第4次忍界対戦を終えて、少しずつ落ち着きを取り戻し始めた世界…

罪を償う為に旅に出たサスケはある事件に巻き込まれた事で、己の進む道を見つけ、一時里へと戻る…

里と、仲間達と向き合うため…
そしてなにより、ずっと目を背けてきたサクラと向き合うために…

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サスサクSTORYです。

ネタバレ注意

外伝小説
「サスケ真伝」
「サクラ秘伝」のネタバレが含まれています。
読まれるかたはご注意願います(>_<)



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ネタバレ注意
外伝小説
「サスケ真伝」「サクラ秘伝」のネタバレが含まれています。
読まれるかたはご注意願います(^-^)


少し修正と補足入れました(^^)
キャラの性格は原作から外れないように気を付けました♪


第1話

ふと目をやった時計は深夜12時を少し回っていた…

 

思いのほか時間を費やしていることに気づき、サクラは大きく伸びをした。

 

「ん〜!ちょっと休憩するか」

 

ふーっと、息を吐き出しながら机の上に散らばった書類にちらりと視線をやる。

 

『あんまり根つめすぎないようにね!』

 

別れ際のいのの言葉が脳裏をかすめた。

 

里内での新たな医療システムの開発と立ち上げ…

 

第4次忍界大戦の後、二人が中心となりかかわってきた大きな計画がほぼかたちになり、サクラはその開始に向けて最後の確認と書類の作成に追われていた。

 

「あと一息だから」

 

いのの言葉に答えるようにつぶやき、バルコニーの窓を開けた。

 

春先の柔らかい風に桜色の髪が揺れる。

   

 …ふと、少し離れたところに見える実家の窓から、明かりがこぼれているのが見えた。

 

 「お母さんたち、まだ起きてる。

 これじゃぁ、私が引っ越した意味ないじゃない」

 

 「もう…」とつぶやき、バルコニーのふちにもたれかかる。

 

 数か月前から、夜遅くまで作業をすることが増え、両親に気を使ったサクラは実家の近くに引っ越し、一人暮らしを始めたのだ。

 

 「二人の時間を楽しんでるってやつかな…」

 

少しうらやましさを感じながら空を見上げると、今夜はきれいな満月。

 

 近所の公園に植えられた桜の木を見やると、膨らみ始めたつぼみが、温かみを帯びた風に揺られ、所どころで輝いていた。

 

こんな気持ちのいい夜、サクラはつい想像してしまう。

 

このバルコニーに不意に現れるサスケの姿を…

 

そっと目を閉じてしばし風に吹かれ、そしてわずかに胸を高鳴らせ目を開ける…

 

しかし、そこにはただ切なく輝く月と、さみしく吹き抜けていく風…

 

「だよね」

 

なんど苦笑いをこぼしたことか…

 

たとえ里に帰ってきたとしても、自分のところに来る理由はない…

 

「さ、もうひと踏ん張り!」

 

月に背を向け、気合を入れなおしたその時…

 

「サクラ」

 

聞きなれた声が耳をかすめる。

 

びくりと体が揺れる。

 

「やだ、幻聴まで…」

 

今日はよほど疲れたのか…

 

自嘲の笑みを浮かべ、はぁーっと大きく肩を揺らす。

 

作業を切り上げて、休んだほうがいいだろうか…

 

再び書類に視線を落とす…

 

その視界の隅に、ゆらりと何かが揺れた…

 

と同時に

 

「サクラ」

 

再び聞こえたその声に、勢いよく振り返る。

 

そしてそこにある光景に息をのむ。

 

輝く満月の中に、揺れるマント…

 

静かにたたずむシルエットは、まぎれもなくサスケの姿だった…

 

それは何度も空想で終わったワンシーン…

 

だからこそ、サクラはこの状況をすぐには信じられず、無言のまま数秒が流れる。

 

「おい、サクラ」

 

三度(みたび)呼ばれて正気に戻る。

 

「サ!サスケ君?」

 

え?なんで?サスケ君?ここに?

 

一瞬でパニックになる思考回路。

 

気付かぬうちに表情もパニックをあらわにしていたのか…

 

「ふ…」

 

小さく笑みをこぼすサスケを見て、サクラは必死に平静を繕う。

 

「か、帰ってたの?」

 

「ああ、いま着いたところだ」

 

「そ、そう、今…」

 

答えてサクラは思わず驚きの声を上げた。

 

「えぇ!今?」

 

今ついて、すぐうちに来たの?

