pso2仮想戦記二年前の戦争   作:オラニエ公ジャン・バルジャン

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第40話 グラール星系各個撃破戦

オラクル遠征軍は徐々にグラール星系へ近づいていた。戦闘艦艇8万、総陸戦兵力(海兵隊、各艦隊陸戦隊含む)60万の遠征軍である。それらは決して多いとは言えず、オマケに殆どの部隊が新兵で構成されている、実質戦力として数えられるのは5万程度が良いところであろう。しかし、この弱兵軍団はこの内乱の三ヶ月を通して屈強な精兵軍団に変貌するのだがこの時は、まだ先の話である。そんな軍団を率いる者達をここで挙げておこう。

 

陸軍よりジャン・ピエール・プレシ騎兵少将、首都防衛大隊より引き抜かれた、アフィン、オーザ、マールー、アザナミ、カトリ、サガ、海兵隊第1師団長になったリサ、工兵師団長フーリエ、そして新クラスサモナーの伝道者としてこの遠征軍にアークスより徴兵されたピエロである。アフィンらは兎も角、アザナミ、カトリ、サガ、ピエロは軍団指揮の経験は無く、本部付きのアークスであったが、指揮官不足と、アークスの新クラスの伝道者、教官をした経緯から引き抜かれたのだ。その点ピエロは新クラスサモナーの伝道者、オマケに今回の遠征が彼にとっても、サモナーにとっても初陣になる。武勲を残せば大成する。だが彼はこの遠征をチャンスと捉える一方憂いてもいたのだ。新フォトン生物ペットを使役して戦うサモナーにとってペットは大事な存在であり、家族にも等しい存在である。それが戦争に使われるとあっては憂いたくなるのも当然であった。しかしここで武勲を立てればサモナーの知名度は上がる。正しくピエロは苦悩していた。苦悩する者は他にもいる。サガは自分が教練したカトリがしっかり機能するかが心配であった。彼女はあまり訓練に乗る気では無かったが、そのクセ、自分のクラス(バウンサー)の布教は熱心であった。センスがあるのに覚悟が伴わない。サガは彼女の無自覚かつ無責任な指揮で多くの兵が死ぬのでは無いかと不安に頭を抱えていた。そしてこんな状況な軍勢を抱えて戦をしなければならないタクミもまた苦悩していた。戦の知らない兵達が多くてはもし指揮崩壊を起こした時に立て直すのが困難になるだけで無く、未熟故の驕りや厭戦、恐怖といったものが広まるのはそう時間が掛からないのだ。正しく死生知らずの野武士の如く戦うアークスが前線にたってもそれ以外の昨日までのほほんと暮らしていた民間人大多数では意味がないのである。彼は正しく死を恐れない兵子をこの遠征で作り上げなければならないのである。彼は机上で何度も何度も兵を動かしては、散り散りになったり、全滅したらやり直して行進させて敵兵に肉弾させたり等繰り返したが、彼の不安は暫く離れることは無かった。実際に戦ってみなければ何とも言えないのだ。自室の扉が開いたのでタクミは襟を正すと、マトイが入ってきた。

 

マトイ

『大提督、全艦の準備が出来ました。直ぐに作戦に移れます。』

 

タクミ

『2人の時ぐらいは名前で呼んでくれても良いんだよ?(イケボ)』

 

彼は不敵に笑いを浮かべ、精一杯の甘い声で彼女に話しかけた。これはタクミなりのユーモアであったことが後に分かった。

 

マトイ

『…みんな待ってますよ。(もう…///)』

 

2人がブリッジに着くと先の陸戦軍団各司令官、チェンバレン、キダ両中将、麾下の少将六人が待っていた。

 

タクミ

『おはよう諸君。これより敵艦隊をワープによる急襲、包囲殲滅戦を開始する。敵は三万隻に分かれ、三惑星を攻撃している。我々は八万だが敵は九万。それが三方にわかれている。各個撃破の機会をくれてやると言ってくれているのだから有意義に使おうよ。』

 

チェンバレン

『問題は計算ですね。少し間違えれば、同士討ちで消滅しますよ。』

 

タクミ

『それについてはマシナリーO2数万機をフル運用して計算中だ!お陰でメカニックが冷却材と修理部品を担いで東奔西走よwww』

 

