ハイスクールD×D―龍帝に見初められし少年   作:nica

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俺に戦闘描写なんて書ける訳ねぇだろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!??


頑張ってみたけど、これが限界でした(涙)
これじゃあ、ISの方もヤバいよ……
もっと戦闘描写の勉強しないと。



そうだ、活動報告にて質問とかしておりますので、もしよければ答えていただけると幸せです。
今後も何かしらのアンケートとかとろうかな~、とか思っていますので、気が向いたときにでもコメントいただけるといいな~、なんて(苦笑)


第5話:悪意

 所々で休憩を挟み、三時間ほど歩き続けた頃。

 彼等は目的の廃墟へと辿り着いた。

 一体、どれ程の時を風雨に曝され続けてきたのか。かつては何かの研究施設だったのであろうその建物は、見るも無惨な廃墟へと変わり果てている。まぁ、はぐれ悪魔が根城にするには相応しいのかもしれないが。

「此処までは一緒に来たけど、ここからは勝手にやらせてもらうから」

 そう言うとレイナーレは、右手に光の槍を携え背中から二枚の黒い羽根を生やしていた。ちなみに、いつの間にか服装が露出度の高いボーンデージ姿になっており稟を赤面させているのは余談である。

「ま、頑張んなさい」

 そう言い残して、彼女は廃墟の中へと飛び込んでいく。

 暫し稟は呆然とするが、アザゼルに言われた事を思い出して彼女を追いかけようとする。が、彼女の自分に対する態度を振り返って追いかけようとするのを諦めた。ここで彼女を追いかけても、邪険に扱われるだけだろう。なら、下手に後を追って機嫌を害すよりも彼女の気の向くままにさせておいた方がいいだろう。稟にはぐれ悪魔討伐を依頼する位だから、危険はそうないだろうし。

「あの小娘の事は放っておいて、稟も目的を果たしなさい」

 レイナーレの方を見ていた稟に、どこか拗ねたような声でミラがそう言ってきた。

 稟はそんな彼女に振り向き、思わず眼を瞬かせる。

「…………何?」

 自分をじっと見つめてくる稟に、居心地が悪そうに尋ねるミラ。別に稟にじっと見られる事は恥ずかしい事ではなく、寧ろ喜ばしい事なのだが、ここまでじっと見られると流石に気恥ずかしさを覚えてしまう。いつもと変わらぬ純白のドレス姿のミラであるが、稟は何故彼女をじっと見ているのか。

「綺麗だね。その純白の翼、まるで天使みたいだ」

「てっ!!?」

 それは、ミラの背中から生えている神々しい輝きを放つ純白の翼が原因であった。

 今まで稟に翼を出した姿を見せた事がなかったミラだが、レイナーレに触発されたのか否か。まるで彼女に対抗するかのように翼を出していたのである。その姿がまぁ、彼女の美しく神秘的な容姿と相まって見事に似合っている。それは確かに、稟が言う通り天使に見えなくもない。彼女の正体は龍であるが。

 そんな稟の天使発言に、ミラは顔を真っ赤にさせている。その反応は、見た目相応であるのだが。

(王よ、何を年頃の小娘みたく赤面しているのですか)

 そんなミラに対して、クシャルダオラが呆れた口調でそう告げる。

 見た目は少女であるが、ミラ達ドラゴンは人外。数えるのも馬鹿らしい年月を生きてきているのだ。そんな存在が年頃の少女のような反応を見せるのは、何とも言えず。

(稟殿の発言は、まぁ無自覚なんでしょうけど、その言葉で照れる歳でもないでしょうに)

 やれやれと、嘆かわしいと言わんばかりにそう呟いた。呟いてしまった。

(…………クシャル?)

(ひっ!?)

