東方黒龍紀 〜黒き絶望は希望となるか〜   作:ブラキDIOス(超絶スランプ)

9 / 38
第八話〜轟竜見参!! 後編〜

 

???「…………」

 

牢屋を抜け出して、一日が経った。追手から逃げきる為に全力で走った。山を駆け抜けた所為か、身体のあちこちに木の枝が刺さっている。致命傷には至っていないが、かなり痛い。

さらに体力は限界を迎え、立っているのもやっとの状態である。

 

???「クソッ……タレ………登るしか…ねぇか…」

 

息も絶え絶えで声を出すのも辛い。人間の体に一刻も早く慣れておかなくてはならないが、今はそれどころではなかった。

 

???「グ……ゲホッゴホッ!!…ペッ」

 

吐き出した唾に血液が混じっていた。

 

そして、彼が一番恐れていた事が起こってしまった。

 

???「見つけたぞ!!」

 

???「!!!グルルルル……しつけぇ奴だ……ゴホッ…」

 

山を抜けてからしつこく追い回してくる女。目が良いのか、鼻が利くのかは知らないがどこへ逃げても追ってくる。

 

しつこい天狗「脱走者め、今ここで成敗してくれる!!」チャキッ

 

???「グッ……クソッ…!!」タッタッタッ…

 

しつこい天狗「!?逃げる気か!?」

 

決して振り向かずに、そのまま石段を全力で駆け上がる。

 

後ろから弾丸のようなものが無数に飛んでくるがそれでも振り向かずに駆け上がる。いくつかは傷に当たり、激痛が襲うがいちいち構っている暇などない。

 

とにかく駆け上がった。足が悲鳴を上げているが、あと少しの所まで来た。

 

 

ところが、

 

 

しつこい天狗「逃がさない!天狗の名誉にかけて!!」バッ!!

 

???「…チッ…」

 

回り込まれてしまった。どうやら彼女は素早い動きを得意としているらしい。

 

 

 

 

 

だが、彼の種族にそのような事は関係ない。立ちはだかる者は誰であろうと力でねじ伏せる。世界が変わろうと古代から受け継がれてきた()()は変わらない。

 

 

 

 

 

 

???「テメェ…しつけぇんだよ…!!」スゥー…

 

振り返ると同時に深く深く息を吸い込み、そして…

 

???「食らいな…!!!」

 

 

 

 

 

「グォオオォアアァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

龍太「!?」ビクッ

 

霊夢「な、何なのよ!?この声!!」

 

文「何ですか!?何が起こったんですか!?」

 

突如として博麗神社に響いた声。

 

コウ「……奴だ………奴がいる…!!この神社に奴が来ている!!」

 

原生林で一度だけ耳にした事がある、数多の飛竜の中のある一種族だけが扱う特徴的な咆哮。それは音の領域を超え、『衝撃波』として近づく者を吹き飛ばす。

 

霊夢「奴?」

 

龍太「も、もしかして新聞に載ってるこの人?」

 

コウ「ザッツライト!!その通りだ!俺が先生だったら満点あげちゃう!!」

 

龍太「あ…ありがと…ハハハ…(それどころじゃない気がするけど…)」

 

文「とにかく外へ出て確認しましょう!スクープの匂いがします!!」

 

霊夢「分かったわ!!そうだ、龍太。あんたはこれを持ってなさい」サッ

 

龍太「え?………これは…刀?」

 

渡されたのは、何やらただならぬ気配を漂わせている日本刀。どうやらこの神社に奉納されていた刀らしい。

 

霊夢「少し錆びてるけど護身用としては充分よ。……多分」

 

なんか不安になる一言があった気がするけど気のせいだ。うん。

 

 

そして刀を試しに抜いてみたが、驚愕した。その刀身の悲惨な姿に。

 

 

龍太「…これ絶対少しじゃないよね」

 

 

保管場所が悪かったのか、管理がずさんだったのかは知らないが、その刀身は輝きなど全く感じられなかった。もはや錆びているというより、風化していると言った方が良い位である。さしずめ、『凄く風化した日本刀』と言った所だろうか。