オーザ・マールー

『(マシナリー酷使の境地…。)』

 

フーリエ

『何分はじめての超精密ワープですから上手くいかない事が多くて、マシナリーの子達にすごい無理をさせてしまう事になってしまいました。でも今やっと最終調整にこぎつけたんですよ本当一時はどうなるかと思った!』

 

タクミ

『20〜30分後には宇宙史上最高の精密小ワープを行う。敵艦隊を倒す為の時間は40分。艦隊を撃滅後、それぞれに軍を降下させる。順番は、モトゥブ、ニューデイズ、そしてパルムだ。

モトゥブ軍団はアフィン、サガ、カトリの軍団!ニューデイズはオーザ、マールー、ピエロの軍団だ!残りの、プレシ、アザナミ、リサ、フーリエは私と来い!艦隊戦は各指揮官同士の連携を密に行い、陸戦は速攻で首都を奪還し、敵の戦意を削げ!殲滅の必要はない。三割から四割削れば、艦隊が居なければ降伏する。以上である!総員直ちに配置につけ‼︎』

 

マトイ

『皆さんの降下の際には我が聯合艦隊の直掩航空師団である第四航空師団が援護、降下後の対地支援を行います。敵艦隊撃滅後、空母数隻と直掩隊を衛星軌道上に残します。積極的に活用してください。』

 

マトイが説明し終わると、ハッチから赤髪の褐色の肌を持った女性が現れた。完璧なグラマーボディをラインの目立つパイロットスーツで包み、そして歩く度にゆったりと揺れる豊満な胸の胸元をはだけさせた豪快な出で立ちであった。

 

ホークス

『ご紹介に預かったが第四航空師団を預かるホークス中佐だ。宜しくな!アークスさんよ♪』

 

オーザ

『オーザだ、宜しくな中佐。』

 

オーザが名乗るとホークスはジロジロとオーザを見つめた。

 

オーザ

『お、おい。何をしている?』

 

ホークス

『いやぁ〜、私と対して年変わらんのに軍団長様とは世の中面白いねぇ〜と思ってね。』

 

リサ

『ホークスさんはおいくつなんですか〜?私は男の子じゃないのでおとしを聞いても失礼じゃないですよね?』

 

ホークス

『男も女も関係ないぜ!あたしは25だ!どうだ〜まだまだピチピチだぜ!』

 

マールー

『二十代半ばで航空師団長もなかなか珍しいわよ。』

 

タクミ

『諸君、自己紹介は後にしてくれ?あんまり時間は無いのだからね。』

 

オーザ

『了解。』

マールー

『はっ!』

ホークス

『アイ!』

 

軍議を終え、諸将たちはおもいおもいの方に去っていった。兵達の顔には緊張が滲み出ていた。初の実戦、使い慣れない武器、体を締めつける軍服、そして間も無く対面する敵、興奮と恐怖が交差する中、彼らが一切の弱音を吐かなかったのは彼らの唯一の財産である若さと、テレビや新聞、はるか彼方の存在であった英雄達と轡を並べるという栄誉が彼らを奮い立たせたのだろう。でなければ得体の知れない土地で、しかもダーカーでは無く、同じ人類と戦えと言われているのだから、士気を維持できるわけが無いのだ。出来るとしても戸惑いが出るのは当然よ事だった。

 

航方士官

『全艦ワープ準備完了です。誤差も許容範囲です。』

 

タクミ

『全艦ワープ開始。ワープアウトと同時に一斉射撃。』

 

マトイ

『全艦ワープ開始‼︎』

 

八万の戦闘艦と数百の輸送艦と輸送船が同時にワープした。八万数百の鉄の塊が一斉に空間跳躍するとはなかなか圧巻の光景ではあるが、今はそれをゆるりと眺める機会は無い。

 

_________________

 

グラール太陽系はモトゥブと呼ばれる砂漠と荒野の惑星では、ローグスと呼ばれる海賊を束ねるアルフォート・タイラーと旗艦ランディール号が率いるローグスとグラール同盟軍連合艦隊八千がモトゥブに降下した敵揚陸兵力を輸送したオラキオ艦隊三万と戦闘を行っていた。タイラーの天才的用兵術によって三倍以上の戦力と渡り合っていたが、それも限界に近づいていた。

 

