目が覚めたら何故かユクモ村に居たのでハンター生活をエンジョイする事にした 作:勇(気無い)者
2頭のリオレウスがエリア10番の地に降り立った。風圧でリリーとサニーは吹き飛ばされそうになりながらも何とか堪え、レベッカは1人ゴロゴロと転がっていた。
か、軽いからね…仕方ないね…。
しかし、2頭のリオレウスはリリー達の事などまるで意に介さず、互いに睨み合っている。
……アイツら、まだ喧嘩を続行していたのかよ。てっきり、どちらかがくたばったものだと思っていたのに…。
昨日から一晩中
どちらにしても、ここで暴れるっつーならそれなりの覚悟をしてもらおう。邪魔だからな。
「セツナ」
「ええ、勿論解っているわ。奴らを蹴散らす。━━━私の素敵な一時を邪魔してくれた礼をたっぷりとしてやるわ」
お、おおぅ…。何故だかセツナさんが燃えていらっしゃるぞ。これは早々に
「魔理沙と霊夢はリリー達を頼む」
「わかったわ」
「任せとけ!」
「グオアアアァァァァァァッ!!」
「ガアアアアァァァァァァッ!!」
2頭のリオレウスの咆哮。同時、俺とセツナはリオレウス達に向かって駆け出した。リリー達も弓を手に立ち向かう姿勢を見せてはいるが━━━無謀だ。彼女たちは未だ大型飛竜種の討伐経験は無い。いきなり2頭の火竜を同時に相手取るなど、自殺行為に等しい。
「私とセツナに任せて下がってるんだ!」
すれ違い様、3人に声を掛けながらファーレンフリードを展開。
さぁ、2頭同時狩猟の始まり始まりってなぁ!
まず、俺たちが接近するよりも先に右方のリオレウスが動いた。よく見るとコイツは尻尾が無い。千切られたか。もう片方のリオレウスは尻尾が健在だ。
尻尾無しの方が高く飛び上がり、足を前に出して急降下。それを尻尾付きは後方へ飛び退いて回避しながら火球を吐き出した。
巨体のリオレウスでは避ける事など出来ず、見事顔面に直撃。更に尻尾付きは追撃と言わんばかりに身体を回転させ、尻尾無しの顔面を尻尾で叩く。
2発の攻撃を受け、尻尾無しの方が怯んだ。その隙を突いてセツナが尻尾無しの顔面へと斬り掛かる。相変わらず、勇敢な闘い振りだ。
ならば、と。俺はもう1頭の尻尾付きの顔面へファーレンフリードの溜め段階4である『連射Lv4』を叩き込む。ヘイトを煽って、このまま1対1の闘いへと持ち込んでやる!
尻尾付きは見事に俺の方へ意識を向け、此方に突進攻撃を仕掛けて来た。それを横へ走る事で難なく回避。更にリオレウスの足へ『連射Lv4』の追撃。
一番下の1本が当たらず地面に飲み込まれてしまったが、問題ない。連射の中で最も強い威力を持っているのは、一番上の矢なのだ。下に連なる矢はオマケ程度の威力しか無く、外れてしまっても別に構わない。勿論、当てるに越した事はないのだが。
リオレウスが立ち上がり、此方へ向き直る隙に溜め3段階の『連射Lv3』を叩き込む。4段階まで溜めている隙は無かった。
撃ち込んだらすぐにリオレウスの側面へ回り込む様に走る。弓における立ち回りの基本、モンスターを中心として時計回りに移動し続ける事。これはリオレウスにも通用する。
尻尾付きが2度目の突進攻撃を繰り出すが、難なく回避。しかし、距離が離れ過ぎてしまい、撃っても充分な威力が見込めない。
そんな時は曲射だ。距離に関係なく、一定のダメージを与える事が出来る。3rdから追加された素晴らしい機能だ。
距離を見極め、天に向かって思い切り矢を放つ。ファーレンフリードの曲射は集中型。此方にケツを向けたままのリオレウスの頭に全弾命中させてやった。この程度の芸当は朝飯前である。
さて、もう一度その頭に矢を叩き込んでやろうか。そう思った時だった。
「エクシアさん! 後ろです!」
突如として飛んできたリリーの声に振り返れば━━━クルペッコが此方に向かって飛び掛かってきていた。堅い翼爪を叩き合わせて火打ち石の様な発火現象を起こす爆発攻撃。
「━━━ッ!!」
その場から咄嗟に飛び退く事で難なく回避出来た。
コイツ、いつの間にエリア10番に現れたんだ? と言っても、襲ってきた方向を考えれば空からやって来たという事以外ありえない。
親方! 空からクルペッコが!
