pso2仮想戦記二年前の戦争 作:オラニエ公ジャン・バルジャン
…眠い…いや身体が重い…それに寒い…ここは…ああそうだ…俺は…深遠なる闇との戦いでダーカー因子の除去を余儀無くされて…兎に角出た方が良さそうだ…
遠くの方で声が聞こえる。
『フィリアさん?…は大丈夫なんですか?二ヶ月なんて普通耐えられませんよ。死んで無いですよね?』
頭の中で若い女性の声がすると青年は思った然し、これが違うという事が会話相手の名前と声で分かった。
『縁起でも無い事を言わないで下さいローラ!あの人は絶対大丈夫です。』
名前と声で分かった!あの人だ!メディカルセンターのフィリアさんとローラさんだ。数々の戦いで命を助けて貰った。
取り分け、フィリアさんにはマトイの件の事も有るから本当にお世話になった。
マトイは、元気だろうか?彼女との出会いやその後の冒険はアークスや、我が部隊に…取り分けタクミに大きな影響を与えた。それ以降彼女との微妙な距離になっている。
『然し、二人は誰を迎えに来たのだろうか…こんな暗くて狭い場所に来るとは思えないが…。』
瞬間、暗闇の中から光が射してきた。
パシュ…と言う音を立てて、冷気が光に流れ込んで行く。そして…
『おはようございます。タクミさん。何所か痛かったり、動かない場所はありますか。あれば言って下さいね。』
ああ、やっぱりフィリアさん達だ。然し、此処で彼は思った。さっきの会話の中で自分の名前は一言も口にして無かった。人違いでは無かろうか…然し、現に前に立っているのは彼女達だ。兎に角外に出なければ、返事をしながら、外に出る事にした。そう言えば久し振りだな?
『おはようございます。フィリアさ…ウワァ⁉︎』床が滑りやすいのか…俺は転んだ。…ああ、相変わらずだ…幼少期から足下の注意が疎かになる癖が有るから、よく転ぶ。正直自分で煩わしいと思う。
『キャウン…///』転んだ瞬間可愛らしい女性の声がした…おかしい…自分以外転んだ人が居るのだろうか…眼を開けると…何てことだ…青年の手はこの美麗な女性の胸を鷲掴む形で寄りかかってしまったのだ。青年は、突然の事で動転しそうになったが…顔がにやけないよう歯を食い縛り、手を離そうとしたが…時既に遅し…彼女の顔はみるみる赤くなり、『キャアアアアアア‼︎』耳を劈くような悲鳴が聞こえ、瞬間、彼女の腕は青年の胸ぐらを掴み勢いよく放り投げた。タクミは、この人…こんなに怪力だったのか…と思い、そのまま隣のカプセルに激突し、床に落ちた。フィリアはタクミを投げた後、我に返ったのか…直ぐに彼の元に駆け寄った。『タクミさん⁉︎大丈夫ですか‼︎すみません、わざとじゃ無いって分かってたのに』タクミは死ぬかと思った…本当に死ぬかと思った…と恐怖を隠しきれなかったようであった。ローラも、面白い物が見れた嬉しさ半分、珍事が起こって驚いてる半分と言う顔をしていたがこれも直ぐに我に返り、こうタクミに呼びかけた。
『准将!しっかり、立てますか?』
タクミはローラの言葉に違和感を感じた。准将?軍隊の階級で佐官最上級の大佐と将校最低位の少将の間に位置する。真の将校最低位これを採用している軍隊は主流では無いためにこの階級を持っている者は少ない。いやそもそも、アークスは軍隊では無い。こう呼ばれることがおかしいのだ。彼は聞いてみることにした…。正直、予想はついていたが…
『フィリアさん…私は二ヶ月寝ていた筈です。あの日から今日に至るまで、何があったか説明してくれませんか?』
『分かりました。でも先ず先にブリッジに行きましょう。』
彼女は二ヶ月の出来事を説明してくれた。自分の考えた例の構想は採用されたこと、戦力増強に伴う統率の為、準軍事組織だったアークスは正式な軍事組織として活動する事になった、その為自分には様々な戦いの功績を評価された准将になった事、艦隊、兵員増強計画も順調に進み既に、第二、第三艦隊に新造された5㎞クラス旗艦型戦艦が就役し、行動を開始した事…二ヶ月で様々な事が起こったのだ…だが…『あのフィリアさん?第一艦隊はどうしたのです?何故第二、第三艦隊だけ配置についているのですか?』
『それは、ブリッジに居る人達に聞いた方がいいと思いますよ。』
