pso2仮想戦記二年前の戦争   作:オラニエ公ジャン・バルジャン

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27話 光を放つ英雄の半身と、船団国家の若き戦士。

新光歴239年。10月29日。この日、第1艦隊残存艦艇約1万6,000隻が午前零時ジャストに回廊入り口付近で針路を転換した。旗艦武蔵艦内は騒然として居た。

 

オラクル兵

『何でこんな事になったんだ!後もう少しで要塞なのに!こんな事があるか‼︎』

 

オラクル士官

『知るか‼︎もうしょうがない!各主砲のエネルギー注入、充填率の再チェック急げよ!』

 

オラクル兵

『申し上げます。敵艦隊は総数約三万。敵軍の指揮官、フランシス・オーヴェルニュ大将の名で降伏を呼び掛けております。尚、降伏に応じなければ即刻攻撃すると。』

 

イオ

『先輩。』

 

タクミ

『本当なら願っても無い事だがね…要塞が目の前にある以上降伏をする必要も感じられないし…少なくとも私は彼らに膝を屈する気はないね。返答はNOだ。』

 

これは直ぐにフランシス・オーヴェルニュ大将旗艦サンタンフェルに伝えられた。

 

フランシス

『やむを得ないですね。全艦砲撃用意…ファイヤー!』

 

午前零時30分、フランシス艦隊30,000隻が砲火を開いた。対するタクミ麾下第一艦隊約1万6,000隻も砲火を開いた。元々の数もさる事ながら、フランシスの用兵にタクミ達は舌を巻くしかなかった。そこから数十分が経過した。

 

マトイ

『我が艦隊の損耗は著しく残存艦艇、12,000隻。対する敵は未だ29,000隻程は残存しています。』

 

タクミ

『オラクル最強…第一艦隊が聞いて呆れる…ものの数十分で4,000隻も失ったのか…。』

 

フリードリヒ

『どうする?提督。』

 

サミュエル

『ひとつ意見具申するなら…これを使って見ないか?』

 

サミュエルに手渡された物…それは兵器の設計図だった。それに書かれていたものは、オラクルの名作。機動人型兵器A.i.S。その宇宙専用の試作機だった。この試作機は745試験部隊がガーディアン級改造型工作戦艦アコンカグアを伴って第6艦隊の元で評価を試験をしており、スパルタンにて、損傷も少なく、何よりアコンカグアは元はスサノオと同じくガーディアン級旗艦型戦艦、その戦力は侮り難く、殿を務める第1艦隊の為にと元帥ジェームズ・ネルソンは第1艦隊にこの試作機と共に回してくれたのだ。勿論、この試作機の事もタクミは艦隊の戦力把握の過程で知っていた。然し、彼は表情を曇らせてこう言った。

 

タクミ

『だが、この機体は使い物にならないから不採用になったんじゃ無いのか?此奴は空中分解を起こして居るんだろう?外観こそ今までのA.I.Sとは違うが、中身は既存のもので、挙句一型(エネルギー的な問題で機動時間に時間制限があるもの)の試作型のフレームをそのまま使ってるもんだから圧倒的な機動力と推進力を生み出す高出力の戦闘艇エンジンにフレームが耐えられないんじゃ無いのか?』

 

サミュエル

『だが、使わねば生きて帰れないかも知れない。それにウチにはそんな悍馬を扱える奴が三人も居るじゃ無いか?』

 

艦橋にチェン、フレーゲルの両航空隊長が呼び出された。

チェンとフレーゲルはアークス時代は戦闘ヘリのパイロットとして武勲を上げてきた。オラクル軍創立以前のエースパイロットは、A.I.Sの操縦も長けていた。然し、彼らが乗るのは死と隣り合わせの試作機。サミュエルはこの任務に拒否権を与えた上で説明した。

 

チェン

『お引き受けするにあたり条件があります。その試作機…三型に搭載された空中分解阻止の為のリミッターを外してください。』

 

サミュエル

『なっ…⁉︎話を聞いていたのか?そのリミッターは空…』

 

フレーゲル

『閣下我々はパイロットです。常に死と隣り合わせで戦って参りました。ですから戦うからには死を防ぐ保険の様なものがあれば、我々パイロットは覚悟が揺らいでしまうのです。ですのでリミッターは…』