リィナ・リマ(ローグス ランディール号副船長) 『艦隊の損害が三割に達した。このままだとあたし達も…!』

 

タイラー

『今更、逃げられぬよ。全艦、方陣を組み直せ!敵は遠路を渡ってここに来た、つまり敵は疲労が困憊している!必ず限界が来る、それまで持ちこたえろ!私達の縄張りを荒らした連中を痛い目に合わせてやれ‼︎』

 

ヒル・ボル(ランディール号戦闘員)

『ワープアウト反応!数は…は、八万⁉︎八万がワープアウトしてくる‼︎』

 

ノ・ボル(同上)

『相手の旗印(IFF)は…。船長!こりゃあ…』

 

ド・ボル(同上)

『オラクル共和国の軍隊だ‼︎』

 

オラクル艦隊が一斉に空間から飛び出して来ては、更に敵艦隊を包囲してしまった。オラキオ艦隊の将兵達は驚愕のあまり、誰もが手を、思考を、止めてしまった。然し、そこに軍神と讃えられた皇帝の後継者は容赦なくその左手を振り下ろした。

 

タクミ

『ファイアー‼︎』

 

キダ

『ファイアー‼︎』

 

チェンバレン

『フー‼︎』

 

オラクルの提督達の喝が飛ぶと同時に翡翠の光線が三方より飛び、オラキオ艦隊は混乱した。オラキオ艦隊の司令官はこの包囲脱すべく行動しようとするが、前方のタイラー艦隊八千すら抜けなかったオラキオ艦隊が八万の包囲を破れるわけなく、旗艦も被弾し、爆散した。更にホークス中佐麾下第四航空師団が襲い掛かり、更にオラキオ艦隊は削られていき、1時間後には三万から三千隻程度に撃ち減らされていた。

 

タクミ

『撃ち方やめ‼︎』

 

オラクル艦隊の砲撃はピタッと止んだ。総旗艦金剛は発光通信を敵艦に送った。内容はこうだった。

『我、コレ以上ノ、貴艦隊ノ流血ヲ強イルハ、本意ナラズ。降伏セヨ、然ラバ、我モ、スレイマン殿下ノ寛大ナル処置ヲ願イ出ル事ヲ誓オウ。オラクル海軍 第一艦隊司令官タクミ・F』

 

因みに、三国同盟の盟主たるオラキオ第二王子スレイマンの名を出し、降伏を勧告したのは、タクミなりの配慮であった。そして敵の兵達も、この悪魔的な勢いで奇襲を仕掛けた艦隊と戦をする気は既になく、この勧告に従った。

 

タクミは前方の味方艦隊(テイラー艦隊)を見ると通信を行う様に指示を出した。その指示を受けたマトイが端末を触ると、肌黒のビーストマンの姿が映し出された。生まれて初めて見るビーストマンの姿を見たオラクル人は阿鼻叫喚を囁き始めた。タクミはそう言った連中を見やると止めよという合図を出した。その後、この海賊王を見つめ、口を開いた。

 

タクミ

『私はオラクル共和国オラクル要塞方面軍及び、グラール・オラキオ王国救援軍総司令官タクミ・F大将です。貴方の官姓名をお教え頂きたい。』

 

タイラー

『私は、ローグスの長を務めているアルフォート・タイラーだ。共和国の救援に感謝するぞ大将。だが、まだ我々にはのんびりと自己紹介をしている暇はない。他の二艦隊が合流を始め、こちらに向かっている。』

 

タクミ

『おや、予想よりも対応が早いな。マトイ、敵艦隊の合流完了時間は?』

 

マトイ

『二時間です。我々の接敵時間はそれよりも遅い、三時間です。』

 

タクミ

『フム、よし陸軍部隊は予定通り降下、衛星軌道で支援を行う艦隊だけを残し、それ以外はそのまま付いて来い。タイラー殿、我らはこのまま敵艦隊を撃滅しなければならないが出来る事なら貴艦隊の力も借りたい。諸君らは海賊ゆえ、自由を好む達なのは分かる。戦列を組んでくれるだけで良い。接敵したら諸君らの自由にやってくれて構わない。どうか共に来てはもらえぬか?』

 

タイラー

『そこまで分かっているのなら、文句はない。共に行こう。』

 

