ミッドウェー島 湾外にて
「全艦戦闘準備はいつでも出来ているようです」
「分かった。ありがとう」
勝也は「日向」にて指揮を執っていた。
「しかしなぁ」
彼は艦橋から出て「日向」後部を見た。そこにはかつての主砲がついた戦艦では無く、今では(ええっとメモによれば)”アングルトデッキ”という斜めの飛行甲板らしい。「日向」の改造とは後部をアングルドデッキ化させた事だったのだ。
「艦長、幸いにも天候は良いので日暮れになる前に航空機を発進させてよいですか?」
「確かにそうだな。許可しよう」
航空戦艦となった日向は存分にその力を振るおうとしていた。艦載機は・・・犠牲になった兵士達が残してくれた物だった。
事が始まる前日にて
実は紀伊がずっと改造をしている間に実は彼らもあるものを見つけていたのだ。
「うん?何だこれ?」
ある陸軍兵士が空襲でやられた建物の瓦礫を撤去しているときに瓦礫の固い触感とは違う何かが彼の手に触れた。
彼は何かと思い瓦礫を退けてみるとその全容が分かった。
「これはっ!」
「うん?航空機が見つかったって?零戦じゃないの?」
「いえ、どうやら零戦とは違い機種のようでとにかく来てくれとの陸軍からの要請です」
「分かった。勝也艦長といっしょに行く」
「分かりました」
どうやら新型らしい。もしかしたら勝也艦長が何かを知っているのかもしれない。
「で?どこだ」
「こちらです!」
陸軍の兵士が案内してくれたが問題の場所は瓦礫が綺麗に退かされているがもしこれが瓦礫に埋もれているのならよくぞ見つけたのもだと感心した。
「これか?」
「はいそうなります」
「これは・・・・」
それを見た瞬間に勝也艦長の顔色が変わった。見たところ零戦よりも少し大きな感じであるがこれが噂の新型機なのだろうか?
「ああ、ここで開発していた新型機だ。うちの部下たちはこれを見に行って・・・・」
彼の瞳に涙が溜まる。そして静かに敬礼した。
日柳達もそれに合わせて敬礼をした。
ありがとう。この新型機使わせてもらう。必ず敵を取ると。
日柳達は必ずここに勝利を届けると死んでいった彼らに誓った。
その後に紀伊に届けた。その時に紀伊の悲鳴が響き渡ったのは言うまでも無い。
(しかし彼はやり遂げたのだ。量産化が出来るようにして。しかもこれを積めるように艦艇を航空戦艦化したのは・・・いささかやり過ぎな感じがするが感謝はしている)
「敵艦の様子はどうか?」
「はい。先程「青葉」から発信した無人水偵が敵艦を捕えたようです。あと30分で会敵すると思われます」
「そうか。ありがとう。引き続き周囲の警戒も続けてくれ」
「了解しました」
日柳達は艦隊を三つに分けていた。
日柳艦隊、勝也艦隊、アメリカ艦隊の三つであっ
日柳艦隊は以前の編成の通りである。
勝也艦隊
航空戦艦「日向」
装甲空母「扶桑」
巡洋艦 「青葉」、「衣笠」、「天龍」
駆逐艦 「秋霜」、「夕立」、「白露」、「時雨」(雪嵐の方の艦型で白露型では無い)、「山風」
アメリカ太平洋第二艦隊
大型空母「オクラホマ」
巡洋艦 「ペサンコーラ」、「ノーザンプトン」、「アトランタ」、「ヘレナ」、「二ューローズ」(日柳艦隊から編入された)
駆逐艦 「カップス」、「エヴァンス」、「ブラウン」、「ボイド」、「ブッシュ」、「ホーエル」、「ヘイウッド・L・エドワーズ」、「リチャード・P・リアリー」
装甲空母「扶桑」と大型空母「オクラホマ」は航空戦艦「日向」と同じ思想で作られた。「扶桑」の方は戦艦としての装甲を残しながら甲板を装甲を付属させた。
「オクラホマ」の方は赤城のような艦形になった。こちらも「扶桑」と同じように装甲板を残しながら速力なども向上させた改装空母だった。
「それに・・・・」
