魔法剣士そらね☆マギカ   作:あかぞらの人

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ワルプルギスの夜が見滝原市に姿を現す2年前・・・・


第一章 その名は魔法剣士
第1話 「願いを・・・叶える?」


 

「願いを・・・叶える?」

 

 戸惑った俺は、目の前の生き物(多分、白い狸?)

から目を離せずにいた。

 

「あぁそうさ。僕と契約すれば、どんな願いでも一つ

だけ叶えられるよ」

 

 白い狸は、赤い瞳で俺を見つめながら言う。

 こういうときは「喋ったぁ!?」とか「人の言葉が分

かるの!?」って驚くのが普通なんだろうけど、今の俺

はなぜか妙に落ち着いている。何でだろ、こいつとは

どっかであった気がする。

 

「…どんな願いも、ねぇ」

 

 握りこぶしを額に近づけ、うーんと唸る。

 

「信じられないのかい?」

「そりゃ当たり前だろ。つーか、目の前の白い狸が

喋ってる時点で信じられないし。

 念のために聞いておくけど、これはなんかのドッキ

リとかじゃないよな?」

「これはドッキリなんかじゃない。現実に起こってい

ることだよ。

 それと、僕は白い狸じゃなくてキュウベぇさ」

 

 喋る白い狸改め『キュウベぇ』は、俺が言ったこと

を首を横に振りながら即座に否定する。

 

「そっか、キュウベぇか…とりあえず、よろしく」

「うん、よろしくね」

 

 俺とキュウベぇはほぼ同時に軽く頭を下げた。

 そして頭をもとの位置に戻した俺は、ふと思った疑

問を口に出す。

 

「で、聞きそびれたけど、契約ってなんの契約だ?」

 

 

「魔法少女になる契約さ!」

 

 

「魔法、少女…?」

 

 魔法少女、その単語を訊いた俺の脳裏に、覚えがな

い情景が一瞬だけ浮かんだ。

 手下を従える巨大な怪物。

 それに立ち向かう女の子たち。

 ……アニメの見過ぎかな。

 それはともかく、魔法少女か。魔法少女ものやプリ

キ○アじゃ勧誘なんてよくありそうだし、キュウべぇ

はマスコットっぽいからなんかすんなり受け入れられ

るな。

 俺は返事を…いや、質問を待っている様子のキュウ

べぇに、一言こう言った。

 

「・・・ごめん、帰る」

 

 回れ右をして、寄り道せず家に帰ることにしよう。

 

「えぇ!?ちょ、ちょっと待ってよ。なんでいきなり帰

るなんて言うんだい?」

「……俺、昔から魔法少女とかいやなんだ」

「…? それはなぜだい?」

 

 キュウベぇは首をかしげる。

 

「…魔法少女の衣装って、かわいいのとかだろ?

 そういうの、俺は苦手だから」

「なるほど、そういうことか。

 でも意外だね。君みたいな子はかわいい格好を好む

のに」

「ッ!」

 

 一番、言われたくないことを言われた。

「急に顔を恐くしてどうしたんだい?」

「嫌いなんだよ!かわいいとかって言われるの!」

「それはなぜだい?」

「……まぁ、お前みたいなやつになら言ってもいいか。

 簡単に言うと、俺は体は女だけど心は男なんだよ」

「つまり、性同一性障害ってことかい?」

「まぁな」

 

 性同一性障害・・・簡単に言えば、自分の身体の性

別と性格の性別が違うってこと。

 俺の場合は、さっき言ったように体は女だが性格は

男……って感じだ。

 

「なら、『自分の体を男にしてくれ』って願えばいい

じゃないか」

 

 キュウベぇは普通っぽい、軽い感じで言う。

 

「え、そんなのもできるのか?」

「うん。そのくらい簡単さ。

 君の魔法少女としての素質は、今までの魔法少女中

で一番といってもいいくらいだ。だから君が願いさえ

すれば、神にだってなれるかもね」

「よせよ…つーか、俺にそんな素質あるわけないだろ」

 

 というか、あってもぜんぜん嬉しくない。

 

「でも、現に君は僕と話せてるじゃないか」

「は?」

「僕の姿は、素質がある人にしか見えないんだ」

「マジ?」

「大真面目さ」

 

 キュウベぇは言い終わるとゆっくりと近づいてき

た。

 

「まぁ急ぐ必要はないよ。契約して叶えたい願いが決

まったら、いつでも呼んでね」

 

 俺はしゃがんでキュウベぇの頭を優しくなでる。

 

「あぁ、そうするよ。なんかごめんな」

なでなで

「別にかまわないさ。決めるのは僕じゃなくて君だか

らね」

なでなで

「そっか」

なでなで

「うん」

なでなで

「・・・・(俺)」

なでなで

「・・・・(キュウベぇ)」

なでなで

「……そろそろ僕をなでるのをやめてもらえると嬉しい

んだけど」

「あ、ごめん。なでてると気持ちよくて、つい」

 

 俺は惜しみながらもキュウベぇから手を離した。

 

「…じゃあ、僕は行くよ。また会える日を楽しみにして

いるね」

「うん。またな、キュウベぇ」

 

 キュウベぇは俺に背を向け、とことこどこかに歩い

ていった。

 

「……あ、ゲームのこと忘れてた!」

 

 そう、俺は今日新作のゲームを買いに外に出ていた

のだ。

 予約の受付が数日で終わり、即日完売とも噂されて

いたゲームだ。急がなければ…!!

 俺は慌てて近所のゲーム屋へ走って向かった。




※この第1話は初期に書いたものをそのまま載せています
 ある程度話を投稿したら再編集をします
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