pso2仮想戦記二年前の戦争 作:オラニエ公ジャン・バルジャン
schloss von gott要塞内は慌しく、ダーカーとダーク・ヒューマンが要塞内を走り回っていた。要塞内の市街地にすむダーク・ヒューマンの民間人も、不安に駆られていた。要塞宙域に手負いの、今、まさに轟沈しそうな戦艦が救援を求めていたのだ。この手負いの戦艦は、偵察艦隊の旗艦護衛艦であったが、突如、現れたオラクル軍の大艦隊にたった一回の主砲斉射でこの一艦を残して、全滅したらしいのだ。要塞には、今、二人の主人が居る。ダーク・ファルス・ルーサーとエルダーの模像体その中でも最初期に作られた個体の一体であり、能力も高かった。ルーサーは要塞司令官を任せられ、エルダーは、要塞防衛艦隊司令官を任せられていた。然し、この二体…二人?が仲良く、要塞の二大君主で収まっているわけ無かったのだ。そもそもオリジナルのルーサーとエルダーがウマが合わなかったように、クローンである彼らもそれを受け継いでいた。軍団の大将としての統率力、参謀としての軍略と知識。エルダーには前者があり、ルーサーには後者があった。この二人が共に手を取り合って戦っていたら、この戦争の戦況はもっとダーカー…いや深遠なる闇のとって有利に働いていたかも知れない。然し、問屋は下ろさなかった。理屈家と猪武者は馴れ合う事は無いのは、歴史が証明しているが、国家、種族、主義…いや宇宙の存亡の掛かったこの戦争でもこれらの理由で、軍団指揮官クラスの人間が内輪揉めを起こすような状態では落ちぬ要塞も落ちるのは赤子でも分かるだろう。ただ、彼らの共通点…全てのダーク・ファルス・クローン(強躯『エルダー』、敗者『ルーサー』、若人『アプレンティス』)の共通点があるとしたら、創造主たる深遠なる闇同様に、ダーク・ヒューマンを同族とは見ておらず、対アークス及びフォトン使用可能生命体戦用の人間兵器程度にしか見ていないのだ。その為、もとは、オラクル陣営にあったこの要塞のコントロールの為に50000名のダーク・ヒューマン兵とその家族が要塞に居るが、ダーク・ファルス果ては中級以上のダーカーまでもが気に入らなかったら、殴る、蹴る果ては性的暴行まで、加える始末であった。その為、両種族は大変仲が悪く、ダーク・ヒューマンはダーカーからの独立を目指す動きも活発になりつつあった。そんな一種の爆薬のような要塞に突きつけられた非常事態。エルダーは麾下艦隊に出撃を命じ、ルーサーは防衛態勢を敷き、要塞主砲『Atem Gottes(神の息吹)』を、発射可能な体制にした。Atem Gottes。要塞主砲の中で、トップクラスの威力を誇る巨大レーザー兵器であり、第二次帝政末期にこの要塞に搭載された破壊兵器であり、属する陣営が変わる度に様々な国に恐れられた為、宇宙では知らぬ者は居ない。その破壊兵器を警戒し、尚且つ、堂々と、25000隻の大艦隊がワープアウトし、瞬く間に手負いの戦艦にレーザーを放ち、手負いの戦艦は塵となった。そして猛スピードで、要塞に向かって行った。と思いきや、急速に進路を変え、背を見せ、まるで挑発、と言うより誘惑するように悠々と引き返していった。エルダーは堪らず艦隊出撃させた。仮に劣等種が乗り組む船だったとしてもエルダーの武人としての矜持が敗残の戦力とも見なされない一隻の艦に全艦で当たったこの卑劣さに感化されたのか、いや恐らくこの艦隊の挑発に乗せられたからであろう。ルーサーは呆れつつも、エルダーの出撃を許可し、敵艦隊方向に、要塞主砲と要塞各種兵装を向けた。さてこの要塞に住まう者たち全員に喧嘩を売った酔狂な輩はやはり、我らの若い提督(タクミ)の艦隊であった。そしてその先頭にエドワード・アースグリム大佐が乗艦する戦艦パンゲアが居た。『さて、これで奴さんに手袋を叩きつけたぞ。次は敵艦隊が、こっちを射程に収めてくれるまで待つ。』
