紅世の王がダンジョンに挑むのは間違っているだろうか 作:クーネル・アソーブ
原作:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか
タグ:R-15 オリ主 残酷な描写 アンチ・ヘイト 憑依 ダンマチ 灼眼のシャナ 憑依 銀髪 主人公最強
ならばかけばいいじゃないか!そんなノリと勢いで書き上げました。銀髪は強い
地下迷宮50階層。
そこは一流の冒険者たちが徒党を組んで攻略しなければ進むこともままならない現段階における攻略の最前線と言っても過言ではない場所だ。
そこで二つの勢力が向かい合っていた。一方は人間やエルフドワーフ、獣人などの【ロキ・ファミリア】の冒険者の一団だ。彼らは一級の装備を整え、戦列を組み、戦意を漲らせ、来る脅威に立ち向かおうとしている。
そんな一人一人が一級と言っても過言ではない彼らが団結し、立ち向かおうとしている相手は『ファモール』という異形の怪物。山羊と馬を足したような顔に3Mを超える筋肉達磨のような巨躯に相応しい巨大な鈍器を武器に突っ込んでくる。そこに団結や理性などの文字はなく、本能と欲望だけだ。ゆえにその突進力はとてつもない。生半可なレベルでは吹き飛ばされて終わりだろう。ゆえに、前衛の盾役は歯を食いしばる。後ろで逆転の一撃を繰り出す仲間のために。
冒険者とモンスターの感覚が急速に狭まってぶつかった時、轟音が空間に鳴り響く。何重もの盾と鍛え上げられたステータスにより受け止めたものの、その衝撃はすさまじく、盾を持つ者たちは歯を食いしばり、血管を浮かす。それでもモンスターの勢いを殺すことには成功した。
止められたことに苛立ったファモールの一体が手荷もった鈍器を振り下ろそうとしたとき、盾の隙間から褐色の人影が飛び出てくる。
アマゾネス。女だけの戦闘民族。彼女らはその生まれに恥じない勢いで周囲のモンスターを切り裂いていく。その勢いは止まることなく嵐を連想させるほどだ。
それでもモンスターたちの猛攻は止められない。カバーできる範囲が狭いということもあるが、それ以上にファモールの生まれてくる速さは異常だった。1死ねば5が生まれ、10殺せば50は生まれる。削る速さと補充される速さでは補充される方が早すぎるのだ。このままでは前衛は押し切られるだろう。
しかし、前衛の盾役にもアマゾネスの二人にも焦りはない。なぜか?その理由は後ろから聞こえてくる。
「【――間もなく、焔は放たれる】」
モンスターたちの咆哮と冒険者の気合の声が鳴り響く戦場に凛とした詠唱が響き渡る。その詠唱とともに魔法陣は輝きを強くしていく。その声は冒険者とモンスター両方にこの戦いの結末を想像させた。冒険者には勝利を。モンスターには敗北を
「【忍び寄る戦火、免れぬ破滅。開戦の角笛は高らかに鳴り響き、暴虐なる争乱が全てを包み込む】」
本能で敗北を知ったのか、そうはさせまいとモンスターたちは前衛を突破し詠唱をしている後衛を止めようとその勢いを強くさせる。
「【至れ、紅蓮の炎、無慈悲の猛火】」
『―――オオオオオオオオオオオオオオウッッ!!』
死んでたまるか、もっと殺してやる――そんな思いが実ったのかついに前衛の一部を吹き飛ばすことに成功したファモールたちは後衛へと殺到する。このままでは無防備な後衛はたちまち全滅してしまうだろう。なにもなければ。
「行かせるかぁ!!」
突破したファモールの横面に勢いを乗せた蹴りが叩き込まれる。獣人の身体能力と鍛え上げられたステータスによってその頭蓋はたたき壊された。
「オラオラァ!!もうちっと反抗してみろやぁ!」
フォローに回った狼人のベートを中心に前衛を突破したファモールたちが駆逐されていく。それでも食い止められる数と突破する数では突破する方が多すぎて後衛への数匹の侵入を許してしまう。
後衛の冒険者は後ろから火力を叩き込むのが役目であり、ステータスもそれに応じている。ゆえに接近戦はそれほどでもなく、ましてや狙われたのはこの階層では未熟なエルフの魔法使いだった。
もの前で振り落とされる鈍器によってエルフの少女の体はボールのように飛んでいく。直接あたることはなかったがその衝撃で少女は動くことができなくなってしまった。
そんな少女――レフィーヤはおぼつかない頭で自分の状態を把握しようとする。その判断は間違ってないし、生物としては正しかった。しかし、ここはダンジョン。死の危険はすぐそこに潜んでいる。
「レフィーヤ、危ない!!」
「えっ?」
呼ばれた自分の名前に顔を上げるとすぐそこにファモールがいた。山羊と馬を足したような顔にギョロリトした血の色の赤い目玉。荒い息が絶えまなく吐き出されているその姿は生理的嫌悪を催させた。
振り上げられた鈍器を前に世界が遅くなる。自分の父母。ファミリアの仲間。そして―――
「ゥオオオオオオオオっ?!」
一閃
咆哮とともに振り下ろさんとした鈍器もろともその巨躯は両断された。二つに分かれ崩れゆく巨躯の向こうに金色の髪を揺らし、血糊を払う姿が見えた。
まるで物語のような一面にレフィーヤは心を奪われる。
「大丈夫?レフィーヤ」
「あ、ありがとうございます!アイズさん!」
身を案じられる声にこたえ立ち上がるとアイズは状態を確認するように一度頷く。
「アイズ!後ろだ!」
後ろで指示する団長の声に振り向くとこちらにファモールが数匹向かってくる。つい先ほどのレフィーヤをみて倒せると思ったのだろうか?
