東方黒龍紀 〜黒き絶望は希望となるか〜 作:ブラキDIOス(超絶スランプ)
トドロキ「ここで言っても仕方ねェだろうが」
イナズマ「ではどうゾォ!!ヒャハハハハ!!!」
トドロキ「無視すんじゃねェ!このドチクショウがァ!!!!」
コウ「平和だなー」
前回のあらすじ・・・???「見てしまったか…」
〜???〜
謎の異空間にて。
ゾルム「うーむ……人間の飲み物も捨てたものではないな。俺好みの上品な香りだ」
椅子に腰掛け、脚を組み、優雅に、そして上品に紅茶の香りを楽しむゾルム。側にはティーポットを乗せたトレイを持った部下が立っている。その姿は傍から見れば、まさに王とそれに仕える執事、と言った感じであろう。実際、間違ってはいない。
部下「左様でございますか」
ゾルム「………うむ、味も悪くはない。アードよ、これは何と言う飲み物だ?」
部下以後アード「人間達はこの飲み物を紅茶、と呼んでいるそうです」
ゾルム「そうか……紅茶か…(後で部下達にも飲ませてやろう)」
読者の皆はこの光景を見て、『何をしているんだこいつは』と思ったであろう。
もちろん、言うまでもなくティータイムである。それ以上でも以下でもない。
ゾルム「しっかし司銀龍の奴は何をしているんだ!」
アード「おっと危ない…」
苛つきからか、ティーカップを荒っぽくトレイに載せるゾルム。その衝撃で、同じくトレイに乗せてあったティーポットが落ちそうになるが、これを何事も無かったかのように慣れた手つきで位置を修正するアード。流石である。
アード(危うく零れるところだった…)
ゾルム「奴があのお方の命を受けてからというもの、かれこれ3時間は経っているぞ!何処をほっつき歩いているというのだ!!アード、見当は付くか?」
アード「いや……私に聞かれましても…………」
ゾルム「ムゥ……それもそうか……………もう良い、下がれ」
アード「ハッ!」
軽く頭を下げ、その場から立ち去る部下。
ゾルム「……司銀龍………まあ、奴なら問題は無いだろうな…………ん?」
ふと気がつくゾルム。いつもならば、ティーポットと一緒にトレイに乗せてある小皿が今日は無かった。部下も気づいてはいなかったようだが………
ゾルム「そうだ…………スコーンを頼み忘れていた…っ……」
部下を呼ぼうとしたが、ティータイムの時間はとっくに終わっていた事に気がつき、小さく舌打ちをするゾルムであった。
その頃、人間の里では…
龍太「てやぁっ!」
普段の素振りの時のように、月影を振りかざす龍太。
???「………フン……」
しかし、男はこれを軽く受け止める。
???「良い振り下ろし方で候。師範でもおるのか?」
龍太「独学だよ…っ……くっ…」
???「ほう…?」
男は感心したような表情を見せている。だが、その表情とは裏腹に力が緩む事は一切無かった。寧ろ、徐々に強くなってきている。
龍太「ぐっ……ぎっ……!!」
龍太はこの時、刀の方にばかり目が行ってしまい、状況を把握する事が出来なかった。
???「独学でこの実力とは……感服いたす。だが……芽は太陽だけでは育たぬもので候…」
龍太「え…」
???「セイッ!!」
龍太「うわっ!?」
鍔迫り合いの状態から体制を崩される龍太。
そしてそのまま、月影を横に弾かれてしまった。
龍太「しまった!月影が…!」
???「体術を習うべきであったな。隙だらけで候」
そして次の瞬間、龍太の腹部に強烈な痛みが走った。
龍太「が…っ…!?」
刀の方に集中しすぎた為、何をされたのかが分からなかったが、このショックで徐々に思考が冷静さを取り戻し、そのおかげで【腹部を蹴られた】ということが辛うじて理解できた。
龍太「ゲホッ!ゲホッ!……ゲホッ………っ…はあっ……」
ただ腹部を蹴られただけならば、ここまで吐き気はしないはずである。どうやら胃がある位置をピンポイントで蹴られたようだ。
???「苦しいだろう。だが安心せい、すぐに楽にしてやろう」
男は龍太を見下ろしながら、トドメを刺そうと刀を振り上げる。月影は弾かれた時に手を離してしまったため、数メートルほど後ろに飛ばされてしまった。しかも、スペルカードは博麗神社に置いてきてしまった。つまり、今の龍太には身を守る方法は残されてはいない。
絶体絶命とはまさにこの事であろう。『死』の一文字が龍太の頭の中をよぎった。
???「拙者と合間見えた事を恨むが良い……」
