった男が、驚愕を顕わにしている。

「…ただの堕天使ではないようね。力があるだけでなく、私の事を少なからず知っているようだし。流石は堕天使の総督と言うべきなのかしら」

「ッ!?」

 ミラは楽しそうに笑みを浮かべ、男に一歩近づく。それを慌てて止めようとするラオとナナを手で制し、さらに男に近付く。男はそんなミラに対し、一歩後退る。無造作に近付いてくる、か弱い存在である筈の少女に対して後退っている。ドラゴンが警戒する力を持つ堕天使がである。少女は別に威圧をしているわけでもない。ただそこにいるだけ。ただそれだけなのに、男はその存在感に気圧されている。少女の内から漏れる、圧倒的な存在感に。

 そんな自身に、男は内心驚くが納得もする。この少女は、眼前で微笑むこの白き少女は、ただの少女ではないのだから。彼と同等か、彼以上の力を誇る三人の女性が畏まっている少女は、ただの少女なんかじゃないのだから。

 この、眼前にいる白き少女は、『伝説の中の伝説』。その名は運命の始まりを意味し、『全ての龍の祖』、『祖なるもの』ともされる『白き王』。その名が伝承に登場したことは一度としてなく、その姿を見たものは勿論の事、伝え聞いた者すらもほぼ存在しない。「伝説の書」、「古龍の書」、「終焉の書」と呼ばれし、存在するか定かではない三種の幻の文献を合わせて解読する事で辛うじて情報が浮かび上がる、幻の存在。天使、堕天使、悪魔の三大勢力が集結して力を合わせたとしても、それを軽く蹴散らす力を秘めし存在。

「堕天使の総督殿。貴方にお願いがあるのだけど、聞いていただけるかしら?」

 ミラは、『白き王』は、魅力的な笑顔を浮かべて堕天使にそう言った。

 

 

 

 

 

 

 意識が浮上するのを感じる。今まで暗闇の中で微睡んでいた意識が、徐々にだが覚醒しつつある。微かに見える光。それを求めるかのように浮上する意識に従う。ぼんやりとする思考で、何か、大切な夢を見ていた気がすると思いながら。

 

 

「……ぅ…」

 無意識に言葉が漏れた。

 意識が覚醒したものの、思考はまだぼんやりとしている。どこか気怠い身体を起こした稟は、周囲の様子を見る。

 病院のように白い部屋。しかし物は一切なく、あるのは稟が眠っていたベッドだけ。窓もない殺風景すぎる部屋を見回し、此処はどこだろうと考える。確か、自分が最後に覚えている場所はと、記憶を思い返そうとしたところで。

「…ぅん…」

 愛らしい声が近くから聞こえた。

 稟は首を傾げ、その声が聞こえた方へ顔を向ける。その声がしたのは、稟の真横だ。稟が寝ている、人が三人位眠れる大きなベッド。そこに自分以外の人がいた。その人物は毛布に包まって寝ており顔が見えない。一体誰だろうと、思っていると。

「………目が、覚めたのね」

 不意にその人物が目を覚まし、稟を見てそう呟いた。

 その人物は、稟を助けてくれた少女。精神世界という場所で、稟を独りにさせないと言ってくれた少女。何物にも染まってはならない、美しき白い少女。その彼女が、稟と目が合った瞬間安心したようにそう呟いた。

 だが。

「……………ッ!!?!!!?!?」

 その少女―ミラを見て数秒。稟は慌てて彼女から視線を逸らす。その際に、顔が朱に染まっていたが。

「…?どうしたの?顔を逸らして」

 そんな稟の行動に小首を傾げミラがそう訊いてくるが、稟には答える余裕がない。ドキドキドキと早まる鼓動を静めるのに精一杯で、とてもではないがミラを見る事なんてできない。何故なら。彼女は。一糸纏わぬ姿なのだったから。

 神秘的な輝きを放つ白銀の髪に、神の如き整った容姿。出るところはでていて、引っ込むところは引っ込んでいるスタイル抜群の華奢な身体。白磁のように透き通った美しい肌が、今眼前に晒されているのだ。とてもではないが冷静さを保つ事なんて稟にはできない。視線を逸らしても脳裏に浮かんでくるのだ。ミラの全裸姿が。どうしようどうしようと思考がパニック状態になる稟。取り敢えずはミラを直視しないようにと頑張ってみている。