彼女は含みの有る言葉を放ち、艦橋に入っていった。ローラも、『それでは准将、私もこれで〜』とこれもまた含みの有る挨拶で去っていった。
『何なんだ…一体。』入室許可が下りたのでタクミは艦橋に入った。初めて入る艦橋、其処に居たのは、複数のアークスが左右一列に並び、直立不動の敬礼をしている。そして向こうには、フィリアと総司令官と司令補佐になった、ウルクとテオドール。六芒均衡のレギアス、マリア、カスラ、ヒューイ、三代目クラリスクレイス、ゼノ、六芒の零のクーナそしてマリアの弟子のサラ…沢山の人が待っていた。六芒均衡以外は、皆、アークスコートと言うアークスの正装にベレー帽を被っていた。勿論、タクミもそれを着ているのだが…緊張する…きっちり締めて入ってきたのも有るが、大勢が待ってるとなると余計に苦しい。『准将、此方に』総司令の言葉が艦橋に響く。タクミもまた、直立不動の敬礼と返事でそれを返し、近くに歩み寄った。『准将、よく帰って来てくれました。早速ですが、貴方にある職に就いてもらいます。』テオドールが端末を開き、声を上げ、こう宣言した。『タクミ・F准将。貴官を第一艦隊艦隊司令長官の任を与える。ついては貴官に1階級昇進し、少将の階級を与える!』
総司令官ウルクはタクミに歩み寄り、階級章と提督の証である短剣を授けた。
『宜しくタクミ提督』彼女はこう言い放った。これを青年は無表情で聞いていたが心中は穏やかでは無かった。むしろ動転していた。自分が、冬眠治療から目覚めたと思ったら、准将になってて、今、この瞬間に少将に就いて艦隊を預けられ、提督と来たものだ。彼本人はあまり人の上に立つことは得意では無い為、出来れば辞退したいがそうも行かない。やるしか無い、彼は、『この任、微力ではありますが全力を尽くします‼︎』と大きくはっきりと言い、これを引き受けた。俺に出来るのかね〜と言う思いで一杯だが、そもそもこうなったのも自分に責任が有るのだから因果応報とも思った。こうして式典は終了した。
ウルクは、『済まないけど、提督と六芒の皆んなで話したいの、貴方たちは下がってくれる?』コレを聞いた、横に一列で並んでいたアークス達は去っていった。そしてフィリアも仕事が有ると言い、去っていった。かくして部屋に居るのは、11人になった。瞬間、ウルクとテオドールがタクミに飛び込んで来た。
『タクミさん良かった。元気になって』
『テオドール、たかだか二ヶ月じゃ無いか?そんなに心配してくれたの?』
これに対し、ウルクは…
『バカ‼︎二ヶ月でも待つ人にとっては長く感じるのよ‼︎』
青年は、ありがたい気持ちになったこの方生涯女性にモテた試しが無いのでこう言う状況も、悪く無い、正直嬉しい。
次にゼノが寄ってきた。『タクミ久し振りだな!二ヶ月振りか?相変わらず元気で良かったぜそれに随分と背伸びちまってよ。』彼はアークス入隊時にお世話になった先輩だ。まさかあの時は六芒均衡のメンバーだとは露にも思わなかったが、今でもこうして付き合いを続けてくれる。青年はこう返した。
『先輩も相変わらずですね。安心しました!エコーさんとはどうなんですか?』
『お前、一言多いんだよ!エコー連れてこなくて良かった…あいつ絶対大泣きする。そんな事になったらアレだぞ。』
確かに大泣きされると面倒だ。
次にクーナがこう言った。
『タクミさんお元気そうで何よりです。これからもよろしくお願いします。』
六芒均衡としての彼女は、無表情で、愛想も無いが、アイドルとしての彼女は、明るく、激しく、鮮烈に皆に元気を振りまく存在だこのギャップに何時も驚く。
『クーナ不機嫌ですね〜ひょっとして起きて来ない方が良かった〜?』少し憎らしく言ってやった。これに対し、彼女は、顔を真っ赤にしてこう言った。
『そんな訳無いでしょ‼︎貴方が居なかったら、誰がコンサートの空席を埋めるのよ。私のコンサートは満員御礼がモットーなんだから!』少し煽れば本性が出る。そこが可愛らしいのだが。
その後、彼は六芒の面々とも再会の挨拶を交わした。少し経ち、六芒の一レギアスが『総司令、本題に入ろうか』と言った。こう言われたウルクは、ハッとしてタクミにこう言った。
『タクミ直ぐにマザーシップに、貴方の乗艦に案内します。』
