pso2仮想戦記二年前の戦争   作:オラニエ公ジャン・バルジャン

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29話 大将と、傷跡と

新光暦239年11月10日…。この日…オラクル船団より出撃した第二銀河侵攻軍が全軍の帰投が完了した日である。

 

総兵力約2000万、総出撃主力艦隊数26、その他半個艦隊、小艦隊多数、参加艦艇(民間徴用も含む)200万隻。

 

内、戦闘可能将兵924万人、総死者数約1000万人残存主力艦隊数9(主力艦隊として機能する艦隊のみを計算)。

 

オラクル船団の歴史上で最大かつ最悪の敗戦であった。この膨大な死者は、大勢のオラクル国民の父、母、娘、息子、孫、友、恋人を奪った。

 

11月11日。オラクル内閣は、大変遺憾であるが無駄死にでは無いと発表した。そして、その翌日に追悼セレモニーを行うとも発表した。

 

追悼セレモニーの皮を被った、国民へのプロパガンダ、デモンストレーションをやると言ったのだ。タクミはあの後要塞には帰らず艦隊幕僚全員を自分の旗艦に集め、僅かな護衛を伴って故郷に帰還した。

 

セレモニーへの出席を通達された時、タクミは艦隊司令部のデスクで自分の艦隊が支払った犠牲によって生まれた多くの未亡人や孤児を助けるべく、知人がやっている財団へ援助を依頼していた。

 

タクミ・F 大将(schloss von gott要塞方面軍司令官兼schloss von gott要塞司令官)

『死者を弔う気があるんだか無いんだか分からん物に私に出ろと言うのですか?しかもあのマッケンジーの演説付きと言う大層ありがた迷惑なオマケ付きなのに!』

 

ルイ・フィリップ中将(schloss von gott要塞副司令官)

『給料のうちと思って諦めろ。死者を弔う事は必要だ。それにこの敗戦で国民は生きる気力でも無くしたみたいな落胆気味だ。薬が切れて、我に帰った虚しさを紛らわしたのさ。だからあの白アリの話を聞きたがる。』

 

タクミ

『亡くなった1000万将兵が望んでいるのは弔いの言葉なんかじゃ無くって食べ物と銃弾だった。それが何の意味を持たない戯言になってしまった。

民主主義の限界は見え隠れしだした時点で取り返しのつかない所まで行ってると思った方が良いとなんかで読んだ事あるが本当にごもっともだ。全く…。』

 

オラクル下士官

『大将閣下。お時間です。』

 

タクミ

『やだなぁ…大将って…。』

 

フィリップ

『なんだ?お前まであの噂を信じてるのか?くだらない。そんな迷信じみたもん良く信じられるな?』

 

オラクルは奇妙な歴史がある。第二帝政が崩壊後、第3民主主義体制は初期の数十年間は軍隊を保有していた。その中で奇妙な、実に奇妙な事が起こった。

 

大将に就任した人間は一年経たず戦死すると言うものだった。当初は噂に過ぎなかったのだが、次から次へと将校が死んでいったので大将は呪われた地位と言われるようになる。

 

何でもある時、アウグスト・シュヴァーベンの配下の大将が捨て駒にされた事で祖国を呪い続けているなんて話が出てきて、今ではほぼ定説になりつつある。

 

つまり大将から元帥に昇進した人間はこの第3民主主義体制内に存在していないのだ。(ネルソンの様な元帥になった者は10年近く中将の座に座りそこから特進している)フィリップはそれだったらお前がそうなれとこの青年に言ったのだが本人はこの調子。

 

セレモニー会場に着くと、二人は別れた。タクミはかの遠征で生き残った提督の一人として兵士たちより更に前の列に並んだ。

 

フィリップはその直ぐ後ろの幕僚達の列に並んだ。そこには、アースグリムとイオとマトイとサミュエルが待っていた。フィリップはサミュエルとアースグリムを見るなり、

 

フィリップ

『おい、お前達があいつに変な噂を教えたのか?』

 

アースグリム

『そんな⁉︎言い掛かりはよしてくださいよ先輩。』

 

サミュエル

『あいつ曰くパティ・ティア姉妹に聞いたって言ってました。お、あいつら昇進したんだ。中一級に並んでやがる』

 