タクミ

『よし、アフィン、サガ、カトリ、ピエロ、頼むぞ!それでは各々、行こうか。』

 

八万八千隻の艦隊が敵艦隊に向かって前進を始めた。その一方アフィンのレンジャーを主力とする軍団(10万)、サガ、カトリのバウンサーを主力とする軍団(5万)、ピエロのサモナーを主力とする軍団(5万)がモトゥブに降下した。対するオラキオ艦隊は約六万隻であり、数的不利を被っただけでなく、完全な奇襲を仕掛けたオラクル艦隊への恐怖が回り始めていた。その為、射程が僅かに優るオラキオ艦隊は有効射程にはまだ遠いものの先手を取るべく、砲撃を開始した。然し、オラクル艦隊は動じず、攻撃を後方に受け流しながら、U時型に戦列を組み直した。

 

タクミ

『全艦載機は直掩に回れ!先ずは敵右翼を攻撃する。その後、左翼!その後中央突破だ‼︎撃ち方はじめ‼︎』

 

マトイ

『撃ちぃ〜方始め‼︎』

 

旗艦金剛の斉射に合わせて、各艦が各々のタイミングで砲撃を始めた。右翼に砲撃が集中し始めたオラキオ艦隊は左翼及び中央の戦力を小出しして穴埋めに掛かったが、戦力の逐次投入は戦場においての最大の愚策、何の成果にも繋がらないばかりか右翼崩壊の危機を迎えつつあった。

 

タクミ

『今だ!チェンバレン艦隊は左翼に砲撃集中‼︎その後、本隊、キダ艦隊の順で砲撃目標を変える!』

 

通信士官

『閣下、アルフォート・タイラー殿より通信、『これより上方より敵中央を攻撃を行う。同盟艦隊の支援を期待する』以上です。』

 

タクミ

『了解した。聞いたな諸君、全艦左翼に砲撃集中‼︎艦載機隊の鎖を解け、そろそろ餌が恋しくなるはずだ。』

 

ホークス

『よし、行くよあんた達!先ずは左翼空母艦隊を潰す‼︎一機も発艦させるな‼︎』

 

機首をオレンジに塗装したホークス機が敵艦隊目掛けてすっ飛んで行くと、他の艦載機もそれに続いた。オラキオ艦隊が、対空戦闘に移行したが、正面と上面から敵の砲火が迫り来る状況故にちゃんとした体制が取れず、次第にオラクル艦載機隊の蹂躙を許す形になっていった。

 

敵の空母を撃沈しようとホークスは機体を加速させていた。彼女の獲物は艦載機を発艦させようと側面ハッチを解放していた空母だった。ホークスは愛機を空母の側面に回り込ませ、機首を向けた。そこから、バレルロールを繰り出し、各ハッチに駐機していた敵機に機銃をお見舞いした。破壊された艦載機が誘爆し、かくして空母は業火の中に消えた。ホークスは隣の空母に狙いを定めると、対空砲火を掻い潜り敵艦の艦橋目掛けて、機体の背部に搭載されているレーザーカノンを照射し、艦橋を吹っ飛ばした。更に、そのままミサイルを敵艦中央に放ち、かくして空母は爆散したが、運良く逃れられた艦載機四機がホークスを追いかけてきた。ホークスは今の状況を瞬時に把握すると、逃げるに如かずと言わんばかりに加速して振り切る事にした。

 

ホークス

『四機かぁ、モテる女は辛いね。でもホークス姐さんは負けないぞ!』

 

ホークスは敵機が追いかけてる事を確認すると、エンジンを急停止し敵機を追い抜かせた。追う側と逃げる側が入れ替わると、ホークスは四機を瞬時にロックオンすると、2機を機銃、残りの2機をミサイルで撃墜した。

 

ホークス

『イィィィィィィハァァァァァァ‼︎‼︎撃墜スコア更新‼︎ホークス機から母艦へ、補給の為帰還します。』

 

一方その頃、アルフォート・タイラー率いるローグス艦隊はオラクル艦隊とは違い、敵艦隊上方から砲撃を加えていた。アルフォート・タイラーはこの外宇宙からの来訪者がどのような戦い方をするのか見ていた。

 

