東方黒龍紀 〜黒き絶望は希望となるか〜   作:ブラキDIOス(超絶スランプ)

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第四話〜爆砕の英雄〜

 

 

ラティス「あー……ここでドンパチやるのは、初めてだったな」ボキボキ…

 

 

妖獣達への警告のつもりだろうか。拳を鳴らして、威嚇をしているかのように思えた。

 

 

……彼にその気があるかは知らないが。

 

 

龍太「…………(ゴク…)」

 

コウ「…………(ゴク…)」

 

 

二人は、これから何が起こるのか見当もつかなかった。だが、ただ一つ言えるのは、拳を鳴らす彼が『只者』ではないという事。

 

 

ラティス「フゥーーー……」ザッ…

 

 

地面に拳をつけ、大きく息を吐くと、みるみる内に彼の拳の色が変化していった。暗闇でもはっきりと分かる蛍光色の黄色。その拳は、仄かに発光していた。

 

 

ラティス「さぁ…来るなら来い…!!」ギロッ

 

妖獣達「」ビクッ

 

 

砕竜の橙色の瞳。その瞳に睨まれた者には-

 

 

 

ラティス「そっちが動かねぇのなら…こっちから行かせてもらうぜ!!ドラァッ!!」ビシュッ!!

 

バキィッ!!ボガァァァァァァァンッ!!!!

 

 

 

-生きた証を残す事さえ許されず、爆砕される未来が待っている。

 

 

 

リーダー「グルゥッ!?」

 

妖獣達「ガウアッ!?」

 

龍太「( ゚д゚)」

 

コウ「((((;゚Д゚)))))))」

 

龍太(え…?……今……爆発した…のか…?い、一体何が……)

 

コウ(今、目の前で起こった事をありのまま教えるぜ!俺は、龍太と一緒に、彼の戦いぶりを見ていた。そして、奴らの一匹にパンチが当たったかと思ったら、そいつは粉々に砕け散った……いや、砕け散ったというより、爆発したんだが……頭がどうにかなりそうだった………『キラー○イーン』や、『シアーハー○アタック』とかそんなチャチなもんじゃ断じて……………ん?しまった、これ同一人物じゃねぇか………いや、人じゃねぇか…まぁ、使いこなしてるのは人だけども…………って、そんな事はどうでもいい。とにかく、俺には何が起こったか全く分からなかった……それだけだ)

 

 

 

ラティス「よし…感覚が戻って来たぜ…」グッグッ

 

掌を握ったり開いたりして、粘菌の調子を確認する。

 

 

リーダー「グルルルルル…」

 

妖獣達「ガウゥゥ…!!」

 

仲間が一瞬の内に殺された事で、彼らの怒りは頂点に達したようだ。

 

 

だが、爆砕者()にとって、どれだけ怒っていようと関係ない。その拳に宿された粘菌により、あらゆるものは砕かれる。

 

 

ラティス「いいぜ……死にたい奴から前にでな…望み通りにしてやる」

 

リーダー「グァァァァッ!!!」バッ!

 

彼の発言に、種としてのプライドを傷つけられたのであろう。リーダー自らが彼に向かっていった。

 

 

 

ラティス「……あばよ」シュッ!!

 

 

ドゴッ!!ボガァァァァァァァンッ!!!

 

 

それは、あまりにも呆気ない最期であった。たった一発のパンチ。それだけで、リーダーの命は散った。

 

 

妖獣達「ガウッ!?……キャンッ!!キャンッ!!」

 

 

タッタッタッタッタッタッ……

 

 

こいつには敵わないと判断したのだろう。リーダーを失った妖獣達は、文字通り尻尾を巻いて逃げていった。

 

 

ラティス「…行ったか……おいお前ら、終わったぞ」

 

龍太「助けてくださりありがとうございます。ほら、コウもお礼を…」

 

コウ「」ブクブク……

 

彼は、砕竜がいるという恐怖からか、はたまた爆発の威力を目の当たりにして怖気付いたのか、泡を吹いて気絶していた。

 

龍太「うわぁーーーッ!?コウーーーッ!?」

 

ラティス「………見事に気絶してんな………まぁいい。ほら、足を持ってくれ。運ぶぞ」

 

龍太「え……運ぶって…どこにですか?」

 

ラティス「どこって…()に決まってんだろ?」

 

 

 

 

 

〜???の家の前〜

 

 

「なんでコイツは、こんなに細長いんだよ…」

 

「僕に聞かれても困ります……んぎぎ…!!」

 

「……お前、体力無いなぁ…」

 

「良く言われます…!…んぎー…!!」

 

「あ、着いたぞ」

 

「や、やっとですか……ハァーーー…」

 

 

ドサッ!

 

 

彼を運んで約五分。ようやく家にたどり着いた。

 

彼の体重自体はそこまで重くは無いのだが、如何せん身長が非常に高い為、運び方に工夫がいる。

 

ラティスと名乗った男の家に着く頃には、龍太はヘトヘトになってしまっていた。その所為で、彼を降ろす時に少々手荒になってしまったが、まぁ問題は無いだろう。だって竜だし。

 

龍太「ハァ……これなら体力テストの方がマシだ…」

 

まぁ、シャト○ランという名の公開処刑があるので、精神的な負担については運ぶ事の方が遥かにマシではあるが。

 

 

ラティス「おーい、アリスー」

 

コンコン…

 

先ほどの戦いぶりからは、想像が出来ないほど繊細な手首の動き。だが、何処かぎこちない感じに見えた。

 

「ちょっと待ってて……今、開けるわ」

 

ラティス「おう」

 

龍太(…女の人と住んでるのかな?もしかして夫婦…?)

