pso2仮想戦記二年前の戦争   作:オラニエ公ジャン・バルジャン

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これはフィクションです
実在の人物、組織等に一切関係ありません


9話 民衆の選ぶ権利

アークスシップ1番艦にスサノオが近づき、一艇の揚陸艇が近づいた。中に乗ってるのは指揮官であるタクミと副官の鹿島とフリードリヒ・オイゲン・ケンプが艦内警備に…と言うより、何処か抜けてる弟子にして上司であるこの青年のお守りで残した、ポツダム連隊最精鋭ベテランで構成した老親衛隊500名も乗せて祖国首都に帰った。アークス1番艦都市は戦場と化し、出征前の景色の面影など残していなかった。この500名と2名はそれぞれ武装しており、もしもの時は最前線で撃ち合うだけの装備をしていた。特に老親衛隊に至っては射撃、白兵共にトップクラスの実力を持っており、アークスとしての規定が下がれば、余裕でなれていたであろう。老親衛隊の編成はハンター150名、レンジャー250名、フォース50名、騎兵の代替えとしてブレイバー50名であった。一行は先に乗り込んでいた突入部隊司令部についた。そこには、アークス首脳部と六芒均衡が待っていた。彼らは、軍刑務所に収容されていたが、全員では無かった。この時、六芒均衡の零クーナは近日に行うライブの打ち合わせに出ておりこの時アークス本営に居なかった。そこにこの内乱が起こった。クーナは自分の創生器を使い、刑務所に侵入、彼らを助け出し、ここに無事に逃げ込んだのだ。ウルクはとある場所に注意を引きつけられていた。それは議事堂であった。突入部隊の突入で現政権派の部隊の殆どがとっとと退却してしまったが、未だ、国民を道具の様に扱い、心の底から憎んでいた首相と政治家達を信じる者達が立て籠もっていた。防衛軍はこれを攻撃する事が出来なかった。彼らの後ろにいる首相達は彼らを盾に篭っており、タクミ達の立場から考えれば、国民に銃を向ける事自体がタブーであり、ましてや今回の内乱でそのタブーを冒しており、更に、立て籠もってる民衆はろくに武装して無い民衆の方が多かったのだ。然し、このままでは何時までも内乱が終わらない。かと言って、降伏させようとしても、銃撃される。攻撃すれば、無抵抗の民間人を瓦礫で潰したと汚名を残し、攻撃の種にもされかねなかった。

 

牢から脱獄したウルクは周りを見回して問いた。

『彼らを説得できる人はいる?』

皆、顔を見回した。国民の人気も高い六芒均衡ですら、彼らにとっての悪の権化の如く思われてしまっている以上困難であった。

タクミはこれを買って出る事にした。

『俺が行きます。俺が彼らを説得してみます。』

『タクミ、相手はお前が誰だろうとお構い無しに撃ってくるぞ?それでも行くんだな?』

『ゼノ先輩、彼らを退かせば、この戦いは終わる。無駄に流血をしなくて済むんだ。』

ゼノもそこまで言うのならと了承し、他の面々も同意した。タクミは老親衛隊を置いていこうとしたが、彼らは自分の連隊長の命令に忠実であり、タクミを守る事が命を懸けてもやり通す事であった。その為、彼らはタクミの待機命令に従わなかった。何が何でもついて行くと聞かなかった。タクミは折れ、老親衛隊レンジャー50名を連れて行く事にした。全員ついて行こうとしたが、それでは、多過ぎるし、敵に攻撃する気だと思わせてしまう。そもそも50名でも多いのだが、初老の副官である鹿島大佐が、敵の騙し討ちに遭う可能性を否定出来ないし、老親衛隊を納得させることも必要だと言うので、この50名を連れて行く事になった。そしてタクミ一行は、議事堂に続く、メインストリートを歩いている。この先にゲートがあり、100名ほどの兵士と、武装した民衆が待ち構えており、その横に騎乗した初老の男がいた。タクミ一行はゲートの前に立った。