 

タクミ

『分かった。リミッターは、外そう。さてサミュエル君?もう一機は誰が乗るんだね?うん?』

 

サミュエル

『おお!忘れていた。それにはお前さんが乗ってくれ。』

 

タクミ

『了解した…は?え?私にやらせるのか??』

 

サミュエル

『A.I.Sの操縦はアークスの中でも上手くやれるものは少ない。折角三機あるんだから使わねば損だろう?』

 

タクミ

『んで私か…。全く分かった行くよ。回線は開けておいてくれよ?戦いながら艦隊の指揮も取るからな。』

 

チェン

『フレーゲル!ちゃんとやれよ?此奴は戦闘機とは違うからな。』

 

フレーゲル

『少なくともお前さんよりはマシだと思うがね?第二航空隊!行くぞ!』

 

チェン

『あっ!このやろう先に行きやがって‼︎第1航空隊発進するぞ!俺に続け‼︎』

 

サミュエル

『とは言ってもこれに乗るのは久し振りだろう?本当に良いのか?今なら間に合うぞ?』

 

タクミ

『今更、降りれるかテメェコノヤロー!やって見るさ。イオ、マトイと艦隊を頼む。』

 

イオ

『先輩気をつけて。』

 

タクミ

『オーライ!CMC007、タクミ・Fだ。出る‼︎』

 

タクミ

『空母を叩く!各機は我々三機の援護に回ってくれ。』

 

 

午前1時27分。第1艦隊は陣形を半円に再編し、敵艦隊左翼にひたすら近距離で砲撃を仕掛けた。この左翼が、フランシス艦隊の空母集中配備部署である事はタクミ達は導き出した。

 

フランシス

『敵は左翼に近距離で砲撃を仕掛けてきて居る…空母各艦に通達!全機発艦!敵艦隊に対して総攻撃を掛けます!』

 

銀河帝国士官

『はっ!直ちに。』

 

帝国兵

『左翼空母部隊!通信が途絶していきます‼︎空母からの通信が途絶‼︎』

 

帝国士官

『なにが起きている‼︎報告せよ‼︎』

 

帝国兵

『はっ!敵艦隊より高速熱源体が三つ発進し、その直後、空母からの通信が途絶して行きました。現在左翼艦隊目下対空戦闘中ですがどの艦もそれらを補足しきれていないとの事。…お待ちを!たった今画像が来ました‼︎』

 

帝国兵はその画像をサミュエルの居る。艦橋の大パネルに映した。それは巨大な機械の人形の後ろに大中小の大型ブースターにプロペラントタンク、ミサイルポッドやらレーザーキャノンやらがついたランドセルを背よった物が暴れまわって居る。人と同じ様にAMBAC(無重力においてある巨大な質量を傾けることによって方向や体制の向きを変える方法。)を繰り出し、空母やその直営機を撃ち落とし、はたき落とし、斬り落としている。

 

タクミ

『二隻目!そこにもう一隻いるな。』

 

タクミの乗るA.I.Sは敵の空母目掛けて突っ込んでいった。そして対空砲火を避け敵の艦橋の真正面に出た。

 

タクミ

『堕ちろ‼︎堕ちて滅びろ!』

 

かくして、艦橋に大量の弾丸を喰らった空母は制御不能になり、やがて爆沈した。

 

チェン

『フレーゲル!何機落とした?』

 

フレーゲル

『45機』

 

チェン

『俺は48機。プラス空母三隻だ。』

 

フレーゲル

『撃墜数は負けてるが撃沈数は勝ったな空母五隻だ。』

 

オラクル側の機動部隊による先制攻撃で帝国側の損害は増していた。この状況を見ていたフランシスは口を開いた。

 

フランシス

『敵の新兵器ですね。全くなんて言うものを作り上げたものでしょう。これではジリ貧です。』

 

帝国士官

『こんなものを量産されたら…』

 

フランシス

『いえ、量産はされないでしょう。されても少数です。あれらはこう言う近距離でなら役に立つでしょうが、艦隊戦の基本は長距離から中距離での砲撃戦です。戦闘艇も中距離からなら敵の艦隊に飛び込めますがあれは推力や機動力を強化されていたとしても、近距離迄がやっと…此れでは出番が貰えないでしょう。』

