目が覚めたら何故かユクモ村に居たのでハンター生活をエンジョイする事にした   作:勇(気無い)者

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独学でやってきたので、本当に基本なのかは怪しいです。


弓の基本というものをご教授しよう。

 俺が矢を番えて弦を引き、溜め段階が3段目までチャージ完了した頃、クルペッコは漸く此方に気付いた。

 まずは、その間抜けな面に『連射Lv3』を叩き込む。クルペッコは意に介さず、此方に向かってきた。

 この辺りはゲームと同じである。一定以上のダメージを与えなければ、モンスターは怯まないのだ。

 また、どれだけ攻撃を与えようが、部位破壊をする事は出来ても、外傷を負わせる事は出来ない。

 逆に、此方が攻撃を受けても、外傷を負ったり防具が破損したり、という事は無いと思われる。アカムトレインでひかれた時に、凄まじい痛みはあったものの、外傷はどこにも見当たらなかった。

 つまり、モンスターにしろハンターにしろ、設定されたHPが0にならない限りは死なないのである。

 まぁ、ハンターはHPが0になったらベースキャンプに戻されるのかもしれないが。試す気にはならない。そのまま死んだら洒落にならん。

 

 クルペッコが(ついば)みやら突進やらと攻撃を繰り出してくるが、俺はそれを(ことごと)く避けてゆく。

 弓の基本的な立ち回りは、モンスターを中心として時計回りに移動し続ける事だ。これを遵守して攻撃のタイミングを誤ったりしなければ、殆どのモンスターは楽に狩れる。

 まぁ、アルバトリオンの様な例外はあるけども。アイツの突進は曲がる場合があるからな。慣れるまでは苦労させられた。

 ふと、クルペッコが鳴き袋━━喉の辺りの風船みたいに膨らむ部分━━を膨らませ、咆哮。別のモンスターを呼んだのだ。連射は叩き込んでいたが、怯ませるには至らなかった。

 更に攻防が続き、1分程してそのモンスターは現れた。

 

 ━━━森の熊さんこと、アオアシラさんである。此方へ真っ直ぐ向かってきた。

 そして、俺の近くで止まると、立ち上がって両腕を内側へ向けて振るう。

 当然ながら其処に俺は居ない。クルペッコの動きに注意しつつ、既に熊さんの背後へと回っている。

 透かさず空いている右手をアイテムポーチに掛け、目の前に並ぶアイコンの中からこやし玉をタッチ。弓は展開したままである。ゲームと違って、武器を一々仕舞ったりせずともアイテムは使えるのだ。

 右手に何かを掴んだ感覚。それをアオアシラに向かってそぉい!

 ボフッと茶色い煙が吹き出し━━━臭っ!!

 うわっ凄い臭い臭い臭い!! 酷い臭いだっ!! アオアシラが泣くのも解るぐらい臭ぇっ!! うへぇあっ!! えんがちょっ!!

 だが、それで怯んでもいられない。

 臭いのを我慢しながら2匹との立ち位置を上手く調節しつつ、尚もクルペッコに『連射Lv3』を叩き込む。

 幸いにも、アオアシラはすぐに9番の方へ逃げていった。

 ………水洗いをしに行ったんだろう。落ちるといいな。

 兎も角、これで再び1対1だ。

 時計回りを意識した立ち回りでクルペッコの攻撃を回避しながら、ひたすらに頭部、及び喉辺りの鳴き袋を狙って『連射Lv3』を叩き込んでゆく。

 更に1、2分が経過しただろうか。クルペッコが足を引きずり、エリアの中央辺りへ向かって移動し始めた。逃げるつもりだ。

 そうはさせるかとクルペッコの前に立ち、再びアイテムポーチのメニューを開く。使うのは勿論、閃光玉。

 クルペッコの目の前に向かってそぉい!

 両目をギュッと瞑り、更に腕で押さえてガード。もしかしたら自分にも効果があるかもしれないからだ。

 ━━━クルペッコの怯んだ様な声を聞き、腕をどけて目を開く。成功した様だ。

 クルペッコは辺りを見回したり、ヨタヨタと後退(あとずさ)ったりしている。

 チャンスとばかりに攻め立て『連射Lv3』を3発頭に叩き込んだ所で、クルペッコは息絶えた。

 ━━━討伐完了。

 崩れ落ちるクルペッコを見ながら、弓を折り畳む。

 『真ユクモノ弓』にしては、まぁまぁ早く討伐出来た方かな。弱点部位に攻撃の9割以上を叩き込んだからだろう。ゲーム時代と違い、エイム調整が凄い楽だ。何しろ、十字キーで細かく調節しなくていい。

