目が覚めたら何故かユクモ村に居たのでハンター生活をエンジョイする事にした   作:勇(気無い)者

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これで三度目だけど、この人はストーカーなんだろうか。

 農場を後にした俺は、早速自宅へと戻った。今度は自分の準備をする為だ。とりあえず肩に乗ってる魔理沙を降ろす。

 アイテムボックスの前に立ち、メニュー画面を開いて『マイセット装備』の項目から20番目の『双剣』と書かれたセットに変更。

 更に『装備変更』の項目から青い双剣アイコンをタッチし、武器を変える。

 

武器:王牙双刃【土雷】

頭 :バンギスヘルム

胴 :ナルガUメイル

腕 :ナルガUアーム

腰 :ネブラUフォールド

足 :荒天【袴】

護石:龍の護石

 

 発動スキルは『切れ味レベル+1』『スタミナ急速回復』『ランナー』『力の解放+1』。

 見事にグチャグチャのセット装備。対中型モンスター用である。ドスファンゴとかアオアシラとか。剣士の時はそれぐらいしか相手に出来ない。逆を言えば、弓でやるには面倒だから用意した、という訳だが。

 スキル内容は強走薬をケチりたかったが故に、こんなよく解らないセット装備となった。実用性は微妙かもしれない。

 見た目はというと、昔の女ヤンキーみたいな感じである。

 まず、バンギスヘルムはヘルムといいつつ口元を覆うだけの装備であり、マスクの役割を果たしている。

 ナルガUメイルは胸元だけを隠しているのがサラシの役割を果たし、荒天【袴】が何となくロングスカートに見えなくもない。前が全開だけど。

 これで釘バットでも持ったら完全にヤンキーだと思うのだが。片手剣のドラグロメイスでも装備すればいいのだろうか。2ndGに釘バットの片手剣があった気がする。名前は何て言ったっけか。

 まぁでも、俺はこのヤンキースタイルがそれ程嫌いではない。寧ろちょっと好き。ナルガ装備の胴は露出が多いし、ゴツゴツしていない。KENZENな一般男性の考え方である。HENTAIとか言わないで。

 アイテムは……別にこのままでいいや。どうせただのドスファンゴ狩りだし。必要そうな物は無いだろう。

 ……あっ! 駄目だ!

 アイテムボックスのメニューを開き、中から砥石を取り出す。

 あ、危なかった…。砥石を忘れたら悲惨な事になるところだった。

 まぁ、ドスファンゴは切れ味レベルが赤まで下がっても弾かれる様な事は無いから、それ程困りはしないんだけどね。

 それでも効率が悪くなるのは間違いない。与えるダメージがとんでもなく下がってしまう。

 念の為にキレアジも持っていこうかな。武器を研ぐ事が出来るぐらいに背ビレの硬い魚である。あって困る様な物でもあるまい。必要ないだろうけど。

 さて、これで準備は整った。

 

「じゃあ魔理沙、行ってくるよ」

「うぅ……早く帰ってきてくれよ…?」

 

 可愛い。魔理沙可愛い。まるで夫の帰りを待つ妻の様な……いや、どちらかというと父親の帰りを待つ幼い娘か。俺は今、女だけど。身体だけは。

 でもまぁ、早く帰るという点は心配要らないよ。ドスファンゴなぞ、可及的速やかに瞬殺してあっという間に帰ってくるから。

 

「さて、行こうか。妖夢、勇儀」

「はい、ご主人様」

「腕が鳴るねぇ」

 

 俺達は自宅から直通している通路を通って集会所へと向かった。

 

 

 

 

 

 

「遅かったじゃないの!!」

 

 ま た お ま え か 。

 って、この台詞も何度目だ。何でこの人はいつもストーカーの如くに集会所で待ち構えているんですかね…。

 

「えっと、私はこれからクエストに行かなきゃいけないから、構ってあげてる時間は無いんだ。ごめんね?」

「子供を諭すみたいな言い方すんじゃないわよ!!腹立つわね!!」

「よしよし、いい子いい子」

「気安く撫でるんじゃないわよ!!」

「おっと、危ない」

 

 俺の腕を払いのけようとしたセツナだが、その動きを察知した俺は払われる前に手を引っ込めた。そう何度も同じ手はくわぬよ。ヌハハハハッ!