老親衛隊はもしもの時に備え、装備していた盾を置き、銃を直ぐに撃てるよう軽く構えていた。鹿島は直ぐに少し先に立っていたタクミに近づいた。

『提督!敵の陣地です。敵は部隊を武装させて待ち構えていました。もはや、交渉は無理では?』

鹿島は直ぐに自分の銃剣(ガンスラッシュ)に弾倉を込めた。

だが、タクミはこう返した。

『それはまだ早い。彼らをを刺激するな。』

『提督!然しですな…』

『良いから聞け』

『はい。』

『周りの部隊が退却していく中、どういう訳か彼らは孤立した。そんな中でずっとここを守り続ける事に疑問を感じない筈が無い。特にあの指揮官ならな。』

彼が言った指揮官は白髪に白い髭を生やした初老のフランス系ヒューマンであった。その顔は老練の兵士の顔をしていたが何処か、後悔に塗れた顔をしていた。

『彼はフランシス・ピエール・プレシ騎兵大佐ですな。』

『どういう御仁なんだ?見たところアークスでは無いようだが?鹿島大佐の知り合いか?』

『そこまでではありませんが、実直な指揮官で、防衛軍発足時にその馬術と剣術と槍術を買われて大佐になった男です。ハンターとバウンサーと騎兵の教官をしていると聞いて居ましたが戦場に出るとは、彼は立場としてはアークスよりではあったそうですが、与党重職の者に恩義があるとかで、彼の立場は微妙でしょうな。』

『そんな顔をしてますね。迷いは戦場では禁物なのに。』

タクミらが話しているとプレシ大佐は、麾下に下令していた。『総員攻撃準備‼︎』

プレシの号令に兵士達は銃を構え、杖にフォトンを貯め、テクニックを詠唱していた。テクニックとは、フォトンに自然の摂理に基づいた力をフォトンによって限界まで強化、引きだしたものを攻撃、防御、補助等様々な用途を持つ力であり、この世界の科学で証明出来る魔法の一種と思えば良い。兵士達はタクミ一行に武器を構え、銃口を並べた。対するタクミはこう命令した。

『総員‼︎武器を下せ。』

命を懸けて守り通す主君の命令に忠実な彼らは武器を下ろした。タクミはプレシ等を見て、こう言った。

『プレシ大佐!そして、兵士民衆諸君よ‼︎問おう、君達は一体誰に、誰達に武器を向けているかを‼︎』

プレシは少し黙ったが、こう叫んだ。

『黙れ‼︎総員構え!撃てぇ‼︎‼︎』

誰一人発砲しなかった。兵士達は皆、プレシの顔を見ていた。戸惑っていると言うよりも、疑問を抱き、従えなかったのだ。

プレシはそんな彼らを見てこう言った。

『敵の戯言に乗るな‼︎彼らは己が祖国に剣を向けた逆賊だ‼︎我々の敵なのだぞ‼︎』

『兵士諸君武器を下ろそう。君達の親兄弟、そして友が、こうして帰ってきたのだ。さぁ再会を喜び合おう‼︎』

これを見ていたタクミはゆっくりと歩み寄りながら腕を大きく広げそう兵士達に問いかけた。

プレシが兵士達の顔を見た。彼らもプレシの顔を見返した。そして一人の兵士が武器を地面に置き、前を見ると、議事堂側の兵士と民衆が歓声をあげて走り寄ってきた。

そしてタクミの後ろの老親衛隊も喜びの声をあげて彼らの元に走り寄った。タクミは笑顔でそこに立ち、自分の後ろめがけて走っていく兵士と民衆の背中を叩いてやり、鹿島は驚き、プレシは疲れきった顔でサーベルを鞘に納めた。

そして兵士達は銃を移民船の狭い空に向かって、花火やクラッカーの様に発砲した。兵士達は歓声をあげて、抱き合った。そこに馬から降りたプレシが兵士達の中央にいたタクミに向かって歩み寄った。タクミもそれに気付き、手をプレシに向けてこう言った。『さぁ諸君。プレシ大佐を輪に入れてやろう。彼も苦しい戦いをしていたのだからな。』

プレシは両手でサーベルを持ち、タクミに差し出した。折ってくれと言いたいようだ。西洋に置いて将官のサーベルを折ることは今までの名誉、地位を無に返すことを意味していた。タクミはそれを手で抑え、拒否し、こう言った。

『貴方はオラクル船団に必要な人だ。まだ船団と私の為に戦って貰う。』彼は一連の出来事を許したのだ。

プレシとタクミは抱擁を交わした。その時に兵士達はより一層の歓声をあげた。『小官はこれより改めて閣下と船団の為に微力を尽くしたいと存じます。』プレシは感謝の意を表すと兵士達を見てこう続けた。『我々は今、悪政の中にいる!その責任は悪政の敷いた政治家では無く、我々は民衆国民にある!だがその責任を果たし、悪政を正す事が出来るのも国民だ‼︎今こそ真の民主主義を取り戻そう‼︎閣下に続け‼︎‼︎』雄叫びが上がる。タクミは儀礼服(アーク・バルバトス)の三角帽子を脱ぎ、議事堂をさした。

