東方黒龍紀 〜黒き絶望は希望となるか〜 作:ブラキDIOス(超絶スランプ)
ラティス「あー……ここでドンパチやるのは、初めてだったな」ボキボキ…
妖獣達への警告のつもりだろうか。拳を鳴らして、威嚇をしているかのように思えた。
……彼にその気があるかは知らないが。
龍太「…………(ゴク…)」
コウ「…………(ゴク…)」
二人は、これから何が起こるのか見当もつかなかった。だが、ただ一つ言えるのは、拳を鳴らす彼が『只者』ではないという事。
ラティス「フゥーーー……」ザッ…
地面に拳をつけ、大きく息を吐くと、みるみる内に彼の拳の色が変化していった。暗闇でもはっきりと分かる蛍光色の黄色。その拳は、仄かに発光していた。
ラティス「さぁ…来るなら来い…!!」ギロッ
妖獣達「」ビクッ
砕竜の橙色の瞳。その瞳に睨まれた者には-
ラティス「そっちが動かねぇのなら…こっちから行かせてもらうぜ!!ドラァッ!!」ビシュッ!!
バキィッ!!ボガァァァァァァァンッ!!!!
-生きた証を残す事さえ許されず、爆砕される未来が待っている。
リーダー「グルゥッ!?」
妖獣達「ガウアッ!?」
龍太「( ゚д゚)」
コウ「((((;゚Д゚)))))))」
龍太(え…?……今……爆発した…のか…?い、一体何が……)
コウ(今、目の前で起こった事をありのまま教えるぜ!俺は、龍太と一緒に、彼の戦いぶりを見ていた。そして、奴らの一匹にパンチが当たったかと思ったら、そいつは粉々に砕け散った……いや、砕け散ったというより、爆発したんだが……頭がどうにかなりそうだった………『キラー○イーン』や、『シアーハー○アタック』とかそんなチャチなもんじゃ断じて……………ん?しまった、これ同一人物じゃねぇか………いや、人じゃねぇか…まぁ、使いこなしてるのは人だけども…………って、そんな事はどうでもいい。とにかく、俺には何が起こったか全く分からなかった……それだけだ)
ラティス「よし…感覚が戻って来たぜ…」グッグッ
掌を握ったり開いたりして、粘菌の調子を確認する。
リーダー「グルルルルル…」
妖獣達「ガウゥゥ…!!」
仲間が一瞬の内に殺された事で、彼らの怒りは頂点に達したようだ。
だが、
ラティス「いいぜ……死にたい奴から前にでな…望み通りにしてやる」
リーダー「グァァァァッ!!!」バッ!
彼の発言に、種としてのプライドを傷つけられたのであろう。リーダー自らが彼に向かっていった。
ラティス「……あばよ」シュッ!!
ドゴッ!!ボガァァァァァァァンッ!!!
それは、あまりにも呆気ない最期であった。たった一発のパンチ。それだけで、リーダーの命は散った。
妖獣達「ガウッ!?……キャンッ!!キャンッ!!」
タッタッタッタッタッタッ……
こいつには敵わないと判断したのだろう。リーダーを失った妖獣達は、文字通り尻尾を巻いて逃げていった。
ラティス「…行ったか……おいお前ら、終わったぞ」
龍太「助けてくださりありがとうございます。ほら、コウもお礼を…」
コウ「」ブクブク……
彼は、砕竜がいるという恐怖からか、はたまた爆発の威力を目の当たりにして怖気付いたのか、泡を吹いて気絶していた。
龍太「うわぁーーーッ!?コウーーーッ!?」
ラティス「………見事に気絶してんな………まぁいい。ほら、足を持ってくれ。運ぶぞ」
龍太「え……運ぶって…どこにですか?」
ラティス「どこって…
〜???の家の前〜
「なんでコイツは、こんなに細長いんだよ…」
「僕に聞かれても困ります……んぎぎ…!!」
「……お前、体力無いなぁ…」
「良く言われます…!…んぎー…!!」
「あ、着いたぞ」
「や、やっとですか……ハァーーー…」
ドサッ!
彼を運んで約五分。ようやく家にたどり着いた。
彼の体重自体はそこまで重くは無いのだが、如何せん身長が非常に高い為、運び方に工夫がいる。
ラティスと名乗った男の家に着く頃には、龍太はヘトヘトになってしまっていた。その所為で、彼を降ろす時に少々手荒になってしまったが、まぁ問題は無いだろう。だって竜だし。
龍太「ハァ……これなら体力テストの方がマシだ…」
まぁ、シャト○ランという名の公開処刑があるので、精神的な負担については運ぶ事の方が遥かにマシではあるが。
ラティス「おーい、アリスー」
コンコン…
先ほどの戦いぶりからは、想像が出来ないほど繊細な手首の動き。だが、何処かぎこちない感じに見えた。
「ちょっと待ってて……今、開けるわ」
ラティス「おう」
龍太(…女の人と住んでるのかな?もしかして夫婦…?)
