IS インフィニットストラトス〜Revelation of Nightmare〜 作:クローサー
ただひたすらに、愚直に。
我らはその為に過去を求める。
愚かなる世界に再びの混沌を。
──ある研究員の日記より
──
分類上はパワードスーツに入るのだろうが、同時に純粋な戦闘用でもある。
宇宙探索を前提として作られた
それを身に纏った操縦者を
そんな次世代兵器を作り上げたのが、"ベルカ機関"。終始、表舞台には一切その姿の鱗片さえ見せる事が無かった狂気の亡霊。
ベルカ機関創設のきっかけは、1945年まで遡る。
世界の何処かにある国、その地下深くから偶然的に"ソレ"は発見された。
"ソレ"は、1945年当時の技術では到底計り知れず、それを解析すれば、数十世代もの期間がかかるであろう技術改革を一気に得る程の技術を一つの形に収束した、過去に存在した異次元レベルの技術結晶。そして"ソレ"の存在は、今までの人類の歴史を丸ごと全てひっくり返す存在でもあった。
──そして"ソレ"は、"旧世代の遺物"と命名された。
旧世代の遺物の存在は世界に広まる事は無く、歴史の闇に封印された。その理由は、当事者しか知らない。
だが、その存在を完全に隠匿するのは不可能。まるで雪解け水のように、旧世代の遺物の存在は闇から闇へと、伝搬するかのように少しずつ伝わっていった。
そして各国から旧世代の遺物を知る、マッドサイエンティストと呼ばれるであろう科学者が集い、ベルカ機関は設立された。
その目的は、旧世代の遺物の"完全再現"。現代の技術に飽き足らず、どんな方法を使ってでも更なる未来を求める彼等にとって、旧世代の遺物という存在は、正に兆の黄金にも匹敵する価値と興味を秘め、そして飽き足らない好奇心を何よりも刺激した。
ありとあらゆる分野の科学者が、闇へと流れ出た僅かな、それこそ憶測とも言えるデータをとことん漁り、さらなるデータを求めて非合法な取引や様々な犯罪を行い、とことんデータを集めていった。
そして、それぞれの母国に適当な言い分で資材と資金、更に一部の国から旧世代の遺物のデータを調達。勿論その"見返り"は必要だが、そんなものは少し時間を掛ければ無尽蔵に出てくる。
ベルカ機関のメリットは貴重な資金と資材、データ。それを流す政府のメリットは、異次元レベルの技術の入手。正にWin-Winな関係で、ベルカ機関と世界各国は繋がった。更に言えば、万が一ベルカ機関が消失したとしても政府は全く痛くも痒くもない。危険思想を持つ科学者が居なくなってしまうだけだ。
創設から数年後、各国の協力の元、膨大な面積の研究施設を設立。ベルカ機関に所属する者達は全員其処に移り住み、日夜研究に没頭した。
そして、1950年。旧世代の遺物の解析、研究するプロジェクト《アーマードコア》が開始された。
プロジェクト《アーマードコア》と同時並行で、2つの研究も進む。
1つは、旧世代の遺物の再現機の実験に耐え得る人間を造る為の研究。その過程は、まずは製造元となるDNAと細胞を入手する。そしてそれらを培養しながら強化剤等の薬物を投与し、人間を一から人工的に造る。その方法はかなり強引で、膨大な数の試験体が造られたにも関わらず、命を宿したのは4割未満だった。
もう1つも、再現機の実験に耐え得る為の能力を手に入れる為の研究。"バイオシステムデバイス"と呼ばれるそれは、ブレイン・マシン・インタフェースの一部技術を利用した強化装置。開発経緯は不明で、大きく分けてC型とT型の2種類が存在するが、どちらも人間の脳を使用している共通点がある。
C型は人間の脳髄をそのまま摘出し、それを生体コンピューターとして使用するもの。高い性能を誇るが動作が不安定であり、戦闘経験の無い試験体では逆に性能が低下した為に、後述のT型が開発される事になる。
T型は脳に機体のCPUと直結する装置を埋め込み、戦闘能力の向上を図ったもの。例え新兵でもT型デバイスを組み込んだ状態ならば熟練の兵士に匹敵する程の高性能で、どの様な試験体だろうと一定の戦力を確保出来る。強力であればあるほど強力になる理想的なデバイスだが、人間の処理能力の限界を超えている為、脳に異常なまでの負荷が生じ軽度の記憶障害から人格の変容、そして精神崩壊を引き起こす弊害がある。後に開発されたUFTシステム、AMSシステムの原型が、T型だ。
こうして3つの研究を同時並行で行う事、55年。2000年2月22日、遂に1号機が完成する。
全ての
まだまだ解析や研究こそ不十分で、フレームや武装は旧世代の遺物を半ば強引に復元しただけ。それでも現行兵器の常識を根本から覆し得る程の性能を秘めていた。
より正確に、そして旧世代の遺物の復元に頼らずに生産出来るように、プリムスと試験体による実験はすぐに始まった。一回一回の実験毎に、とても紙幣には交換出来ない価値のデータが次々と取れて行き、その恩恵は各国にも流れていった。
プリムス完成より5年、2005年1月17日。
日本国内に向けて、2341発のミサイルが発射された事件《白騎士事件》が発生。この事件によって、インフィニット・ストラトスの存在が世間に認知され、その特性により、急速に女尊男卑が浸透していった。各国もインフィニット・ストラトスを奪い合い、IS運用協定──通称、《アラスカ協定》が制定。限られたISコアが分配されて研究され、そして世界最強の兵器として、安全なスポーツの道具として運用されていった。
──しかし、各国にとってインフィニット・ストラトスはどうでも良かった。むしろ、「邪魔」と認識していたのだ。
その理由はただ1つ。インフィニット・ストラトスより
《アラスカ協定》を制定したのも、インフィニット・ストラトスを研究して運用し始めたのも、世間を納得させる為に渋々やっただけの事。ベルカ機関に繋がっていた国家が共同で用意した台本に沿っただけだ。当然、政治にも食い込もうとした愚かな
こうして、表ではインフィニット・ストラトスを現行最強の兵器として扱い、裏では旧世代の遺物の研究に協力するようになる。ベルカ機関も、『プリムス』の存在によって順調に解析研究は進み、先行量産型
しかし4ヶ月後。2005年5月21日、事態は急変した。
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『君に出会うのは、これが初めてかな?それとも、以前にも会ったかもしれない』
「何を言っている?」
『まあ、そんなこと、どうだっていいよね』
「……俺に何の用だ」
『君に依頼がある、その腕を見込んでだ』
『依頼内容はごく簡単。極秘研究所で開発された新型機動兵器を強奪して欲しい。そう、
『どうだい?僕からの依頼、受けてみる気はあるかな』
「生きる糧になるなら、虐殺でもしてやるさ。内容の詳細を頼む」
『契約成立だね』
「……お前は何と呼べばいい」
『僕の事はどうでもいいだろう?まあ、なんと言ってくれても構わないよ。どうしてもと言うなら、そうだね……』
「なんだそれは」
『属している組織の名前さ。代表者みたいなものだし、これが一番なんだよ。君もそうだろう、"傭兵"』
「確かにな、"財団"』