『やはり、待たねばなりませんか?』アースグリムの副官である。ロン・ヤオ中佐は聞いた。『喧嘩を売った張本人が逃げたらあかんでしょ?各艦隊に準備をするように伝えてくれヤオ中佐。敵が顔を真っ赤にして来てるんだからな。』アースグリムが生気に満ち溢れた顔をして命令するとその副官も力強く頷き下層環境に戻り、伝令した。(さてさて、後輩に気難しい客を押し付けて柔な客を相手するひどい先輩は上手くやるかな?)アースグリムは後方の艦隊旗艦、いや今は、偽装旗艦である。武蔵をみてこう思っていた。今、艦隊旗艦は武蔵では無かった。今、この時の第一艦隊旗艦はパンゲアであった。何故ならこの時第一艦隊司令官タクミ・Fは居ないからであった。話は数時間前に戻る。タクミは艦隊の幕僚達と要塞攻略を思案していた。課題はやはり要塞の占拠であった。艦隊を撃破しても、宇宙トップクラスの威力を誇る破壊兵器を持つ要塞とまともに戦って、勝てる筈が無かった。そこで要塞と艦隊を完全に分け、別手段で各個撃破する策が提示された。タクミはダーク・ヒューマンの戦艦を一隻、ルイに用意させていた。それに高純度のフォトン粒子を充満させ、要塞と艦隊の間で沈め、艦隊と要塞を一本の粒子の帯で結ぶという物だった。この宇宙で生きる者が使うワープ。ダーカーとダーク・ヒューマンを除く全ての生物はフォトン粒子をエネルギーにしてそれらを可能にしていた。要塞宙域はネガフォトンで覆われている要塞宙域にフォトン粒子の道を作り、オラクル最精鋭アークス、オラクル陸軍連合歩兵連隊ポツダム連隊を要塞内に直接送り込む作戦であった。彼らが要塞を中から制圧してる間、第一艦隊が敵艦隊を惹きつける。然し、何故艦隊指揮官であるタクミが行かねばならぬのか?彼は敵艦隊を引き付けるように逃げる演技は自分よりアースグリムの方が上手いことを知っていた為彼に艦隊を任せていたが、それとは別に彼自身がポツダム連隊と共に要塞内に侵入する事で敵将に降るよう仕向けさせることが目的であった。もっとも相手はルーサーなので可能性は低いのだが、(良くて自決だろうな)とタクミも思っていた。あるいはただ要塞内に突入し、武勲をあげたかっただけかも知れない。真意は分からない。ともかくタクミはポツダム連隊と共に武蔵のポツダム連隊控え室にいた。ここに居るアークスと兵士は皆、紅い装甲服(ソルプロテクトル)を身につけ、武器を点検し、砥石で削り、弾倉を装填し、イメージトレーニングをしていた。連隊長フリードリヒは立ち上がって口を開いた。『そろそろ時間だ。本日のゲスト兼助っ人の提督閣下よりお言葉を貰おうとしよう。』フリードリヒの洒落た呼び掛けに連隊員は盛り上がった。入ってきたのは、これまた紅い和装型装甲服(新光漢大鎧)に身を包んだタクミであった。武器は上級カタナ兵装の中でも普及率の高い剣影、ガンスラッシュゼロと言う出で立ちである。『え〜…まぁあれだ。健闘を祈る。ただでさえ馬鹿馬鹿しい戦いなんだ。こんな所で死んだら面白くないからね。以上。』実に簡素であったが兵士達には充分であった。『さぁ時間だ。行くぞ‼︎』フリードリヒが叫ぶと連隊員は雄叫びをあげた。タクミはこの連中の狂気と覇気を肌で感じ取っていた。