目が覚めたら何故かユクモ村に居たのでハンター生活をエンジョイする事にした   作:勇(気無い)者

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強化人間とその研究所について色々。

 場所は変わって、渓流の中で最も高く最も西に位置するエリア9番。ハチミツが採取出来る場所に鳥居と小さなボロ小屋があるのだが、その背後に奉られてるかの如くに佇む大木━━━の、上のところ。

 平たくなっており、少なくとも7、8メートルぐらいの広さがある。所狭しと藁が敷き詰められており、寝転がっても木の固さが気にならないだろうと思われる。

 下から見上げていた時は鳥か何かの巣だと思っていたが、別段鳥の羽や卵の殻などは見当たらない。

 ……ここは最近フェルトが寝床として利用しているそうなので、彼女が掃除した可能性も否めないが。

 

「で、ワタシにどんな話があるのカナ」

「それは私が話すわ」

 

 フェルトの問いにセツナが答える。

 ……ぶっちゃけ、俺はセツナに連れてこられて強化人間に関する事もチラッとしか聞いてないので話すに話せない。というか、今更ながら安請け合いしたもんだなぁ、俺。別に後悔なんてしてないけど。

 

「さっきも言った通り、私はあなたを助けたいと思ってる。そして、あなたの力を貸してほしいとも思ってる」

「ホム……どういう事カナ?」

「私は強化人間の研究を行っている研究施設を潰そうと考えているの」

 

 セツナの口から大胆な宣言が飛び出した。

 ……潰すとはまた大きく出たな。まぁ、人体実験してるような施設なんかは潰れて然るべきだとは思うけど。

 セツナは更に続ける。

 

「ひと月くらい前、私の友……知り合いから手紙が送られてきたのよ」

 

 そう言って彼女はアイテムポーチから一通の手紙を差し出した。フェルトがそれを受け取り、俺も横から覗き込む。

 

 

 

 セツナちゃんへ

 

 風の噂であなたがユクモ村を訪れたと聞いたので、お手紙を送りました。お元気ですか?

 私はポッケ村で相変わらずの日々を送っています。

 早速ですが、本題に入ります。強化人間についてです。

 セツナちゃんを村から追放するというギルドの命令を受けたあの日、私はどうしても納得がいきませんでした。それでもギルドの命令に背く訳にはいかず、私にはどうする事も出来ません。

 なので、私はギルドを裏からこっそり調べる事にしました。

 それから半年間をかけてギルドを調べた結果、色々な事がわかりました。

 強化人間の研究は、ギルドの中でも極一部の人間たちが極秘に進めている事。

 被験者の大半はハンターである事。

 そして、研究所はユクモ村から北西十数キロ地点にある、人の近寄りつかないような山脈地帯にある事。

 私は現在、色々な人に呼び掛け、この施設を摘発する準備を着々と進めています。いつになるかはまだわかりませんが、必ずギルドの悪事を暴いてみせます。

 だから、全てが終わったその時は……。

 

 

 

 ……手紙はそこで終わっている。この手紙の主は何て書こうとしたのだろうか。文面から察するに、プロポーズの言葉が続くように思えるがどうだろう。男か女か知らんけど。

 というか、こんな事を手紙に書くのは少し不用心なのではないだろうか。誰かに見られたらどうするんだ。

 フェルトの方を見やると、彼女は手紙を見詰めたまま考え込んでいるようだった。やがて顔を上げ、

 

「この研究所なんだがネ、もう無いよ」

「……ん?無いってどういう事?」

「この研究所、位置的にワタシが逃げ出してきたところと一致するんだがネ、ワタシが逃げ出す時に研究所で古龍が暴れまわったからもうないヨ」

 

 ……えっ。研究所で古龍が暴れまわった?

 

「いやいや、待って。研究所で古龍が暴れまわったってどういう事?」

「アー、ウン。ワタシが研究所から逃げ出してきた時の事を話そうカ」

 

 そう言って、フェルトは事の顛末を小一時間ほどかけて語り出した。その話は簡単に纏めるとこうだ。

 まず、彼女は研究員の杜撰な仕事によって牢屋のような場所から抜け出す事が出来た。しかし、外へ続く出口がどこにあるのかなど知る由もない。

 スネークばりの隠密行動で研究所内をさまよい歩いた彼女は、とある一室に辿り着いた。

 そこにはゴチャゴチャした機械が並んでおり、その奥はガラスで仕切られた広い部屋。中は太い鉄格子で覆われており、白い煙が充満していたそうだ。中に何かあったそうだが、煙の所為でよくは見えない。

 そこで彼女は不用意にも、機械を適当にいじくりまわした。その結果、鉄格子が上に上がってゆき、白い煙も徐々に排出されていった。

 煙が晴れて姿を現したのは、2頭の古龍だった。テオ・テスカトルとナナ・テスカトリ。炎王龍と炎妃龍の名を冠する、ライオンを倍以上大きくして翼を生やしたような古龍である。