レフィーヤから離れ、剣を構える。
「ここから先は行かせない…」
『ウオオオオオオオオオオオオオオッ!!』
護ろうとするアイズ。突破しようとするファモール。
両者がぶつかると思われた時、アイズの視界を轟音とともに虹が占める。その虹はアイズがよく知っていたものだ。虹の起点に目を向けると、そこには銀髪の騎士のような装備のサーベルを構えた男がいた。今回前代未踏の60階層を突破するために団長フィン・ディムナが外部から雇い入れたオラリオ唯一のレベル8にして元【ゼウス・ファミリア】。
【虹の翼】メリヒム。オラリオ最強の冒険者である。
ファモールを消し飛ばすと開いている手を空に掲げる。手の上から縦長の八面体が多数出現する。
『空軍』(アエリア)メリヒムの「攻撃のための盾」。それらは宙を舞い、散会する。おもむろにメリヒムは切っ先をそのうちの一つに向けると虹の柱を放出させる。
『虹天剣』ファモールを消し飛ばした一撃は空中に浮かぶ『空軍』の一つに当たり、その向きを変える。まがった先は前衛を突破したファモール。一度狙われたファモールは一瞬で消し飛ばされた。
と、メリヒムの視線がアイズへと向けられる。彼は顎で前衛の向こう――今も押してくるファモールの群れ――を指す。その文字通り顎で使うしぐさにアイズは彼が言いたいことを理解できた。
――さっさと行け、役立たずと、と
ビキリ、と血管が浮く音が聞こえた。確かに彼によって前衛を突破したファモールたちは殲滅された。それは確かだ。しかし、しかしだ。役立たずと指図されるほどサボっていたわけではないはずだ。なのに………!
抗議の感情をのせて視線を向けるが向こうはすでにこちらに視線を向けておらず、折り畳みの椅子に座って紅茶を啜っている。そのくつろぎっぷりに怒りを募らせるとメリヒムは此方に再度視線を向けて鼻で笑ってくる。そのしぐさの意味はこうだろう。
――できないのか?
ブチッッ!!
縄が切れるような音とともにアイズはユラァリ、とファモールの方へ体を反転させる。
「あ、あの?アイズさん?どうしたんですヒッッ!!?」
ただならぬその様子に恐る恐るレフィーヤが訪ねるとアイズは俯かせていた顔を上げる。無表情だった。いつもの無表情ではなく、空恐ろしい無表情であった。堪らずレフィーヤは座り込むが気にすることもなくアイズはファモールの群れに突っ込む。
後ろではリヴェリアが詠唱しており、詠唱が完成するまでは時間稼ぎをしなくてはならない。ならば――
「付き合ってもらうよ……!」
この胸の苛立ちを解消するために。アイズは激情を胸に潜ませ、近くのファモールから切り刻んでいった。
リヴェリアが呪文を完成したときはアイズ一人で四分の一を削っていたのは余談である。
◇◇◇
気が付いたとき、そこは見覚えのない場所だった。誘拐されたのか!?と身構えると違和感のある銀髪が目に飛び込んできた。眩しいその髪が自分のであることに驚愕の声を挙げて慌てふためいた。
それから自分の現状を把握するのに時間を費やした。
場所はオラリオ。迷宮都市と呼ばれる剣と魔法の世界。冒険者はダンジョンに潜ってモンスターを殺し、魔石やドロップアイテムを回収するというゲームのような世界であった。
自分の体。身体能力は驚くほどにすごかった。ファミリアに入る前からダンジョンに潜っていたが素の身体能力で魔石を回収することができたのだから。
知識はしっかりとしているが記憶は霞がかかったようにぼんやりとしていたが生活するのに困りはしなかった。
転機があったのは毎日のようにダンジョンに一人で潜っていると【ゼウス・ファミリア】から勧誘を受けたことだろう。当時最強とされるファミリア入れば生活は楽になると思っていたのにファミリアはある日壊滅してしまう。仲間も散り散りになり、主神も姿を消した。幸い、財産は貯めこんでいたのでオラリオに家を建てた俺は自堕落に生活をしていた。
そんなある日、【ロキ・ファミリア】から依頼を受けることになった。子供の重りだそうだ。なんでそんなことを、と思ったがその子が【ゼウス・ファミリア】のメンバーの忘れ形見と聞かされ重い腰を上げることにした。
それからは依頼をあちこちから受けることになった。一緒にダンジョンに潜ってほしいという依頼から鍛錬してほしいという依頼、採取の依頼まで幅広くやってきた。
今回も【ロキ・ファミリア】から同行の依頼をうけダンジョンの奥深くまで来た。今、【ロキ・ファミリア】の司令塔であるフィンの横で俺は持ち込んだ椅子に座り、紅茶を飲んでいる。他の奴らが戦っているのに何をしているんだ!と言われそうだが、言い訳をさせてほしい。そもそも今回俺はフィンから手を出さないようにと釘を刺されている。
