元駄目人間が異世界から来るそうですよ? ~のび太と問題児の異世界大冒険~   作:虎吉戦車

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プロローグは話の大筋にあまり影響はないのに無駄に長くなってしまったので、後書きに短くまとめたものを投稿します。
なんか、のび太は10年間無人島でサバイバルしてたみたいだけど、この小説ではそこには触れない方向で


プロローグ

「研究の調子はどうかね?ノビタ。」

 

「あ、ジェームズ教授。こんにちは。まだ時間がかかりそうです。」

 

「そうかね。君の研究はこの世界の常識を変え得るものなんだ。気の済むまでやるといい。」

 

「はい。ありがとうございます。」

 

「私は何もしとらんよ。この歳になって名誉より大事なものが分かってきた。それは君のような若者の背中を押してやることだよ。」

 

「僕がこうして心置きなく研究が出来るのもすべて教授のおかげです。必ず成功させてみせます。」

 

「嬉しいことを言ってくれるじゃないか。何か困ったことがあったら何でも言ってくれ。君は私の息子でもあるんだ。」

 

 

僕はジェームズ教授にお礼を言うと再びモニターと向き合った。

 

僕の名前は野比のび太。僕は今アメリカのマサチューセッツ工科大学というところに在籍している。4年生になって今までの研究もいよいよ大詰めという段階だ。

なぜ僕がこんなところにいるのかというと、自分の過去について話さなければならない。

 

 

 

12年前、僕には親友であり家族でもある大切な、大切な『人』がいた。名前はドラえもん。ドラえもんは世間の多くの人から見れば『モノ』と呼ぶべき存在だったのかも知れない。彼は未来からやってきたロボットだった。

でも、ドラえもんと僕は一緒にご飯を食べて、一緒に笑ったり泣いたり、時には喧嘩をした仲なのだ。やはり大切な『人』という表現がしっくりくる。

 

しかし、僕とドラえもんとの別れは突然だった。

 

未来で時空の歪みが観測された。未来の大半には影響がないらしい。なんの対応もされなかったそうだ。

しかし、僕とドラえもんには深刻な問題だった。

 

ドラえもんが教えてくれた。

時空の歪みにより、間もなくこの僕がいる世界だけがドラえもんのいる世界との繋がりが断たれるらしい。

つまり、これからもドラえもんは今まで通り『僕』に会うことが出来る。しかし、それは僕ではない。別の世界の『野比のび太』なのだ。

彼からそれを観測することは不可能だ。今まで通り会うのと全く変わらないらしい。しかし、僕はドラえもんに会うことが出来ない。

僕は目の前が真っ暗になった。ドラえもんが僕を呼び掛ける声が聞こえる。でも、それだけだ。反応出来ない。

 

 

僕は意識を失った………。

 

 

目が覚めるとドラえもんが目の前にいた。

僕は急に寂しい気持ちが込み上げてきて、ドラえもんにすがりついて泣いた。いつもみたいに秘密道具でどうにかならないのか、と。

ドラえもんはただ抱き締めてくれた。それが僕に本当にドラえもんと別れるんだという実感を与えた。

僕が泣き止むとドラえもんは僕に語ってくれた。

 

 

のび太くん。

 

君は臆病だ。

 

でも、君は誰よりも勇敢だ。

 

君は馬鹿だ。

 

でも、君はとても優しい子だ。

 

君ならどんなことでも出来る。

 

親友である僕が言うんだ。間違いない。

 

最後まで君を見ていたかったけど、

僕は君を信じてるから。

 

僕がいなくても、きっと大丈夫。

 

 

僕は褒められてるのか馬鹿にされてるのか分からないドラえもんの言葉に笑ってしまった。ドラえもんも笑っていた。

その夜はいつもより夜更かしして二人の思い出を語り合った。

 

 

次の朝、ドラえもんは未来に帰っていた。

こういうときだけ猫みたいだな、と思って笑った。

寂しくなかったと言えば嘘になるが、それよりこれからはちゃんとしないといけないという気持ちになった。ドラえもんが信じてくれているから。

 

僕は嫌いだった勉強を少しずつやり始めた。

運動も友達に教えてもらいながら、少しずつ出来るようになっていった。

小学校卒業後は、地元の中学へと進学した。

その頃だった。自分でドラえもんを作ろうと思ったのは。

別に、ドラえもんの代わりを作ろうと思ったわけじゃない。ならなぜか、と問われると答えに困るけど…………。とにかく、そういう衝動に駆られたのだ。

僕は、インターネットで世界で最も進んだロボットの研究を行っている人物を調べると、ジェームズ教授の名前が出てきた。

すぐに、習ったばかりの簡単な、おそらく間違えだらけの英語でジェームズ教授にメールを送ってみると、三日後に返信がきた。その要点を纏めると、

『ロボットに情熱を持つ若い人を育てたかった。』

『感情を持つロボットは私も興味がある。』

とのことだった。

 

