太平洋 霧の総旗艦直属艦隊にて
世界三大海洋である太平洋。昔は多くのタンカー、旅客機、輸送機、軍艦などが行き来していたがすでにかつての姿は今は無く、ただ静かな海が広がっているだけだった。しかしそんな彼らの代わりに今の海を牛耳っているのが禍々しい模様を浮かび上がらせている第二次世界大戦時の艦艇。即ち、霧の艦隊だった。
人類のどのスーパーコンピュータをも超える膨大な演算能力、その船体でありえないくらいの速度を実現させてしまう重力子機関、人類の兵器では突破不可能なクラインフィールド、ありとあらゆる物質を消滅させる浸食兵器、そして重巡洋艦以上の上位艦艇がのみが保有可能であり、霧の切り札である超重力砲。
そのおかげで人類は負けた。しかし彼らが海への憧れを捨てたわけではなかった。霧の隙を突いて何度も海上進出を企てきた。しかし霧の艦隊もただ黙っているわけではなかった。霧の艦隊をいくつもの艦隊に分ける事で幾度となく、その企みを非情にも打ち破ってきていた。そしてその艦隊達が
日本海とその他の近海を海上封鎖する東洋方面巡航艦隊。
インド洋およびアジア一帯を海上封鎖する東洋艦隊。
太平洋の海上封鎖して霧の艦隊の中でも随一の大きさを誇る太平洋艦隊。
ヨーロッパ一帯を海上封鎖している欧州艦隊。
それぞれの旗艦は大戦艦級が役割を担っている。そしてそれらの霧を束ねるのが
霧の総旗艦直属艦隊
の超戦艦ヤマトである。彼女ら超戦艦級は霧の中で言うとたった二隻だけだった。
その内の一隻であるヤマトは東洋方面巡航艦隊の旗艦であるコンゴウからとある報告を受けていた。
「そうですか。ご報告をありがとう」
そう言ってヤマトはコンゴウとの通信を切った。
「どうかしたの~~?」
ヤマトは声のした方向を向く。まぁ、誰かは分かるのだが。そう思いながら振り返るとセーラー服を着た少女だった。それはアマハコトノだった。
「いえ、少し気になる報告がコンゴウから来まして」
「ふ~ん。どんなの?」
ヤマトはコトノにコンゴウから報告を教えた。
「実は東洋第一巡航艦隊のチクマが私と同じ艦形の霧の艦艇を発見したと」
「もしかしてあの子かな~~?」
「そうかもしれません」
ヤマトとコトノには思い当たる節があったのだ。
「あの子が帰ってきたってことね!早く会ってみたいわ!」
「今はあの子の捜索、確保はチクマが捜索中みたいですがもうその必要もないみたいです」
「あの子と接触したからかな?」
どうやらイ401と合流したことに気づいたらしい。
「さすがですね。ですがまだしばらくは他の皆さんには黙っておきましょう」
チクマには悪い。確かにナガラをイ401に沈められてしまったがまだ許容できる範囲。
「あと最後に例の新しい艦隊はどうなの?できた?」
コトノが聞いてきた。
「ええ、駆逐艦、軽巡洋艦の子たちはすでに調整を済ませて命令があるまで待機しています。大戦艦級2隻と重巡洋艦の子たちはまだ終わっていなくてしばらくかかるようです」
彼女達が言っているのは今度東洋方面巡航艦隊に配備される新しい艦隊の話だった。
「楽しみだわ!一体どんな子たちなのかな!」
コトノは飛び上がりながら嬉しがった。
「まぁ、どちらにしてもまだ待たないといけませんからもう少し待ちましょう」
彼女らがそう言っている間に霧の艦隊は霧の中に消えていった。
霧の艦隊 東洋方面第一巡航艦隊
ヤマトとの通信を終えたコンゴウは船の艦橋に座っていた。
「しかしこの体を実装したが慣れてきたな。しかし忌々しいな、我らは兵器だというのにな」
コンゴウはメンタルモデル実装にはあまり好意的な意見は持っていなかった。
「コンゴ~!」
考えていると少女の声が聞こえてきた。
「マヤか。どうした?」
それは重巡洋艦マヤだった。
「退屈だよ~~401が動き出したんでしょ。何かやることないの~~?」
ピアノを弾きながら、退屈そうに呟く。
「北の方向に向かうのならタカオの管轄だ。あの子に任せておけばいい」
「えー!も~う管轄とかやめない?」
「私達は霧だ。アドミラリティコードの命令に従うだけだ」
「あーもう!コンゴウの石頭!ベーだ!!」
マヤは怒りながら通信を切った。
「めんどくさい。しかし401の事もあるが・・・」
コンゴウにはもう一つ懸念していることがあった。
(チクマの報告にあったヤマト型の戦艦。ヤツの姿を一度見る必要がある。チクマは確か全てがイレギュラーと言っていたな)
先程、ヤマトと通信した時にいっしょに調査を命じられたのだ。そしてコンゴウはもう一つ艦艇に通信を繋げた。