タイラー

『(もはや見事としか言いようがない。火力の一点集中戦法、それによって起こる戦列の混乱。それらを全てこちらで管理し、頃合いを見計らって、全て平らげる。かといって攻めばかりではなく、守りも付け入る隙が無い。艦隊の陣形や、各艦の回避運動、そしてシールドを宇宙空間に発生させるあの得体の知れないミサイル。これらを全て使い、味方の犠牲を最小限にとどめている。オマケにさっきのワープ直後の包囲戦だ。オラクルの技術力の高さが可能にした戦法であるにしろ、ワープで敵艦隊に近づき、そのまま包囲すると考える者は多くは無い。

 

恐らく、あの手の男(タクミ)は全神経と思考が敵を倒す事に集中しているのだ。見た目と話した感じではそうは感じないだろうが、と言うよりそもそも本人が気づいていないに違いない。先程の敵艦隊に対し、降伏を呼び掛ける時も勧告を行うギリギリまで砲撃を弱めなかった。降伏を呼び掛けるのなら徐々に攻撃を弱めるのが常道。恐らくあの若者の肉体の中には戦を好む者とそうでないものが同棲して居るのだそして互いが噛み合わぬばかりに常人には分からぬ隙が生まれる。そしてその隙は決して小さくはない。いつか必ず障りになる。)…敵艦隊はあと何隻残っている?』

 

ヒル・ボル

『後、六千が良いとこですぜ、お頭。対するこっちの損害はかわいいもんでさぁ、大勝利ですぜ!』

 

タイラー

『味方艦隊に通信を送れ、『ここらで良いだろう。』とな。』

 

通信は直ぐに金剛に送られ、艦橋の司令官席にのんびり座っていたタクミに届けられた。

 

タクミ

『引き際か、敵艦隊旗艦が一隻生き残っていたな。通信を繋げ、パネルにな?顔を見たい。』

 

マトイは頷くと端末を操作し、敵旗艦との通信を繋いだ。映し出されたのは初老の白髪白鬚の男であった。

 

タクミ

『貴艦隊の敗北は決した。これ以上は双方に出血を強いるのみ。降伏せよ。助命は約束する。』

 

オラキオ艦隊提督

『我が六千と先にやられた三千。これでスレイマン殿下は新たに戦力を得たと言うわけですな…降伏する。私を除いて全ての将兵がスレイマン殿下に忠誠を誓う。私は敗軍の将として死して我らがシュメルヒ殿下にお詫びを致す。』

 

初老の提督が拳銃を取り出すと、自分の眉間に銃口を当て、引き金を引いた

乾いた銃声が辺りに響き渡った。マトイはその瞬間に目を逸らし、タクミは死にゆく老人に敬礼を送った。

 

タクミ

『まだ戦いは終わってない!オラクルの兵ども‼︎ニューデイズとパルムに降り、そこに巣食う敵の首を刈り取ってこい‼︎行くぞ!配置につけぇぇぇぇ‼︎』

 

オラクル軍将兵

『雄ォォォォォォォォォォ‼︎‼︎』

 

オラクル軍はニューデイズ、パルムの双方に兵を降下させた。各惑星に派遣したのは二十万。対するオラキオ軍は三十万であった。いかに現地の戦力があったとしても十万の差はとても覆せるものではない。オラクル人の苦しい戦いが今、正に始まろうとしていた。




オマケ
オラクル軍使用艦艇略図

1 ガーディアン級艦隊旗艦型大型戦艦
(有名な艦 ガーディアン、スサノオ等)
新光暦239年に建造されたオラクル史上初の全長三キロ越えの大型戦艦である。特一等アークス(タクミ・F)の宇宙艦隊再建計画に基づき建造された本艦は希少資源採掘技術の乏しいオラクルのなけなしの希少資源をふんだんに使った戦艦であり、艦隊旗艦になるべく建造された。通常のオラクル艦艇(アークスシップ)とは違い、直線的なデザインであり、モジュール構造を採用して居るため、修理性と建造時間の簡略化も図られている。火力防御力も申し分ないが、特筆すべきはオラクル艦艇特有の機動力にあるだろう。5キロという巨体で戦場を順応無地に飛び回り、翻弄するというもはや常識はずれといっても過言ではない。そんな無敵な戦艦のように聞こえるが、五番艦アキレウス以降は希少資源の採掘量が間に合わない為、既存の装甲材を使った装甲を何層にも重ねて装着するという方式に変わっており、初期型に比べるとかなり打たれ弱くなってしまった。(初期型に比べればなので十分堅い)その為、艦隊指揮官の好みの改造によっては、一撃で爆沈する危険性をはらむ事になり、第二銀河侵攻戦の際、第9艦隊旗艦サーコノスはミサイルの搭載量を増やす為外付けミサイルポッドやサイロを搭載していたが、当たりどころが悪くレールガンの一撃で誘爆し爆沈したり、第四艦隊分艦隊旗艦サリーマは高機動高速力を求めた為、装甲を幾分か削っていたが、コントロール不能に陥った高速戦艦ミーシャに激突され、小惑星と挟まれる形になり、装甲の薄さが災いして船体が潰れ、そのまま撃沈したといった報告がいくつも上がるようになる。しかし、それでもガーディアン級は拡張性に富み、バランスの良い戦艦であることは認識されており、相当数量産されたそうである。

