ウィザーズ・ブレインのちょっとした日常妄想です

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金と銀の金平糖

「あれ?どうしたの、それ?」

 

 

錬がふとフィアに問いかける。

フィアの手にあるのは小さい瓶、そしてその中には小さな星のような物。

時折目の前に掲げて、幸せそうなほほえみを浮かべているのだ。

気にならない方が嘘だろう。

 

「これですか? ヴィドさんにいただいたんです。

 こんぺいとう、っていうんだそうですよ?

 甘くて美味しいんです! 錬さんも一つどうですか?」

 

そういってにこにこと勧めてくる。

(ああ、もう!かわいいなあ!)

暴走しそうな思考をどうにかして押さえつつ、返事を返す。

 

「あー、うん、ありがとう」

といってから気付いた

 

今は家の大掃除中。錬も頑張って重い荷物を両手に抱えているのだ。

 

…食べれない。だが。

にこにこと瓶を差し出してくるフィアに、ここでまた後で、などと言えるはずもない。

そこで。パニックに陥った錬は普段なら絶対に言わないようなことを口に出した。

 

「…あー。フィア、食べさせて?」

 

 

空気が、凍った。

 

後ろでにやにやと面白そうに眺めていた月夜。

月夜をなだめて仕事に戻そうとしつつ観察していた真昼。

そしてフィアの様子を見に来た弥生。

 

それぞれが何か信じられない物を見る目で錬を見つめる。

 

「…え?あ、あの、えと、あの…」

 

フィアもあわてている。

このあたりは弥生、月夜の一部間違ってる気がしないでもない教育がちゃんと根付いている証だろう。

 

「…あ」

今頃何を言ったのか気付いたらしい錬。

だが遅い。

 

「…あ、あーん、です」

 

そう言いながら真っ赤になった顔で手につまんだ金平糖を寄せてくるフィア。

多様な色の金平糖、その中からフィアがつまみ出したのは金色の物。

 

「あ、あーん」

 

口を開いてフィアの差し出す金平糖を受け入れる。

そしてフィアが金平糖を離し、指が口から抜ける前に錬は口を閉じてしまう。

硬直する錬とフィア。

二人の顔が真っ赤になり―――

 

 

 

ばたり

 

 

 

倒れた。大騒ぎになった大掃除。

月夜が叫び、真昼が笑い。

弥生が二人を診断し、月夜は部屋に二人を放り込む。

 

床に転がる瓶の中で。

 

金と銀に彩られた金平糖が静かに輝いていた―――

 




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