目が覚めたら何故かユクモ村に居たのでハンター生活をエンジョイする事にした   作:勇(気無い)者

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ほんとうの自分は。

 時間は更に進んで、普通の人間達が眠り始めるであろう時刻。

 俺達もベースキャンプ地に備え付けられているテントで眠る事にした……んだけど、

 

「私はエクシアさんの隣が良いです!」

 

 切欠はリリーの一言だった。

 

「私だってエクシアさんの隣が良いのです!!」

「…私も…エクシアさんの、隣…」

「わ、私もエクシアの隣が良いわね!!べべ、別に深い意味はないけどね!?」

 

 何というか、取り合い状態だった。

 何これ? モテ期ってやつこれ? ちょっと嬉しい。

 などと思っていたが、4人は暫く言い合いを続けた後、

 

「こうなったらエクシアに決めさせましょ!!その方が手っ取り早いわ!!」

「な、成る程。その方が公平ですね…解りました、私はそれで良いですよ」

「…異議なし…」

「私もなのです!」

「さぁエクシア!!誰を選ぶの!?」

 

 げっ、こっちに矛先が向いた。

 何これ? 修羅場ってやつこれ? ちょっと嬉しいとか思っていたさっきまでの自分を思い切り殴り飛ばしたい。

 

「え、えーっとぉ…」

 

 どど、どないしよ? 何つーか、誰を選んでも角が立つ様な気がしてならない。レベッカとか、選ばなかったら泣きそうだし。

 どうする俺? どうする俺!? どーすんのよ俺!? ライフカード。

 ……そんな古いCMの話を持ち出して錯乱している場合じゃない。

 何か考えろ! なるべく角が立たない様に進む道を!

 

「……ジャンケンで…」

 

 それしか思い付かなかった。

 で、結局リリーとセツナが勝ち、その二人に挟まれて寝る事になった━━案の定、レベッカが泣きそうになったので、今度家に泊まりにおいでと誘ったらとても嬉しそうな笑顔を見せた━━訳なのだが、

 

「……眠れない…」

 

 美少女にサンドイッチされて眠るなんて25年間DTを守って来た俺には耐えられない。前にセツナと一緒に寝た時は死ぬほど疲れていたからぐっすり眠れた訳であって、今は特にそんな事もない。

 全身に力を入れ、十数秒してから脱力、という快眠法を試してみたけど効果はさっぱり。

 他のみんなは眠りについたというのに、俺だけ寝られない。

 でも、頑張って寝よう。でないと明日に差し支える。

 …。

 ……。

 ………。

 無理。寝れない。

 結局、夜風に当たろうと思い隣の2人を起こさぬ様、慎重に数分掛けてベッドから這い出た。

 

「はぁー…」

 

 テントから出て、すぐ近くの崖の上に立つ。

 ちょっと興奮して火照った身体に夜風が当たって気持ちいい。

 空を見上げると、闇夜の中で無数に輝く星々が一面に広がっている。日本じゃあ、こんな景色を見る事は叶わなかった。夜空に浮かぶ満月も青々と光を放ち、孤島を照らしている。ふつくしい…。

 でも、日本で見ていた月より少し大きい気がする。

 ……なんとなく、ゼルダの伝説ムジュラの仮面に出てくる月を思い出してしまった。3日経過すると地上に落ちてきて何もかもを吹き飛ばす月。時の歌を吹かなければ。角笛で吹けるかな。まぁ、あの月には顔がついてた訳だけど。

 

「どうしたの、ご主人さん」

 

 背後からの声。振り返れば、そこには霊夢が立っていた。テントの脇にある茣蓙(ござ)の上で魔理沙と並んで眠っていた筈だが、起こしてしまったかな。

 

「ちょっと、眠れなくてな」

「そ」

 

 素っ気ない返事。そのまま崖端に足を投げ出して座った。俺も同じ様に霊夢の隣に座る。

 眼下には波が岩壁に押し寄せ、水しぶきをあげている。低層断崖なので、高さはそれほどでもない。

 そのまま特に話をするでもなく、沈黙が続いた。

 ただただ、夜の闇の所為で先の見えない海がどこまでも広がっている。

 暫くして、霊夢が口を開く。

 

「ご主人さん」

「うん?」

「ご主人さんって、前と少し雰囲気が変わったわよね」

「え…っ」

 

 霊夢の言葉に、ドクンと心臓が跳ねる。

 ……中身が変わっているのがバレた…?

 博麗霊夢は勘の鋭いキャラクターとして知られている。有り得ない話じゃない。

 ……何とか誤魔化そう。

 

「…そ、そうかな…自分ではそんなつもりは」

「誤魔化さなくても良いわ」

 

 俺の言葉は、霊夢の言葉に遮られた。彼女の顔が此方へと向けられる。その瞳に見詰められると、心が見透かされているかの様な気分になる。

 彼女は更に言葉を続けた。

 

「何となく解るのよ、私には」

「━━━」

「ねぇご主人さん。あなた、一体誰なの?」

「━━━」

「どうしてこんなところに居るの?」

「━━━」

「こんなところに居て良いの?」

「━━━」

「あなたの現実(ほんとう)はどこにあるの?」

「━━━」

「あなたの現実(ほんとう)に帰らなくて良いの?」

「━━━」

「ねえ、ご主人さん」

 

 

 

 ━━━あ な た は 誰 ?

