目が覚めたら何故かユクモ村に居たのでハンター生活をエンジョイする事にした   作:勇(気無い)者

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いざ行かん、溶岩峡谷へ

「エクシアさん!」

 

 集会所へ赴くと、先程の受付嬢が俺を出迎えた。また不安そうな表情に戻っている。何かあったのだろうか。

 

「どうかしたんですか?」

「それがですね……アカムトルムがもう一頭出現したとの情報が……」

「……ゑ?」

 

 ちょっ、……え? 何て?

 アカムトルムがもう一頭出現…?

 ……え…っ…。

 

「HAAAAAAAAA!?」

 

 驚きの余り変な奇声をあげてしまった。受付嬢の肩がビクッと震えたがどうでもいい。

 アカムがもう一頭……いや、アカム二頭っておまっ……何だその異常震域も吃驚の凶悪クエストは!?

 何だよそれどこのクソゲーだよ!? どう考えても無理だろうが!?

 

「あ、あの……エクシアさん…?」

「……すみません、取り乱しました。続けて下さい」

 

 平静を装うが、内心は全然平静ではないし全然大丈夫じゃない。一番いいのを頼む。

 とりあえず詳しい説明を聞いてみると、アカムが同時ではなく、同じ場所にもう一頭のアカムが近付いているとの事らしい。少なく見積もっても合流するのは一週間以上先の事だとか。

 同時じゃないのか、良かった……。だが、このまま放っておけば同時になりかねない。早々に出発しなければ。

 受付嬢と共にカウンターへ移動し、クエストの手続きへ。

 

 特殊クエスト

獄炎に座す、覇たる者

 

 クエスト内容

アカムトルムの討伐

 

報酬金 38400z

契約金  3200z

指定地 溶岩峡谷

 

 以上の内容。契約金を払ってクエストを受ける。

 

「気をつけて下さいね」

 

 受付嬢の言葉に、思わずドキッとした。可愛いな。

 戻ったらいっそ口説いてみようか?

 ……あ、今は俺も女だった…。駄目じゃん。どの道そんな事しないけど。

 くだらない思考を頭の外へ追いやり、クエスト出発口へと足を運ぶ。

 話によると、溶岩峡谷までは竜車とやらを乗り継いで六日程掛かるとか。大分遠いんだなぁ。

 あ、だったら食料とか持っていった方が良かったか? いや、道中にアプトノスとか居るかもしれないし、食える茸とかも採取出来るだろう。そんなに深く身構える必要はないか。

 そんな事を考えながら外へ一歩踏み出し━━━

 

 ━━━次の瞬間、辺りに溶岩の煮えたぎる灼熱地帯に俺は立っていた。

 

「……ゑ?」

 

 え…? いや…え…? あれ…?

 俺、今集会所の外へ出たばかりで……あれ……?

 考え込んでいる隙は無かった。遠くの黒々しい岩の様な塊が動きだした。アカムトルムだ。巨大な四足獣。まるで岩山が蠢いているかの様だ。

 ヤバい、真っ直ぐこっちに向かって来ている!

 何だよ何なんだよ一体!? まだ心の準備とか全然出来てねーよ何なんだよ!? クエスト出発したら即現地到着ってそんな所までゲームと同じに再現しなくていいんだよ!!

 いや、兎に角! アカムトルムが這いずりながらこっちに迫ってきている。躱すか避けるかしなければ! ってどっちも同じ意味だよ!

 とか一人ツッコミしてる場合じゃなくて!

 えーと、えーっと……そうだ! 閃光玉だ! アカムトルムにはまず最初に閃光玉を投げるんだ! 定石だ!

 アイテム……あっ!? アイテムってどうやって使うんだ!? アイテムポーチに入ってるんだよな!? アイテムポーチって何だ!? どれだ!?

 っていうか俺そもそも閃光玉持ってきてなくね!? 閃光玉持ってきてない気がする!! アイテムポーチに入れ忘れた気がする!!

 っつぅかアカムが迫ってきた迫ってきたヤバいヤバいヤバい!! ジュラ○ックパ○クとかとは比ぶべくもない大迫力ヤバいヤバいヤバい!!

 どどどどどどうする!?

 緊急回避! 緊急回避だ!

 緊急回避ってどうやるんだ!? 走りながら飛べばいいのか!?

 えぇい兎に角飛べ!! 早く!!

 

 この間、僅か数秒の事。

 そして俺は、

 

「ドゥフッ!!」

 

 結局アカムトレインにひかれた。

 瞬間、

 

「ぐぅあぁ………ぁが…ッ!!」

 

 身体中に激痛が走った。全身をハンマーか何かで殴打された様な鋭い痛み。

 痛い。痛い痛い痛い痛い痛い…ッ!! 滅茶苦茶痛い…ッ!!

 ……けど…痛がっている場合じゃない……! 動かないと…! 追撃がくる…!

 痛む身体に鞭を打ち、フラフラしながらも何とか起き上がる。

 アカムの方に視線を移すと、丁度方向転換をしている所だった。その動きはゲームと全く同じである。いや、もう少し動きは滑らかな気もする。よく解らん。痛すぎてそれどころじゃない。

 とりあえず移動だ。アカムの次の攻撃を躱さなければ…!