 

な…なんで…

 

頭はどんどんパニックに陥る。

 

「大きな声を出すな。夜中だぞ」

 

「っ…」

 

あわてて口をふさぐサクラを見て、サスケは苦笑する。

 

そんな時間に来た自分も自分か…

 

しかし、旅をする中で少しずつ生きることへの価値観が変わり始めたサスケにとって、どうしても確かめたいことがあったのだ…

 

そのための時間が惜しかった…

 

そのことへの答えが早く知りたかったのだ…

 

「いいか?」

 

中に入っても…

 

との意味合いで、部屋をちらりと見る。

 

「ふぇ?!」

 

手でふさいだままのサクラの口からとぼけた声が出る。

 

あまりに驚きの表情を浮かべるサクラに、サスケはやはり非常識だったかと柄にもなく後悔し、くるりと(きびす)を返した。

 

「日を改め…」

 

「だめ!」

 

サスケの言葉を遮ったサクラの声と同時に、背中に引っ張られる感触…

 

背を向けているのに、自分のマントを必死につかむサクラの姿が、サスケにははっきりとわかった。

 

…風がやさしく吹き抜けた…

 

「行かないで…」

 

その風に消え入りそうな声で、マントをつかむ手に力を入れなおす。

 

ここでこの人を行かせてしまったら、また会えなくなる…

 

また待つだけの日々が始まる…

 

「お願い…」

 

「なんて顔してんだ」

 

振り向きざまにサスケが浮かべたその表情は、かつて第7班としてともに過ごした頃の面影が浮かんでいた。

 

そのせいか、場の空気が一瞬で昔に戻ったように和んでゆく。

 

「すまない、こんな時間に」

 

「ううん。

 でも、よくここがわかったわね」

 

 「ちょうどお前の姿が見えたからな…。

 …一人か?」

 

 ちらりと目をやったサクラの実家に明かりがともっていることに気付く。

 

 「え?…うん。

 少し前に引っ越したの。

 いつまでも実家に頼ってるわけにもいかないしね」

 

 「そうか…」

 

 「あ、ちょっと散らかってるけど」

 

 机の上の書類をまとめながらサスケを部屋に招き入れる。

 

 「座ってて、何か飲み物持ってくるから」

 

どこか嬉しそうな笑顔を残し、ドアの向こうに消えてゆく背を見送りながら、サスケはソファーに腰を沈める。

 

何とはなしに見回した部屋の壁には、懐かしいあの写真が飾られていた。

 

「なんて顔してんだ…」

 

ナルトから顔をそむけて不機嫌な表情を浮かべる自分の姿…

 

思えば、自分が一番ガキだったのかもしれないな…

 

大人になった今、そんな風に思える自分がおかしくもあり、(のち)に自分の犯した罪に押しつぶされそうにもなる…

 

複雑な思いで再び写真に目をやる

 

未熟だった自分の頭に乗せられたカカシの手…

 

そのぬくもりがふいによみがえる…

 

「懐かしいよね」

 

いつの間に戻ったのか、サクラの声にハッとする。

 

「あの頃、私は本当に何もわかってないバカで、二人に助けられてばかりだった」

 

目を細めながら写真を見つめるサクラ。

 

「いや、俺もそう変わりはなかった…。

 何もわかってないバカだったのかもしれない…」

 

差し出されたカップを受け取ると、暖かいミルクティの香りが部屋に広がった。

 

「ま、ナルトはただのバカだったけどね」

 

明るい口調で言いながら、サクラはサスケの向かいに腰を下ろした。

 

「確かにな」

 

答えてカップに口をつける。

 

続いてサクラも…

 

そして…

 

しばしの沈黙が落ちた…

 

「あの…」

 

「サクラ…」

 

二人の声が重なる…

 

「ご、ごめん…」

 

「いや…すまない…」

 

再び落ちる沈黙…

 

二人は握りしめたカップに視線を落とした。

 

サクラがそっとサスケを見ると、サスケは何やら考え込んでいるのか、微動だにせず、ミルクティーを見つめている。

 

……それにしても…サスケ君なんでうちに…

しかもこんな時間に…

 

そんなことを考えた瞬間、無性に恥ずかしくなってきた…

 

よくよく考えてみれば、今までサスケと二人きりになることなど、ほとんどなかったというのに、こんな時間に自分の部屋にサスケと二人…

 

突然のことに動揺していたとはいえ、とんでもない状況だ…

 

「あぁぁ、あの!

