「そろそろお夕食の時間です」
部屋でがやがや騒いで来たらこの家のメイドだろうか夕食の時間だと知らせてきた。
「それとお嬢様は検査のお時間です」
「はーい。じゃあまた遊ぼうね!」
蒔絵は遊び疲れてへとへとになっている自分達を残して部屋を出て行った。
「・・・・・」
今、夕食と言ったな?紀伊は最近は艦内の飯しか食っていないので味に飽きかけていたのだ。そんな時に違う味の飯が食えるというのは紀伊にとってはまさに運のいいことだった。
(おい、キイ聞いているのか?)
キリシマが聞いてきた。自分は有頂天になっている自分の気持ちを抑えて・・・
「全然!飯が食えるというから嬉しくなっていないよっ!」
(もろで心の声が出ている!)
紀伊の言葉にキリシマが即座に反応してツッコミをした。
(そんな事よりもおかしいとは思わないか。キイ、キリシマ)
「・・・・?」
ハルナの言葉にキリシマとのおしゃべりを中断してどこかに異常がないかを確認した。ハルナが言っていることはすぐに分かった。
「人が屋敷の広さに比べて少ない・・・?」
そう人を示す熱源反応がかなり少ないのだ。異常だと思う程に。
「何かありそうだな」
「だがその前に飯だ」
(お前な・・・・)
紀伊の言葉にキリシマが飽きれた声を出す。
「いや、違うよ!?夕食と言われたのに来なかったら怪しまれるでしょ!」
自分を必死に弁護する紀伊の言葉にハルナは同意した。
「肯定。キイの言葉に同意する」
あのハルナが同意したのだからキリシマは言い返せなくなった。
(分かった。だけどその前にナノマテリアルを少し分けてくれないか?これだとさすがに動きずらい)
キリシマの言葉に俺とハルナはうんと頷き、それぞれのナノマテリアルを分けた。
「ふ~う。何とか元の体に・・・・」
彼女はあれ?と思った。前の体ではこんなにも視点は低くは無かったはずだ。それにこんな柔らかい感触はしなかった。彼女はおそるおそる自分の体を見た。それを見た後にすばやく。
「なっていない!!」
と唸った。彼女の体はクマの姿になっていた。
「どうして前の姿に戻してくれなかったんだ!?」
それは二人に向けて言われた。
「確かにハルナはナノマテリアルの量が事の後だから仕方がない。だがキイ!お前は違うだろう!」
正確には紀伊に向けていた。しかし彼の言い分はこうだった。
「な~んの事かな?俺はナノマテリアルは元々少なかったよ?それでも俺の”数少ない”ナノマテリアルを分けたんだよ?感謝こそすれ文句を言われる筋合いはないけどな?キリクマちゃん?(笑)」
「何が”数少ない”だ。わざとそこを強調するな!絶対持ってるだろ!?あとキリクマちゃん言うな!」
キリシマが絶対持っていると確信してそれを強奪しようと紀伊に飛びかかろうとした時。
「場所までご案内します」
何とタイミングのいいことにメイドさんが来てくれた。対するキリシマは
(危なかったー!とりあえず死んだふり・・・)
ばれないように死んだふりをしている。その光景を見てやっぱりキリクマにして正解だったと確信しながら食事場所まで行こうとしたら。
「待ってくれ・・・・」
キリクマ(キリシマ)がメイドに聞こえない声量でこっちに話しかけてきた。
「私も連れて行ってくれ。さすがにぬいぐるみが一人でに動いていたらおかしいだろう?」
確かにそうだ。自分がまずそんな光景を見たらまず目を疑う。というか薄気味悪い。そう思うとハルナに目配せして「頼む」とお願いするとハルナはぬいぐるみを持ってメイドさんの後を追っていった。
「さっ♪ごはんだーー!!」
俺も今までの鬱憤を晴らすべき彼女達の後を追った。
その光景を部屋にあった大きなぬいぐるみの眼に仕掛けられたカメラで見ていた人物がいた。
「あっ!紀伊、ハルハル来たんだ!」
メイドさんに案内された部屋に入ると先に先客がいた。蒔絵だった。
「おっ来てたんだ」
「・・・・」
俺はさわやかな笑顔でハルナは相変わらずの表情の変わらない顔でそれに答えた。
「あれ?ハルハルそれ気に行ったの?」
蒔絵がハルナが両手で大事そうに抱えているキリクマ、違ったキリシマを指さした。
「これは・・・・気に行った」
ハルナはいい言い訳を見つけたようだ。それに納得したのか元気な笑顔で「そうなんだ私と同じだね!」と元気な声で答えた。
「あっそうだ!」
蒔絵は何を思いついたのかメイドさんに何かを頼んだ。少し待つと頼んだ覚えのない料理と一つの椅子が運ばれてきた。それが全て揃うとハルナからキリシマを取って椅子に座らした。
「一人でも多い方がいいでしょ」
その言葉に疑問に思い、蒔絵に俺は聞いてみた。
「そういえばここは蒔絵とメイドさんしかいないの・・・?」
その質問に蒔絵は少し表情を曇らせながら
「昔はお父様が居たの。お父様は私にあるものを作らせたの。でも私はそれでもよかった。だってそうしたらお父様が喜んでくれたから一生懸命作って、でもそれが出来たら・・・・私は一人ぼっちになっちゃったの・・・」
蒔絵が泣きそうな顔になり、慌てて俺は誤った。
「その・・・ごめん・・・」
その言葉に蒔絵はさっきの表情が嘘のように笑顔になった。
「ううん。いいの。私はこうしてみんなと仲良くできるの楽しいもん!ほら!食べよう」
蒔絵が食べてというので暗い雰囲気を消すために俺は食事に手を伸ばした。一口食べるとその味は口に蕩けるように広がった。
「お、おいしい・・・!」
「よかった。は~いヨタロウ?」
俺が率直な感想を言うと蒔絵は喜び、となりに座っているキリシマをヨタロウと呼び、人参を食べさせる真似をした。
(そうかこいつの名前ヨタロウって言うんだ・・・)
しかし誰もが予想しない事だったがキリシマはさっきの話がずっと気になっており、つい無意識に蒔絵が出した人参を
パクッ
「え!?」
「へっ?」
((馬鹿!!))