それから、何通もメールをやり取りするうちに、中学を卒業したらアメリカに留学しないか、という話になった。学費も生活費も全額負担してくれるという信じられないような条件で。

僕は、申し訳なさよりもジェームズ教授のもとでロボットを作る最先端の技術を学ぶことが出来るという喜びのほうが勝り、すぐに両親に相談した。

両親はとても驚いていたが、同時にとても応援してくれた。しかし、学費も生活費も全額負担はあまりにジェームズ教授に申し訳ないということで、生活費は両親が、学費は僕が卒業した後に少しずつ全額支払うと言った。このことはジェームズ教授も了解してくれた。

僕は勉強、とくに英語と理系科目を猛勉強し、アメリカ留学へと備えた。

 

そして、中学卒業と同時にいよいよ僕はアメリカへと渡った。

ジェームズ教授は、空港で出迎えてくれた。直接会うのは初めてだったが、そんな感じはなかった。

ジェームズ教授の家で下宿みたいな形でお世話になることはあらかじめ決めていたが、実際に家にくると、驚くほど大きくこちらのほうが衝撃的だった。

 

入学した高校では、最初は不安だったが、日本からの転校生ということで、たくさんのクラスメイトが話しかけてくれ、すぐに友達になった。

高校の授業は、最初は意味が分からなかったが、だんだん理解できるようになり、勉強で分からない部分はジェームズ教授に聞いてどんどん知識や思考を広げていった。

猛勉強した結果、二年生の時点では学年トップの成績になった。

もちろん運動することも忘れておらず、高校で入ったベースボールクラブでは一応レギュラーとして試合に出させてもらっていた。

 

あっという間に高校生活は過ぎ、ジェームズ教授のいるマサチューセッツ工科大学に入学が決まった。教授は自分の研究生を自宅に招いて盛大なパーティーを開いてくれた。照れくさかったけど、先輩と仲良くなることができた。

 

大学に入ったばかりは慣れないことが多すぎて大変だったが、パーティーで仲良くなった先輩がノウハウを教えてくれたおかげで半年もたつと自分の研究を始めることが出来た。

大学にいる間、感情を持つロボットを本当に作ってもよいのか、という議論がたびたびなされたが、その都度、僕と教授で丁寧に説明していった。

2年、3年と月日が経ち、気がつくとあっという間に4年生になっていた。まだ実用段階にはほど遠いが、確かに人間の感情に近いAIも持ったロボットを作ることにほとんど成功していた。

 

そうして、今日に至る。

 

作業していたモニターから目を離し、数日後には研究成果を発表出来そうだと、ほっと一息つき、思いっきり伸びをする。背骨のポキポキという音が心地よい。

個人用のPCをみると、ちょうど日本の友人からメールが来たようだ。小学校から今もずっと親しくしている友人たちは、皆それぞれの道を歩んでいる。今回のは、その友人たち皆で今度アメリカに行くから案内してくれ、という内容だった。すぐに『いいよ。』と答える。

そうして、友人と再開する光景を思い浮かべ、笑みを浮かべていると、もう一通メールが届いていることに気がついた。

なんだろう、と思ってメールを開いてみると、

 

 

 

 

『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。

その才能を試すことを望むのならば、

己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て、

我らの”箱庭”に来られたし』

 

 

 

 

瞬間、視界が暗転した。

 

 

 




時空の歪みによってドラえもんと永遠にお別れしてしまったのび太は、ドラえもんに胸を張って生きようと決心し、嫌いだった勉強や苦手だった運動を頑張り始める。
中学生のときに、自分でドラえもんのようなロボットを作ろうと思い、世界で最も進んだロボットの研究をしているジェームズ教授にメールでコンタクトを送ったところ、中学を卒業したらアメリカに留学しないか?という誘いがきた。
のび太はこの誘いを受け、猛勉強し、アメリカに渡り、アメリカの高校でも猛勉強し、マサチューセッツ工科大学に入学して自分のロボット研究を始めた。
4年生になってようやく感情のあるAIを作り出せるというときに、PCに1通のメールが届く。



『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。
その才能を試すことを望むのならば、
己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て、
我らの”箱庭”に来られたし』


瞬間、視界が暗転した。
どうでもいいですが、このジェームズ教授は正史ではドラえもんのもととなるロボットを開発する人だった、という設定があります。
開発したあと技術を企業に売った感じですね。
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