 ふと、二匹のオトモ達がアカムへと向かって行ったのが見えた。あいつら、アカムトレインを躱したのか…?

 どうやら囮を買って出てくれたらしい。何て頼もしい奴らなんだ…ゲームの時とは大違いだ…。

 兎に角、その間に俺は移動を済ませ、アイテムポーチを探す。

 それはすぐに見つかった。腰の辺りにいつの間にかポーチが付いていたのだ。

 アイテムを出そうと手を触れると、目の前に道具のアイコンがズラリと並ぶ。すぐ上にはアイテムの名前も表示されている。何だこの新機能。凄いハイテクだ。

 あ…関心している場合ではない…視界が何だかボヤけてきた…。

 とりあえず回復だ。回復薬グレードのアイコンをタッチする。

 瞬間、俺の手にはいつの間にか、緑の液体が入った手の平サイズのビンが握られており、腕が━━━いや、身体が勝手に動く。

 それを一気にグイッと呷り、ガッツポーズ。

 

 ………。

 何だ、今のは…。

 いや、解るよ? ゲームでも回復薬とか飲んだ時にガッツポーズ取るもんね。うん、解る解る。

 でも、身体が勝手に動いたぞ…? 俺の意思とかではなく、勝手に身体が……。

 ま、まぁ今はいい。とりあえず身体の痛みが殆ど消えた。回復した様だ。

 そして、混乱状態だった精神が落ち着きを取り乱して(ようや)く気が付いたんだけど、此処滅茶苦茶暑い!! 尋常じゃないくらい暑い!! 真夏日だとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねぇ!! って溶岩がグツグツ煮え立ってんだから当たり前なんだけど!

 再びアイテムポーチに触れ、クーラードリンクをタッチ。矢っ張りあのモーションを勝手に行う。身体が勝手に動くって軽いホラーだよ。

 

「おっ」

 

 暑さが消えた。すげぇ、全然暑さを感じない。何これどうなってんの? そんな冷たい訳でも無かったんだけど。

 まぁいいや。

 因みに味は悪くなかった。何か薄いカ○ピスみたいな味がした。もうちょっと濃いめなら美味しかったと思う。

 回復薬グレードは蜂蜜の味がした。ちょっと苦味もあったが、それ程気にならなかった。

 ってか、何も考えずに二つ連続で使用してたけど、アカムの次の攻撃の事を完全に忘れていた。馬鹿か俺は。ハンター歴何年だよ。ポータブル2ndから始めて8年近くになります。

 

 そんな事はどうでもよくて、急いでアカムの方を振り返ると━━━オトモ達がアカムを相手に善戦していた。

 妖夢はエスカドネコサイスでアカムの顔面を斬り裂きながらも、相手の噛みつき等の攻撃を回避したりと大接戦を繰り広げている。凄まじい闘い振りだ。下手なハンターより上手い。

 そして咲夜の方はというと、どこから取り出しているのか投げナイフを投げまくっていた。無尽蔵に投げている。そう、途切れる事なく投げ続けているのだ。

 お前そのナイフどこに隠し持ってんの? どう見ても服に仕舞(しま)える大きさじゃないし、荷物も持っていない。どっから出してんの?

 っていうか、性格『平和主義』じゃなかったっけ? ナイフをアカムの顔面目掛けて投げまくってるんだが…。

 何かもう……アイツらだけで良いんじゃないかな…。

 何て楽観的な事は言わない。確かに凄い猛攻撃ではあるが、所詮アイルーの攻撃など大したダメージにはならない。

 俺がやるしかないのだ。

 とりあえず確認。レラカムトルムを展開し、背中に背負ってるホルスターの中の矢の数を数える。10本だ。

 その内の1本を取り出し、弓に(つが)えて弦を引き絞り、明後日の方へ向けて、放す。

 と、1本だけだった筈の矢が3本に増え、並列に飛んで行った。今のは間違い無く、レラカムトルムの溜め段階1の『拡散Lv2』である。

 もう一度矢を弓に番えて、今度は少し待つ。キィン、キィンと二回右手が光った。

 そして、弦を放す。

 今度は矢が4本になり、縦列に飛んでいった。溜め段階3の『連射Lv4』である。

 次にホルスターの矢の数を数える。数は……10本。減っていない。どうやらゲームと同じで無限に撃てるらしい。

 

「……よし」

 

 それだけ解れば十分だ。後はアカムトルムを狩るのみである。

 

「このアカム野郎……よくもやってくれたな……」

 

 アイテムポーチに触れ、ビンのアイコンを選択。強撃ビンをセットした。動作は矢っ張り身体が勝手に動く。恐ロシア。

 

「さっきのお返しをたっぷりしてやるぜッ!!」

 

 弓に矢を番えながら、アカムトルムに向かって走り出すのであった。

 




矢のホルスターなんですが、本来は腰にセットされてます。アイテムポーチの為に移動しますた。
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