『手を出すな、だと?ならば何故俺に同行するように依頼したんだ?』
ファモールと遭遇する前にフィンに呼び出され言われたことに理由を問いかけると苦笑しながら
『君に今回同行を依頼したのは勘だよ。なんでか知らないけど今回の冒険は親指がうずくんだよね』
親指を示しながら言われることに俺は納得するしかなかった。
フィンの勘はよく当たる。ならばあてにするのも間違いないだろう。
『でも、危ないと思ったときは手助けしてあげてほしいな』
『わかった。そうするとしよう』
続けて言われたことに了承してテントを出ていった。
というわけで俺は手持無沙汰なのである。暇なので持ち込んだティーセットでお茶をするぐらいには。
と、くつろいでいたら前線をファモールに抜かれるのが見えた。そのままの勢いで後衛のたしかレフィーヤ?というエルフの子が吹き飛ぶのが見えた。どうしようかと思ったがアイズが援護にむかうのをみて大丈夫かと座りこむとフィンが声をかけてくる。
「メリヒム。すまないけど手を貸してくれないか?」
「なに?」
驚き横を向くといつもの飄々としたフィンの横顔が移る。
「どういうことだ?あいつ等ならまだ大丈夫だと思うが?」
そう聞き返してアイズの方に視線を向けると鈍器ごと両断したところだった。
「うん、このままやっても勝てると思うけどけが人が予想よりも多そうなんだ。ここで終わらせておきたい」
「そういうことなら仕方ないな」
そう言われてしまったら仕方ないのでサーベルを抜き、アイズの近くのまとまったファモールを消し飛ばす。『虹天剣』俺が覚えている速攻魔法で破壊力・貫通力は抜群だ。速さも早く、コストも低いと使いやすいがこの魔法は真っすぐにしか進まない。ここからでは他の奴らも巻き込むと思った俺はあいている手を宙に掲げスキルを発動させる。【収納】の効果がつけられた指輪から『空軍』を呼び出す。一日一つしか作れないこれは鏡のように『虹天剣』を反射することができる
つまり上から狙うことができるということだ。
前衛を突破したファモールたちを殲滅した後、座ってふと、アイズに視線を向けるとこちらを見つめている。そんな暇じゃないだろうに何をしているんだと前線の方に顎で指すと何故かムッとしている。なんでだ?と紅茶を飲むとピーンとくる。
アイズは俺が手を出したことに不満なのだろう。自分一人で何とか出来るといいたいお年頃なのだろう。納得して視線を向けて可愛らしいと笑うと顔を俯かせて向こうを向いてしまう。どうやら赤くなった顔を見られたくないようだ。アイズも可愛いな。
そんな風に考え込みながら紅茶を飲んでいるとアイズが突っ込んでいく。元気だなぁ。争乱の戦場のなかでアイズたちに任せてのんびりとお茶でも楽しもう。
アイズ一人でファモールを削っていく様子には紅茶を吹き出しそうになった。
メリヒム・トーテングロッケ
容姿は灼眼のシャナの『虹の翼』メリヒムを想像してもらえばいいです。
性格は争いを好まず、自堕落な生活を好むが、義理やお願いされると動く人。流されやすいと表現すればいいんでしょうか?よく人から勘違いされるがメリヒムの口調なので傲慢に聞こえるから。気が付いたらオラリオの路地裏にいたが記憶がなかった。当時は十歳前半だったのでファミリアに入れてもらえず恩恵なしでダンジョンに潜っていた。実は応募したファミリアは三流ばかりだった。【ゼウス・ファミリア】に拾われた時軽くファミリアに対して不信だったが【ゼウス・ファミリア】の余裕に触れ改善。
【ゼウス・ファミリア】が壊滅してからは家を買って貯金を崩して生活していた。なまらない程度には鍛えていた。ある日ファミリア壊滅の際に知り合ったフィンからの依頼で【ロキ・ファミリア】と親しくなる。
ステータスは主神を変えてないので最後に【ステイタス】更新から変わってないので溜まっている経験値を使うとレベル9に届く。
ステータス
メリヒム・トーテングロッケ
Lv.8
力:A824
耐久:B758
器用:B720
敏捷:S920
魔力:S987
耐異常:D
治癒:E
《魔法》
【虹天剣】
・七つの光を放出させる
・光は一つ一つ個別の属性を持つ
・無詠唱可能
・距離による減衰はない
《スキル》
【空軍】(アエリア)
・魔法の軌道を変える
・一日一つのみ精製可能
・精製するのにガラスや水晶などが必要
・元の質が高ければ高いほど強度、威力が上昇
【虹の翼】
・ステータスの一時向上
・【虹天剣】の自由度・威力の向上