目が覚めたら何故かユクモ村に居たのでハンター生活をエンジョイする事にした 作:勇(気無い)者
ドスファンゴ狩り祭りを終えてから1ヶ月が過ぎた。
その間、俺は様々な事を検証した。
例えば、太陽の傾きについて。クエストから帰ってきたり、ベッドで眠ったりすると必ず定位置に戻ってくる様だが、一応時間が過ぎると沈み始め、やがて夜が来る。
ユクモ村の夜は静かだったよ。暗いのは余り得意ではないので、すぐに寝たけど。目を覚ましたら、太陽は定位置に戻っていた。不思議。
それからクエスト。ゲーム時代に見覚えのあった『リオレイア、現る』という渓流でのリオレイア狩猟クエストを受け、本来設定されている『50分』の制限時間をわざとオーバーしてからクリアしてみたり。狩り祭りと同様で、普通にクエスト成功の扱いになっていた。どうやら、制限時間は無いらしい。日にちを跨いだらどうなるのかは、まだやってないが。流石に面倒くさい。
あと、生理が来ない。正直、俺が一番気にしていた部分である。
これについては、まだ検証不足だ。だって、生理って月一で来るんでしょ? だったら、クエストの移動で消えた日にちの間に過ぎちゃったかもしれないし。最初に受けた『獄炎に座す、覇たる者』のアカムトルム討伐クエストの時なんて、移動だけで合計12日間も消費してるみたいだし。
にしても、そう考えると女性ハンターって大変だな。モンスターだけじゃなく、生理とも闘わなければならないとは辛そうだ。どれぐらい辛いのかは解らないが。俺もいずれ経験するのだろうか。二日目が一番辛いというのはよく聞く。やだなぁ。
あー、因みにおトイレはちゃんと行ってる。出るものは矢張り出る。頻度は低いけど。
あとは適当にクエストをこなしたり、魔理沙を脱がしてモフモフしたりと、平和な日々を送ってました。特に魔理沙のお腹に顔をうずめるのがお気に入り。すんげーモフモフしてんの。なんていうかもう、モフモフが集まって合体してキングモフモフ(?)みたいな、兎に角幸せな気持ちになれる。えっちとか言われるから、あんまり出来ないんだけどね。
それから━━━
「ちょっと、エクシア」
━━━考え事をしながら村の中を歩いていると、背後から声を掛けられた。
振り返れば、そこにはいつものドーベル装備に身を包んだセツナの姿が。
「今日は狩りに行くの?」
「いや、今日は用事があるから行かないよ」
「そ」
素っ気ない返事を残し、彼女は集会所の方へとスタスタ歩いていった。
……今みたいに、セツナが狩りについて来ようとする様になった。狩り祭りが終わってからだ。この間なんて、温泉でゆっくりしてたら隣に座ってピッタリくっついてきたし。
……何を考えているのか、さっぱり解らん。
でも、彼女の腕が尋常じゃない程に凄いというのは解った。10日程前の事だが、ウカムルバスが出現したから狩ってきて、というギルドの要請があったのだ。
面倒だなぁと思いつつも準備を整え、集会所に行ってみればセツナが協力を申し出てきた。それ聞いた時は、思わずフリーズしちゃったね。
まぁ楽が出来ると思った俺は彼女の協力を喜んで受け、いざクエストが始まってみればセツナ無双の始まりだった。
ホーリーセーバーでウカムの尻尾を切り落とし、腹面をボロボロに破壊し、顔面をズタズタに切り裂いていたのだ。しかも、攻撃を一度もくらわない。お前はTASさんか。
因みに、俺はアルクドスルージュ━━火属性、集中型の弓━━でウカムの頭に曲射を落としまくっていた。1回だけスタンさせる事に成功。9割近く当てる事が出来たけど、討伐時間がそもそも6、7分程度だったし、もう一回スタンさせるのは流石に無理だった。スタン値低いんだよなぁ、弓…。
討伐が終了した後、セツナは「いつもよりやり易かったわ。流石ね」と言ってきた。
その言葉、そっくりそのままお返しします。俺の方こそやり易かった。だって、ウカムがこっちを狙って来ないんだもの。曲射を撃つだけの簡単なお仕事だったよ。明らかにセツナの方が実力は数段上だ。
俺の役割なんてオトモと何ら変わらないよ。オトモハンターだよ。
本当、自分が伝説のハンターとか呼ばれてるのが皮肉にしか思えなくなる。伝説のハンター(笑)。
それだけにホーリーセーバーは何とかしろよ、と思うのだが。
まぁ、そんな事は置いといて。
「待たせちゃったかな」
農場の入り口辺りに立っている女性に声を掛ける。
服装は白のシャツの上に赤を基調としたチェックのベスト、下は同じくチェックのミニスカート。白のソックスを着用し、薄茶色の革靴を履いている。また、リボンの付いたバスケットを手に持っている。
「エクシアさん! いえ、私もつい先程来たばかりです!」
はちきれんばかりの笑顔を見せてくれる女性。可愛ぇ〜。
さて、この女性は誰なのか。
なんと、彼女は集会所で青撫子を身に纏っている受付嬢なのだ!