 この間は…大変だったね…」

 

何か話さなければと、サクラは口を開いた。

 

しばらく前、大人数の忍びが行方不明になる事件が発生し、旅に出ていたサスケが事を解決へと導いたのだ。

 

「サスケ君の報告、カカシ先生…6代目から聞いたの」

 

「そうか。」

 

「それから、ナルトがあの事件の首謀者だった『チノ』っていう人からも…色々とサスケ君のこと聞いたみたいで…それも、聞いた…」

 

その名を聞き、サスケはあの一件で相まみえた、赤い瞳の忍びを思い出していた。

 

血龍眼(けつりゅうがん)という赤い血に塗られた目をもち、その血の力で様々な術を使う

 

血之池一族(ちのいけいちぞく)

 

彼女はその一族の生き残りであった。

 

長い歴史の中で血之池一族は、異端の力を持つが故に、「(ねた)み、恨み」…様々な人の闇の心によって追い込まれ、滅びて行った。

 

 その一端に霧隠れの里、そして、うちは一族も関わっていたという衝撃の事実を知り、サスケは一族の闇をまた一つ知ることとなった。

 

 木の葉で迫害され続けてきたうちは一族もまた、血之池一族の迫害に関与していたのだ…。

 

 『こんな世界の未来に希望なんか持てない』

 

チノはそう言った。

 

 彼女は、一族を失い、一人生きてゆくその中で憎しみを募らせ、復讐者となった…

 

かつてのサスケと同じように…

 

だが、サスケとの戦いの中で、身を挺して自分を守ろうとする仲間の存在に気づき、また、深い闇を抱えながらも光を見出そうとするサスケの心にふれ、憎しみの連鎖から一歩踏み出したのだ。

 

「サスケ君が、闇の中から自分を救ってくれた…って。

そう言ってたみたい。」

 

「…そうか…」 

 

サクラの言葉に、平静を装いつつも、サスケの胸がトクンと波打った。

 

かつて闇に染まった自分にも、救えるものがあるのだな…

 

サスケは、何とも言えない気持ちになり、ミルクティを口に含んだ。

 

しかし…ナルトに会ったのか…

 

なら、もうきっと大丈夫だろう…

 

そう確信し、笑みをこぼした。

一度会うだけで、あいつは人の心を動かす…

 

バカでガキで…無茶苦茶なやつだが、あいつはまるで全てを包み込む…春の木漏れ日のような…

そんなやつだからな…

 

「今は霧隠れの里で、水影様のもとで働いているみたい。

水影様が、目をかけて、かわいがってるらしいわ」

 

サスケを安心させようとしてか、穏やかな口調でサクラが言った。

 

「かなりの瞳術の使い手だったからな…

 正しく導かれれば、この世界を救う大きな力となるだろう…」

 

本来なら事件の首謀者として、しかるべき処罰を受けるはずだったチノと仲間たちは、闇の連鎖を断ち切るために…と差しのべられた水影の手によって救われた。

 

そうしてあの事件は幕を閉じた…

 

しかし…

 

「木の葉も被害を受けたようだな…」

 

サスケはここへ来る途中、崩れた外壁や家屋をいくつか見ていた。

 

「うん。ずいぶん修復は進んだけど…

建物や体の傷が直っても…ね…。」

 

沈痛な面持ちで言葉を続ける。

 

「あの襲撃で里が受けた被害は決して小さくはなかった。

命を落とした人もいる…」

 

その中には、親友いのの知人もいた…。

 

明るく振舞ってはいるけれど、どんなに辛いことか…

 

第4次忍界大戦が終わり、ようやく里が、人々が立ち直り始めたこの時に、突然起こったあの襲撃は、深い闇を再び刻んだ…

 

「心の傷が、いちばん深いから…。」

 

サクラは一度目を伏せ、決意を秘めた瞳で窓の外…里を見つめた。

 