フィリップ

『ハァ…(;´д`)(妻と息子と娘に早く会いたい)』

 

すると民間ブース、軍人ブースから盛大な拍手が送られ、送られた先にはオラクル内閣総理大臣ジョージ・マッケンジーが居た。彼はただ此方をみて佇んで居た。

 

アースグリム

『彼奴、待ってやがる。』

 

イオ

『えっ?何を?』

 

サミュエル

『彼奴は、皆んなが静かになるのを待ってるんだ。奴の計算さ。熱狂した人間は一気にエネルギーを消費するからな上手い一種の催眠効果を狙ってるのさ。演説の一流テクニックと言っても過言では無い。』

 

会場はだんだんその強大なエネルギーを使い果たしていき、騒ぐ者は誰一人いなくなった。

 

ジョージ・マッケンジー

『国民の皆さん。何故、何故我らがこうして無益な戦いをしているのか分かりますか…?』

 

一同はどよめき出した。無益な戦いとはなんぞや?だいじんは何をおっしゃっているのだと、口々に疑問を回しあった。やがてマッケンジーは口を開くと、

 

『最初はダーカーの脅威から我々人類を守る為の戦いだった。それが今では、ダーク・ヒューマンという得体のしれん人類の様なものとの戦いに発展した。

 

もはや何の意味すら見出せない泥沼の戦いに発展した。ではダーク・ヒューマンと手を取り、ダーカーと戦うのか?成る程さされば我々の元の戦う理由を取り戻すだろう。

 

だがそれは断じてない‼︎彼等は人間では無い‼︎ダーカーなのだ‼︎数ヶ月前我らの植民地惑星が襲撃され、奴らはそこで何をしたか?男は労働力にし、殺し、女子供は犯してから殺した!

 

死を免れた者も結局はダーカーの為の栄養源になるか慰み物になって結局は殺される!』

 

群衆は、そうだ!奴らは敵だ許しておけない!奴らを今度はこっちが同じ目に合わせてやる!奴等こそ悪だ‼︎と憎悪を剥き出しにしていた。

 

マッケンジー

『我らは自由主義者だ!平等と平和を望む共和主義者だ!奴らは支配と服従を望む!第二帝政の皇帝達と何ら変わらん悪魔なのだ!迷妄から醒めよ!奴らとは手を取れん‼︎

 

国民よ‼︎武器を取れ‼︎奴らの黒き血を持って田畑を染め上げ、我らの議会を全宇宙に造りあげよう‼︎‼︎』

 

オラクルのほぼ全ての人が憎悪による歓声と拍手をこの男に送った。そして口々に言ったのだ。彼こそ英雄‼︎彼こそ宇宙の良心と…そう思わない者達も居たのだが。

 

タクミ

『寒気がする…国家主義の独裁者と何ら変わらん。こんなのを国民が選ぶのか…。』

 

ガブリエル(第四艦隊司令官海軍少将→中将)

『もはや英雄とはこういう扇動者の事を言う言葉になってしまったのだとしたら何とも幸づらいもんだ。』

 

タクミ

『前線から離れれば離れるほど人間は好戦的になると言うが…な。』

 

ガブリエル

『もうその裏もあるぞ。マッケンジーは自衛隊の義務兵役三年間を全て後方で過ごしたんだ。いくら後方を志願しても、一度は戦場に立つのは義務付けられて居て拒否できる筈は無いのにな。恐らく賄賂でも使ったんだろう。』

 

タクミ

『奴は良いとこの出じゃないか。あり得るな。』

 

『大将殿、少しお静かに願いたい。』

 

タクミ

『申し訳ない。シュラー提督。以後気をつけます。』

 

シュラー提督(第九艦隊司令官海軍中将)

『総理大臣閣下がここを通られる。将校の品格を問われる事はやめて頂きたい。』

 

ガブリエル

(何処に対しての品格なんだか?本当は我らが総理大臣閣下への自分の評価が心配なんじゃないの?)