「タカオ、聞こえているか?」
太平洋 重巡洋艦タカオ
「ええ、知っているわよ。401が動き出したんでしょ。人類に与する裏切り者はこのタカオが沈めてあげるわ」
タカオは静かに401との戦いに備えていた。しかし反応が一つレーダーに現れた。
「401か・・・いや、あれはチクマみたいね。もう紛らわしいわね」
そこに居たのは形状こそ違うが同じ重巡洋艦であるチクマだった。それに後ろには軽巡洋艦タマもいた。
「タカオ、ここら辺で白い戦艦を見なかった?」
会うと早々にチクマのメンタルモデルが話かけてきた。
「白い戦艦?そんな白一色の戦艦いたっけ?」
「ああ、紛らわしい!何ていうのかな?本当は機密なんだけど・・・」
「言っていいの?それ?」
ある意味、あのチクマに私が知らないような重要な任務が回ってくることがかなり意外だったがその重要な任務をこんなところで言うというチクマにもっと驚いた。
「いやーー。それがね。ヤマト型をした戦艦何だけど・・・」
チクマはタカオに事の経緯を話した。
「ふーん。興味深いわね。その戦艦」
「でしょ。実は私もこのタマといっしょにその戦艦を探しているんだけど中々見つからなくて困っているのよ。だからあなたにお願いがあるの?」
タカオは人間でいう”ため息”をした。
「はーー。どうせ、あんたの事なんだから「私の任務を手伝って!」とか言うつもりでしょ」
「はははは!!さすがタカオ!何で分かったの?」
「伊達にあなたと昔、組んでいた訳ではないのよ」
タカオとチクマは17年前の人類との大海戦の時からいっしょに組んでいたが様々な事業があり、今は組んではいないが。
「私は今、401の撃沈を命令されているの。だからあなたの任務よりもこっちを優先して行わないといけないわ。悪いわね」
「そうか。時期が悪かったね。それじゃ、あと頑張ってね。そこの秘策も」
そう言ってチクマは行ってしまった。私の秘策を見破るとはチクマも伊達に組んでいたわけではないみたいだ。
「さ!私は自分の仕事に取り掛からないとね!」
タカオは再び、401を迎撃する態勢を取った。
太平洋沖 霧の艦隊 駆逐艦アキヅキ、スズツキ、テルヅキ、ハツユキにて
霧の駆逐艦であるアキヅキ、スズツキ、テルヅキ、ハツユキは最近、新しく霧に編入された駆逐艦の4隻であり、ヤマトが計画する新しい艦隊への配属が決まっていた為、ここで練習も兼ねて艦隊を分けて編成されていた。
”どうしたスズツキ?少し速度が速いぞ”
秋月型のネームシップであり、今回の旗艦を務めているアキヅキは隣で一隻だけなぜか速度を速めているスズツキに注意を促した。
”ご、ごめんなさい!すぐ直します”
妹のスズツキから応答があった。3番艦であるスズツキは少し臆病な性格であったため、声は弱弱しかった。
”もっと気楽に行こうよ!お姉ちゃん!”
4番艦のハツヅキが呑気にスズツキを励ましている。
”そういう貴女は少し気楽過ぎると思うのですが”
2番艦のテルズキが元気いっぱいのハツヅキを落ち着かせている。
”今は作戦中ではないが我々の行動で成功か失敗かの場面があるかもしれないから皆、引き締めろよ”
即座に応答があった。今までもこんなくだりは何回もしてきたので慣れていたが今回は少しばかり違った。
(やけに霧が多いし、レーダーに微弱ながらノイズが走っている。だからいままで以上に気をつけないとな)
辺りは霧が立ち込めており、レーダーもノイズが走っていて使い物にならなかった。
”どうしたのですか?アキヅキ”
さっきから黙ったままのアキヅキに対して、不審に思ったのか、テルヅキが声をかけてくる。
”いや、何でもない、少し気候が変と思っただけだ”
”そうですか。気をつけないといけませんね”
テルヅキはそう言った。確かにこのくらいの気候で不審に思ってどうするんだとアキヅキは自分を叱った。そうしていつもの練習内容をいつもの艦隊で行うために進路を向けた。
しかし彼女の表現し難い”不安”という概念は少なからず当たっていた。本来ならこの海域に今日は霧は出ないはずなのだ。そして霧のレーダーに僅かではないノイズも・・・・
彼女達が去っていった海域で島のような物体が動いた。
少し主人公の物語から離れて、様々な者達の視点で書いてみました。そして作者からお願いがあります。次回はついに重巡タカオとの戦闘です。
追記 改稿しました。意見をくださった方ありがとうございました。
活動報告を見てください。