 

 

 

 

 

 ━

 ━━

 ━━━

 

 

 

 ふと気が付くと、俺はベッドの上で寝ていた。目の前にはテントの黄色布が広がっている。

 左隣にはリリーが安らかな寝息をたてており、右隣には苦しそうな表情を浮かべているセツナの顔が。

 ………レベッカの腕が伸びてきて、セツナの喉辺りに乗っている。寝苦しそう。

 

「……夢、か…?」

 

 ゆっくりと身体を起こす。

 まだモンハンの世界に自分が居ると知って、安堵している自分がいた。

 ……それは、この世界で生きていたいという事なのだろうか。

 俺は……。

 

「………」

 

 ふと、茣蓙の上で猫の様に伏せている霊夢と目が合った。

 その瞳に見詰められると、心が見透かされているかの様な気分になる。

 俺は思わず、目を逸らしていた。

 

 

 

 

 

 

 今日も地獄の魚釣りが始まるZOY☆

 という訳で皆を起こし、朝食に昨日釣った魚を食べる。サシミウオは生で美味しい、焼いて美味しいで二度美味しいという素晴らしい魚だ。きっとDHAとかも豊富に違いない。DHAが何なのかは知らんけど。

さて、それから俺たちはエリア10番へと戻ってきた訳なのだが。

 

「やっぱり、ジャンケンで決めるしかないと思うの!」

「異議なしなのです!」

「…負けても…恨みっこ…無し…」

 

 えー、彼女たちが何を揉めているのかというと、誰が俺の隣で釣りをするのか、という事らしいよ。昨日からモテ期が続いております。どうしてこうなった。

 いざジャンケンが始まってみれば、20連続のあいこという奇跡。何千分の一の確率だよそれ。そんな奇跡起こすぐらいなら黄金魚を馬鹿釣りしてください。

 今、23連続を突破した。決着が着きそうにない。

 

「私たちは先に釣りを始めてよう」

「えっ!?あ、うん、そうね」

 

 何故か返事が裏返ったセツナと共に、釣りポイントとは真逆の方の隅で釣りをする事にした。

 今日は昨日と違い、辺りに水が浸水しているので立ったままの釣り。満ち潮だろうか。

 昨日は昼過ぎからだったが、今日は朝からだ。もしかしたら、昼過ぎになったらまた水が引くのかもしれない。地球と同じであるとは限らないので、どうなるかは解らないけど。

 さて釣り糸を垂らしてから10分近く経過した訳だが、一向に魚が掛かる気配はない。やっぱり、釣りポイント以外はなかなか魚が掛からない。かといって、釣りポイントで釣っても黄金魚は全くと言っていい程に出て来ない。ゲームだったらバグの領域だよ。

 リリー達の方は流石に決着が……。

 ……何故か勝負があっち向いてホイに移行している。もう放っておこう。

 

 ふと、バチャバチャと水の跳ねる音がして視線を戻せば、セツナの方に魚がヒットした様だ。彼女は難なく魚を釣り上げ……って、

 

「黄金魚じゃないか!」

「ええ、また一歩目標に近付いたわ」

 

 セツナは釣り上げた黄金魚をアイテムポーチに仕舞う。昨日の分と合わせて5匹目である。あと25匹!

 うん、クソゲー!

 というか、セツナの昨日の釣果を聞いてない。

 

「そういえば、セツナは昨日1人で釣りしてたけど、黄金魚はどれくらい釣れたんだ?」

「え?ええ、15匹釣り上げたわ」

 

 ………ん?

 

「……今、15匹って言った…?」

「ええ、15匹よ。今のを合わせたら16匹ね」

 

 何…だと…!?

 それってつまり、全員分合わせたら合計20匹……残るはあと10匹でいいって事じゃあねぇか!

 

「でかしたセツナ!」

「うひゃあ!?ななっ、急に何よ!?」

 

 思わずセツナを抱きしめてしまい、彼女は驚いた様な声をあげる。すまなんだ。でも、抱きしめずにはいられなかった。

 この強運は最早スキルじゃね? 招き女神の激運とでも呼ぼうか。

 戦闘面では無双の強さを誇るし、ハイスペックハンターだよ君は。セツナ愛してる!

 

「……ねぇ、エクシア」

「ん? どした?」

「……そのまま、私の頭を撫でて」

 

 ……Oh?

 セツナは一体どうしたのだ? 急に甘える様に抱き付いてきて。

 まぁいいか。彼女の頭を優しく撫でる。うりうり。

 そうしてセツナとイチャイチャしている時だった。

 

「きゃああああぁぁぁぁっ!!!」

 

 後方からリリーの悲鳴。

 振り返れば━━━2頭のリオレウスがこのエリア10番に降り立っていた。

 

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