マザーシップに移動中にも、彼は二ヶ月に起こった事を説明して貰った。『俺の乗艦は守護衛士(ガーディアン)級二番艦スサノオか…一番艦ガーディアンは、艦隊編成の都合上第二艦隊、三番艦マムルークは第三艦隊、その他分遣艦隊多数…これが現状の艦隊戦力か。』
『貴方は、第一艦隊を率いて、惑星アムドゥスキア周辺宙域を防衛して、ダーカーの艦隊が迫っているのでこれを撃退して欲しいの。分かった?』
『了解しました。総司令官殿』
『着きましたよ。皆さん』
重い鉄の隔壁が開く、その先で待っていたのは、美しい透き通った水色の船体、長方形に艦首は薄みカーブを描き、六門7列合計42門の高出力レーザー砲が並び、全長数十メートルの砲塔が数本並びブリッジに対空ミサイルポッドが搭載され後ろに約1キロに及び数万発のVLSが上下に搭載され、艦舷主砲13門、艦舷副砲30門、そして至る所にレーザー機銃と副砲が搭載されている。そして、アンテナが上舷後方三本、艦底中央前方三本、後方三本、艦舷にウィング状のアンテナ大小片舷二本全長5キロ…この船こそ、守護衛士(ガーディアン)級旗艦型戦艦(または空母)である。しかし、アークス首脳陣は知らないが、この艦は企画主が一から構想したものでは無いのだ。タクミは黙り通すつもりだったが、問屋は下ろさなかった…大急ぎで一人の従卒が若き総司令官に耳打ちした。
『ねぇ〜タクミ〜?ちょっと言うことがあるんじゃ無いの?』
『何の話…あっ⁉︎それは‼︎』
見つかってしまった…自分の人生の教科書であるとあるSFスペースオペラ小説その主人公が座乗した船を参考にこの新型艦を計画したが…バレてしまったのだ
『えっとね…はいパクりました。だけど性能は問題なかったでしょう!』
『まぁそうだけど…じゃなくって‼︎どうすんの著作権とかに引っかからないの⁉︎責任取れるの?』
『待て待て、その点は問題無い。もう原作、アニメ共に数世紀前の代物だ。引っかかる事は無い‼︎』
と断言したものだから、一同は黙ったが、若干血の気が引いてしまっているようだ…。そこでふと彼は気が付いた。
『なぁ、確かこいつはウィング型アンテナは付けてない筈だけど…何で付いてんの?誰か弄った?』
『それ試験艦何ですよ。ウルクがこれを超える船を作ろうって言い出して、指揮通信能力のテスト艦として、ウィング型アンテナを追加したんです。』
『では、タクミさんそろそろ出航命令を出して下さい。』
『時間ですか…総司令官閣下並びに上官殿方、これより、本官は守護衛士級二番艦スサノオ、第一艦隊旗艦の任につき、惑星アムドゥスキア宙域に出撃致します‼︎』
『貴艦の航海の無事と戦果を期待します。第一艦隊旗艦スサノオ出撃せよ‼︎』
轟音がドック全体に鳴り響き、巨体がゆっくりと前進した…ゆっくりとドックを後にし、マザーシップを出て、オラクル船団の真ん中に出た。そして速度を上げて、光の速度へ、スピードを上げていく、そして、速度が最大になった瞬間、艦は光に包まれ、虚空に消えた…空間跳躍…ワープである。同時に船団外縁で待機していた第一艦隊の僚艦一万三千隻もワープを開始、自らの艦隊旗艦の後を追った…一連の出来事をオラクル船団に住む、数百億の人々が見守った。
こうして二年という短い時間で宇宙を所狭しと戦った艦隊の初陣が始まったのだ
……………
はい、という訳で2話です。もう文章だけで分かった方もいると思いますが、はい…守護衛士級は戦艦ヒューベリオンを参考にしてます。Twitterの方でもラフをあげました。(下手な絵ですが)違うのは艦首主砲が元ネタは40門なのに対し、こちらは47門という点や、サイズ、艤装の有無等です。あくまで参考なのでヒューベリオンではありません。あくまで主人公が真似て設計を頼んだだけです(汗)
彼は、ここから文中の最後の様に宇宙を所狭しと戦うことになりますが、宇宙だけでは無く、アークスらしく惑星に降りたって戦うシナリオも考えてますので、お待ちして頂けると幸いです。最後にこんな小説ですがご贔屓にw
活動ship(7) ギョーフ
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