彼らの先頭にオラクル船団旗を持った鹿島がいた。

彼らの国旗にして軍旗であるこの国旗を先頭に掲げた以上、彼らは戸惑うことは無いだろう。一方議事堂前では防衛していた義勇隊は混乱していた。次々と自分達と同じように信じる政府の為に立ち上がった仲間達が次々と、彼らにとって逆賊であるアークス達と共にここを目指している。次第に彼らは自分の信じる政府に疑問を持ち出し、中には自分が利用されていたことに薄々感づいていた者も居た。そして何人かが投降しようとしたが、止められた。止めたのは政府お囲いの部隊の兵士だった。彼らは自分の主君と同じ性質の人間で編成されていて、首相の分身と言われていた。その分身達は自分の主君、戦友から見捨てられここに孤立し、ぶつけようの無い怒りを抱いていた。民衆達は彼らにこれ以上の戦闘は無意味と言った。然し、彼らは分身を理解していなかった。それを聞くやいなや、分身は発砲、抗議者の老人を射殺し、その周りにいた者達を老若男女問わずで殴り倒した。首相の分身と言われる彼らも、自分の敵は、ダーカーや機甲族や龍族では無く、民衆だった。もっとも憎んでいたのは民衆だった。彼らはこれ以上政府に対し不敬な発言をすれば、射殺すると叫んだ。然し、既に民衆はパニックになっており、その恐喝は届かず、民衆達はそれぞれの方向に逃げ出していた。分身達は命令無視として一人残らず射殺しようとした。が、一発も発射されなかった。分身達が民衆を撃ち殺そうとした瞬間、老親衛隊が突入し、分身達の脳天に鉛玉を喰らわせ、首と胴を分けていたのだ。神業と言える速さであった。

タクミは老親衛隊とプレシの部下に状況の整理を任せ、自分は、鹿島とプレシと老親衛隊の3名と共に議事堂に入った。議事堂はもぬけの空であった。慌てた様子は無いが幾つか物が散乱していた。政治家達はかなり前に脱出していたのだ。タクミは兎に角、首相のオフィスに向かい、情報を引き出すことにした。オフィスの手前の会議室に入った。やはりもぬけの空であったが机に何か置いてあった。それはブービートラップであった。鹿島は直ぐにタクミを庇い…『提督‼︎お逃げください‼︎』言い切った途端トラップは爆発した。プレシと老親衛隊3名は部屋に入って居なかった為軽傷で済み、タクミは鹿島に庇われ殆ど無傷だった。然し、鹿島は至る所を出血してしまい、もう手の施しようもなかった。『鹿島大佐‼︎』タクミはそう叫んで彼の手を握った。鹿島は薄れゆく意識の中でタクミにこう言った。『閣下…私は、貴方の元で戦えて光栄でした…。最期に頼みがあります…。私の娘夫婦には4歳になる孫が居ます。私の代わりに私の自室に置いてある…孫の誕生日プレゼントを渡して下さい…』タクミはそれを聞くやこう叫んだ。『嫌だ‼︎絶対にそんな事するもんか‼︎そんなの自分でやれ!生きて自分で渡さないと意味が無いじゃ無いか‼︎』

彼がそう言い終わり鹿島を見ると、彼は既に息絶えていた。タクミは噎び泣き、プレシと老親衛隊は敬礼を贈っていた。老親衛隊の一名が再度、会議室とオフィスに突入すると彼はとんでもない物を見た。そして大急ぎで戻ってきた。『提督閣下オフィスに来て下さい‼︎敵の脱出口を見つけました‼︎』タクミはそれを聞くと亡骸になった鹿島に手を合わせ、オフィスに入った。そこには脱出口があった。もし政治家達がもっと前に脱出しているのなら最期にここを閉めておけば、この内乱の行く末も分からなかったであろう。タクミは直ぐに外の艦隊に通信取り、船団宙域を見張らせた。

 

 




9話です。 結構時間が空きました。今回登場した老親衛隊のソースはフランスの英雄ナポレオン・ボナパルト率いる大陸軍最精鋭老親衛隊からとっています。銀英伝で言うところのローゼン・リッターの様な立ち位置ですね。(シュワルツ・ランツェンレーター(黒色槍騎兵艦隊)は出しませんよ?)今回でタクミ一党の高級指揮官が死亡しましたが、これからも主要人物が何人か死んでいくのを考えてたりしますwwwマトイ早くEP4で出ませんかね?www
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