目が覚めたら何故かユクモ村に居たのでハンター生活をエンジョイする事にした 作:勇(気無い)者
「くらいやがれ!!」
弓の溜め段階3の『連射Lv4』をアカムの顔面目掛けて側面から叩き込む。当たった瞬間、黒い雷みたいなものがバチバチと走った。龍属性のエフェクト効果だ。ゲームと一緒だけど、リアルだと迫力が凄い。
更に数度、連射を叩き込む。なるべくクリティカルの位置で撃っているつもりだが、如何せん視点が違うので位置取りがイマイチよく解らない。矢が当たった時のエフェクトも龍属性のそれしか出てこないので、尚更解らない。でも大体合ってると思う。
ふと、アカムの注意が俺の方へ向いた。あれだけバカスカ撃ってりゃ当然か。
とりあえずアカムの左側面へ回り込む様に移動。すると、身体を捻って尻尾を持ち上げだした。左側を薙払う気だ。
俺は尻尾がギリギリ届かないであろう位置で立ち止まり、連射Lv4を二発顔面へ撃ち込む。案の定、アカムの尻尾は俺に届く事は無かった。攻撃範囲はゲームと一緒だ。跳ねた石ころがビシビシ当たって痛かったけど。
妖夢と咲夜もアカムの顔面へ執拗に攻撃を加えている。何という度胸。あいつら本当にアイルーか?
アカムの次の攻撃は這いずりだった。此方へ方向転換している隙に側面へ回り込んでいたので、楽々回避出来た。馬鹿め。
だが、顔が向こう向いているので顔面を狙う事は出来そうにない。しかし、一回ぐらい撃てる隙はある。どこに撃ち込むか……。
………。
曲射を撃ってみようか。それぐらいの余裕はある。
でもどうやって撃つんだ……?
ええい、ものは試しだ。やってみろ。
弦を思い切り引き絞り、弓を天に向けて撃つ。
放物線を描く様に飛んでいった1本の矢が、アカムの背中を射抜いた。それは貫通して地面へと突き刺さり、爆発した。
おお、成功だ。
レラカムトルムの曲射は爆裂型なので、地面に落ちると爆発するのだ。一体、あの爆発する矢は何なのだろうか。火薬でも仕込んであるのだろうか。謎である。
アカムの次の狙いは、妖夢であった。向きを変え、上半身を僅かに起こし━━━右前脚を横薙ぎに振るった。
「!?」
何だ今の攻撃!? ゲーム中にはあんなの無かったぞ!?
でも、妖夢は飛び上がりながら身体を捻り、華麗に躱していた。何だ今のスタイリッシュな避け方。格好良すぎる。矢っ張りあいつらアイルーじゃねぇ。アイルーの見た目をした別の何かだ。パネェ。
咲夜は咲夜で距離を保ちながら投げナイフを投げ続けている。だからどっから出してんだよそれ。
何にしても、これならいけるぜ!
妖夢と咲夜がアカムを翻弄し、俺は上手く立ち回りながらアカムの顔面に連射Lv4を叩き込んでゆく。オトモ二匹の活躍が凄まじく、立ち回りがゲームの時よりも滅茶苦茶楽だ。
偶に俺を狙ってくる事もあるが、殆どゲームと同じ攻撃方法なので一撃もくらう事は無かった。
このまま一気に畳み掛けるぜ!
と思った矢先、アカムが地面へと潜った。デカい穴が地面に空いたと思ったら、アカムの姿が見えなくなった瞬間に穴は消えた。どんな原理だよ。
俺はというと、奴が潜っている時にレラカムを畳んで背中に背負っていた所だ。アカムが潜った時は、武器を納刀してダッシュ出来る様にするのは常識だろう。
少なくとも俺はそう思っている。マルチプレイを殆どしないので、他の人がどうとかはよく解らない。
ドドドドドッ、と地面が揺れる。
これはアカムが地面の下を蠢いてる音━━━
「ッ!?」
地面が僅かに盛り上がりながら此方に向かってきている! 速……ッ!
「とわぁっ!」
急いで駆け出し、振動がより強くなった所で思い切り跳んだ。
瞬間、俺のすぐ後ろの地面からアカムが姿を現した。
動くのがほんの少しでも遅れていたら巻き込まれていただろう…危なかった…。
………。
いや……巻き込まれたら危ないとか思ったけど、今のって本当にダメージあるんだろうか…?
