東方黒龍紀 〜黒き絶望は希望となるか〜   作:ブラキDIOス(超絶スランプ)

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ゴウカク「……どういう事だおい…前回の投稿からかなり時間が経ってるぞ!?」

エンカク(今回もご機嫌ナナメだべ)

イッカク「あー…それはだな兄者、そのー…アレだ」

ゴウカク「なんだ!?はっきり言え!さもねぇとクソ作者をぶち殺すぞ!!俺様達が前書きのトークを務めて二発目からこれだよ!!チクショウ!!」

エンカク「ま、まあまあ…とりあえず落ち着いてサボテンでも食べたらどうだべか?」

ゴウカク「ん…サボテン……そんな気分じゃないんだが……まあいいや。で?こんなに遅れた理由は何なんだ?」

イッカク「テスト期間とか、学校の行事が色々と重なった結果だそうだ」

ゴウカク「…クソ作者め……まあいい。俺様が活躍できればそれでいいんだからな!!」

イッカク「兄者……本編で俺たちが出るのはまだ先だぞ…」

ゴウカク「ヴェッ!?」



第三十二話〜騎士vs門番〜

前回のあらすじ・・・ヒョウガ「正々堂々と…な」

 

 

〜紅魔館 門前

 

 

「………」

 

 

「………」

 

 

両者の距離は互いに一歩で踏み込める間合いのギリギリ外。どちらかが一歩でも踏み出せば即座に迎撃されるだろう。

それほど、辺りの空気は張り詰めていた。

 

 

(…この緊張感……最高だ…)

 

 

そんな状況下でもヒョウガは楽しんでいた。転生前では到底味わえない感情に酔いしれる程に。

しかし、そう長くこの緊張感に浸っているわけにもいかない。

油断をすれば殺されかねない。事実、彼は転生前に一瞬だけ油断をした。

 

 

 

…その結果がこれだ。そして、龍太の友人として目の前の敵と戦っている。

 

 

 

(……嫌な思い出だ……)

 

 

「考え事ですか?」

 

 

「…!」

 

 

「その油断が命取りですッ!!」

 

 

美鈴が左足で地面を蹴り付け一気に前に出ると、その勢いのまま拳が放たれる。

それをヒョウガは一歩も動かずに重心を前にかけることで受け止めた。

 

 

「…重いな……予想外だ」

 

 

「それはどうも」

 

 

突き出した拳を引き戻し、その交換作用でアッパーを打ち出す美鈴。その威力は先ほどの正拳突きを遥かに上回っているだろう。軌道からしてヒョウガの顎を狙っていることは明らか。確実に仕留める気でいるようだ。

 

それをヒョウガは上半身だけずらして躱し、美鈴のガラ空きとなった胴を目掛けて正拳突きを打ち込んだ。

 

 

「…っ!」

 

 

美鈴は腕を挟んでガードしたものの、その衝撃に顔を顰めた。

 

 

「早い反応だな」

 

 

「はあっ!!」

 

 

ヒョウガの首を目掛けて放たれた回し蹴り。ヒョウガは当然反応して受け止めようとするが、途中で蹴りの軌道が変わり、首ではなく側頭部に打ち込まれた。

 

 

「ぐおっ…!?」

 

 

予想外の一撃を貰ったため思わず体制を崩す。

 

 

「まだまだッ!!」

 

 

その隙を逃すまいと、下から上へヒョウガの顎を蹴り上げたが、咄嗟に上体を反らすことで直撃は免れた。

 

 

「くっ……器用な真似をしやがる…」

 

 

「側頭部に蹴りを食らってピンピンしてるあなたも大概です!」

 

 

「フン…あれは中々効いたぞ」

 

 

今度は両者同時に動き、拳や蹴りを打ち合う。美鈴は武闘家であり捌きや入り身といった動きを常に行う為に有利に思えるが、ヒョウガは技術で劣っている部分を妖怪を遥かに超えた身体能力で補っている為、決定打はそう簡単に入ることはない。

 

ヒョウガの繰り出す技はいずれも美鈴が放った技の真似事ではあるが、完璧に模倣しているため隙がないに等しく、さらに連続して繰り出されるため、美鈴も迂闊に手を出すことは出来ない。

 

繰り出された蹴りを捉え、攻撃に移ろうとすればもう片方の蹴りが飛ぶ。単発で拳を繰り出そうとするものなら必ずカウンターが入れられる。ある程度パターンの決まった連撃など瞬時に見切ってしまう。

 

そんな攻防戦を続けているため、当然踏み込みの起点となる地面は大きく抉れ、闘いは地上だけでなく、いつしか空中にまで及んだ。

 

だが、空中はヒョウガにとって圧倒的に不利だ。

ヒョウガの転生前の姿はベリオロス。俗に言う『レックス型骨格』の飛竜だ。それが影響してか、翼が腕についているのだ。つまり、空を飛ぶということは腕が自由に使えなくなるという事である。

 

しかし、ヒョウガの身体能力と執念がそうさせたのだろうか、それでも互いに決定打は入らなかった。

 

 

 

「ハッ!!」

 

 

ヒョウガの放った蹴りは真っ直ぐに美鈴の顔面へと入った。

しかし、美鈴はそれでも前に出ながら蹴りの衝撃が伝わり切る前に打点をズラし、ヒョウガに己の背面部を添える。

 

 

「何っ…!?」

 

 

「ふぅ……」

 

 