 それらは煙が晴れてから数分で目を覚ました。白い煙は睡眠ガスだったらしい。

 テオ・テスカトルとナナ・テスカトリはガラスをぶち破ってフェルトの居るところに入って来た。

 2頭の強力な力を宿す古龍である。たった一人ではどうする事も出来ない。彼女は死を覚悟した。

 しかし、2頭はフェルトにメンチをきりながら彼女の周りをぐるりと一周し、匂いを嗅ぐと興味を無くしたようにフェルトから離れていった。

 そしてテオ・テスカトルとナナ・テスカトリは爆発を起こして研究所の壁を破壊し、外へ飛び出していった。

 暫くして研究員も事態に気付いたが時既に遅し。他にも捉えられていたモンスター達が次々と脱走し、研究所は大パニック。

 2頭の炎龍は粉塵爆発で破壊の限りを尽くし、別の場所で捕まっていたらしいクシャルダオラが嵐を呼び、同じくどこかで捕まっていたらしいオオナズチは姿を消して研究員を襲う。他にもリオレウスやらティガレックスやらジンオウガやらが滅茶苦茶に暴れまわる。

 そんな状況にありながらも、何故かモンスター達はフェルトを襲う事は無かった。炎龍たちと同じように彼女の匂いを嗅いでふいっと去っていったのだとか。

 いや、ジンオウガだけには襲われたらしい。といっても殺気立って襲いかかってきたのではなく、興奮したようにのし掛かろうとしてきたとか。

 ……そのジンオウガ、もしかして雄だったんじゃ……。

 ま、まぁ兎に角。そのジンオウガも何とか撒いて研究所から逃げ出す事に成功したそうだ。

 

「で、数日後に様子を見に戻ってみたケド、研究所は瓦礫に埋もれていたヨ。多分、生存者は居ないだろうネ」

 

 まぁ、だろうネ。古龍プラス大型モンスターが同時に暴れまわったらどうにもならん。この前の孤島のイビルジョー2頭よりヤバいわ。

 

「……じゃ、じゃあ……私が研究施設を潰そうと息巻いてたのって……全くの無駄……」

 

 セツナが呟く。

 ……何ともいたたまれない。

 

「あー、でもさ。研究所って、もしかしたら他にもあるんじゃないか? それも潰さないと」

 

 俺が言い終えるよりも先にセツナがアイテムポーチから手紙を取り出し、突きつけてきた。

 それは同じ差出人からの2通目の手紙だった。

 

 

 

 セツナちゃんへ

 

 お元気ですか? この前はお返事ありがとうございます。

 強化人間の研究について、また少しわかった事を教えます。

 研究所は以前に教えたところ以外には無いようです。全ての研究はそこで行われています。

 また、モンスターの研究も同時に行われています。恐らく、捕獲したモンスターで研究を行っているのだと思います。

 最近わかったのはこれぐらいです。

 今、準備は着々と進んでいて、恐らく半年後には摘発の準備が整うと思います。

 セツナちゃん、決して無茶な事はしないでね。

 

 

 

 手紙はそこで終わっている。

 ……だから、こういう事を手紙でやり取りするのは不用心じゃないのか。どういう経路で送っているのか知らないけども。

 いや、そんな事よりもこれってつまり……。

 

「……一件落着、って事カナ?」

 

 隣から手紙を覗き込むフェルトがそう言った。

 ……事件は始まる前に終わっていた、って事カナ。

 

「まぁ、とりあえず研究所の方はそれでカタが着いたという事でいいカナ」

 

 当事者の割に随分軽いな、この人……それでいいのか。

 

「そんな事より、ワタシの事を助けてくれるって言ったよネ」

「あ、あー……そうね。約束だものね」

「具体的にはどう助けてくれるのカナ?」

「ん、と……とりあえず着るものを何とかしないとね」

 

 確かに彼女は現在スッポンポン状態。完全に痴女だ。日本なら即お縄である。

 

「というか、研究所を脱出する時に服を調達するなり誰かの奪うなりしなかったのか?」

「いやー、脱出する事で頭がいっぱいだったし、研究所では常にこの状態だったカラ余り気にならなくてネ……慣れって恐ろしいカナ」

 

 ……そのまま露出癖がつかない事を切に願うよ。

 

「とりあえず、葉っぱとかで身体を隠すのはどう?胸とか、その……ぉ、お股の部分とかは隠しておいた方が……」

「そんなの痴女じゃないカ!」

 

 今の時点で充分痴女だよ。

 ……いや、葉っぱで隠したら逆に痴女感が増すのか……? 何となくはっぱ隊を思い出してしまう。懐かしいと感じる人は結構な年齢の人だろう。

 

「あれだ、君たちが着ているものを貸してくれればいいヨ」

「え?私たちの防具じゃサイズが合わないでしょ」

「いやいや、防具じゃなくてその下に着ているものだヨ」

 

 防具の下に着ている……と言えば、

 

「インナーの事?」

「そうそう。インナーなら多少サイズが違ってもある程度調節がきくからネ」

「成る程。じゃあエクシア、脱ぎなさい」

「えっ!? 私か!?」

「当たり前でしょ!?私のじゃ流石に小さすぎるわよ。ほら脱いで脱いで」

「い、いや待て、その辺の木陰で脱いでくるから……」

「別に良いじゃないの女同士なんだし」

「そうネそうネ、堅いこと言いっこなしヨ」

「お、おい! 何でそんな楽しそうなんだお前!?」

「そんな事ないわよほら早く脱いで脱いで」

「あ、ちょっ……イヤ━━━ッ!?」

 

 

 

 その日、俺は渓流で素っ裸にされましたとさ。

 めでたしめでた……くないわ畜生。

 

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