四年前に書いたウィザーズ・ブレイン小説第四弾。これが処女作。

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白黒の戦い

荒野。

 

 

そこに立っているのは二人の男。

片方は剣を携え、細身の服に身を包んでいる。

色としては、白、だろうか。全体に白は少ないはずなのに、所々の白のアクセント。

それによって印象が「白」となるのだろう。

全体に薄い色であることもそれに拍車をかけているのだろう。

 

もう片方は黒。外套に身を包み、袖口などの赤はくすんでいる。

武器などは持っているようには見えない。

 

白が言う。

「さ、て。それじゃあ、決着をつけようじゃないか。

5年以上前からの。その最高に最低な、吐きそうなくらいに面白かった、この戦いに」

 

黒が言う。

「面白かったかどうかは別にして―――いい加減、決着はつけないと、な。

このまま流れに流れて終わったら、先に逝ったあいつらに笑われちまう」

 

 

「「それじゃあ、戦争の幕開けといこうか」」

 

先手は黒。外套のうちから出した手は、すでにナイフを握っていた。

右と左、それぞれ二本ずつ、計四本。

そして、右手と左手が十の字に交差するように振り、後退する。

振られた手からは先ほど握られたナイフが投擲された。

右から左。

左から右。

下から上。

上から下。

それぞれほんの僅かだけタイミングがずれ、そして軌道の違う四本のナイフ。

それを白は。

(運動係数制御。身体能力、および反応速度を三十倍に固定)

一本の剣を二回。たった二回振ることでたたき落とした。

 

(熱量制御。「氷弾」生成。平行処理。分子運動制御。「檻」)

白の周りを氷弾が取り囲み、足下が隆起して動きを遮ろうとする。

(情報解体発動)

一振り。取り囲むように生まれた弾丸の大部分を無視。

ただ黒の喉笛に噛み付かんと疾走する、そのためだけに。

前方の弾丸、遮ろうとする大地の檻。そのすべてが一太刀の元に消え。

 

 

黒と白は接近した。

 

 

(反応加速。反応速度のみ四十倍に設定。容量不足。分子運動制御を解除)

(エントロピー制御。氷盾、生成)

白の剣。その、今にも黒に当たろうとした瞬間。剣が止まった。いや、止められた。

白の腕。剣を振るべきその腕の、まさに振るうために使われる部分。そこを押さえるように氷盾が生まれていた。

「ち、ぃぃぃ!」

力任せに振り切り、黒をとらえにいく。

だが。

「おいおい。炎使いが接近戦できない、なんて、誰がいつ、どこで決めた?」

そうつぶやいた黒。

その瞬間、氷盾は消え。

その体がするりと白が振るう剣の内側に入り込む。

白は対応しない。いや、できない。

なぜって、さっき剣を振るために力をふるい。その力が完全に止められることなく流れたのだ。

止まるはずがない。

そして

「これでも、喰らいな」

黒が再び手に握っていたナイフ。それが白の体に突き刺さる。

だが。

「う、おおおお!!」

白は止まるはずがなかったその力を止め、無理矢理黒の方へ振り下ろした。

黒は回避できず、左手に傷を負う。

ここで黒は一度距離をとる。

白の腹部。浅いとはいえないが、深いともいえない。

黒の左手。これはしばらくは動かせないだろう。

過去、このようになったらお互いに引いていた。だが。

「今回は―――」

    「―――待ったなし、だ」

お互いにそう声をかけ。

黒は後ろに下がるように。

白は前に進むように。

戦闘が、再開した―――。

 

そしてしばらくの戦い。

その決着が、ついにつくときが来た。

 

 

(自己領域、展開)

(磁場形成)

白は全身の力を込めた刺突。

黒は全情報制御、および全技術を込めたナイフの投擲。

互いに言葉はいらない。

 

 

(名称固定。「白牙」発動)

(レールガン、準備完了)

互いに準備が終わる。

 

白は自己領域の中に飛び込み、自分の運動のみが加速するように改変した世界を突き進む。

黒は目の前に生まれた磁場に全身の力を余すことなく使い、伝えたナイフを投擲。フレミング力によって加速されたナイフは、音速に達した。

 

小細工は無用。互いの得意な行動、その限界でもってぶつかり合う。

「「―――――――――!!」」

互いは叫び、声にならない思いがぶつかり合う。

大気が悲鳴を上げる。

投擲されたナイフはその技法、その加速によってもはや大砲に等しい。

それに向かう剣。加速、重さ、ともに申し分なく、その上さらに加速がなされ続ける

 

そして―――。

 

爆音。

 

 

すでに土地は原形をとどめていない。荒野にあった、ほんの少しの隆起。

それは姿を消し、至る所に穴があいている。

そこに立っていたのは、一人。

その男は、何も言うことなく、立ち去った―――


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