 優しい優しい、とても優しく慈悲深い響きを伴ったミラの声を聞き、クシャルダオラは思わず悲鳴を上げてしまう。そして、恐る恐るミラの顔を窺う。

 ミラの表情はとても穏やかで、見る者全てを魅了させるとても美しい笑みを浮かべていた。だが、その表情を見たクシャルダオラは。

(あ、ああ、ああああぁぁぁぁぁぁ……)

 全身を震わせ、何かに怯えるかの如く、表情を絶望に染めていた。

 そしてそれは、何もクシャルダオラだけではない。

 内心でクシャルダオラと同様の事を思っていたドラゴン達もまた、彼女と同じ表情を浮かべていた。あまりの恐怖に、全身をガタガタブルブルと震わせながら。

(お前、後で覚悟しておけよ?クシャルと同じことを考えた奴もな)

 ドスのきいた声で、据わった目付きで放たれた言葉に、クシャルダオラ達は壊れた玩具のように何度も頭を縦に振る。少しでも嫌がる様な素振りを見せれば、死よりも怖ろしい折檻が待っている事だろう。

 ちなみにこのやり取りは、特殊な空間で意思疎通ができる彼女達ドラゴン特有の方法で行われている為に、稟には気付かれる事がなかったりするのだ。

「どうしたの?」

「……何でもないわ。さ、貴方も行きなさい」

 誤魔化すかのように視線を逸らすミラ。

そんなミラの態度に釈然としないものを感じるが、いつまでも此処で立っている訳にもいかない。

 稟は意を決すると、身体を廃墟に向ける。

「稟には、私達の加護がある。今回、私達は手を出せないけど、頑張って」

 祈るように、不安を押し隠すように囁かれるミラの言葉に、稟は微かに笑みを浮かべ。

「ん、行ってくる」

 稟は、廃墟の仲へと入っていった。

 一人廃墟の前に残ったミラは、膨れ上がる不安を必死に殺そうと顔を歪めている。

 本当であれば稟の傍に今すぐ駆け寄り、彼の身を護りたい。

だが、今回の件は不穏分子を焙り出す為の囮。『神の子を見張る者』内でも彼女の容姿は知れ渡り、彼女の力も有能な堕天使であれば気付いている。有能でなくとも力の強大さには気付いている者もいるが、その恐ろしさを漠然としか感じれないだろう。そんな彼女が稟と共にいれば不穏分子を焙り出す事も出来ない。姿を変え、姿を隠し、気配を殺しても、完全に存在そのものを消す事は流石のミラでも不可能。寧ろ、絶大な力を誇るドラゴンが故にその存在感は感知されやすい。

 それでも此処まで着いて来たのは、どうしようもなく稟の事が心配だから。

 恐らく、いや、確実にミラ達ドラゴンが稟に付いて来る事は気付かれている。そしてこの場にミラがいる事も不穏分子達に気付かれている。それでも、彼等はこうして動き出した。ミラやアザゼル達に気付かれても、動かれても、どうにか掻い潜る算段でもつけているのだろう。故に、この好機を逃さないべく行動に出てきたのだろう。その手段の予測はつかないが、アザゼルや他のドラゴン達を信じるしかない。

「どうか、無事で……」

 不安そうに紡がれた言葉は、降りだしはじめた雨の音に掻き消されるのだった。

 

 

 

 

 

 

 稟達と別れ、先に廃墟内に先行していたレイナーレは、廃墟内を歩きながら首を傾げていた。

「……おかしいわね。シェムハザ様の情報通りならもっと多くのはぐれと遭遇しているのに、それよりも遥かに少ない数しかいないなんて」

 時々遭遇する悪魔。それを持っている槍で貫きながら歩を進めるレイナーレは訝しげにそう零す。

 別にはぐれ悪魔が全くいないわけではない。現に、彼女は此処に来てから数十匹の悪魔を始末している。しかし、彼女が敬愛しているシェムハザの情報通りならばもっと多くのはぐれが存在している筈なのだ。

 アザゼル達堕天使がはぐれ悪魔と称している存在。それは、知能があまりない、群れる事を好む下級の悪魔達を指している。ゴブリンやゲル状の、俗に言うスライム。動物型や昆虫型の悪魔がそう呼ばれている。

