目が覚めたら何故かユクモ村に居たのでハンター生活をエンジョイする事にした 作:勇(気無い)者
クルペッコは川の端にある水の溜まり場の前に立ち、水の中をジッと見詰めている。彼処は確か釣り場だった気がする。魚でも狙っているのだろうか。多分そうだ。
自宅の本題のギャラリーという項目から見られる『クルペッコの生態』というムービーが結構面白かった。
水辺で大好物の魚を狙うクルペッコだが、いざ捕ろうという時に横からジャギィが魚をかっさらってしまう。更にもう一度同じ事が続き、三度目の正直と川に視線を落とし━━━ふと、右方を見やれば、そこにはクルペッコを見詰める三頭のジャギィの姿が。
怒ったクルペッコは大きな咆哮をあげ、ジャギィを追い払うのであった。というムービー。
話が逸れてしまったが、兎に角隙だらけだ。
さて、どうしてやろうか。時間はたっぷりあるし、焦る事は無い。
そう思っていた時だった。
「一番駆けはあたいがもらった!」
━━━チルノがクルペッコ目掛けて駆け出した。お前は戦国BASARAの真田幸村か。確かに会社は同じだけども。
続いて魔理沙が「あっ、ずりぃぞチルノ! ご主人にいいとこ見せるのは私だ!」と続く。
うん、意気込みは買うし可愛いと思うが、お前ら勝手に……まぁいいけど。どうせ村クエのペッコちゃんだし。
俺もエーデルバイスを展開し、矢を番えて弦を引きながら魔理沙の後に続く。
まずはチルノの先制攻撃。ベリオSネコ包丁を虚空で振るい、刃先から30cm程の氷塊が飛び出した。まるで、初代ゼルダの伝説でHPが満タンの時にビームが出るみたいな……いや、どうでもいい。
兎に角、氷塊は直線の軌跡で飛んでゆき、クルペッコの後頭部へシュ━━━ッ!! 超、エキサイティンッ!!
それによってクルペッコがバランスを崩し、つんのめった。
続いて魔理沙は、一体何処から取り出したというのか。いつの間にか大タル爆弾を抱えており、
「ハンティングは
とか言いながら、抱えていたそれをクルペッコ目掛けて投げつけた。
うん、それ投げるもんじゃ無いよね。どんな力してんだお前。
大タル爆弾はクルペッコに直撃し、爆発。ナイスショット。
チルノの一撃で既に体勢を崩していたクルペッコは、そのままドボンと水の中へ落ちた。
そこへ更に魔理沙とチルノの追い討ち。水中でもがくクルペッコ目掛けて氷塊と小タル爆弾を投げまくる。
「………」
リンチじゃん……。何だかクルペッコが哀れに思えてきた…。
だが、そうも言っていられない。悲しいけどこれ、ハンティングなのよね。依頼が出ている以上、狩りを遂行しなければならない。
でも、俺の出る幕は無さそうなんだけど…。
ふと、クルペッコが漸く飛翔し、水中から空中へと逃れた。思わず「チャンスだ!」と身体が反応し、クルペッコ目掛けて矢を放つ。4本の矢が縦列で飛んだ。溜め段階3の『連射Lv4』である。
それはクルペッコの翼に直撃し、空中で体勢を崩して再び水の中へと真っ逆さま。
そして振り注ぐ氷塊と小タル爆弾。ただもがく事しか出来ないクルペッコ。
こ れ は ひ ど い 。
1分も掛からない内にクルペッコの水死体が出来上がった。
………。
剥ぎ取り出来ねぇよ……。別にクルペッコの素材なんか要らないけどさ…。
チルノと魔理沙はやったぜとハイタッチを交わしている。
残忍!! 無邪気!! その魔理沙とチルノがクルペッコを倒したぜ!!
いかん、この台詞はシーザーを思い出して何だか悲しくなる。
チルノと魔理沙が「褒めて褒めて」と駆け寄ってきた。
ああ、うん。偉い偉い。大活躍だったよ。俺の出番が殆ど無かったぐらいに。
さて、あともう一匹のクルペッコが居る筈だから探しに行かねば。
そう思って振り返ると━━━
「…ッ!?」
━━━そこにはもう一匹のクルペッコが立っていた。目算で十数メートルは離れている。
いつの間に…!?
