目が覚めたら何故かユクモ村に居たのでハンター生活をエンジョイする事にした   作:勇(気無い)者

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まだ慌てるような時間じゃない。まずは準備をしっかりするんだ。

「いや、ちょ、ちょっと待って下さい」

 

 とりあえず受付嬢にそう声を掛ける。

 というか、ちょっとと言わずに一年ぐらい待って欲しい。

 俺は自分のキャラクターに(恐らく)憑依合体してからまだ数分である。いきなりアカムトルム討伐してこいとか言われても無理ゲー過ぎる。

 とりあえず……そうだな、確認だ。

 

「えっと、自分以外のハンターは……」

「何言ってるんですか! 近隣の村や街、それにこのユクモ村のハンターの中ではエクシアさん以外にアカムトルムを討伐出来るハンターなんて居ませんよ!」

 

 何…だと…。

 いや、でもそうか。モンハンの筋書きって大体が村にやってきたばかりの新人ハンターが凄い活躍して、最終的にはアカムやらウカムやらアマツマガツチやらのバカでかいモンスターを一人で倒して英雄だーって感じで村の人が騒ぐみたいな、そんな感じのストーリーだ。

 って事は、家の隣の脇道に立ってる女ハンターとか、集会所のクエストボードの前に立ってる女ハンターとかは役に立たない。あいつらそれなりに腕は立つのかもしれんが、流石にアカムトルムみたいな巨大な奴は討伐出来ないだろう。奴らはとても危険な飛竜種なので、上位ハンターの中でも極一部の一流ハンターにのみしかクエストに参加する事を許されないって情報誌に書いてあったし。

 という事は、だ。一応、主人公であるらしい俺が討伐する以外に道は無い。

 

「ちょ、ちょっと待って」

 

 アイテムボックスの前に駆け寄る。

 すると、目の前にメニュー画面が出た。

 アイテムボックスと書いてある欄内には、上から『アイテムをしまう』『アイテムを取り出す』『ボックス内調合』『リストから調合』『装備を変更する』『持ち物を整理する』『持ち物を売る』と書いてある。

 ……え、何これ…? 完全にゲームのメニュー画面じゃね?

 まぁ、いいか。『装備を変更する』をタッチしてみる。

 すると新たなメニューが表示される。八項目ある中で、一番上にある『装備選択』をタッチ。

 またまた今度は一際大きなメニューが表示された。色とりどりの武器や兜のアイコンが表示されている。

 それぞれタッチすると、その装備品の詳細が表示される。完全にゲームと一緒だこれ。ボタン式じゃなくてタッチ式になってるけど。

 とりあえず、俺が作った装備品は全部ある様だ。これならいけるか…?

 

「あの、エクシアさん…?」

「あ…? ああ、すみません」

 

 受付嬢の事をほったらかしで思考に没頭していた。何だか不安そうな表情を浮かべている彼女の方へ向き直る。

 このクエストは━━━受けるしかない。

 今、俺がどういう状況にあるとかよく解らないけど、とりあえず俺のマイキャラはギルドからそれなりに信頼を置かれている立場にあるのは間違いない。

 これからどう行動するにしても、評価を下げる様な行動は避けるべきだ。

 

「準備をしたら集会所へ向かいます。先に行って下さい」

「……! はい!」

 

 受付嬢は安堵と歓喜の入り混じった表情を浮かべ、家から出て行った。

 ……相当に期待されてんな。もう逃げられん。()るしかない。

 再びアイテムボックスのメニューを開き、『装備を変更する』をタッチ。次のメニューの『マイセット装備』を選択。

 すると、セット装備一覧が表情された。

 セット装備とは『武器』『頭』『胴』『腕』『腰』『脚』『護石』の武具を予め登録しておき、いつでも簡単に全身の装備を変更出来る便利機能である。

 一覧の中の二十四番目の『アカム殺し』と書かれたセットをタッチ。

 『装備を変更します。よろしいですか?』と確認が出るので『はい』をタッチ。すると、自分の装備品が一瞬で変更された。まるっきりゲームだな…。

 因みに装備は、

 