(流石は船団一の戦闘集団。やはり只者では無い。)タクミは胸中にある畏敬と畏怖の眼差しをこの3000名の男達に向けるのだった。瞬間、辺り一面光に包まれ、目を開けた時には見慣れない廊下に立っていた。テレポートしたのだ…schloss von gott要塞内部に。彼らは外の敵艦隊に感づかれる前に要塞中心部、司令室を占拠しなければならない。もし感づかれれば、敵艦隊は第一艦隊を無視して要塞内に突入し、挟み撃ちにしてポツダム連隊を皆殺しにしてしまうだろう。そうなる前に要塞中心部を占拠し、敵艦隊を挟み撃ちにして殲滅しなければならない。フリードリヒは連隊員全員に合図し、何班かに分かれ、要塞重要部各所を制圧に、掛かった。幸い、フォトン粒子散布と同時に通信妨害を掛けておいたお陰で要塞内で大暴れしても敵艦隊に、救援要請が届く事は暫く無い。それでも短い時間である事は変わり無い。タクミとフリードリヒの班が司令室を目指して走っていると、廊下に気配がしてきた。止まって様子を見ると、ダーク・ヒューマンの兵士数人が銃を壁において、片手にコーヒーと談笑していた。内容はダーク・ファルスとダーカーに対する愚痴であった。連隊員のフォースがロッドにフォトンを溜めて詠唱しながら、フラッシュバンを投げた。激しい閃光と耳をつんざく爆音で兵士達は怯んだ。そこにポツダム連隊が襲いかかった。一人は脳天から斬られ、一人は突き殺され、一人は蜂の巣にされ、一人は焼き殺された。彼らは悲鳴をあげる間もなく殺された。この様子が司令室にたまたま映されており、要塞の者は、どうやったかは知らんが敵の侵入を受けた事を知った。そこにはタクミとフリードリヒと数十名の連隊員が居たが、全員歯を見せ、眼を紅く光らせ不気味に笑う姿が映されたという。つかの間に要塞各所で敵襲の連絡が後を絶たなくなった。要塞司令室は援軍を差し向けようとしたが、いかんせん要塞内での戦いを想定しなかった所為か、白兵戦兵力は僅かしか居らず、数は充分では無かった。その結果、要塞戦力は増援に来てはやられ、また来てはやられのジリ貧であった。タクミはガンスラッシュゼロの弾倉を変えていた。フリードリヒはそんなタクミを見て、こう言った。『ゼロは手間取るな。』『弾の威力は高いのだが、装填数六発、装填に時間が掛かるとなかなか、構ってちゃんですよこの娘は。』『銃や剣と同じように、女の扱いも上手くなってくれれば師匠としては嬉しいんだけどね〜,。』こう言ったふざけた世間話をしながらも二人は手持ちの武器でまた一人、また二人、また三人と冥府に送って行った。暫く行くとよく出来た氷の像に出くわした。痛みに苦しみ、断末魔を上げているような像だった。だがよく見るとそれは像では無く、ダーク・ヒューマンの氷漬けにされた命を絶たれた姿であった。『シュミットの奴だな。あいつのフォースの戦闘テクニックは氷系で固めてるからな、退役したら、これで金が取れるぞ。』フリードリヒが何処か悪趣味な像を見ていると血塗れになったロッドを持ったシュミット少佐達が合流した。彼らの担当している重要部は全て制圧し終わったようだった。どうやらシュミット班はフォースで固めていた癖に、ロットで撲殺したダーク・ヒューマンの方が多いのか、皆ロッドが血塗れだった。暫くして、カール中佐が要塞重要部は司令室を除く全ての箇所の制圧に成功したと連絡を入れてきた。要塞司令部はもう目の前であった。新光歴239年10月上旬schloss von gott要塞攻略戦の勝敗が今、決しようとしていた…。