艦の形が変わり、戦艦が航空戦艦や空母になったりしたのはまだ許容できたがしかし二点だけどうしても許容できない事があった。しかもそれは今自分の隣にいた。
「・・・・」
「?どうかしましたか?」
緊迫感漂う艦内で可愛らしい声が聞こえた。その声に艦橋にいる全員がチラッと彼を・・いや、彼の横を見た。それにつられてか勝也も目線を隣に移した。そこにいたのは巫女服で髪が短く纏められている女性だった。
紀伊はこれについてもメモを残していた為、手元のメモを見た。
(一応の為にメモを残しておきます。「日向」、「扶桑」、「オクラホマ」には空母と航空戦艦になっていることはもうご存知だと思いますがそれ以外に二点改装を加えております。まずは武装や機関についてですがこちらはさすがに今のままだとあっさり沈められると思ったので機関を全艦、我艦と同じ機関である重力子エンジンという機関を取り付けています。武装に関してはこの重力子エンジンが供給させる余力のエネルギーで主砲から皆さんから言う粒子砲が撃てるようになります。もちろん実弾も。クラインフィールドというバリアもつけてあります。そして最後の一つですがさすがにこれだけのことは皆さんだけではさすがに無理だと思うので各艦に一人ずつ実体化した人工知能を置いておきました。皆さんと同じなのですぐになじめると思います。ですから頑張って・・・・)
そこまで読んでメモを握りつぶした。
「あいつめ後で覚えていろよ・・・」
今はいない紀伊に怨嗟の声を上げる勝也だった。これからさらに忙しくなると彼は確信した。
「大丈夫ですか?」
「いや、大丈夫だ」
「日向」である彼女が心配そうにしてくる。やはりどこから見ても人間だと思えた。しかしどうしても会話が上手くすることが出来ない。
「向こうは上手くやれているのかな」
どうしても向こうの二艦隊の安否を別の意味で心配する勝也だった。
日柳艦隊にて
「君の名前は?」
「金剛型戦艦二番艦の比叡です!」
「・・・・」
元気な巫女服の女性がいきなり出てきたので全員がさすがに引いていた。
しかし紀伊の所業に驚いているがこれはやりすぎだと誰もが思った。しかしもう遅い。既に敵と好戦まであと少ししかない。
「航空隊の現状は?」
「はい。艦長「赤城」、「加賀」、「蒼龍」、「飛龍」から「電征と「97式艦攻」が発艦しました。もうすぐで会敵するはずです」
「電征」とは新型の航空機の名前である。(ちなみに紀伊が勝手につけた)「赤城」と「加賀」の航空隊は全滅してしまったため全て無人機である。
「やってくれることを待とう」
「はい」
発艦して艦隊から離れていく飛行隊を日柳と堀江は見守った。
ハリマ甲板にて
「敵艦おそーい!」
中々遅い敵艦に文句を垂れ続けているハリマであった。しかし彼女の”退屈”はすぐになくなる事になる。
「ん?この反応は航空機か!」
ハリマはこちらに来ている無数の影を捕えていた。
「まずは小手調べって事ね!いいわ!”東亜の魔人”の二つ名の由来の一つを見せてやるわ!」
敵機が来る方向に巨大な主砲や副砲、対空砲が向いていく。
「まずは第一射!てぇーー!」
その巨大な方が敵機にも見えるくらいの爆音と爆炎を撒き散らしながら発射された。
敵機が一気に散開するが決して少なくない数の機体が一気に爆発四散した。しかし敵機は進行方向を変えることなく一気に突入していく。次弾の装填は今やっている為副砲と対空砲が代わりにその穴を埋めていく。
「ふ~んそう来るか。敵も中々やるね」
対空砲と副砲の弾幕の嵐を何機から抜けてくる。しかしそれ以外はほぼ全滅と言っていいほど壊滅していた。艦攻だけならだが。
艦攻は一気に高度を下げてハリマに向けて魚雷を放った。しかしハリマだが魚雷が発射されたが気にも留めない。それもそうだろう。この巨体では躱すどころか回避運動も出来ない。彼女は元から当たるつもりだったのだ。その魚雷を放った艦攻も数機を残して全滅した。