武器:覇弓レラカムトルム

頭:天城・覇【鉢金】

胴:蒼天【衣】

腕:天城・覇【篭手】

腰:蒼天【帯】

脚:蒼天【袴】

護石:龍の護石

 

 発動スキルは『装填数UP』『力の解放+1』『集中』『通常弾・連射矢UP』。

 正直、それ程強い訳ではないが、個人的にやりやすいスキルをつけたセットである。

 というか、見た目が気に入っている。それが一番の理由。

 見れたら良いんだがなぁと思うが、この部屋に鏡は━━━あった。

 えっ、ベッドの隣にスタンドミラーが置いてある。ゲーム中にはこんなもん無かったぞ……まぁいいや。

 とりあえずスタンドミラーの前に立ち、

 

「……え…っ!?」

 

 ━━━鏡の中には美少女が立っていた。

 線が細く、美しい容姿をした美少女だ。

 銀色をした髪はツインテールで纏めてあり、赤いカチューシャを着けている。チアジャギィという髪型だ。

 服装は俺のお気に入りの防具。白を基調としており、胸元と背中、肩上部のみを覆い隠す様に巻かれた衣装。脇の下辺りから伸びる布は、首の周りをぐるっと半周し、羽衣の様に浮いている。

 下は同じく白を基調とした七分袖のズボン。狩衣の様な印象を受ける。腰回りには、服の羽衣の様な部分と同じ布が、骨盤辺りから腰にかけて二枚伸びている。

 肘辺りから下はゴツい篭手を装着している。

 

 え、何これ…誰…?

 右手で鏡に触れる。中の美少女も左手を俺の手に重ね合わせる。

 ……え…っ。

 やだ、これが私…!?

 超可愛いんですけど!?

 いや、だってモンハンのキャラってもっとブサ……あんまり可愛いくない筈じゃ……何だこの美少女は……!?

 

 ハッと我に返る。今はこんな事している場合ではない。

 再びアイテムボックスへと戻り、メニューを開く。

 とりあえず『アイテムをしまう』を選択し、手持ちのアイテムを見てみるものの、何も持っていなかった。

 次に『アイテムを取り出す』を選択。色んなアイコンが表示され、必要なアイテムを出してゆく。

 出したのは以下のアイテム。

 

回復薬 10

回復薬グレート 10

強走薬 5

クーラードリンク 5

秘薬 2

いにしえの秘薬 1

力の護符 1

力の爪 1

守りの護符 1

守りの爪 1

こやし玉 10

モドリ玉 1

強撃ビン 50

 

「……これで良いかな」

 

 アイテム、装備は整った。

 次に、竈の横にあるボードの前に立つ。矢っ張りメニューが開かれる。

 『オトモ選択』をタッチし、『選択』を選択。別に洒落ではない。

 レギュラーのメンバーが五匹表示される。

 その中の『十六夜咲夜』をオトモ1に、『魂魄妖夢』をオトモ2に設定。名前の由来は言うまでもなく東方である。

 すると、背後から猫の声。振り返ると、二匹のアイルーが立っていた。一匹は白、もう一匹は蒼の毛並みである。どこから湧いて出たのか。急に出てきたので思わずビクッとなった。驚かすなよ…。

 とりあえず二匹共何も装備してないので、武具を整える。

 オトモアイルーの装備品は『武器』『頭』『胴』の三種類のみ。

 

武器:エスカドネコサイス

頭:ニャン天【冠】

胴:ニャン天【衣】

 

 これでよし。ニャン天は自分と同じ様な服装である。ただ、アイルーのそれは狩衣に近い。

 因みに、咲夜の方は武器を弄っていない。初期装備の『ネコボーンピック』のままである。この子は性格が『平和主義』なので、どうせ攻撃に参加しないからだ。基本的に『鬼神笛』や『回復笛』を吹いて貰っている。鬼神笛は攻撃上昇、回復笛はそのまま体力回復。

 対する妖夢は近接タイプ。性格は『勇敢』。小型優先で邪魔な小さい奴らを蹴散らして貰っているが、今回の相手はアカム一匹のみである。小型は居ない。

 ……筈。ゲームと一緒ならば。

 

「よし、行くか」

 

 準備は整った。アカムトルム討伐へと向かう為、俺は自宅を後にした。

 

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