「私たち医療忍者は、これからの時代、傷ついたその心にしっかりと寄り添っていかなければいけないって、そう考えてるの」

 

今進めている計画はまさにそのためのものだ。

 

どんなに手を尽くしても、努力をしても、今の時代…そして自分たち忍びの世界は、戦いを避けては通れない。

 

その戦いの中で、人はあまりに多くのものを犠牲にしなければならない…

 

親、子供、兄弟、友達…師や…弟子…

 

とくに幼い子供たちは、目を覆うような惨事を目の当たりにし、心に深い傷を…闇を抱え込む…

 

もちろん、それは子供だけではなく、すべての人に言えることだが、サクラは特に子供達の心の傷をケアしたいと、様々な事を学んできた…

 

子供の心は純粋がゆえに、染まりやすい…

しかし、一度闇に染まれば、それを光で染め直すことは容易ではない…

悲しみはいつしか絶望に変わり、憎しみに色を変え、どんどん心を蝕んでいく…

 

サクラはその様を…間近で見てきた…

 

底の見えないその闇は 、いつの日か、新たな争いを生むことにもなりうる…

 

サスケや、チノのように…

 

決してゼロにはならないのかもしれない…

でも少しでも減らしたい…

 

そのために、サクラたちは心の傷に寄り添うべく、カウンセリングを中心とした医療センターを開くために奮闘しているのだ。

 

「一人でも多くの心を救いたい…ううん。

救わなきゃ…」

 

「そうだな…」

 

自分の進むべき道を見つけたのだな…と…サスケはそう感じた。

 

そしてそれは、サスケも同じだった。

 

憎しみが生んだあの事件の中で、サスケはこの先自分がどのように生きていくか…その道しるべを見つけた…

 

互いの心を痛み合うことのできる友…ナルトが自分のそばにいるように、いつか世界もそうなれば…という願いが自分を木の葉に繋げている…

…自分は孤独ではない…

 

そう気づいた。

 

そして、かつて兄いたちが、里を、世界を影から支えたように、本当の平和が世界を包むその日まで堪え忍び、見届ける者になる。

 

そのために、この世にはびこる復讐の連鎖を絶ちきり、この世界が見つめる先に、光をもたらす。

 

それこそが、サスケのたどり着いた新たな道…

『忍道』

行くべき道が定まり、サスケは遠ざけ続けてきたこの里と、自分を受け入れようとしてくれているかつての仲間たちに向き合おうと、里に戻ってきたのだ。

 

そして今、最も向き合うべき人物の前にいる。

 

ずっと目をそむけてきた、一人の女性の前に…

 

「サクラ」

 

その名を呼び、サスケはサクラを見つめた。

 

時を重ね、すっかり大人になったサクラ…

 

その後ろには、あの懐かしい写真…

 

自分に憧れ、好意を持ち、どんなに冷たくあしらっても、突き放しても、決してつながりを切ろうとはしなかった…

 

里を抜けたあの日も、サクラは唯一、復讐に染まりゆく自分に気付き、引き留めるためにぶつかってきた…

 

「サスケ君?」

 

自分をみつめたまま黙り込むサスケに、不思議そうに声をかけるサクラ。

 

サスケはカップを机に置き、一つ息を吸い込んだ。

 

「サクラ…おまえはナルトと同じように、俺の闇を、罪を、誰よりも深く知っている人間だ。

しかも、俺はお前の命を本気で奪おうとした…

それでも、そんな俺とのつながりを、お前は決して切ろうとしなかった…

どんなに突き放しても…」

 

何かを語ろうとしているサスケの空気に気づき、サクラはただ黙ってサスケを見つめる。

 

「俺の闇を、罪を…一緒に背負うとさえ言った…。」

 

瞳を閉じ、しばし黙り込む。

 

まるで次の言葉を口にするための力をためるように…

そして、

 

「サクラ」

 

そっと瞳を開き、静かに、しかし力強く言葉を紡いだ。

 

「俺の闇は…犯した罪は…深く、

進むべき道は、果てしなく、そして厳しいものになるだろう…」

 

サクラを見つめたまま一度言葉を切り、意を決したかのように、サスケは言った。

 

「それでも、いいか?」

 

その言葉の意味を…想いを受けて、サクラは目を見開いた…

 

しかし、なぜだか心は不思議なほどに落ち着いていた…

 