男の握る刀が銀色に鈍く輝いている。深く被った三度笠によりその顔は見えないが、龍太の切羽詰まった表情とはまるで正反対の表情をしているのだろうか。
???「さらばだ…」
龍太「くっ!」
龍太は刀に切られるまで、ぼーっとしていたわけでは無い。振り下ろされる直前に、ある行動をとった。
それは至ってシンプルで、地面に横たわっていても…いや寧ろ、横たわっているからこそ出来ること。
『横に転がる』
ただそれだけだ。
???「何とッ!?」
シンプルな行動ではあったが、男の意表を突くことには成功したらしい。おかげで月影を拾いに行くチャンスができた。
???「小癪な真似を!!」
出し抜かれたことに腹を立てたのだろうか。是非とも男の表情を伺いたいところだが、そんな余裕があるわけでは無いので、月影に手を伸ばす。
そして、落ちていた月影を素早く拾い上げ、そのままの勢いで斜めに切り上げた。
龍太「はあああっ!!!」
???「ぬおっ!?」
しかし、男に傷を負わせることには及ばず、三度笠に切れ目を付けただけにとどまった。
???「おのれぇッ!!人間ごときが調子に乗るなッ!!」
龍太「うおおおおおっ!!!」
???「無駄だッ!この程度の剣など、容易く受け止めてくれようぞ!!ハアッ!!」
龍太「う…ぐっ…!!」
全身全霊を込めて放った渾身の一撃は、宣言通りにまたも容易く受け止められる…が、
龍太「まだ……まだだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
その直後、龍太の腕が黒いオーラに包まれ、男の刀に今までとは比べ物にならないほどの重圧がかかる!!
???「何ッ…!?(馬鹿な…こんな事が……こんな餓鬼が……)」
龍太「はああああああっ!!!!」
さらに力が加わり、そして……
『……ビッ……………バキンッ!!』
辺りに響いた甲高い音。
その音が鳴った直後、男の背後に刀の刀身が地面へと刺さった。
???「な…んだと…!?………チッ!」
男はこれ以上はマズいと判断したのか、バックステップをして龍太と距離を取った。
龍太「ハァ……ハァ…………うっ……ハァ……」
元々体力は少ない方であったため、これ以上は体が言うことを聞かない。しかも、降り続ける雨によって余計に体力を奪われていく。
???「ここは引こう……しかし、次は無いで候…」
龍太「…な…に……」
???「拙者が生きている限り、またお主と合間見える事があるかも知れぬ。だからと言うわけでは無いが、拙者の名を教えてやろう………『銀龍』だ」
龍太「…銀…龍……」
銀龍「さらばだ……おっと、仕事を忘れるところであった」
そう言うと、自身が殺した男性を抱えながら、消えるように去って行った。
龍太「くそ……歯が…立たなかった…………実力の差が……ありすぎる…………うっ……」
その言葉を最後に、龍太は静かにその場で倒れた。
〜異空間〜
アード「グァンゾルム様!グァンゾルム様!!」
ゾルム「何の用だ!それと目の前で騒ぐんじゃない!!」
アード「も、申し訳ございません」
ゾルム「…で?何なのだ?アードよ、お前が騒ぐ程だ。相当な事なのだろうな?」
アード「はい、司銀龍殿がたった今、帰還されました」
ゾルム「何だと!?……む…」
ふと目の前の扉を見ると、そこには人間を抱えた男が立っていた。
銀龍「今しがた戻ったで候…」
ゾルム「……遅いぞ。何をしていた?」
銀龍「…………」
ゾルム「…まあ、想像するのは容易いがな。大方、人間に勝負でも吹っかけたんだろう?」
銀龍「左様」
ゾルム「フン……お前が何をしようと俺には関係が無い。が、あの方が黙ってはいないぞ…」
銀龍「…………」
ゾルム「まあいい……それについては俺が誤魔化しておく。お前は刀の手入れでもしておけ。相当派手にやった様だからな」
銀龍「…!!……気付いておったか」
ゾルム「よく見ろ。その刀をな」
言われた通りに刀を抜き、よく確認する銀龍。
銀龍「ん……!!これは……」
何と、柄にまでヒビが入っていた。新たな刀身を付け直せば良いと思っていたのだが、これでは使い物にならない。
銀龍(…あの時か………クククク…どうやら拙者は見くびっておったようだ…)
ゾルム「…どうかしたか?」
銀龍「いや…なんでも無いで候…」
ゾルム「…そうか……さて、アード!この死骸をあの部屋に運んでおけ。傷つけんようにな」
アード「ハッ!よいしょっと…」
銀龍(…次に会う時は……容赦はせん……黒龍…ミラボレアス……)
〜続く〜