 

霊夢「だって私は剣士じゃないし。保管方法なんて分かるわけないじゃない」

 

コウ「うーわ、これはひでぇや。俺がお前だったら絶対使わないね。こんなオンボロ刀」

 

文「確かに酷いですね〜。護身用どころか紙を切るのにも使えなさそうですけど」

 

酷い言われ様である。日本刀涙目。

 

龍太「使えないって事も無い気がするけどなぁ…一応、念のために持っておくよ」

 

霊夢「準備ができたなら行くわよ!」

 

龍太「…腰に差してっと…よし、行こう!!」

 

タッタッタッ…

 

刀を腰に差し、外へと向かった。

 

 

 

〜博麗神社 外〜

 

 

霊夢「ちょ…何よこれ!?滅茶苦茶になってるじゃない!!ってあああああ!!!賽銭箱がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

龍太「うわ…」

 

文「あややややや…酷いもんですね〜」

 

コウ「わーお……とんでもない事になってんなぁ…」

 

四人の目に映ったのは、根元から折られた鳥居にあちこちに散乱した石畳の石、粉々になった賽銭箱。

 

 

そして、その中に佇む二人の人物。

 

 

???「グルルルル…」ジャラ…

 

しつこい天狗「くっ…」

 

一人は木の枝がそこかしこに刺さっており、もう一人は犬のような耳から血が流れている。二人して立つのもやっとの状態のようであった。

 

 

龍太「あの二人がやったのかな…」

 

霊夢「賽銭箱を壊すなんて…私が二人ともボコボコにしてやるわ…!!!」ゴゴゴゴゴゴゴゴ…

 

コウ「ストップストップ!落ち着けって。ほら新聞屋も何か言ってやれ」

 

文「…………」

 

コウ「…どした?」

 

文「……椛?」

 

龍太「えっ!?知り合い!?」

 

霊夢「…でも様子が変よ」

 

普通なら反応の一つや二つあっても良い筈だが、彼女の反応はなかった。

 

コウ「耳から血が流れてるって事は…鼓膜をやっちまったか?」

 

「「「!!!」」」

 

コウ「そりゃ、あの咆哮を至近距離で受けりゃ鼓膜くらい簡単に破れるだろ。もしくは一時的に聞こえなくなってるとかな」

 

龍太「そんな…!なら早く助けないと!」

 

コウ「ちょい待ち。おい新聞屋、カメラを貸しな。俺ちゃんにグッドでナイスなアイデアが浮かんだぜ」

 

龍太「?」

 

 

 

椛「ハァ…ハァ……このぉっ!!」

 

???「しつけえって言ってんだよ……!クソッタレ……!!!」ブンッ!

 

ドボッ!!

 

彼女の腹部に強烈なアッパーがめり込み、形容し難い音が響いた。

 

椛「…うぐ……ゲホ…ゴホッ………うう……」

 

ドサッ…

 

そして彼女は崩れ落ちるようにその場に倒れ込んだ。

 

???「ハァ…ハァ………あ?」ギロッ

 

龍太「!?」ビクッ

 

霊夢「こっちに気づいたわ!!」

 

???「なんだテメェら……」ザッ(ジャラ)…ザッ(ジャラ)…ザッ(ジャラ)…

 

血を流しながらこちらに近づいてくるその姿は、弱肉強食の世界を体現しているかのような迫力があった。

 

???「……グルルルル……」ザッ(ジャラ)…ザッ(ジャラ)…ザッ(ジャラ)…

 

龍太「コウ!早く!!」

 

コウ「イエッサー!おい、そこの血だるま男!コッチヲミロォォ!!」

 

???「……ああ?」クルッ

 

コウ「はい、チーズ!!」

 

カシャッ!!