そうキリシマが蒔絵の出した人参を無意識でしてしまった事とはいえ、食べてしまったのだ。これに大いに焦ったキリシマは何を思ったのか。
(こうも早く自分の存在がバレるとは・・・こうなったら仕方がない。許せ蒔絵!!)
自分の存在を隠すために蒔絵を手にかけようとしたキリシマより先に蒔絵が先に行動に出た。
「すきっ!」
(ぶへぇ!?)
蒔絵がキリシマの動きよりも早くキリシマに抱き着いていた。その表情は怯えや恐れは無く、むしろ好奇心に満ち溢れている顔だった。思わぬ行動の連続にキリシマを叩き落とそうとしていたハルナと俺の手は空中で止まったままそれを見ていた。
「すげぇすげぇすげぇよ!ねぇ!これどっちが作ったの・・!?」
「えーと・・・こっち」
あとでややこしくやりそうなので全てハルナのせいにした。許せハルナ・・・
「え・・・・あ・・・うん・・・」
たどたどしい返事でハルナが答えるが蒔絵はそれを気にはしなかった。
「凄いね。どうやったんだろう・・・ハルナは何かの研究者!?」
聞いてくる質問を何とか躱した。そしてハルナがキリシマをつついている蒔絵に対して
「それ・・・あげる」
ぽつりと漏らした言葉に蒔絵とキリシマ(特にキリシマの方が驚いていた)がびっくりとした表情で見ていた。
「いいの!?」
(あのもしもしハルナさん・・・・)
キリシマは蒔絵の喜びを表すつつきあいに顔を青くしていた。
「それにしてもハルナも私と同じか~」
(同じ?)
その言葉を疑問に思った。さっきの話と何か関係しているのだろうか。それからは何事もなく食事は終わった。そして風呂だがお手は先に入り、後から蒔絵とハルナが入った。
「かにんしてつかぁ~さい!」
キリシマと話していたらそんな声がしたが気にしないでおこう。うん。
太平洋沖
「あなたが指揮官ですか・・・?」
「い、いえ自分は臨時です」
ヤマトは今自分の目の前にいる若い青年に目を疑い、彼が話したことに耳を疑った。
(こんな若い青年を乗せるなんて・・・・まるで”彼”のようだわ)
今はそんな事は関係はなかった。それよりも彼が言った言葉の方がずっと重要であった。
「あなた方は違う世界から来たということなんですか・・・?」
あまりにも今の状況と食い違っている為に人類の文化であるSFという分野でありそうなことだった。
「でもそんな時間はないようだよ?」
となりからこっそりとこちらを見ているコトノが意味ありげな笑みを浮かべながら言う。
「時間が無いとはどういう意味ですか・・・?」
「これを見て」
ヤマトの疑問はすぐに解消された。すでにかなりの数がここにきている。
「どうやら感ずかれたみたいだね。もともとこっちは北米方面艦隊の領海に入っているしね。そろそろ退散しないとせっかく隠れたのに見つかっちゃうよ?」
それはさすがに不味い。あの新鋭艦隊が出来るまでは見つかるわけにはいかない。そしてあの”子”を見つけるまでは。
「あの何か・・・?」
人間達が怪訝の表情をしているが時間が無い。短く説明する。
「少し急用が出来ました。我々は移動します。あなたちも座標を送りますから死にたくなければついてきなさい」
時間が無い。相手は新型の大型空母を二隻備えた大艦隊だ。さすがにそれを撃破することは容易だがそんな新鋭であり、大艦隊が消えてしまえばすぐに感ずかれてしまう。そんな事は避けなければならない。
「今までのんびりしていましたが次から忙しくなりそうですね」
刑部邸
今は夜だ。蒔絵は寝ている。俺はそっと起きた。ハルナもキリシマも同時に起きた
「・・・・行くぞ」
静かに出る。廊下は静かだが一つだけ違うものがある。
「こちらです」
あのメイドさんがいた。こんな廊下で一人でいたのか?軽くホラーだ。
「・・・・」
「連いていこう」
黙って連いていこうとした。自分達の目的地にたどり着けるはずだ。
彼女は屋敷の壁に向かって何かをうちこみとそれをは開いた。どうやらこの奥に何かがあるようだ。俺達はそれを進むと広い部屋に入った。そこにたくさんの電極がささった男性がきた。
「来たようだな」
「あなたは誰ですか?」
その質問に失笑しながら彼は話した。
「刑部 藤十郎だ」
刑部 藤十郎。データで調べていると蒔絵のお父さん。だがすでに死亡しているはずだった。
「なぜ生きているんだ?人間のデータでは死亡しているはずだが?」
キリシマが疑問に思う。だが同時に振動弾頭のデータを渡してもらう手間が省けた。
「振動弾頭のデータなら私は知らない。あれは私が作ったのではないのだからな」
「?どういうことだ」
「そうか・・・蒔絵」
ハルナが呟くがその読みは当たっていた。
「そうだ蒔絵は私よりも優れている。あの子は人間ではないのだから」
「!?」
彼はゆっくりと過去を話始めた。
次回は大会があるので少し遅れそうです。