「被害はナシと。防護重力壁に少し掠った程度か」
航空機に数からしてあれが全力ではないはずだ。少なくともあともう一波はあるはずだ。
「まぁどんな航空機や艦が来てもこのハリマは沈まないよ!」
絶対の自信があった。あとは一気に敵艦隊との距離を縮めて叩く。単純でシンプルである作戦で彼女らしい作戦だった。
「航空機第一波はほぼ壊滅です。なお敵艦に大した損傷は見られず依然そのままの速力で航行しておりあと数分で見えるはずです」
「やはり無理か・・・」
単艦のところで前襲った奴と同じだとはおもっていたがここまで対空能力に長けているとは思わなかった。どうやら戦闘機部隊は遠くから見ていたため被害が無かったようだが艦攻部隊はほぼ全滅であったみたいだ。まもなく空母に着艦するところだった。
「第二波の攻撃準備は第一波の収容作業と敵の速力で間に合いそうにはありません。こうなったら我が艦隊で仕留めるしかありません」
「確かにな。いかがですか山口提督?」
現在「比叡」の艦長席に日柳は座っていない。今は山口提督が乗っている。しかし誰もが口には出さないが目をみていて分かる。比叡に関しては口に出そうとしてしまうので大変だ。
「そうだな。我が大艦巨砲主義を見せる時がついに来たな!全艦戦闘準備!」
具体的な動きに関しては彼は言及していないためおそらく突撃せよとのことだろう。よくぞこれで提督になれたものだと日柳は不思議に思った。
「!!」
「どうした?」
比叡が何かを発見したようだ。
「電探に反応!敵艦見えます!」
艦橋に緊張が走る。そしてそれを裏図けるように見張り員が報告に来た。
「敵艦見ゆっ!」
「何だあれは・・・」
誰もがその巨艦に驚嘆し絶望した。一言で現せれば”島”だった。どの国にもあんな巨艦は作れないだろう。
「自分たちは一体何と戦っているんだ?」
やはり前といい今回といい。敵はかなり自分達とかけ離れた技術を持っているようだ。
「敵艦発砲!」
「こんな遠距離から!」
艦の周りに巨大な水しぶきが上がる。
「何て巨大な砲だ」
「あんなのを喰らってたら・・・・」
皆から暗い表情になるが・・・・
「諦めるな!戦う時から諦めてどうする!」
御坂教官からの叱咤だった。確かにその通りだ。相手は確かに砲を山ほど積んでいる要塞艦だが弱点が無いわけでは無い。それに自分たちは紀伊が居たとは言えあの高速戦艦を落としている。勝機が無いわけではなかった。
「全砲門開けっ!まずは敵の攻撃方法を奪う!」
戦いはまだ始まったばかりだ。
ミッドウェー島 病室にて
「う・・・ここは?」
あれから記憶が無い。一体どうなったんだ?
「あ!気がつきましたか」
どうやら看護婦みたいだ。自分はどうやら何かで気を失ったみたいだ。
「あの・・・何だか騒がしいみたいなんですが?」
その質問に看護婦は暗い顔をする。
「それがどうやら敵がこっちに来ているみたいで・・・・」
「敵がですか!?」
日柳達はどうしたのだろう。まさかあんな満身創痍な艦で出撃したのでは?
「どうやら海軍さんはあなたに直してもらった艦で出撃したみたいですよ」
俺が?直した?
「どういう・・・」
いや、今はそれはいい。加勢に行かねば
「あっ!どこに行くんですか!ダメですってば!」
看護婦が止めるが紀伊は走るのをやめない。どうしても自分の中の何かが警告しているのだ。いわば”悪い予感”というものだ。それに起きたときにこんな声が再び聞こえた。
『超巨大双胴戦艦ハリマ接近!』と。
次回はようやく日柳艦隊と紀伊がハリマと戦います。
今回は航空戦だけですがハリマは原作だと対空砲が凄まじかったみたいですからね。
次回 ハリマと紀伊そして日柳艦隊。夕日を背にした戦いの果てに紀伊はついに”帰還”する。