「それに……誘われている?」

 先も言ったがはぐれ悪魔は知能が低い。基本的に本能のままに行動しているからだ。その悪魔が、知能を持っているかのように動いている。彼女をこの廃墟の奥へと誘うかのように。もしくは、何者かに操られているかの如く。

「…………考えても仕方ないわ。取り敢えず先に進んでみましょう」

 馬鹿馬鹿しいと、自分の考えを一笑に伏すレイナーレ。どうせ何かの偶然だ、たまたま今回のはぐれ悪魔達が特異なケースなのだと思って。

 彼女は先へと進む。

 気味悪い何かを感じながら。

 

 

 

 

「此処は……?」

 一体どれ程歩いていたのか。

 廃墟内を歩いていたレイナーレが辿り着いた場所。其処は、何かの培養施設と思わしき場所で。

 罅割れ、無惨に砕け散った培養槽の破片が破片が無数に散らばっていた。其処は、つい最近まで使われていたのではないかと思えるくらいに生々しい跡が残っており、変色したと思われる培養液が鮮明に残っていた。

 本当に此処は、廃墟なのだろうかと思える光景でもあった。

「…………なんなの、此処は?」

 無意識に零れる言葉。

 知らず後退ってしまった彼女の足に、何かが当たった。

「……?何、これ」

 それは、ボロボロになってしまっているが何かしらの研究ノートだった。ページの多くは抜け落ち、文字も長年の風雨に曝されて読めなくなっているが、何故か表紙の文字だけ数か所読めた。そこに浮かんでいた文字は。

『……成……獣……メ…………験レ…………ト』

 と。

 何故だろうか。その文字を見て、妙な寒気がするのは。

 どうしてだろうか。その文字を見てから、不気味な獣の唸り声のようなものが聞こえるのは。

 どうして、脳裏に、継ぎ接ぎだらけの化物の姿が映ってきているのだろうか。

「何を、馬鹿な…………誰ッ!?」

 不吉な感覚を振り払うように頭を振ったレイナーレだが、何かの気配を察知したのか鋭く誰何の声を上げる。

 しかし、注意深く周囲の状況を窺ってみるものの何の変化もない。何者かの気配もしない。はぐれ悪魔の気配すら。

「気の、せい?…………ッ!?」

 ならば気のせいだったのだろうか。

 腑に落ちず首を傾げるレイナーレだったが、突如背後に何者かの気配を感じ慌てて振り返ろうとするも、後頭部に強い衝撃を受けて意識が混濁してしまう。

(アザ、ゼル様……シェム、ハ、ザ様……)

 徐々に薄れいく意識の中、レイナーレの脳裏には敬愛しているアザゼルとシェムハザ。そして、廃墟に来る道中の彼女を、気遣うように語りかけてきていた稟の姿が浮かんで。

(……り……ん……)

 意識していないとはいえ、見下している人間(りん)の名前を浮かべてしまった。

 意識を保とうと何とか抵抗するも、抵抗虚しく彼女の意識は絶たれてしまう。

 

 

――ドサッ

 

 意識を刈り取られ、倒れ伏すレイナーレ。

 そう仕向けた仕掛け人は黒いフードで全身を包み、男か女か、はたまた堕天使か悪魔なのか判らない。その存在は肩を震わせながらクツクツと嗤い、倒れ伏しているレイナーレを嘲るように見下ろす。

「ふふふふ。光栄に思うがよいぞ、小娘。貴様は、偉大なる御方が栄光の道を歩む為の礎となる事を認められたのだ。穢らわしい人の子を掃除する為に役立ってもらうぞ」

 魔法か機械で変成されたのか、男か女か判別できない声。人の神経を逆なでするかのような声を発した人物は、己の夢想に酔いしれるかのように嗤う。

 見えざる悪意は、徐々に形になりだした。

 隠れていた悪意は動き出し、その欲望を顕現させる為に表舞台へと現れる。

 ミラの不安は的中し、悪意はついに踊りだしてしまった。

「さぁ、幕は開いた。我等が舞台に下等な人間など必要ない。あの人の子には我等が聖域より早々にご退場願おうか」

 何者かは嗤う。ただただ嗤う。これからの出来事に狂喜するかのように、歪に、悍ましく。

 今まで隠れていた悪意は、その牙を剝いた。

 