それは、いつも自信にあふれているサスケの瞳が、どこか不安げに見えたからかもしれない…

 

静かにカップを置き、サクラは窓辺に立った。

 

そして里を見回しながら口を開いた。

 

「私ね、ずっと考えてた。

あの大きな戦の中で、ナルトとサスケ君と一緒に戦って、成長した自分を確かに感じたのに、なぜだか、みんなに取り残されたような気持ちがずっと消えなくて…。

なんでだろうって…」

 

サクラの脳裏に仲間の顔が次々と浮かんでくる。

 

「みんなどんどん前に進んで、どんどん変わっていく…。

私だって新しい目標見つけて、進んでるはずなのに…って。

…なんで…って。

…考えて…考えて…気づいたの」

 

いつの間にかその視線はあの写真を見つめていた。

 

「サスケ君の闇を…罪を…一緒に背負うって…

その気持ちから…あの日の自分から…ずっと離れられないからだ…って…。

だから、もうやめようって決めたの。」

 

強い決意をたたえた瞳がサスケを捉える。

 

少し伸びた桜色の髪が風にそよぎ、月の光を帯びて、柔らかく輝いた。

 

その光景に、まぶしそうに目を細め

 

「そう…か…」

 

どこか諦めたように発したサスケのその言葉に、サクラが声を重ねる。

 

「これからは一緒に背負うとするんじゃなく…

サスケ君のその旅を、隣で見届けたい。」

 

「……っ」

 

今度はサスケが目を見開いた。

 

「サスケ君が抱えているものは、きっと私なんかじゃすべてを理解することなんてできない…。

そんな…簡単なものじゃない…。

だけど、隣にいて、サスケ君が求める答えを、未来を見つけ出すその日を私は見届けたい」

 

知らぬ間に、サクラのほほを涙が伝っていた。

 

「もう…何と言われようと、ついて行く…

だって、私は…私は…サスケ君のことが……っ…」

 

かすかに震えるその唇を、サスケの大きな手が塞いだ。

 

お互いの髪が触れ合うほどの距離で、サスケの声がやさしく響く。

 

「それ以上は…言うな…」

 

風にあおられ、サスケのマントがサクラを包み込む。

 

「サクラ…好きだ…」

 

口に当てられていた右手が、ほほを包み込む…

 

「…うぅ…ふぇ…」

 

子供のような泣き声とともに、サクラの目から涙があふれ出た。

 

とっさに両手で顔をふさぐ。

 

しかし、その手をすぐにサスケがすくい上げた。

 

「…や…わた…し……ひどい顔…してる…」

 

「はは」と笑い、サスケはサクラの額に口づける…

 

「好きだ」

 

瞳に

 

「好きだ」

 

ほほに…

 

「好きだ…サクラ」

 

そして唇に…

 

その言葉と口づけは、まるで今までの時間を…思いを…すべてを埋めるかのように繰り返される。

 

「サスケ…く……」

 

こらえきれない泣き声と、とめどなく降り注ぐサスケの口づけに、サクラはうまく呼吸ができず、意識をとどめるのに必死だった。

 

「ま…待って…くるし…」

 

その言葉に一瞬サスケが止まる。…が

 

「待たない…」

 

「え?」というサクラの言葉をも遮り、サスケはまた口づけを落とす。

 

「もう待たせない」

 

「…っ…」

 

サクラの瞳から、また涙があふれた…

 

 

長い…長い時を経て…二人の影が、満月の中で重なる…

 

そして、これから長い時間を二人で歩いてゆく…

 

 

美しい月が、木の葉の里を、二人を、やさしく照らし続ける限り…

 

 

 

 

……お帰りなさい…サスケ君……

 

……ただいま……

 

 

 




NARUTOがすごく好きで、サスサクの外伝が出るのを楽しみにしていたんですが、出る気配がなく…
思いあまって書きました(^-^)

愛情深いうちは一族ですから、自分の想いを認めたら、すごく素直に、惜しげなく愛情を注ぐだろうな…
と思いながら書き上げました。

二人の幸せを祈ります(*^^*)

読んでいただき、本当にありがとうございました☆
ほんの少しでも、皆様の思い出に残していただけたら幸せです…(^^)

本当に本当に、ありがとうございました☆




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