 

三型はこの時、フランシス艦隊の空母の殆どを轟沈ないしは発艦不能に迄破壊し、艦隊に帰還していた。かつての不採用の烙印を押された機体はそれを払拭せんと戦っていた、歴史に確かな存在の証を残すために。

 

タクミ

『ふぅ〜暴れまわってやったぞ!敵は?』

 

サミュエル

『空母を大半やられたから近距離での攻撃力はかなり削がれた事も敵は知っている。その為、中距離からの攻撃に専念し始めた。少し下がるかと思ったら、下がる時も隙がなく、しかも中距離で最も攻撃的な距離を保っている。逃げ出すのは難しいぞ。』

 

タクミ

『マトイはグリッドマン中将を呼び寄せてくれ。アリス少佐は、アースグリム、ヒューズ提督の二人を。イオは紅茶を持って来てくれブランデー入りで。』

 

暫くして三人の提督が集まった。三人とも疲労の色を隠せていなかった。その為三人とも、目の下にはクマが出来、歩く時もぎこちなかった。

 

タクミ

『敵の機動部隊をやったが、敵は相変わらず有利なまま攻撃を繰り出してくる。このままでは殲滅される。そこで陣形を整え直そうと思う。グリットマン提督、艦隊をU字形に再編して貰いたい。』

 

グリットマン

『U字形ですか?』

 

タクミ

『そうです。敵に敢えて、此方の中央が食い破られた様に見せるのです。敵艦隊がそれに釣られて追ってきた所に正面と左右から砲撃を加え、敵が後退した瞬間を狙って、エンジンが故障しないギリギリのラインまで速力をあげて回廊内に逃げ込みます。』

 

アースグリム

『敵もそこまで追ってこないって事ですね。』

 

サミュエル

『ああ、司令官が凡庸か優秀な奴だったらね。』

 

フリードリヒ

『愚劣で、かつ愚かな私怨に駆られた人間が指揮を執っていたら話は別だがね?』

 

イオ

『幾ら馬鹿でも、そんな事しないでしょう?』

 

ヒューズ

『案外居るものさ。例えば第2帝政フェデル王朝末期の貴族の様な連中みたいな感じの奴とかね。』

 

この時のヒューズの言葉にタクミが少しが少し俯いた事をマトイはこの場にいる中でただ一人気づいていたという。

結果、このキャストの中年の紳士(グリットマン)によって艦隊はU字形に再編された。午前二時五十三分。フランシス艦隊の一部が、タクミ艦隊の中央に突出したが、三方からの砲撃で、損害が大きく増していった。これに対し、フランシス艦隊分艦隊提督サマル・パウワル少将が、連絡シャトルを大量に飛ばし突出した艦の逃走を指示再編するがフランシス艦隊の陣形は、先鋒から中衛に掛けて陣形がメチャクチャになっていた為、一時後退を強いられるのである。フランシス・オーヴェルニュは前方への警戒を厳にしつつ後退を開始した。

 

マトイ

『敵艦隊後退!』

 

タクミ

『良し‼︎艦隊全艦全速力で逃げろ‼︎』

 

この異様な逃走劇は、ダーク・ヒューマン。神聖銀河帝国側の将兵達にとっても、実に不思議な光景だったという。

 

副官

『オーヴェルニュ大将閣下。敵艦隊が、進路を変更。回廊内に逃走しました。』

 

フランシス

『どうやら我々は嵌められた様ですね。構いません。これ以上追うわけにも行きません。直ちに本星に…』

 

帝国兵士

『大将閣下‼︎総参謀長(ハインリヒ・クラウゼウィッツ)より

至急電文が!読み上げます。』

 

我、時来タレリ。

ハインリヒ・クラウゼウィッツ総参謀長

 

フランシス

(そうか、始めるのですね…アウグスト…アウグスト様の作る世界…今度こそ私の手でお支えする‼︎)全艦に通達‼︎全速力で本星に向かう‼︎

 

今、第1銀河と第2銀河で、新たな局面を迎えようとしていたのだった。

 

 

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