 

 

 

 

 

「……?」

 廃墟内の朽ち果てた通路を歩いていた稟は、ふと誰かに呼ばれたような気がして後ろを振り返った。

 

――どうされました?稟殿。

 

 急に後ろを振り返った稟に首を傾げ、クシャルダオラが問いかける。

彼女達ドラゴンは稟の傍に顕現していないが、彼の脳裏に言葉を響き渡らせる事で会話が可能なのだった。

「いや、誰かに呼ばれた気がしたんだけど」

 

――誰かに、ですか?

 

 戸惑いながらそう答える稟に、クシャルダオラは訝しげに返す。

 この廃墟にいるのは、ドラゴン達とはぐれ悪魔を除けば稟とレイナーレしかいない。そのレイナーレにしても、先に廃墟に入って行ったが故に居場所が分からない。連絡する手段がないからどうしようもないのだ。

 ひょっとしたら、そのレイナーレの身に何かが起こったのかもしれないが、あの傲慢で人間を見下している彼女が人間(りん)に助けを乞うだろうか。紅クシャルダオラには姿が想像できない。ならば稟の気のせいなのだろうか。

「気のせい、だったのかな?……ととっ」

 正面から突撃を仕掛けてきたゲル状の悪魔に現状を思い出し、稟は慌てて身体を横に投げる事でその攻撃を躱す。だが、悪魔はその一匹だけではなく。

 

――考え事をするのは構いませぬが、今の状況にも気を配りなされ。悪魔はまだいますぞ。

 

 無数の悪魔に囲まれている現状を稟に思い出させるように、炎妃龍ナナ・テスカトリが注意を促す。

「ん、そうだね。ごめん」

 ドラゴン達の加護があるとは言え、稟は人間。悪魔の一撃は、たとえ掠っただけでも人間に致命傷を及ぼす。ドラゴン達や自身に親しくしてくれているアザゼル達堕天使に特訓をつけてもらい、そのおかげで身体能力が向上しているとは言え一瞬の油断が命取りとなる。

 ナナ・テスカトリの言葉に気を引き締め、稟は気持ちを切り替える。

 今や廃墟になっているとは言え、この場所は相当に大きい場所だったのあろう。朽ち果ててしまった通路は王宮や、それに匹敵する建造物並の大きさと広さを持っていた。

その通路で稟を囲うようにして群がっている悪魔達。その悪魔の群れの動きを注意深く観察し、稟は退却の方法を考える。はぐれ悪魔の討伐が任務であるが、流石にこの数をまともに相手にすれば稟が先に力尽きて倒れるのは明白である。

 人間と人外では体力に差がありすぎる。それに、多勢に無勢だ。いくらドラゴン達の加護があるとはいえ結果は火を見るよりも明らかであろう。

 だが、悪魔達は稟に考える時間を与えない。

 本能のままに暴れるだけだ。

 

――来ますぞ、稟殿!

 

 ナナ・テスカトリの鋭い声に、稟は眼を細め気を引き締める。アザゼルやシェムハザに連れられて人外との戦いに赴いた事はあるが、本格的な戦闘は今回が初めてである。緊張を押し隠し、この場を無事に切り抜ける為に全神経を集中する。

 正面から迫り来る悪魔の群れ。その筆頭は手に棍棒や斧等の凶器を持ったゴブリン達。ゴブリン達は手に持った凶器を振り下ろしたり、突きだしたりして稟の命を刈り取らんとしてくる。稟はそれを、後ろに二歩ほど下がる事で躱し、左右から挟撃して来る悪魔達に対してはジャンプする事で躱す。攻撃を躱された悪魔達は稟がジャンプした方へ顔を向け、彼が落ちてくるのを待ち構える。