 

 とりあえず剥ぎ取っとこ。

 『彩鳥の鱗×3』。全部鱗かよ…。いいけどさ別に。

 それ以上は剥ぎ取りナイフが刺さらない。殆どぶよぶよした身体だというのにナイフが弾かれるという奇妙な光景。

 

「エクシアさん!」

 

 ふと、リリーとサニー、魔理沙とチルノが此方へ駆け寄って来た。

 

「凄かったです! 格好良かったです!」

「…鮮やかな…お手並みでした…」

 

 あ、ありがとう。ただの基本的な立ち回りなんだけども。

 とりあえず、2人に剥ぎ取っておいたらと促す。

 

「やったな、ご主人。流石だぜ」

「ご主人ってばさいきょーね!」

 

 う、うん、ありがとう…。クルペッコ如き相手に、これくらいは当然なのだが…。 っていうか、何気にチルノが初めて『ご主人』って呼んでくれた。ご主人呼びがデフォルトなんだろうか。ゲームでは『旦那さん』だったと思うのだが。

 さてと。

 剥ぎ取りを終えた二人に、弓という武器と、その立ち回りについて説明する。

 

 まず、基本的にはモンスターを中心として円を描く様に動き回る事。弓は敵の攻撃を喰らわずに射つ武器なので、回避が重要になってくる。剣士と違って防御力が低いのは、その為である。赤い人も言っていた。当たらなければどうという事はない、と。

 次に、弓の溜め段階は極力3段目で射つ事。それが一番強力なのである。溜め1と溜め3の威力は、実に4倍近くの差があるのだ。モンスターに溜め1を連続で浴びせるよりも、溜め3以上の攻撃をピンポイントに弱点部位へ叩き込む方が与えるダメージは何倍も大きい。まぁ、中には例外の弓もあるのだけれど。

 それらを踏まえた上で、モンスターの動きをよく見て、攻撃するタイミングをしっかりと見計らう事。欲張って『まだ射てる』と思い攻撃すると、モンスターの手痛い攻撃をくらってしまう。

 なので、時にはグッと堪えて不用意に射たない事や、臨機応変に溜め2を叩き込んで逃げる柔軟性が必要となる。

 それが、弓という武器なのだ。

 

「━━━とまぁ、そういう事だから。解ったかな?」

「はい! 解りました!」

 

 リリーの元気な返事。

 うむ、よろしい。

 

「じゃあ、今度は実戦ね」

 

 と、俺が指差す方には、もう1頭のクルペッコ。たった今やって来た所である。ナイスタイミング。

 

「リリー、サニー。君達は2人で一緒に闘う訳だから、私の時とは少し違った立ち回りをしなきゃいけない。互いの足を引っ張らない様にね」

「はい!」

「…はい…!」

 

 そして、二人はクルペッコへと駆けて行った。

 弓を展開し、早速攻撃を加えてゆく。きちんと溜め段階3の『連射Lv3』である。

 しかし、狙撃はの方は余り芳しくない。クルペッコの弱点部位は頭と鳴き袋だと既に伝えてあるのだが、翼に当たったり矢が外れて地面に落ちたりと、中々上手く当てる事が出来ないでいる。

 まぁ、弓は始めたばかりだと言っていたし、普通はそんなものだよな。

 因みに、弓の素人である筈の俺が何故、上手く弓を扱えるのかというと、身体がそれを教えてくれるからである。恐らく、ゲーム時代に何百回と弓で狩りを行ってきたこの身体が、弓の扱いを覚えているのだ。

 どの角度で射てば、どう飛んでゆきモンスターのどの部位に当たるか、曲射は何処に着弾するか、等々。そういった事を身体が教えてくれる。

 だからこそ、この世界へ来たばかりの時にアカムトルムを討伐出来たのだと思う。

 まぁ、あの時はまだ身体が馴染んでいなかったけど、アカムとの戦闘で全てを理解出来た。アカムには感謝である。アカムトレインはクソ痛かったけど。

 

 俺と魔理沙とチルノは一切手を出さず、2人の闘いを見守っていた。

 




弓という武器は例えるなら、ジャンプとスライディング(ダッシュ)が出来なくなったロックマンが3Dになってチャージショットが撃てるっていう、ただそれだけの事なんですよ。相手の行動パターンを読んでチャージショットを叩き込むだけの簡単なお仕事。
ロックマンが得意な人は、弓を使えると思います。
………多分。

………恐らく。

………なるべく(?)…。
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