そのような事を考えていると、中からカチャカチャと鍵を開ける音がした。そして…
ガチャ…
???「おかえりなさい。あら…?もしかしてその二人が…」
ラティス「ああ、
???「あなた、名前は?」
龍太「あ…『黒木 龍太』です。それと…倒れているのが『絞蛇竜』の『コウ』です」
アリス「『龍太』ね……分かったわ。私は『アリス・マーガトロイド』。急に襲われて怖かったでしょう?ほら、中に入りなさい」
龍太「え…いいんですか?」
アリス「もちろんよ。コウも連れてね」
龍太「……でも…」
彼は、女性の家に入る事には慣れていなかった。……慣れていると言われても困るのだが。
ラティス「何してんだよ。ほら、早く入れ。そいつは俺が運んどくから」グイッ
龍太「わわっ!?」
少々乱暴に家の中に引き込まれたが、これが彼なりの優しさなのであろう。
龍太「あ、ありがとうございます」
アリス「いいのよ。良くある事だから。さぁ、ご飯にしましょ。シチューだけど良いかしら?」
龍太「えっ!?やった!!………あ/////」カァァァァァァ
シチューは大好きだ。だからついつい叫んでしまった。……物凄く恥ずかしくなってきた。
アリス「フフフ……喜んでくれたようで何よりだわ。こっちよ」
龍太「……はい…////」
ラティス「くそっ……なんでっ…コイツはっ……こんなにでかいんだっ…!!」
コウ「」ズリズリ…
引きずられているコウが可哀想に思えたが、気絶してしまったのでこれは仕方ない事だろう。
そして彼は、家の中でとんでもない光景を目にした。
龍太「ルーミア!?」
ルーミア「あ、よく無事だったのだー」
それは、彼女が何食わぬ顔で、椅子に座っているという光景であった。もはや、怒りを通り越して呆れてきた。
龍太「………ハァ……嘘だろ……」
ルーミア「?」
ラティス「フゥー……ん?どうした、呆れた顔して」ドカッ
やっとの事で運び終えたのであろう。彼の額には汗が滲んでいた。
龍太「いや……ルーミアが僕達を置いて逃げたのかと思ってたんで…」
ラティス「なるほどな……だが、それはちょっと違うな…」
龍太「え?」
ラティス「コイツは、俺に助けを求めて来たんだ。ルーミアが俺の所に来てなけりゃ、お前らは今頃、奴らの胃袋の中だぞ」
龍太「ええ!?そうだったんですか!?ほ、本当かい…?ルーミア…」
ルーミア「そーなのだー」
龍太「…………」
今度は、先ほどまでルーミアに呆れていた自分自身に呆れてきた。なんという早とちりだろうか。
龍太(僕のバカヤローーーーーーーッ!!!!)
流石に、家の中で叫ぶわけにもいかないので、心の中で叫んだ。
龍太(僕って最低だ…)
ラティス「ま、勘違いは誰にでもあるさ。そう気を落とすな。」
龍太「…はい」
そうこうしている内に、シチューが運ばれてきた。
アリス「はい、野菜のシチュー。温まるわよ」コト…
とても良い匂いがする……そういえば、母が生きていた時も良く作ってくれたっけ……
龍太「…いただきます」
スプーンをゆっくり、シチューを零さないように口へと運んだ。
龍太(…美味しい…!!)
ラティス「どうだ?アリスが作ったシチューは。美味いだろ?」
龍太「はい!すごく美味しいです!きっと良いお嫁さんになれますよ」
アリス「ちょっ…////な、何言ってるのよ!?////」
龍太「…?」
正直に言っただけなのに……どうしたのだろうか。みるみる内に、顔が赤くなっていった。
ラティス「どうしたんだアリス……顔赤いぞ?」
アリス「……鈍感男…」ボソ
ラティス「?何か言ったか?」
アリス「何も…」
ラティス「???」
龍太「あ、あはは…」
ラティス「……そうだ。龍太、今日は泊まっていけ」
龍太「えええ!?い、いやそれは迷惑に…」
ラティス「じゃあ、お前はまた妖獣達に襲われても良いのか?」
龍太「う…」
それは嫌だ。口には出さなかったが、あの時は本当に怖かった。もう一度同じ気持ちを味わうのは、ごめんだ。
龍太「……じゃあ…お言葉に甘えて…」
ラティス「決まりだな。布団は俺のを使え」
半ば強引に思えたが、まぁ…これも彼なりの優しさなのであろう。
龍太(……これからどうなるんだろう…)
これから先、彼の身に起こる事は、誰にも予想がつかない事であった。
〜続く〜