今日は仕事がオフだという事なので、1日付き合って欲しいと誘われた。
つまりデートをする事になったのだ!
……デートってのは俺が勝手に思ってるだけで、ただ農場でピクニックしましょっていう、それだけの事なんだけどね。
それでも構わん! 君が好きだ!
しかし、彼女に比べて俺の服装ときたら……。上から『装備なし』『ユクモノドウギ』『ユクモノコテ』『装備なし』『ユクモノハカマ』だぜ。
いや仕方ないんだよ。俺が着れるのは防具だけだし、そんなオサレ装備なんて持ってないし。ユクモ装備って一般人にも愛用されてるみたいな事が書いてあった気がするので、これに落ち着いたという訳だ。
ああ、因みに彼女の名前は『ユーカ』というらしい。
……ユーカ…。そう言えば、彼女の服装…どこか風見幽香っぽい様な…。ファミリーネームは『カザミ』だったり…?
……やめよう。笑えない。
「じゃあ、行こうか」
「はい!」
俺達は吊り橋を渡り、農場の中へと入っていった。
「わぁ〜!」
そこに広がる美しい自然の景色に、ユーカが目を輝かせる。
「綺麗な場所なんですね!」
「そうだね。それにしても意外だったよ」
「? 何がです?」
「君が今まで、農場に来た事が無かったなんて」
というのも、農場は基本的に一般の人は立ち入ってはいけない事になっているらしい。よく考えれば村長の私有地(?)だし、当たり前っちゃ当たり前なんだけど。
でも、村長は大らかな人だし、悪さをしなければ勝手に入っても許してくれそう。その辺りをユーカに聞いてみたら『確かに許してくれるでしょうけど、それに甘えてしまうのも気がひけますし…』との事。立派だねぇ。
しかし、ゲーム時代……というか今もだけど、3rdの主人公って正直、農場を私物化してるよな。施設を勝手に増設したり、オトモにバリバリ訓練させたり。ちゃんと村長の許可があってやってる訳だが。
「そうですか? でも、エクシアさんのお陰で入る事が出来ました。ありがとうございます」
「ふふ、どう致しまして」
「おーい、ご主人〜!」
ふと、入り口の方から近付いてくる小さな猫が一匹。魔理沙である。相変わらずの二足歩行。
……今日は農場に来ないでねって言ったのに…。後でお〜仕〜置〜き〜だ〜べぇ〜。名付けて、モフモフの刑。ただの俺得。
魔理沙は俺の近くまで駆け寄ると、いつもの様にぴょんと飛びついてきた。
「もう、今日は来るなって言っただろう?」
「あー…うん…ごめんよ……」
く…っ! 何て可愛さなんだ…! これじゃ怒るに怒れないじゃないか…!
後でお仕置きはするけどね。
「で、どうしたんだ一体?」
「……お腹空いた…」
……、…………。………。
……言葉が出てこないよ。でも、確かにお昼時ではある。俺も腹は減っている。
するとユーカが、
「あの、私お弁当作ってきてますから、アイルーさんも一緒にどうですか? サンドイッチですけど」
バスケットを開いて中を見せてくれた。色々な具の挟まったサンドイッチがギッシリと詰まっている。美味しそう。
「い、いいのか…私も一緒で…?」
「勿論、私は構いません。エクシアさんは、どうですか…?」
デートェ……。
いや、まぁデート俺が勝手に(ry
「君がそう言ってくれるなら、私も構わないよ」
と答える以外に選択肢がありません(泣)。
まぁ、別に良いか。女同士で何かある訳でもなし。魔理沙一人━━匹?━━ぐらい、別に…。
「じゃあ、みんなを呼んでくるのぜ!」
「うん…!? 魔理沙…!?」
俺が引き留めるのも間に合わず、魔理沙は村の方へと駆けて行った。
………。
いや、おまっ…みんな呼ぶって…。
「……あの、エクシアさんは確か、結構多くオトモアイルーを雇ってましたよね…?」
「あ、うん……」
「……足りるでしょうか…」
間違いなく足りないと思われます。こんがり肉をペロリと3つも平らげる幽々子とか居るし! 星ちゃんと勇儀も結構食べるし!
結局、こんがり肉を焼いてみんなで
ユーカのサンドイッチは皆に好評だった。かく言う俺も凄く美味しいと思った。
食後はアイルー達に囲まれて日向ぼっこ。ユーカも一緒。サンドイッチのお陰なのか、アイルー達は皆ユーカの事を気に入った様だ。
デートは台無しになってしまったけど、楽しかったので良しとしよう。