いや、そんな事より喉(?)の部分が大きく膨らんでいる! モンスターを呼ぶ気だ!
音爆弾……は持ってきてぬぇ! 支給品の音爆弾持ってくるべきだった!
「魔理沙! チルノ! 次の獲物だ!」
俺の呼び掛けに反応し、2匹共クルペッコへ向かって走る。が、間に合いそうにない。俺の弓矢のチャージも間に合わねえ!
次の瞬間、クルペッコが大きく咆哮をあげた。
何だ……? あんまり聞いた事ねぇ声だ…! 何を呼びやがった…!?
ええい、よく解らんがくらえ!
『連射Lv4』をクルペッコの顔面に直撃させ、怯ませた。そこへ続けて魔理沙とチルノが小タル爆弾と氷塊による連続攻撃。執拗に足を狙い、すっ転んだ所で顔面へ更に連撃を叩き込む。非道い光景だ…。
俺もエーデルバイスの『連射Lv4』で攻撃に参加し、二度叩き込んだ所でクルペッコは息絶えた。
よし! これでクエストクリアだ!
……の筈。1分待てば解るだろう。
コイツが何を呼んだのかは解らんが、危険な奴だったとしても逃げ回れば村に帰れる。
あの鳴き声はどのモンスターのものだったか。ナルガクルガやイビルジョーとかではないだろう。その辺りは何度も聞いているから判断がつくだろうし、何よりそういう危険な奴を呼ぶのはクルペッコの亜種である。まず有り得ない。村クエだし。
リオレイアでもなかった。村クエのクルペッコが呼ぶ中で一番強いと思われるのがリオレイアだが、そんな感じの声でもなかった。
ドスジャギィ……とも何か違う気がする。兎に角、注意しなければ。
程なくして、近くの茂みが揺れた。
さぁ、何が来る……。
「………!」
姿を現したモンスターは。
青い毛並みをした熊。
通称『青熊獣』。
ハチミツ大好き、アオアシラさんだった。
「てめぇかよボケ!」
透かさず連射を叩き込む。
脅かしやがって!
魔理沙とチルノと共にアオアシラを袋叩きにし、ものの20秒で渓流の熊さんを仕留めたのであった。
★
戻ってきました、ユクモ村。
「あら、ハンター様。モンスターは仕留めていただけましたか?」
「ええ、バッチリです」
村長さんの問いに、親指をグッと立てて答える。拍子抜けするほど余裕でした。余裕過ぎて狩りをした実感が余り湧かない。
渓流に居た時間も、考えてみれば10分も経っていないのだ。その内の殆どは移動に費やした時間だし。まぁ、渓流の景色を眺めるのは楽しかったけど。
村長さんから報酬金とお礼の言葉を受け取り、そのまま自宅へと戻る。
うーむ、暇を持て余すな。狩りがあっという間に終わったうえに、移動の時間も
兎にも角にも暇だ。どうしようかな。
ベッドに座りながら、これからの方針について考えていると、魔理沙が此方に寄ってきた。
「なぁなぁご主人。お店巡りに連れて行ってくれないか?」
デートのお誘いだった。
いや、冗談です。はい。
しかし、何故俺と一緒になのか。アイルーなんだし、普通に出歩いても文句は言われないと思う。
その辺の事を聞いてみると、人混みを歩くのは危険だからだとか。人間が小さなアイルーの存在に気付かず、誤って蹴られたりする事も
成る程、だから一緒に行こうと誘っているのか。てっきり、魔理沙が甘えん坊だからかと思った。
「まぁ、ご主人と一緒に行きたいからっていうのもあるけど」
本当にその通りだった。可愛い奴めっ!
「まあ、構わないよ。どうせ暇だし」
「やったー!」
魔理沙が嬉しそうに俺の肩へ登ってきた。更にチルノも「あたいも行く!」と言って、同じく肩によじ登ってくる。可愛い奴らめっ!
俺は両肩に二匹のアイルーを乗せ、自宅を後にした。