 ただジャンプをするだけでは直ぐに悪魔達の群れの中に落ち、その命を散らす事になるだろう。だが稟にはドラゴン達の加護がある。直接的に稟の身を護る事はできないが、クシャルダオラの風の鎧のように間接的に身を護る事はできるのだ。

 クシャルダオラを筆頭に、風を操れるドラゴン達は風を操り、触れる事が出来ない風に実体を与えて足場にし、それに稟が飛び移る。風の鎧のおかげで稟の跳躍力が常人のそれを超えているから出来る芸当だ。とは言え、ずっと足場に出来る訳でもない。一定時間を超えると足場は元の状態に戻るので頻繁に移動を繰り返さなければいけない。

 稟は投擲されてくる凶器を何とか避けつつ、神経を集中して移動を繰り返す。一歩でも行動を誤れば、足を踏み外せば即死に繋がるのだ。彼の額には、緊張のしすぎで汗が浮かんでいる。

 稟は廃墟の奥を目指しながら空中を移動し続ける。元来た道を戻ろうにも、そこには大量の悪魔が集まり、瓦礫の集まりでいつの間にか扉が封鎖されているからだ。その点、奥へ続く扉は悪魔の群れで封鎖されているものの、その悪魔を排除すれば進む事は可能。稟の決断は早かった。

(ナナ、クシャル、お願い)

 稟は心でそう呟き、彼女達の力を引き出す為に祈るようにして神経を集中させる。

 稟が精神を集中させた後。少し間が空いてからゴオォォッ!!という轟音と共に、彼の右腕に風が、左腕に炎が渦巻きながら顕現する。

彼女達ドラゴンとの特訓の結果、稟は多少なりとも彼女達の力を使う事が可能になっていたのだ。本来の彼女達の力には到底及ぶものではないが、その力は絶大。並の人外では到底抗えるものではない。ただの人間である稟が力を使えるようになった時はさしものドラゴン達も驚きを隠せなかったものだ。ただ一人、ミラを除いてだが。

 稟は決意を秘めた瞳で眼下の悪魔達を見下ろし、その身を悪魔達が待ち構える場所へ放り投げる。最初はゆっくりと、重力が加わり徐々に加速して地面に近付く稟。

「薙ぎ払え!!」

 迫り来る死の恐怖を押し殺し、稟は吼えるように叫んで両腕を振り払う。

 瞬間。

 

――ゴオォォッ!!

 

 轟音と共に顕現していた風が、炎が獲物を求めて荒れ狂う。

 彼女達の本来の力には程遠いが、それでも下級悪魔には脅威に違いはなく。自分達に向かってくる力の波動に恐怖を感じた悪魔達は、その脅威から逃れよう動こうとする。しかし、密集していた為に動ける筈もなく。

 群れていた事が仇となった悪魔達は、研ぎ澄まされた風の刃に切り刻まれながら吹き飛ばされ、荒れ狂う炎にその身を包まれて焼失していく。その攻撃範囲から外れていた悪魔達にも、炎が着弾した箇所から粉塵爆発が発生し、その爆発に直接呑み込まれる者。その余波で吹き飛ばされる者、縦横無尽に走る風の刃に両断される者と様々。攻撃に巻き込まれた者に五体満足な者はいなかった。

 辛うじて攻撃に巻き込まれなった悪魔達は、本能で恐怖を感じ我先にと逃げ出す者、それでも稟に攻撃しようとしてくる者との二通りに分かれた。後者は圧倒的に少数で、風の鎧のおかげで無事に地に足をつけた稟は、殴ったり蹴ったりで対応して撃退する。ドラゴン達の加護のおかげで素手でも何とか対応できるのだ。

 先程の攻撃で道が開かれた為、稟は逃げる悪魔は無視して廃墟の奥へと進む。アザゼルの話通りなら、廃墟の奥に下級悪魔の中でも大型の悪魔がいるらしい。その悪魔を討伐すればこの任務は終わる。稟は胸中に溢れる不安を押し殺して先に進むのだった。

 

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