目が覚めたら何故かユクモ村に居たのでハンター生活をエンジョイする事にした 作:勇(気無い)者
百合回だ。
…多分。
あと、前話を見直して思った事が一つ。
エクシア「ロケット頭突きでもくらったのか」
いや、ロケット頭突きされたらドーベル装備のアホみたいに長い角が突き刺さっちゃうからね。
それでは本篇をどうぞ。
セツナに付き合い、彼女がオススメだという定食屋で食事をしたのだが、これが中々に絶品だった。
サシミウオのフライ定食を頼んだのだが、衣がサクサクでいながら、身はプリップリで柔らかい。尋常ではない程に美味しかった。一口食べた瞬間に「はわわぁ〜…」とかいう謎の声が出た程である。
更に味噌汁と漬け物。これらもヤバいぐらいに美味しかった。
味噌汁のダシはヤオザミからとっていると聞き、思わず「えっ」となったのだが、これが中々どうして美味いのだ。浅蜊でダシを取った味噌汁の様な味がした。いや、それ以上に美味しかった。
漬け物は大根の様な食感で若干酸味が効いており、それでいながら何処か甘味がある。漬け物とは思えぬ程の美味しさだった。っていうか何の漬け物だったのか。
とりあえず、結論的に言えば大満足。マジで美味しかったです。ご馳走様でした。
いやぁ、セツナは良いお店を教えてくれたよ、ホント。お礼に今度は中華のお店に連れて行ってあげよう。
「さて、リリーとサニーはこれからどうする?」
「えっと、そうですね……温泉に入ってから、一度家に帰ろうと思ってるんですけど…」
「あー、いいね。温泉。私も付き合って良いかな?」
アオアシラに海へ叩き落とされたので、全身が磯臭いのだ。早急に落としたい。
「勿論です!」
「私も行くわ!!」
「………」
もう好きにせーや。
みんなで温泉に入る事になった。
★
例によって早着替えです。ジャン。
「あら、あんたもそれ出来るのね」
「えっ?」
そう言うと、セツナは脱衣場へ足を踏み入れ━━━次の瞬間には、彼女の服装がドーベル装備からユアミタオル姿へと変わっていた。
「ダ…ッ!?」
思わず某野菜人の王子の如く『ダニィッ!?』と言いそうになった。それ程の衝撃。
まさかコイツもゲームシステムの加護を受けし者だというのか…!?
矢っ張り、MHP2ndの主人公なのか…?
だが、日本人ではなさそうだ。『モンスターハンターポータブルセカンド』という言葉に何の反応も無かったし。
いや、知らないフリをしている可能性も……と思ったけど、知らないフリをする意味が解らない。
うむむ、コイツは一体何者なんだ…?
セツナについて色々考えていると、リリーが、
「早着替えマジック『ザ・ワールド』ッ!! って奴ですね!」
「ふふ…っ!」
━━━いつかの俺の真似をして、ジョジョ立ちを繰り出してきた。サニーも同じく。
思わず吹き出してしまう。不意打ちはずるい。
セツナだけは「何言ってんだコイツら…?」みたいな表情を浮かべている。
ま、まぁ気にするなよ。
とりあえず2人には「先に行ってるから」と伝え、その場は別れた。ジョジョ立ちの件を追及されたら、またセツナにグダグダと何かを言われそうだ。それはムカつく。
セツナと一緒に温泉へと浸かる。
「んぁ…っ…んぅ…っ」
……どうにもこの変な声は勝手に出る。我慢しようにも出来ない。
そして、温泉には他の客が居ない。何でだ。その方が気楽で良いけど。
ふと、セツナが俺を見ながら顔を赤面させていた。しかも口元が僅かにわなわなと震えている。俺の顔に何か付いているのだろうか?
暫くしてから彼女は
「…な…なな、何て声を出してんのよ!!へへ、変態!!えっち!!スケッチ(?)!!ワンタッチ(?)!!」
…えー…そんな事言われても…。確かに色っぽい声ではあるなと思うけどさ…不可抗力だし…と言っても信じないだろうな…。
っていうか、えっちスケッチワンタッチってお前…。別にタッチしてねぇだろ…。
「そんな事より、聞きたい事が」
「そんな事って何よ!?そんな事じゃないわよ!!淑女として重要な事よ!!淑女の嗜みよ!!淑女の嗜みがなってないわ!!」
……んな事言われても、中身は男だし…。
「ま、まさかあんた…お、男と…男と、あんな事やそんな事やこんな事を…」
「お
中身は男なんだよ! 何で男なんかと付き合わなきゃならんのだ! 巫山戯んな! 気色悪いわ!
「…本当かしら…?」
「本当だよ!」
「どうかしたんですか?」
と、もうリリーとサニーが来てしまった。セツナがくだらない事を言い出すから、聞きたい事を聞きそびれてしまった。
「こいつが男と」
「やめれ」
今の流れを説明しようとしたセツナの顔にお湯を掛けて阻止する。
そしたら「よくもやったわね!」とか言いながらお湯をダバダバ此方に向かって掛けてきやがった。
この野郎! いや、女だから『この尼』か。
どっちでもいいわ。
兎も角、一旦距離を置いて射程圏の外へ逃げる。すると、セツナが追い掛けてきやがった。しつこい奴め。
これでもくらえと、両手で思い切りお湯を飛ばす。諸に直撃したセツナは「ぶわっ」とか言いながらひっくり返った。ふはは! ざまぁ味噌漬け!