 

「ぐぬぬ…っ!!ぬがーっ!!」

「うわ…っ」

 

 セツナがいきなり飛びかかってきた。

 ……けど、そのまま俺に抱き付いて離れない。何してんの…?

 あ、よく見たら床を何度も蹴っている。もしかして、俺を押し倒そうとしてるのだろうか…?

 ハンターの割に非力だな……いや、チビだし見た目通りと言うべきか。それとも、俺の方が力は上だからなのか。っていうか押し倒してどうするつもりなんだろう。お互いに恥かくだけだよ。

 何にしても、離れてくれないだろうか。この状況は、何というか、抱き合っている様に見えなくもない。変な勘違いされてしまうかもしれない。

 

「エクシアさん……」

 

 背後からの声に振り返ると、いつもの青撫子を身に纏った受付嬢が立っていた。

 …ちょ…、何その表情。引いてます? もしかして引いてます?

 違います、コイツとはそういう関係じゃ……ええい、離れろし!

 しかし、振り解こうとしても振り解けない。何でだよ、非力のくせにぐぬぬ…っ!

 

「セツナさんとは、そういう関係なんですか…? (……私じゃ駄目なんですか…?)

 

 ほらもう勘違いされてるぅぅぅっ!

 違うからぁぁぁぁぁっ! コイツとはそういう関係じゃないからぁぁぁぁぁっ!

 後半はボソッとした声でよく聞き取れなかったけど、兎に角これ以上いらん誤解を招く前に話題を逸らさねば!

 えーっと…そうだ!

 

「そ、そんな事より、クエストを受けたいんですが…」

「あ、はい。では此方へ…」

 

 ナイス俺!

 しかし、セツナがどうやっても離れない。仕方なくそのまま少し持ち上げてカウンターの前まで運ぶ。周囲の視線が痛い…。ハンターショップのお姉さんとかが、こっちを見て笑っている様な気がするし…。どう見ても変態だよ…俺達…。

 とりあえず、受付嬢の提示するクエスト用紙に視線を落とす。

 

 狩猟クエスト

渓流のドスファンゴ狩り祭り

 

 クエスト内容

ドスファンゴの全滅

 

報酬金 20000z

契約金  750z

指定地  渓流

 

 また渓流か。っていうか春のパン祭りみたいに言ってんじゃねーよ。ってか、報酬金高くない? 20000zって何? ドスファンゴだよね? 何これ?

 兎も角、契約金を支払い受託完了。

 

「では、今回のクエストは()2()()での出発になります」

 

 ……うん? 何だって?

 今、2()()での出発って言った?

 

「えっと……2人、ですか…?」

「はい、お2人です」

「私も行くのよ!!」

 

 ふと、今まで俺に引っ付いたまま離れなかったセツナが漸く離れてくれた。

 っていうか、えっ…、セツナと一緒なの…?

 

「何を明らかに嫌そうな表情してんのよ!!」

 

 だって嫌ですし…。

 

「足とか引っ張られそうですし…」

「ぬわぁんですってぇぇぇっ!?」

 

 あ、やべ。口に出しちゃった。そんなつもりは無かったのに。

 

「私はそんな間抜けな事しないわよ!!寧ろあんたに足を引っ張られそうで怖いぐらいよ!!全くこんなクエストぐらい私1人で充分なんだけどね!!ギルドの意向だから仕方なくよ仕方なく!!でなきゃあんたなんか願い下げなんだから!!その辺ちゃんと解ってんの!?」

「……じゃあ、足を引っ張っちゃいけないし、私は降りた方が良いな。クエストは彼女が一人で行くそうですよ」

「ちょっと何勝手な事言ってんのよ!!折角だから勝負するのよ勝負!!降りるなんて絶対に許さないんだから!!逃がさないわよ逃げるんじゃないわよ!!」

 

 どっちやねん……。

 

「エクシアさん、ギルドの意向ですから…」

「冗談ですよ。雑談はこれくらいにして、そろそろ行ってきますね」

「あ、はい。お気をつけて」

「ちょっと!!無視するんじゃないわよ!!何であんたは無視するのよ!!」

「よしよし」

「撫でるなぁぁぁぁぁっ!!!!!」

「HAHAHAHAHA」

 

 怒るセツナに追いかけられながら、俺はクエスト出発口へと足を運んだ。

 

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