 

そのような事を考えていると、中からカチャカチャと鍵を開ける音がした。そして…

 

 

ガチャ…

 

 

???「おかえりなさい。あら…?もしかしてその二人が…」

 

ラティス「ああ、()()()の言った通りに妖獣達に襲われてたから、助けて来た」

 

???「あなた、名前は?」

 

龍太「あ…『黒木 龍太』です。それと…倒れているのが『絞蛇竜』の『コウ』です」

 

アリス「『龍太』ね……分かったわ。私は『アリス・マーガトロイド』。急に襲われて怖かったでしょう?ほら、中に入りなさい」

 

龍太「え…いいんですか?」

 

アリス「もちろんよ。コウも連れてね」

 

龍太「……でも…」

 

彼は、女性の家に入る事には慣れていなかった。……慣れていると言われても困るのだが。

 

ラティス「何してんだよ。ほら、早く入れ。そいつは俺が運んどくから」グイッ

 

龍太「わわっ!?」

 

少々乱暴に家の中に引き込まれたが、これが彼なりの優しさなのであろう。

 

龍太「あ、ありがとうございます」

 

アリス「いいのよ。良くある事だから。さぁ、ご飯にしましょ。シチューだけど良いかしら?」

 

龍太「えっ!?やった!!………あ/////」カァァァァァァ

 

シチューは大好きだ。だからついつい叫んでしまった。……物凄く恥ずかしくなってきた。

 

アリス「フフフ……喜んでくれたようで何よりだわ。こっちよ」

 

龍太「……はい…////」

 

ラティス「くそっ……なんでっ…コイツはっ……こんなにでかいんだっ…!!」

 

コウ「」ズリズリ…

 

引きずられているコウが可哀想に思えたが、気絶してしまったのでこれは仕方ない事だろう。

 

 

そして彼は、家の中でとんでもない光景を目にした。

 

 

龍太「ルーミア!?」

 

ルーミア「あ、よく無事だったのだー」

 

それは、彼女が何食わぬ顔で、椅子に座っているという光景であった。もはや、怒りを通り越して呆れてきた。

 

龍太「………ハァ……嘘だろ……」

 

ルーミア「?」

 

ラティス「フゥー……ん?どうした、呆れた顔して」ドカッ

 

やっとの事で運び終えたのであろう。彼の額には汗が滲んでいた。

 

龍太「いや……ルーミアが僕達を置いて逃げたのかと思ってたんで…」

 

ラティス「なるほどな……だが、それはちょっと違うな…」

 

龍太「え?」

 

ラティス「コイツは、俺に助けを求めて来たんだ。ルーミアが俺の所に来てなけりゃ、お前らは今頃、奴らの胃袋の中だぞ」

 

龍太「ええ!?そうだったんですか!?ほ、本当かい…?ルーミア…」

 

ルーミア「そーなのだー」

 

龍太「…………」

 

今度は、先ほどまでルーミアに呆れていた自分自身に呆れてきた。なんという早とちりだろうか。

 

龍太(僕のバカヤローーーーーーーッ!!!!)

 

流石に、家の中で叫ぶわけにもいかないので、心の中で叫んだ。

 

龍太(僕って最低だ…)

 

ラティス「ま、勘違いは誰にでもあるさ。そう気を落とすな。」

 

龍太「…はい」

 

そうこうしている内に、シチューが運ばれてきた。

 

アリス「はい、野菜のシチュー。温まるわよ」コト…

 

とても良い匂いがする……そういえば、母が生きていた時も良く作ってくれたっけ……

 

龍太「…いただきます」

 

スプーンをゆっくり、シチューを零さないように口へと運んだ。

 

 

龍太(…美味しい…!!)

 

ラティス「どうだ?アリスが作ったシチューは。美味いだろ?」

 

龍太「はい!すごく美味しいです!きっと良いお嫁さんになれますよ」

 

アリス「ちょっ…////な、何言ってるのよ!?////」

 

龍太「…?」

 

正直に言っただけなのに……どうしたのだろうか。みるみる内に、顔が赤くなっていった。

 

ラティス「どうしたんだアリス……顔赤いぞ?」

 

アリス「……鈍感男…」ボソ

 

ラティス「?何か言ったか?」

 

アリス「何も…」

 

ラティス「???」

 

龍太「あ、あはは…」

 

ラティス「……そうだ。龍太、今日は泊まっていけ」

 

龍太「えええ!?い、いやそれは迷惑に…」

 

ラティス「じゃあ、お前はまた妖獣達に襲われても良いのか?」

 

龍太「う…」

 

それは嫌だ。口には出さなかったが、あの時は本当に怖かった。もう一度同じ気持ちを味わうのは、ごめんだ。

 

龍太「……じゃあ…お言葉に甘えて…」

 

ラティス「決まりだな。布団は俺のを使え」

 

半ば強引に思えたが、まぁ…これも彼なりの優しさなのであろう。

 

 

龍太(……これからどうなるんだろう…)

 

 

これから先、彼の身に起こる事は、誰にも予想がつかない事であった。

 

 

〜続く〜

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