美鈴は短く息を吐き、次の瞬間には強い衝撃を受けて吹き飛ばされるヒョウガ。

 

 

「ガハッ…!!?」

 

 

震脚から肩と背中による至近距離からの突進。所謂『鉄山靠』という技だった。

 

 

「ぐ…おおおおお……!!」

 

 

あまりの衝撃により飛びそうになった意識を()()()()で強引に戻すと、大きく羽ばたき態勢を立て直した。

 

 

「ハァ……ハァ……………ウグ…!!」

 

 

姿勢が安定したため息を整えようとした時、ふと口から血が流れた。それを見た美鈴が察した。

 

 

「まさか…舌を…!?」

 

 

「…察しがいいな………くっ…」

 

 

ヒョウガが行ったある方法。それは『舌を噛み切る』ということ。痛みで意識を連れ戻したのだ。

 

 

「…体が思うように動かん……何をした…」

 

 

「腹を支点に内臓の幾つかに痛手を与えました。羽ばたくだけでも精一杯の筈です。……それでもまだやる気ですか?」

 

 

「当然だ…!」

 

 

「……死にますよ?」

 

 

「……ほざけ」

 

 

 

『ブンッ』

 

 

 

「…!?」

 

 

刹那、ヒョウガの体がブレ始める。

よく見ると、氷でできた道が一瞬の内に出来上がっていた。空中にも拘らず男が一人乗っても砕けない丈夫さに驚くが、所詮は道。先を読むことは容易い。しかも、その道は美鈴に向かって真っ直ぐに伸びていた。

 

 

「甘いですね!速ければ良いというものではありませんよ!!」

 

 

「…………」

 

 

「これで終わりですッ!!!」

 

 

高速で突っ込んで来るヒョウガに向かって正拳突きを繰り出そうとするが、その瞬間、ヒョウガの姿は美鈴の視界から()()()

 

 

「!?」

 

 

『パリンッ』

 

 

「ハッ!?」

 

 

反射で音のした方へと振り向くが、そこには非常に細かい氷の破片が落ちる光景のみ。ヒョウガの姿はどこにもなかった。

 

 

「氷…?…なぜ…」

 

 

『パリンッ』『パリンッ』

 

 

「そっちですか!?」

 

 

今度は二連続で音が鳴った。だが、振り向いてもヒョウガは居らず、先程と同じように氷が落下していく。

 

 

「どこを見ている?俺はここだ…!」

 

 

美鈴が背後を振り向いた時には、ヒョウガは既に技の態勢に入っていた。

 

 

「お返しだ」

 

 

「ぐぅっ…!?」

 

 

気づいた時には急接近していたヒョウガに吹き飛ばされる美鈴。

 

 

「身体を引いて衝撃を逃したか……流石だな」

 

 

「ゲホッ…!…確かに目では負えませんでしたけどね。私の能力は『気を使う程度の能力』なので」

 

 

「…そういえばそうだったな……うぐ…」

 

 

「あなたがどうやって高速で移動したのかは分かりませんが…どうやら相当な体力を消費したみたいですね」

 

 

「…………」

 

 

ヒョウガが高速移動を出来た理由、それは彼が能力を存分に使用したからである。

『ありとあらゆるものを凍結させる程度の能力』。その名の通りにあらゆるものを凍らせることが出来る一見すれば攻撃に特化したような能力だが、その一方でかなりの応用が利く能力でもある。

 

ヒョウガはこの能力を使い、空気中の水分を一瞬で凍らせることで薄い氷の板を空中に作り出し、それに飛び移ることにより高速移動を可能にしたのだ。

 

 

「……とは言えこちらも決して無視できないダメージを負っちゃいましたからね。次で決めさせていただきます」

 

 

美鈴は構え、身体から視認できる程の闘気を漲らせる。

身体を紅い気が包み込み、彼女から感じる力が飛躍的に上昇した。

 

 

「…なら、それに打ち勝ったら俺も通っていいんだな?」

 

 

「いいでしょう…!」

 

 

「そうか……礼を言うぜ…」

 

 

「?」

 

 

「戦いでここまで高揚したのは久し振りだ……最高の気分だよ」

 

 

その言葉と同時にヒョウガも構え、凍土の支配者として相応しい迫力を醸し出す。

 

 

「いざ!!」

 

 

「…尋常に!!」

 

 

 

 

 

「「勝負ッ!!!!」

 

 

 

 

互いの全力の拳がぶつかり合った。

 

 

 

 

 

 

 

門前で横たわる人物。

相変わらず空は紅く視線を館へ向けると、ただの鉄屑へと成り下がった門が風に揺られてキィキィと鳴っている。

地面には、紅い血が点々と館の方に向かっていた。

 

 

「はぁ〜負けちゃったか…」

 

 

身体から走る痛みに満足に動くことができず、ただ一言呟いた。

 

 

「申し訳ありません……お嬢様…」

 

 

 

 

 

 

 

〜紅魔館 正面玄関にて〜

 

 

 

「……フン……思っていたより…ダメージがでかいようだな………くっ…」

 

 

ヒョウガはダメージから、思わず膝をついた。

 

 

「……勝負におけるハングリーさでは勝ってはいたが………このザマか………武術で勝負した俺がバカだったな………フゥー…」

 

 

一度、深呼吸をして落ち着きを取り戻すと、再び龍太達を探す為に歩みを進めた。

 

 

 

〜続く〜

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