だって地面の中から這い出てきただけだろ? 背中に乗ったらダメージとかある訳ないと思うんだが…。
まぁいいや。
兎に角、アカムの地面に潜ってからの攻撃、ポケモンでいう所の『あなをほる』攻撃は注意が必要だ。速度がゲームの時よりずっと速かった。チンタラしてたらヤバい。
だが、それ以外は全く注意するに値しない。ゲームと殆ど同じだ。避けるのは容易い。
「うははははっ! くらえボケナス!」
そして、俺とオトモ達はアカムの攻撃を回避しつつ、奴の顔面へ執拗に攻撃を加え続けた。一方的に。
途中で息切れを起こしたり、腕が重くなってきたりしたが、十数秒程度も時間を置けばすぐに良くなった。スタミナの影響だろう。そのシステムもあるらしい。
試しに強走薬を飲んだら起こらなくなったので間違いない。
戦闘を開始してから十分程が経過した。アカムの牙を両方共へし折り、背中のゴツゴツした部分も腹面もズタボロボンボンにしてやった。
奴も俺達を相手に必死で抵抗したものの、攻撃は全て回避。
噛みつきも這いずりものし掛かりも尻尾で薙払うも前脚で薙払うもあなをほるも、奴の攻撃は全て容易く避けられる。
ところでどうでもいい事だけど、這いずりって言葉のニュアンスがパイズ(ry
━━━ただいま大変不適切な表現がございました。暫くお待ちください。
兎に角だ。アカムの攻撃は全て完全に見切った。俺が奴に負ける要素は無い。
ふと、アカムが地中へ潜った。俺も素早くレラカムトルムを畳む。奴の向かう先は此方ではなく、反対方向。ソニックブラストでも吐く気か。
ふはははは! 無駄無駄無駄だァッ! 近付いてしまえばそんなものは当たらぬぅ!
俺がお前を何匹狩ってきたか解るか!? 俺は2ndの時から数えて! お前を1000匹以上は狩っているのだッ!
もう一度言う…俺がお前に負ける要素は無い!
全力ダッシュで奴を追い掛ける。
さぁ、出てこい! また顔面に連射Lv4を叩き込んでやるぜ!
━━━しかし、アカムは一向に地上へ出て来る気配が無い。もう5分近く経つのにも関わらず、である。
………。
これは。
これはまさか。
ゲームでは絶対に有り得ない事だが。
「………逃げられた…?」
…。
……。
………。
いや。
そんなまさか。
アカムが逃げるなんて、そんな事が………。
……あるの…?
えっ……何それ…?
つまりこれって、討伐失敗になるの…? それとも撃退扱いになるの…?
………。
「何だよもおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!」
何逃げてんだよ!
「戻って来やがれ! 剥ぎ取らせろ!」
憤慨しながら叫ぶが、俺の声は虚しく木霊した。
……虚しい…。凄く虚しい…。何か不完全燃焼だわ…。
くっそぅ……この怒りを何処に向ければ良いのだ……くぅぅ…ッ!
━━━その時、大地が揺れた。
そして、遠くの方で地中から黒い塊が姿を現した。巨大な岩石の様な見た目をした四足獣。アカムトルムだ。
「は…っ! ははははっ! うははははっ! 戻ってきたかッ!!」
喜び勇んで奴へと駆け出した。弓を展開し、矢を番えながら走る。
そして、奴の近くまで来て違和感に気付いた。
━━━へし折った筈の牙が二本共再生している…?
いや、それだけじゃない。ズタボロにしてやった筈の背中のゴツゴツした部分とか腹面も元に戻っている。
「……回復した…?」
……いや。違う。
何か違う気がする。
何て言うか……コイツ、一回りデカくなってないか…?
何となく大きい気がする程度のレベルだが……何か……。
そして、ハッと気付いた。
━━━アカムトルムがもう一頭出現したとの情報が……。
集会所で受付嬢が確かにそう言っていた。
そうだ。こいつはさっきの奴とは違う個体なのだ。もう一頭のアカムトルムなのだ。
ならば、さっきのアカムが逃げ出したのは、俺からではなくコイツから……? 接近を感知して逃げた、という事か……?
………。
「まぁ、どっちでもいい」
番えていた矢を、曲射として撃ち出す。放物線を描いて落ちるそれは、アカムの頭に直撃した。
俺の存在に漸く気付いた間抜けなアカムが、のそりと此方を向く。
「お前を排除する」
何処かの鬼サイボーグみたいに決めてみる。
第二ラウンドの火蓋が切って落とされた。
私は150程しか狩ってませんが…。