 稟を不思議そうに見ていたミラだが、表情を緩めると稟へと手を伸ばし。

「くぁwせdrftgyふじこlp」

 稟を抱き寄せる。その際、稟の顔がミラの豊満な胸に包まれ、稟の言語機能が異常をきたしてしまうが、ミラは気にしない。自身が全裸である事を一切気にせず、稟を愛おしそうに抱き締める。

「無理ばかりしないで。心配したんだから」

 悲しげなミラの言葉に、稟は思い出した。見た事もない荒れ果てた廃墟の中で、ゲームの中でしか見る事ができない異形の存在がミラに襲い掛かろうとしていた事を。そして、その異形からミラを庇おうと身体が無意識に動いた事を。そこで再び意識を失った事を。

「私を庇ってくれた事は嬉しかったけど、それで貴方が傷付いたら意味がないの。もう少し自分を大切にして」

 意識を失った後も、ミラはずっと稟の傍にいてくれたのだろう。精神世界で言ってくれたように、稟を独りにさせない為に。稟が起きた時に誰もおらず、孤独だと感じさせない為に。全ては、稟の為に。しかし、それならば何も裸でなくてもよかったのではなかろうか。

 ミラの言葉で少しずつ平静を取り戻していくが、抱かれている為に完全には平静になれない稟。顔に当たっている柔らかい存在のせいで、顔が完熟したトマトみたいに赤くなっているのはご愛嬌という事で。

「どうやら坊主が目覚めた…って、何やってるんだ?お前さん方は」

 稟が気まずい気分になっていると、見知らぬ男がやって来た。それに慌てる稟だが、ミラはそんな事を気にせずに稟を抱き締め続け、男にジト眼を向ける。

「もう少し空気を呼んでくれないかしら?総督殿」

「いや、これでも空気を読んだ方なんだがな。なんだ、お前さんこのままヤル気だっ…なんでもないです、スイマセン」

 冷めた眼で男を見ていたミラに対し、厭らしい表情でミラをからかおうとした男はすぐさま謝る。その顔に、滝のような汗を浮かべながら。

 その理由は、ミラが美しいまでの笑顔を浮かべていたから。ただし、瞳は全く笑っていないという、怖ろしい笑顔をだ。そして、稟の内から感じる強大な殺気。まるで、下衆な事を言えばその命ないものと思えと言外に言われている事を感じさせられる、殺気。いかに堕天使の総督と言えど、命がヤバい状況だ。

「……稟。この男は堕天使という存在なの。訳あって、私達を保護してくれる事になったわ」

「…だてんし?」

「言葉の通りよ。堕ちた天使。元々は天使だったのだけど、様々な理由から堕ちて、純粋な天使ではなくなってしまった存在なの」

 いつの間にか顕現していたクシャル、ナナ、ラオに囲まれた男をスルーしてミラは男の事を簡単に説明する。稟はよく解っていないという顔をしたが、天使の事は御伽噺で聞いた事があるので取り敢えずは頷いておいた。

「訳あってって、お前さんが俺を脅した、あ、イエ。何デモナイデス。今ノハ言葉ノ綾デアッテ本心デハアリマセン」

 その、人間にとっては頂上の存在である筈の堕天使は、三人の美女と美少女に囲まれて片言になっているのだが。そんな男と、彼を囲む女性達を見つめて。

「ねぇ、ミラちゃん。彼女達は」

「えぇ。貴方が感じている通りよ。彼女達は、貴方が受け入れた存在。銀髪の子がクシャル。青髪の子がナナ。黒髪の子がラオよ」

「…そっか。所で、彼女達を止めなくていいの?何だが危ない雰囲気がするんだけど」

「稟が気にする必要はないわ。あの男は貴方に変な事を聞かせようとしたのだから反省が必要なの」

 男と三人の女性のおかげ?で平静を取り戻した稟は、ミラと言葉を交わす。勝手に進む展開に追いつけない稟の思考は、色々と麻痺したようだ。

「ちょ、ま、待て!話せば分かる!だから落ち着こう、な!?って、だから待って…あ、あぎゃああああああああああ!?!!?!」

 男は三人の制裁を受けて悲鳴を上げたのだった。

 

 