ラピュタか。
くだらない事を考えている場合ではないが、それのお陰で自分の持ち物にアレが入っているのを思い出した。貴様等をラピュタ王の刑に処す。
「閃光玉を投げるぞ!!」
皆に伝えるべく、叫んだ。閃光玉は人間にも効果がある。前に一度自分で実験したのだが、1分近く何も見えないままだった。なので、閃光玉を投げる際には必ず味方への声掛けは必須。
アイテムポーチに触れ、目の前に並ぶアイコンから閃光玉を選択。右手に握られた球体のそれを前方に投げ、腕で両目を覆ってガード。炸裂音と共にモンスター達の怯んだ声。見れば、2頭のリオレウスとクルペッコの3頭全てに効果を及ぼした。
「リリー! サニー! レベッカ! クルペッコは任せる! 魔理沙と霊夢はその援護!」
「っ、はい!!」
リリーの力強い返事。魔理沙や霊夢も居るし、クルペッコ程度なら彼女たちですぐに始末出来るだろう。
俺はリオレウスに集中だ。閃光玉の効果で一時的に目が見えなくなっているリオレウスの顔面に『連射Lv4』を叩き込む。
すると、リオレウスは2、3歩たたらを踏んで後退し━━━ドボンと海の中へダイブした。
「…………」
何てマヌケな個体なんだ……。ラピュタ王の刑に処すとは思ったが、本当に海へ落ちるとは……。頭の中で声が再生されて思わず吹き出しそうになったわ。
しかし、どんなマヌケであろうと討伐する事に変わりは無い。海面へ顔を出して必死にもがくリオレウスの顔面へ容赦なく『連射Lv4』を叩き込む。
このまま押し切れるかなと思ったが、4発ほど撃ち込んだところでリオレウスは飛び上がり、上空へ逃げられてしまった。
うーん、ちょっと高すぎる。矢が届かないな。これでは撃ち落とす事も出来ない。
そんな事を考えていた時だった。
リオレウスは突如、物理法則を無視した速度で此方に向かって急降下してきた。
「危ねっ!!」
咄嗟に横へ跳び、地面をゴロゴロと2回転。ズドン、という巨大な岩が地面に叩きつけられたかの様な衝撃音と共に、辺りが砂塵に包まれる。
今のは間違いなく、上空へ飛翔してからの毒爪攻撃である。本来は『回避性能』でもついていなければ避けるのが困難な攻撃だ。ゲーム時代は、必ず武器を納刀してから緊急回避で避けていたが、距離が相当離れていたのでギリギリ躱せた。今のは少しばかり肝を冷やしたぞ……。
しかし、舞い上がる砂煙の所為で辺りの様子が解らない。とりあえず少し姿勢を低くして足に力を溜め、何があっても対応出来る体勢を整えておく。
そして━━━砂煙を払う様にリオレウスの顔がヌッと現れ、
「ぅっ━━━うわらばっ!!」
まるで身体を真っ二つにされてやられたかの様な声を発しつつ、どこぞの元配管工の様な華麗なるジャンプ。そのままリオレウスの背中を踏みつけ、飛び越える事に成功。
……あ、危なかった……。危うく交通事故に遭う所だった……。咄嗟の神回避、俺は自分を誉めてやりたい。
「エクシアさん!」
今度はレベッカの声。同じ轍は踏まぬとその場から飛び退きながら振り返ると、上空に大きな影が。
「……おいおい、マジかよ……」
この地に降り立ったそれは、雌火竜リオレイア。
だが、普通のリオレイアではない。身体の色が緑ではなく、
それは、3rdでは存在しない筈のリオレイア亜種であった。