それでも諦めずに此方へ向かって来る。無駄な事を。
俺は彼女の側面に回り込む様に時計回りで移動しながらお湯を飛ばす。対するセツナの飛ばすお湯は俺に届いていない。
馬鹿め、ガンナーの立ち回りを舐めるなよ!
そのまま一方的な試合が続き、痺れを切らしたセツナが此方に飛び掛かってきた。足元に張られた湯の所為で動きが制限され、躱す事は出来ない。2人一緒にもつれ合って倒れる。
「ぶはっ! 直撃攻撃なんて汚いぞ!」
「うっさい馬鹿!!逃げ回ってる奴に言われたくないわよ!!」
「逃げてなどおらん! 戦略だ!」
「何が戦略よ!!正々堂々と勝負出来ないだけでしょ!!この腰抜け!!」
「何だと!? お前の頭が足りないだけだろうが!」
「何ですって!?このっ!!このっ!!」
「わっ! 馬鹿! タオルを引っ張るな! 脱げちゃうだろ! 離せ馬鹿!」
「知らないわよ!!無駄にデカい乳して!!」
「別にデカくねー! 普通だ! っていうかお前が小さいだけだ!」
「何ですってッ!?言ったわねこのっ!」
「やめろ馬鹿! 本当に脱げる!」
「あの、お二人共! お二人共!!」
ふと、リリーの呼ぶ声に俺とセツナは手を止め、其方を見やる。
「これ以上の騒ぎは、拙いかと…」
そう言いながら温泉の外、つまり集会所の方を指を差す。
その先に目を向けると━━━其処には、良い笑顔をした青撫子の受付嬢が立っていた。勿論、目は全く笑っていない。
「………」
「………」
俺とセツナは互いに一瞥し合い、静かに温泉へと浸かった。
…あれは悪戯をした子供を見る様な目だ…お母さんの目だ……。
受付嬢を怒らせてはいけない。大人しくしていよう。
リリーとサニーも近くへ来て、湯に浸かった。
「………」
沈黙。微妙に重たい空気が流れる。
暫くしてから、リリーが口を開いた。
「セツナさんって、元々はポッケ村のハンターだったんですよね?」
「そうだけど…それがどうかした?」
「どうしてユクモ村へやって来たんですか?」
「……ポッケ村に新しいハンターが来たのよ。新人だったけど、割と使える様になったから私はお役御免になったって訳。……人付き合いとか、あんまり得意じゃなかったしね。お払い箱ってわけよ」
……村から追い出されたんだろうか。確かに褒められた性格ではないが、何もそこまで…。
「セツナさん…」
「何よ?……って、何!?何くっ付いて来てるのよ!?」
「色々あったんですね、セツナさん…」
リリーがセツナをぎゅっと抱きしめる。サニーも反対側から抱きしめる。
「な、何よ!?別に寂しいとか思ってないわよ!!同情なんか要らないんだからね!!」
「ええ、解ってます…。でも、ごめんなさい…今、私達はこうしていたいんです…セツナさん…」
「……、…好きに…しなさいよ…」
……同情だとか、そういう気持ちは置いといて、リリーはセツナを抱きしめずにはいられなかったんだろうな…。その気持ちは何となく解る。
そして、セツナはそれを受け入れた。リリー達に身を委ねている。
……イイハナシダナー。
おっちゃん、こういう友情には弱いんだよ………誰がおっちゃんだ! 俺はまだ25だ!
くだらない一人ボケノリツッコミを心中で繰り広げていると、リリーが再び口を開く。
「ところで、セツナさんって綺麗な肌をしてますよね……何か特別なお手入れとかしてるんですか?」
「はっ!?し、してないわよ!?」
「そうなんですか……いいなぁ…」
「ちょっ、ちょっと!?そんなに撫でないでよ…!?ひゃぅっ!!ど、どこ触ってんのよ!?」
……おやぁ? 何だか妙な流れになってきましたよ?
リリーとサニーがセツナの身体をあちこち触り始めた。
……いやらしい言い方に聞こえるかもしれんが、言うほど変な所は触ってない。でも、セツナが無駄に色っぽい声をあげる。
………。
ザ ☆ 復讐チャーンス。
そっとセツナの背後に回り込み、ボソッと耳打ち。
「……
「〜〜〜〜〜ッ!!」
すると、セツナは顔を真っ赤にしながら声にならない悲鳴をあげ、温泉から出て外まで逃げて行った。
早着替え出来て良かったな。出来なかったらユアミタオル姿で外まで逃げて行った事だろう。
さり気なくリリーとサニーが「あぁ…行っちゃった…」と残念そうな声を洩らした。あなた達、ノリノリでしたね…。
ふと、2人の視線が俺の方を向いた。そして、ゆっくりと此方に近付いてくる。
えっ……な、何…? 何スか…?
「……エクシアさんも、綺麗な肌してますよね…」
ななななな何ッ!? ままま、まさかこの俺まで射程圏内だというのか!?
ちょっ、ちょちょ、ちょっと待て! 一旦落ち着こうか!
話せば解る! 話せば解りあえ━━━
アッーーー!!!!!
ちょっと…気持ちよかった…。
とか言ってますが、肌を触られただけで別に変な事はされてませんよ。
ええ。本当に。
以下、おまけ。
温泉から上がり、集会所から出ようとした所で受付嬢に捕まった。
「ちょっと、来ていただけますか」
「アッ、ハイ…」
カウンター横の出入り口から外にある別室へ連行される。和室だ。掛け軸とか飾ってある。他には何も無い。何とも味気ない。
「そこに正座して下さい」
「ハイ…」
そのまま温泉で騒いだ件についてのお説教をくらうのであった。
……小一時間程。