 

ジョージ・マッケンジーは将校の列を悠々と歩いてきた。そして次第にタクミ達の方に近づいてきていた。

 

シュラー

『ああ!大臣閣下が此方にいらっしゃる!近づきたい、何とか吉見を結びたいな。』

 

ガブリエル

(あんたの方がよっぽど品格落としていると思うぞオッサンよ〜)

 

しかし、シュラーには気の毒な事にマッケンジーが目を向けたのはタクミだった。

 

マッケンジー

『うん?君は、タクミ・F提督ではないかね?守護衛士の⁉︎そうだろう?』

 

タクミ

『は、はい。私がそうです。(なんでお前来るんだよー!こちとら見たくもなかったのに!同時に至る所から敵意に満ちた視線が刺さってきてんだけどーありがた迷惑過ぎるんですけどー‼︎)』

 

マッケンジー

『君に聞きたいことがあるんだがね?君においての最高の戦術とは何かね?』

 

タクミ

『まず常に敵の情報を集める事、次に敵より数倍の兵を常に用意し、敵と当たることです。良くて三倍、最良で六倍。六倍は敵と戦うにしろ、敵の伏兵から補給線を守るにしろ十分にこなすことが出来ますので。後は補給は完全にし、司令官の命令を誤りなく伝達することです。』

 

マッケンジー

『ろ、六倍かね?だが戦は数でするものではあるまい、一兵士、一指揮官の能力が優れていれば数など問題にはならないのでは無いかな?』

 

タクミ

『指揮官の優劣、兵の優劣は確かに重要なファクターです。ですが戦は数でするものではないと言うのはそれを用意出来なかった自己正当化に過ぎません。

 

もっと言えば、如何に精強な軍を戦地にやったとしても補給が無ければ、力を発揮出来なくなるどころかそれはもう、無駄に兵を死なせるただの愚行にry』

 

シュラー

『F提督‼︎大臣閣下に失礼では無いか!あっ、大臣閣下ご機嫌麗しく、私めは第九艦隊の司令官をやっておりますシュラーと申します。以後お見知り置きを。』

 

タクミの発言はこの場に居た多くの軍人とアークスと民衆が聞いていた。そしてタクミは多くの殺意に満ちた視線を感じていた。

 

将兵達の中にはタクミを見ながら腰のホルスターに手を掛けている者が居たが、その者たちを見て同じように腰のホルスターに手を当て、または抜き身の拳銃を背中に向けた第一、第四艦隊の将兵やアークス達が居たのだ。

 

この時より、タクミは歴史の表舞台に出てくるだけでは無く、マッケンジーとの水面下の政争の幕開けにもなったのである。

 

タクミは奇しくもアウグスト・シュヴァーベンと同じ境遇になった。彼を狙う者は国内外何処にでも居るという事になったのだから。

 

そしてその序曲に当たる事件が勃発する。

 

翌日、午前7時半。第一艦隊司令部の前に大量のマスコミと群衆が怒号を持って司令部を圧していた。事の発端は、第二銀河遠征のあの惨事は、要塞内からの出撃を拒んだ第一艦隊と司令官のタクミ・Fが敵に内通し、待ち伏せを誘ったと言う虚偽の事実がタレコミされたのだ。しかもそれはSMSにも流され、オラクル国民のほぼ全ての人々を敵に回す事になってしまったのだ。

 

タクミ

『これはなんの騒ぎか?説明してくれ、アリス少佐。』

 

アリス

『閣下が敵に内通したとタレコミがマスコミと民衆に広まって居るみたいで…。』

 

タクミ

『へぇ…そうなんだ、ウェ!(◎_◎;)』

 

タクミは我が副官を二度見した。アークスの中でも特殊な者達を集めた部隊の出身であったタクミはアリスの纏うフォトンに狂気の色が写って居るのを見て取った。

 

アリス

(閣下に対してのなんたら侮辱…マスコミめ…男は一人残らず○○○を○○○○○て鍋で煮てやる。女は○○○○○○○に乗せて○○○から引き裂いてやる!)

 

タクミ

(ヤバイよ、とんでも無い事考えてるよ…我が友の彼女ながら、美女の顔には似つかぬブラックなこと考えてるよ)

 

そしたら今度は隣でドンと言う音が聞こえたので見て見たらマトイがクラリッサを出して、物凄いフォトンを貯め始めていて、その度に杖で床を叩くのだった

タクミ前途多難な道に落とされたのだった。

 

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