約二か月間待たせてすいませんでした。これからは少しずつ上げようと思います
群像達は焦っていた。今でこそ音響魚雷やアクティブデコイのお蔭で隠れられることが出来たが既にそれらも既に底をつき始めていた。「黒鯨」の方こそまだ残弾は余っているがあまり使い過ぎるのもこちらの位置を諭される危険があった。
それともう一つの問題が。
「もう一隻いる」
そう現在、ソナーで場所が分かっている不明艦だけではなく、「黒鯨」のソナーの端にたまたま映った不明艦だった。
「まるでこちらが見つけるのを待っていた登場っぷりだな」
杏平も言葉こそふざけているように見えるが中身は真剣だった。
「万事休すか・・・・」
U-2501艦内にて
「さすがだ、千早群像。聞かされていた以上の能力があるようだ」
ゾルダンは素直に群像を褒めていた。彼の艦隊は圧倒的戦力差にありながらもここまで持ちこたえられているのが理由だった。
「確かにねー、でもさすがに長く時間をかけるわけにもいかないよ。”あの人”も待っていることだしさ」
「そうだな」
彼は静かに時計を見る。確かに待ち合わせまでもう少ししか残っていない。
「いい加減に勝負を決めようか。彼らにメッセージを送れ」
「あいよー」
「黒鯨」艦内にて
「こちらの残数はすでにゼロに等しいわ。自動防御兵器もすでに弾薬を底を尽きかけている。これ以上の戦闘は・・・・無理よ」
『・・・・・・』
彼の気持ちは痛いほど分かった。しかしこちらは侵食兵器も無しに霧の船と戦っているのだむしろ善戦したといってもいいだろう。しかし群像は無言のままだ。今、対抗策を考えているのだろう。
ピイッ! ピイッ!
「え?」
鳴った電子音の音源を見た。それは無線機から聞こえてきた。そこに書かれていたメッセージは読んだ。それを見た日下部は信じられない顔で見た。そこに書かれていたメッセージは。
『武装を解除し、浮上せよ。指示に従う場合はこちらも同様のことをする』
シンプルに書かれたメッセージを群像は静かに見ていた。他のクルーも同様である。
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・群像?」
皆が黙る中、イオナだけが確認を取るように聞いてきた。その横顔を見た群像は何かを決心したのか。
「はぁ~~」
大きくため息を出した。他のクルーもただ群像を見つめている。
「浮上しろ」
短くそう言った。他のクルーも分かりながらも驚きの声を上げた。
「で、ですが艦長!?」
「もし罠だったらどうするんだ!?」
その声に群像は
「だったらここで戦い続けて沈むか?」
彼らに逆に質問をした。彼らは黙るしかなかった。彼らはその事実を忘れていたわけではない。群像の声の震えに気づいたからだ。
「・・・・分かりました」
僧は短く肯定の言葉を言う。群像はイオナにもう一度言った。
「浮上しろ」
「了解。浮上する」
イオナは何も言わなかった。それが群像にとってはありがたかった。
浮上後
イ401が浮上したすぐ後に赤い潜水艦が浮上してきた。あれはUボートをモデルにしているらしい。番号は「2501」と書かれていた。その潜水艦のハッチが開き、一人の男が出てきた。
「初めましてというべきかな。千早 群像君」
「!?」
咄嗟に身構えてしまう。この男はなぜ俺の名前を?
「不思議に思っているだろう。君にいいことを一つ教えてあげよう」
「?」
次に発せられた言葉は群像の心臓を奥から凍りつかせた。
「君の父上 千早 翔像は生きている」
「!?」
「おや、知らなかったのかい?」
わざとらしい。群像の気持ちを知ってか知らずか男は話し続ける。
「私は君たちを撃沈せよとの命を受けているが今では無い。我々は君たちの存在を世界が見ている中で撃沈する。霧に反する者がどうなるのか知らしめるためにね。そしてこの大命を授けたのは千早 翔像だ」
「千早 翔像は人類の敵になった」
歯噛みしながらポツリと呟く。男は話し終えたと思ったのかハッチに戻っていく。
「さらばだ。千早 群像。また会える日を楽しみに待っているよ」
そして彼の船は深く潜っていく。群像はそれを見ながら再び、歯噛みした。自分達は”負けた”のだ。
「群像、次の目的地は?」
イオナが心配そうな声で語りかける。群像は己の気持ちを切り替えて
「次の目的地はここだ」
マップが表示され、赤点が一つの島を表示していた。その島の名前は
「硫黄島」