2 オラクル主力戦艦(標準戦艦)
オラクル宇宙艦隊の主力を担う戦艦。量産性と機動性と長距離攻撃能力を重視して作られており、防戦に強い。モジュール構造を採用している為、艦首主砲が増強されているタイプや艤装特化改造がされて原型を留めていない重武装タイプと言ったバリエーションも存在する。

3 オラクル軍巡航艦
艦隊の中核を担う巡洋艦である。モジュール構造を採用している為、量産性拡張性に富む。(因みにオラクルは各勢力に比べて、領土の割に国力が低くく、四カ国で建造数を計算したところ戦艦は二位、空母は同率三位(オラキオと同数)、駆逐艦二位という結果になっているが、巡航艦の一週間の量産数だけは各国一位を誇る。建造数×一週間オラクル800〜1000 オラドニア帝国750〜900 グラール500〜600 オラキオ約750)

4 オラクル主力駆逐艦
オラクル艦隊の前線を担当する駆逐艦。モジュール構造を採用している為量産性が高い。他国の駆逐艦よりも重武装であることも知られており、他の駆逐艦の艦首フォトン・レーザー砲が12.7cmなのに対し、この艦は14cm砲を採用している。艦首が少し重くなる為バランスを取るという目的で艦中央部に搭載された艤装型12.7cm二連装レールガンや艦首側面に搭載された61cm対艦魚雷も強力であり、類を見ない強力な艦であるが、欠点として、装甲がどの駆逐艦よりも薄く、生存性に欠けるということである。これは重装備になった本級が駆逐艦としての速度と機動力を発揮出来るように取られた措置によるものであった。

5 オラクル主力空母
オラクル軍の主力量産空母。他国の空母とは違い、量より質を求めて建造されて居る為、他国の空母生産量では大きく劣る。然しこの艦が搭載する艦載機量はなんと二百機であり、飛行甲板及び、艦底部の急速発進ベイから発艦される艦載機の大軍で一気に制空権を確保、打撃を与えるというコンセプトで作られている。勿論、それらを運用する為の搭載力もさる事、艦自体の戦闘力も高く、艦隊指揮能力も通常の戦艦以上の力を保有して居る。(艦載機管制面の確保の為、大型アンテナを旗艦クラスの物を装備して居る為、その余波によるものである。)尚、オラクルではこの艦級のみが戦闘艦としては唯一モジュール構造を採用していない。

6 ヤマト級艦隊旗艦型大型戦艦
新光暦190年代に建造されたと思われる大型戦艦である。後のオラクル艦艇とは異なり、艦の艤装が全て外付けの460cmレーザー砲や12.7cm〜20cm副砲、各種対空砲で装備されており、そしてそれらが全て強力という鉄の化け物である。(修復後艦首レーザー主砲と、ミサイルサイロを搭載した。)シールドシステムや装甲は独自の技術が使われており、どれも新光暦239年時点で研究中の代物が使われており、40年前の驚異的な技術とは到底思えないと多くの技術者が口を揃えて言ったほどである。全長は3.6 kmと他の艦隊旗艦に比べれば大分小柄だが、ヤマト級一艦で3万隻以上の艦艇を統率可能であるなどありとあらゆる点で既存艦艇を凌駕していた。というのも元々ヤマト級は、これをコアシップにした超大型重武装アークスシップ建造計画の一環で出来上がったものだが計画は頓挫し、初期生産の三艦を、ナベリウスの月の中に存在する秘密造船所に封印、そのまま計画も抹消された。然し新光暦239年、軍拡を進めていたオラクルの技術陣はこの艦の存在に目をつけ、封印されていたこの三艦を復活させた。一番艦ヤマトは第六艦隊旗艦として就任し、ジェームズ・ネルソン元帥が座乗し、二番艦ムサシは第一艦隊旗艦、分艦隊旗艦として、タクミ・F大将、ヒューズ少将が座乗し、三番艦シナノは超大型空母として改造作業が続けられており、完了次第アークス第一艦隊(アークス総司令部直属の独自艦隊)に編入されるという。