「…さて、改めて自己紹介をさせてもらおうか。俺はアザゼル。その嬢ちゃんが言った通り堕天使さ。堕天使組織―『神の子を見張る者(グリゴリ)』の総督ってのをやっている」

 そう言ってアザゼルは、背中に十二枚の翼を顕現させる。その姿はどこか相手を威圧するが、ドラゴン三人衆の制裁でボコボコにされている彼の姿からは威圧感が半減している。

「ボクは、りん。土見稟です。あの、アザゼルさん。ボク達を保護してくれるって…」

「ん?あぁ。そこの嬢ちゃんがな、俺に話を持ち掛けてきたのさ。私達を保護しろと。お前さん方を保護する代わりに、嬢ちゃん達が俺等に少なからず協力してくるという契約でな」

 アザゼルの言葉に、稟はミラを見つめる。ミラはそれに頷く事で肯定する。ちなみに、ミラは未だに服を着ていないがそれはさておき。

「まぁ、坊主は安心して俺達の組織に来ればいい。そうすればこの世界で安全に過ごせる。おいそれと他勢力が攻めてくる事はないからな。万が一にでも攻められたら」

「私達が稟を護るからね。無能な堕天使達を弄り回しながら」

ミラは 笑顔でアザゼルの言葉を引き継ぎ、ドラゴン娘三人衆はその言葉に同意と頷いている。それにアザゼルの顔が引き攣るが、

「とは言うが、全ては坊主。お前さん次第だ。お前さんがこの話を拒否すれば、俺は素直に身を引く。嬢ちゃん達もお前さんの意思に従うと言っていた」

「………ボク、は…」

 稟は顔を俯かせ考える。どうすればいいのかを。この見知らぬ世界で、どう生きていくのかを。

 彼の脳裏に、ふと彼女の顔が浮かび上がる。守りたくて守れなかった少女。自分の勝手な想いで人生を狂わせ、業を背負わせてしまった少女が。

 今、彼女はどうしているのだろうか。自分がいなくなって清々したのだろうか。もう一人の幼馴染は、いているのだろうか。周囲からの暴力から庇おうとしてくれていたのに、真実を伝えずに遠ざけていた幼馴染。彼女はないているのだろうか。

 彼女達にもう一度会いたい。自分で望んでこの世界に来たのに、そう思ってしまう。未練がましい事だ。女々しい感情だ。惰弱な精神だ。だが、それでも。彼女達と一緒に笑い合いたかったという想いだけをバネに頑張っていたのだから。

 自分から望んで、あの世界と分かれたのだとしても。もう二度と、会えないというのは嫌だった。纏まらない感情がぐるぐる回る。

 俯いてしまった稟を心配そうに見つめるミラ達。その瞳は本当に稟の事を想っていて、何もできない自らを悔やんでいる者までいる。ミラは稟を抱き締める力を強めている始末だ。

 一体。稟の何が彼女達にそうさせているのか。アザゼルは稟に興味を覚える。この、絶大な力を誇るドラゴン達が惹かれている少年に。何の力もない、ただの人間の少年に。

(嬢ちゃんに脅された時はかなり危機感を覚えたが、案外悪い話でもないみたいだな。シェムハザ達を納得させるのに苦労するかもしれんが、うまくいけば)

 アザゼルが自分の考えに没頭しかけようとした時。稟が顔を上げてアザゼルを見つめる。稟はその瞳にある決意を宿し、口を開く。

 その、言葉に。

 ミラは瞳を震わせ、クシャル、ナナ、ラオの三人は騎士が王の前でそうするかのように、片膝をつき首を垂れる。アザゼルは稟の言葉を反芻し、

「本当に、いいんだな?」

問い掛ける。

稟はそれに頷き、強い意志を秘めた瞳でアザゼルを見つめ続ける。

アザゼルそれに頷き。

「分かった。俺達がお前さんを保護してやる。これからどのくらいの付き合いになるかは分からんが、よろしくな」

 こうして、稟は異世界での一歩を踏み出した。

 彼は何を想い、この選択肢を選んだのか。それは彼自身にも分かっていないのかもしれない。

 ただ分かる事は。彼がたった一つの想いを貫き通したい事だけ。誰にも理解されずとも、その想いだけは、自分でなくしてはいけないのだから。それをなくせば、土見稟という存在自体が無意味になってしまう。

 龍帝に見初められた少年は、儚い願いを胸にしまって歩む事を決意した。

 

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