 

???「うぐぅ!?め…目が…見えない…!!」

 

カメラのフラッシュを炊き、視界を奪った。これは轟竜のみならず多くのモンスターに有効な手ではあるが、彼はこれを極度に嫌っていた。

 

???「うわぁぁ……い、嫌だ…暗闇は嫌だ……クソックソックソックソォォォッ!!!」

 

コウ「へい、新聞屋!今だ!!」

 

文「言われなくても分かってますとも!!」

 

ビュオッ!!!

 

彼女の能力により、強風が吹き荒れる!

 

???「グオォアァァァ!?」

 

あっという間に空中へと舞い上がった彼は、そのまま地面に向かって真っ逆さまに…

 

 

 

ドゴォンッ!!

 

???「ガ…ハ………ぁ……」ガクッ…

 

 

容赦無く叩きつけられた彼は、そのまま意識を失った。

 

 

霊夢「全く…好きなだけ暴れておいて気を失うなんて…」

 

コウ「お前何もしてねぇじゃん…」ボソ…

 

霊夢「何か言った?」ギロッ

 

コウ「イイエ、ナニモ」

 

圧倒的な眼力の前には竜など関係なかった。

 

文「椛!!椛!!」ユサユサ

 

椛「……あう………ううん…」

 

文「ほら、しっかりしてください!私の声が聞こえてますか?」

 

椛「な…なんとか……」

 

だが、危険な状態である事は確かだ。一刻も早く治療をした方が良いだろう。それは素人でも分かる。

 

龍太「と、とにかく医者を呼んで……ってこの世界に医者っているの?」

 

コウ「」ズコッ

 

霊夢「もちろんいるわよ。呼ぶから少し待ってて」

 

 

 

 

 

〜数分後〜

 

 

博麗神社に医者が来て二人を治療し終わった。

 

早すぎる?気にするな。今に始まった事ではなかろう。by作者

 

 

龍太(綺麗な人だなぁ…)

 

来た医者は『八意 永琳』という名で、かなりの美人であったがそれよりも気になるのが、

 

 

龍太(だいぶ変わった服だな………髪型は…普通なのかもしれないけれど)

 

 

医者にしてはだいぶ派手な格好である。詳しくは『永琳 服装』でググってみてくれ。by作者

 

 

永琳「あなたの耳はそのうち治るわ。それでもしばらくは安静にしておく事ね」

 

椛「…はい」

 

永琳「それで?何をどうしたら木の枝があんなに刺さるのかしら?」

 

彼の身体に刺さっていた枝の数はおよそ十五本。幸いにも浅く刺さっていたため、致命傷はまぬがれていたと言うがそれでも多すぎである。

 

???「知るか。そもそも何で俺が牢屋に入れられねぇといけねぇんだよ!!」

 

椛「危険人物だと天魔様が判断したからです」

 

???「んだと!ふざけんな!!そんな理由で捕まえられてたまるか!!」

 

コウ「まぁまぁ、少し落ち着けよ」

 

???「…チッ…」

 

永琳「とりあえず、あなたの名前を教えてくれるかしら?」

 

???「名前……『轟竜 ティガレックス』…そう呼ばれてた」

 

霊夢「長ったらしい名前ね」

 

???「人間共が勝手に付けた名前なんだよ!俺が付けたわけじゃねぇ!!」

 

どうやら彼は、短気な性格のようだ。

 

コウ「だから落ち着けって。龍太、なんかいい名前ある?」

 

龍太「ええっ!?………えっと……『轟竜』だから…『トドロキ』はどうかな?」

 

???「……トドロキ……」

 

コウ「んじゃそれで決定〜!!お前は今日から『トドロキ』だ!!」

 

???「…………」

 

龍太「…………」

 

額から冷や汗が流れる。気に入らなかったらぶん殴られると思っていたからだ。だが、

 

 

トドロキ「……勝手にしろ」

 

どうやら『トドロキ』という名が気に入ったようだ。若干にやけている。

 

龍太(よかったぁ〜…た、助かったぁ〜…)

 

 

トドロキ が 仲間に加わった!!

 

 

〜続く〜

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。