7 ソールハル級艦隊旗艦型大型戦艦
簡単にいうと超ガーディアン級戦艦を作ろうとして生まれた、ガーディアン級を横に二隻くっつけたような見た目をしている。火力はどの勢力の軍艦を凌駕し、正面火力200門以上(艤装型兵装も含め)という馬鹿げた数字を叩き出した本級はガーディアン級の改良艦として製造されたが、莫大なコストが掛かるため、ガーディアン級程の量産はされず五隻程度しか建造されなかったそうである。然し、総合能力はガーディアン級を凌駕し、艦隊旗艦としては申し分のない評価を受けた為、この艦を配備された艦隊はそれ相応の評価を受けているという証になった。(因みにこの艦を受け取った提督達は艦隊旗艦をこの艦にこぞって変更するが、第一艦隊所属の二番艦パンゲアは分艦隊司令官エドワード・アースグリム准将の座乗艦になっている。)

8 改ガーディアン級戦艦(通称金剛級)
ガーディアン級はロールアウト以降戦果を稼いできたが、一部の司令官からは不満の声が上がっていた。というのもオラドニア帝国にはイラストリアス級という優秀な艦隊旗艦が存在しており、その艦に比べるとガーディアン級は万能型というより、平凡な性能しか無いと感じさせられる様になったからである。そこで開発されたのがガーディアン級の火力、防御力、速力、指揮能力を向上させた改ガーディアン級の計画が持ち上がる。最大の改造点は艦首に大型の要塞クラスレーザー主砲を搭載している事である。それは艦首内に搭載されており、発車の際は艦首主砲ブロックが下に外れ、その中にその巨砲が隠されている。収束と拡散に使い分けられる様に発射機関が加工されており、状況によって使い分けられる。更に指揮能力向上につき、初めてデータリンク機能を搭載しており、一艦で3万隻近くをコントロールする事も可能になった。基本的に金剛級は既存のガーディアン級を改修して就役させたものなので一から建造された艦は居ない。(三番艦、四番艦は建造途中のガーディアン級を改修する形になったので実質一から建造しているといっても過言では無い。)因みに一番艦コンゴウはガーディアン級二番艦スサノオを改修した艦で二番艦ヒエイは四十三番艦シキシマを改修したものである。

9 ストックホルム級高速戦艦
オラクル軍初のの主力量産高速戦艦である。艦首が傾斜しているため、高速戦艦でありながらある程度の防御力も保有する。通常の艦首レーザー砲に加え、砲塔は他の艦艇の様に大口径では無く、60cm砲に変更が加えられているが、既存の艤装よりも連射と貫通力の高いものを採用しているため、総合的な火力はむしろ向上している。高速戦艦は兵科で言うところの騎兵であり、その高速力で敵艦隊を翻弄し、そして火力を持って敵を屠ることが役目だが、こう言う艦は決まって防御力が低い。守勢に立たされれば、とことん弱く、第四艦隊はその構成艦がほぼこのストックホルム級だった事が災いし、スパルタン撤退戦では、かなりの犠牲を出したという。(それでも三割程の損害であり、ガブリエルが遅陣した事が幸いした。)然しストックホルム級はそもそも守勢に回る様な艦では無く、敵に対して圧倒的な打撃を与える事をモットーとして建造されているので、この艦を艦隊に入れている司令官は如何に上手く攻め、如何に上手くこの艦を守るかという判断を行わなければならない。尚、他のオラクル艦艇と同じくモジュール構造を採用しているため、量産性はそれなりに確保しており、外見こそ違えど、標準戦艦と内部の部品は互換性がある。
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